2019年全体1位がデッドラインで動く
東部時間2026年8月3日午後6時、トレード・デッドラインが到来しました。
そんな中、レッドソックスは今トレード・デッドラインでドジャースがタリク・スクーバルを獲得したトレードに匹敵するほど、大きなディールをまとめました。
2019年ドラフトの全体1位で捕手としての能力が非常に高いアドレー・ラッチマンを獲得するに至りました。ラッチマンの獲得交渉はすでに噂には登っていて、あとは交換で出す選手を誰にするのか?それが他のトレードで出す選手との絡みもあってなかなか決まりませんでしたが、最終日にまとまりました。
トレード概要
このトレードで動く選手達です。
レッドソックスGet
- アドレー・ラッチマン(Adley Rutschman/28)C, DH | B/T: S/R
- ジェイク・ロジャース(Jake Rogers/ 31) C | B/T: R/R
- キャッシュ
なお、この金銭はおまけのようなもの。ラッチマンのサラリーは$7.25M で残り期間は$2M強。ジェイク・ロジャースは$3.05Mで残りは$1M強というところ。おそらく彼らの残債をオリオールズが支払うということなのでしょう。それくらいいいプロスペクトをレッドソックスは出しています。
オリオールズGet
- アンソニー・アイアンソン(Anthony Eyanson/ 21) RHP
- エンディー・アゾカール(Enddy Azocar/ 19) OF | B/T: R/R
- カイソン・ウィザースプーン(Kyson Witherspoon/ 21※)RHP
※誕生日が2004年8月12日なのですぐに22歳に - カルロス・ナルバエス(Carlos Narváez/27) C | B/T: R/R
- PTBNL (Player To Be Named Later: 後日指名)
このディールの感想
別記事で記載しますが、レッドソックスの他のディールとしては大事に育ててきたマーセロ・マイヤーがジャイアンツにトレードとなりました。
このデッドラインで懸念していたのは、大物獲得の対価としてNO.1プロスペクトのフランクリン・アリアスが出ること。また、SSの補強でアンドリュー・モナステリオ、あるいは内野の対価としてアンソニー・シーグラーらこの快進撃を支えた繋ぎの役割を担ったメンバーが出てしまうことでした。さすがにケーレブ・ダービンは出さないだろうなとは思いつつ、とにかく球際に強く、守備・走塁も良い彼らの放出だけは避けてもらいたかったので(シーグラーはたまにポロっとやりますが・・・)、そこは安心しました。
この快進撃を支えたメンバーはほぼ残りました。デッドラインの事前の動きで、カーティス・ミードを獲得したトレードでコナリー・アーリーを出したのは痛いと思いましたが、最終的にはジャレン・デュランでさえここ数日は復調の気配が出ており、残りました。もちろん、吉田選手も。

今回のラッチマン獲得のディールでは相応のトップ・プロスペクトは含まれてしまいましたが、かつてクリス・セールをホワイトソックスから獲得した時にマイケル・コペックとヨアン・モンカダを出した時よりは個人的にはインパクトは薄いです。彼らの放出は惜しくて泣きそうになりましたが、彼らの現状はどうかと言えば、マイケル・コペックは未契約で、たまに投球のトレーニング施設の動画で見る限りです。モンカダはエンゼルスでレギュラーをとれておりません。二人とも、もしレッドソックスに残っていれば違う運命になったかもしれませんが・・・。とは言え、結構な宝石が出て行ってしまっております。

ラッチマン獲得の背景
レッドソックスCBOのクレイグ・ブレスローは間隙を縫って今回の獲得交渉に当たり、成功させました。
アドレー・ラッチマンはオリオールズの顔のような選手です。オリオールズが弱っている時の2019年に全体1位でオリオールズ入り。2022年にデビューして経験を積み、2023年にオリオールズのALイースト制覇に大きく貢献。オリオールズはこの年、101勝をマーク。この2023年はガナー・ヘンダーソンも大暴れし、ドラフト上位ピックの選手が一気に成果を上げたシーズンでした。その中心選手だったのがアドレー・ラッチマンでした。
2026年、オリオールズは苦戦
2025年オフ、オリオールズはいい補強を実施。メッツからFAのライアン・ヘルスリー、ピート・アロンゾ、トレードではレイズからシェーン・バズ、エンゼルスからテイラー・ウォードを獲得。クリス・バシット、ザック・エフリンとも再契約し、投打にバランスの取れた補強を行いました。

しかし、開幕後は相次ぐ故障に見舞われ、投手陣のERAはMLB17位、オフェンスも打率がMLB 23位。4月まではなんとか3位をキープしていましたが、5月に入ると崩れが見えてブルージェイズとともに4位、5位をホバリングしている状況です。
現時点でチームは54勝58敗で借金は4。5割になればまだワイルドカード枠でのポストシーズン進出のチャンスも出てくるのですが、チームはブーストがかからない状態で、このデッドラインではディーン・クレーマーをツインズへ、テイラー・ウォードをマリナーズへとトレードで放出し、実質「売り」となりました。
ラッチマンの延長契約に進展なし
オリオールズは2024年3月のオーナー会議でデービッド・ルーベンシュタイン(David Rubenstein)が主オーナーとなりました。
オーナーが代わったので、上述のように2025年オフはピート・アロンゾを獲得するなどかなり積極的に投資をしました。ところが、チームの顔であるアドレー・ラッチマンに対し、契約延長交渉がほとんど進展がなかったのです。ラッチマンは2027シーズン終了後にFAになるにもかかわらずです。
また同じ捕手のサミュエル・バサロとは8年/$67M保証でサインしております。
怪我で低迷
また、怪我の影響もあってか、ラッチマン自身のパフォーマンスもやや低下していました。
2022年にメジャーデビューを果たしたラッチマンは、2023年シーズン終了時点で2シーズンで267試合に出場し、卓越した守備力に加え、HR 33、.268/.369/.439、wRC+ 129をマーク。
ところが、2024年には計148試合に出場しましたが、シーズン途中の6月27日にファウルボールを手に受けて負傷。この怪我が思った以上に深刻な影響を及ぼし、前半戦の成績は.275 / .339 / .441でしたが、後半戦は.207/ .282 /.303に。
また、2025年は左右の腹斜筋を相次いで痛めるなど、90試合の出場にとどまった上、打撃成績も.220/.307/.366、OPS .673と低調。
さらに2026年は左足首の炎症、脳震盪、左手首の炎症により何度もILに入っており、現時点も手首の問題でIL中。成績は.251/.331/.433、OPS .764と前年よりはよくなってはいます。
こういったクラブ全体の不調、ラッチマンの延長契約問題、2024年6月以降の打撃低迷などがあり、ラッチマンには環境を変えてリフレッシュして良い状況が生まれました。クレイグ・ブレスローはその間隙を縫って交渉に臨み、成功したというのが流れです。
レッドソックスとしては、ラッチマンのコンディションが改善すれば、かつての姿を取り戻せると考えているのでしょう。
BOSの捕手は打撃が低迷
なお、レッドソックス側の背景としては今季の捕手の成績は.219/.305/.310。開幕から2ヶ月ほどレッドソックスは打線が湿りっぱなしでしたが、その中でもコナー・ウォンは5月に.276/.344/.379、6月に.333/.441/.444をマークし、チーム全体の中でも目立つほど打っておりました。ところがそのウォンも7月は.222/.314/.311と悪化。
キャプテンことカルロス・ナルバエスはシーズンを通じて.187/.260/.275、OPS .535と低迷。ファストボールに刺されるシーンをよく見かけます。
この捕手の成績はほとんどナルバエスの成績と言ってもいいかもしれません。ブレスローはここに手を入れたということです。
(BOS)ジェイク・ロジャース
レッドソックスが獲得したジェイク・ロジャースですが、彼は元タイガースの捕手で、お顔がとても愛くるしい選手です。
31歳のロジャースはもともとは2016年のアストロズの3巡目指名。2017年8月31日にアストロズがジャスティン・バーランダーを獲得したトレードで、OFのダズ・キャメロン、投手のフランクリン・ペレスと共にタイガースへ移籍。マイナー時代は守備力がとても評価されていました。ただ、メジャーへの課題は打撃ということに。
2019年にメジャー・デビューを果たし、PA 128で HR4とまずまずのデビュー・イヤーでしたが、打率は.125。2020年はマイナーでしかもこの年はマイナーがキャンセルされたので出場無し。
2021年には38試合に出場し、HR 6、打率.236をマーク。2022年はメジャーでの出場がなく、2023年からが本格稼働で2023、2024年とそれぞれ100試合以上に出場。この2年の打率は.209。
2025年はまたも打率1割台に逆戻り。2026年7月28日にタイガースをDFAとなり、7月30日にオリオールズにトレードで移籍。オリオールズでは3試合に出場していましたが、この後レッドソックスへの移籍が決まったという流れです。
タイガースのポストシーズンではいい場面で打つ姿が目立っていましたが、概して打率が低すぎるのがタイガースで正捕手を掴みきれなかったところでもあります。
レッドソックス移籍後はラッチマンがしばらくILに入るので、レッドソックスの捕手はコナー・ウォンがメインとなり、このジェイク・ロジャースがバックアップとして控えるという形になりそうです。ひょっとしたら、ラッチマンが復帰すればDFAとなるかもしれません。
(BAL)アンソニー・アイアンソン
21歳右腕アンソニー・アイアンソンは2025年のドラフト3巡目指名。2026年はプロ1年目として素晴らしいシーズンを送っています。ハイAとダブルAを合わせて68.1イニングを投げ、ERA 1.32を記録た。BBレートは10.1%とやや高めですが、SOレートは36.6%に達し、インプレーの打球に対するGBレート(ゴロ率)は53.7%。近い将来、オリオールズの先発ローテーション上位を担う投手になる可能性を秘めています。
(BAL)エンディー・アゾカール
ベネズエラ出身のアゾカールは、まだ19歳でダブルAにも到達していないため、メジャー昇格まではまだ時間がかかると見られています。しかし、非常に有望。OFは全ポジションをこなし、将来的にはCFを担える逸材。打撃とパワーは平均以上とされており、今季はシングルAとハイAの合計でHR18を放ち、.286/.341/.540を記録。
(BAL)カイソン・ウィザースプーン
同じく21歳のカイザー・ウィザースプーンも、非常に注目すべきプロスペクト。2025年のレッドソックスの1巡目指名。プロ1年目の成績はアイアンソンほど際立ったものではありませんでしたが、2026年は、ハイAで17試合に先発し、ERA 4.78を記録。非常に高いポテンシャルを秘めた投手です。
(BAL)カルロス・ナルバエス
カルロス・ナルバエスはベネズエラ出身でもともとは2015年7月にアマチュアFAとしてヤンキースとサイン。2024年12月にトレードでレッドソックスに移籍してきました。
そして2025年は.241/.306/.419、OPS .726、HR 15と大活躍。キャプテンの愛称ももらいました。ヤンキースで霞んでいた選手がレッドソックスで花開いたのはギャレット・ウィットロックと同じです。

しかし、2026年は打撃が低迷。
オリオールズではサミュエル・バサーロが今、IL中なのですぐにマスクをかぶることになりそうです。ヨーヘイ・ポゾとの兼任も。ただ、バサーロが復帰した場合、危うい立場になります。
レッドソックスはアドレー・ラッチマンがかつてのバスター・ポージーのような存在になれば万々歳ですが、まずは体のケアをしっかり整えてもらってからの話です。
お読みいただき、ありがとうございました。

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