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【MLB 2021】1年前は壁当てで調整!Dバックスのタイラー・ギルバートが初先発でノーヒットノーランを達成!

タイラー・ギルバート、歴史的快挙を達成

 現地2021年8月14日、驚くべき出来事が発生しました。

 アリゾナ・ダイヤモンドバックスの左腕で、27才のオールドルーキー左腕のタイラー・ギルバート(Tyler Gilbert)がメジャー初先発で、ノーヒットノーランを達成しました。

 Congratulations!

初先発でNO-NOは史上4人目

 メジャーリーグのキャリア初先発でノーヒット・ノーランを記録したのは史上4人目。一番最後は、1953年のボボ・ホロマンこと、アルバ・リー・ホロマンまで遡ります。

Dバックス史上では3人目

 また1998年クラブ創設のDバックスでは、史上3人目のノーヒットノーラン達成です。

  1. ランディー・ジョンソン: 2004年5月18日 @ブレーブス戦
  2. エドウィン・ジャクソン: 2010年6月25日 @レイズ戦
  3. タイラー・ギルバート: 2021年8月14日 vs パドレス戦

27才左腕の大逆転ストーリー

 タイラー・ギルバートは2021年8月3日にメジャーデビュー。今季はここまで3度、リリーフで登板。よって、この大記録はメジャーデビュー戦での達成ではありません。

 リリーフでの3度の登板ではいずれも結果を出していて、ERAが0.00。ゆえに、結果も出ているし、「ちょっと先発をやらせてみるか」ということで起用したところ、強力なパドレス打線を相手にあれよあれよという間にノーヒットノーランを達成したのでした。そう、本来はリリーフ・ピッチャーなのです。

 そして調べると、とんでもないほどのシンデレラ・ボーイぶり!

マイナーでのキャリア

 タイラー・ギルバートはカリフォルニア州出身で、2015年にフィリーズから6巡目指名を受け、プロ入り。

 プロ初登板はルーキーリーグを経ずに、いきなりのクラスAマイナスでの登板。短いシーズンだったにもかかわらず、10試合、42.0イニングに登板し、4勝3敗、ERA2.79をマーク。

フィリーズでは昇格出来ず

 2016年は通年でクラスAに所属。23試合、131.0イニングを投げ、7勝9敗、ERA 3.98。

 2017年からリリーバーとして起用されることに。クラスAプラスで、35試合、61.0イニングを投げ、1勝6敗、ERA2.95。

 2018年、ここが最初のメジャー昇格のチャンスだったのですが、開幕はダブルAでシーズン半ばにはトリプルAに上がりました。2つのレベルを通じて48試合、69.1イニングに登板し、7勝2敗、ERA 3.25をマーク。しかし、メジャーに上がることはありませんでした。

 2018年のシーズンオフにはドミニカ・ウィンター・リーグにも参加。

 2019年はトリプルAで通年を過ごし、36試合にリリーフ登板し、47.2イニングでERAは2.83。

2020年にドジャースへ

 2020年、スプリング・トレーニングが始まるというタイミングで、フィリーズがカイル・ガーリックを獲得したトレードで、ドジャースに移籍。

 心機一転、出身のカリフォルニアで「さあ、メジャーを目指すぞ!」と体勢を整えていたタイラー・ギルバートでしたが、このタイミングでコロナパンデミックが発生。2020シーズンはマイナーリーグがキャンセルになったのはご承知の通りです。

2020年は電気技師の父の下で生計

 以上のように、タイラー・ギルバートはあと1歩でメジャー昇格というところまで来ていたのですが、それが叶わず。

 行き場を失ったタイラー・ギルバートは、電気技師の父親のもとで働き、日銭を稼ぎながら、商売のことを学んだといいます。そして腕が鈍らないように、時たま壁に向かってボールを投げていたと。それが2020年の夏のお話。ちょうど1年前のことです。こんなことがあれば、普通は絶望することでしょう。

2021年、ルール5ドラフトでDバックスが指名

 キャリアについてはもう少しあります。上記のように2020年も昇格できなかったタイラー・ギルバートは、「19才以上で契約し、在籍年数が4年超え」となってしまったので、ルール5ドラフトの対象選手になりました。ここでドジャースはロスター調整をせずにそのまま流しました。

 そして、マイナーリーグ・フェイズで、Dバックスが指名。それが今日に至る道程です。

 1年前、壁当てで調整していた投手が、1年後にメジャーでNO-NO達成です!こんなすごいことがたまに起こるのがメジャーリーグ!

芯をずらして凡打の山

 この日、タイラー・ギルバートはリードオフのトミー・ファムにいきなりの四球。フルカウントまで行っていたものの、ちょっと先が思いやられる立ち上がりでした。しかし、2番のアダム・フレイジャー、3番のマニー・マチャードにはいずれも3球以内で2ストライクを奪う肝っ玉ぶりを披露。これで首脳陣も早いイニングから2番手投入を考えなくてよくなりました。

 あとは、アウト1つずつの積み重ねという感じです。

90mph以下でパドレス打線を抑える

 タイラー・ギルバートのすごかったところは、90mph超えのボールが1イニングで1、2球しかなかったこと。ほとんどは85-89mphほどの速度帯でパドレス打線を打ち取っていきました。

カット、シンカー

 たまに投げる4シーム、あるいはシンカーがファストボールで88-90mphほど。そしてファストボールと同じくらいの割合で投げていたのが、カットボール。これもマリアーノ・リベラのようにぎゅいんと曲がる軌道ではありません。おそらくバッターからするとちょっと動く程度。

 そして、ファストボールを速く見せるための、75mphほどのナックル・カーブがいいアクセントになっていました。そしてナックル・カーブとカットボールの間の速度帯で、スプリットがありました。

 要は半速球でボールを動かして、微妙に芯をすらしていった、そんな投球だったと思います。

与えた四球は全部トミー・ファム

 なお、この日タイラー・ギルバートは四球を3つ与えたのですが、いずれもトミー・ファムの打席でした。投げにくかったのでしょうか。

味方の援護 

 Dバックス打線は1回表、パドレス先発で、今季最初にノーヒットノーランを達成したジョー・マスグローブを相手に、ドリュー・エリスの3ランHRなどで5得点を計上。さらに、5回裏には、ジョシュ・ロハスのトリプルで1点を追加、6回裏にはジョシュ・バンミーターのタイムリー・シングルでもう1点を追加。6回までに7得点を奪い、タイラー・ギルバートを支援。

 8回表には、オースティン・ノラが放った大きなLFフライをデービッド・ペラルタがウォール際でキャッチ。この当たりは危なかったです。しかし、このように味方の援護があり、見事にノーヒットノーランを達成したのでした。

 タイラー・ギルバートは9回、102球、うちストライク64球、BB 3、SO 5という投球内容でした。

NO-NOは今季8度目

 2021年のノーヒット・ノーラン達成はご覧の通り。強粘着剤の検査が実施されるようになったのは6月21日から。よって、今回のNO-NO達成は粘着剤の検査実施から2度めの達成に。

 そしてシーズン最多タイの8度に並びました。

【2021シーズンのノーヒットノーラン達成】

  1. ジョー・マスグローブ (SDP) : 現地2021年4月9日 @ TEX
  2. カルロス・ロドン(CWS): 現地2021年4月14日 vs CLE
  3. ジョン・ミーンズ(BAL): 現地2021年5月5日 @SEA
  4. ウェイド・マイリー(CIN): 現地2021年5月7日 @CLE
  5. スペンサー・ターンブル(DET): 現地2021年5月18日 @SEA
  6. コーリー・クルーバー(NYY): 現地2021年5月19日 @TEX
  7. コンバインド(CHC):現地2021年6月24日 @LAD
  8. タイラー・ギルバート(ARI): 現地2021年8月14日 vs SDP

参考記録

 1900年以降のシーズンでは、記録更新と言っても良さそうです。

【シーズンノーヒッター記録に並ぶ!近代では最多に】

シングル・シーズンでの最多は8度で、1884年。これは古すぎるので、1900年以降の近代野球で行きますと、7度が最高。

シーズン7度は1990、1991、2012、2015年の4シーズンで達成しています。

 このような良い意味での予測不可能な事態が起こるので、メジャー観戦はやめられませんね。

 お読みいただき、ありがとうございました。

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