大物同士が動くディールに
現地2026年8月1日、トレードデッドラインまで残り2日となったところで、ア・リーグ中地区首位のホワイトソックスとア・リーグ西地区3位のマリナーズの間でディールが成立。
マリナーズのポジション
2025年はイチローさんと佐々木さんがいた2001年以来となるプレーオフ進出を果たしたマリナーズ。ブルージェイズに惜敗したものの、ALCSまで勝ち進み、シアトルを大いに盛り上げました。
そんなマリナーズですが、2026年の現時点の成績は53勝58敗で借金5。ただし、ア・リーグ西地区はアストロズとレンジャーズで首位争いをしているのですが、これが勝率5割をめぐっての争い。もしもマリナーズに爆発力があればこれは大チャンスとなる状況なのですが、いかせん今季は爆発力がありません。前年に60HRを放ったカル・ロリーも今季は11HRと沈み、その他の野手もいつも通り。またもとの貧打に戻り、チーム打率は現時点でMLB最低の.229。
もはやこの劣勢を跳ね返す力はないと見てよく、このトレード・デッドラインは「売り」に近いポジションで動くということになりそうです。ただし、解体までする必要はなく、そうなると目的はサラリー・シェッド(削減)ということになるでしょう。マリナーズはエマーソン・ハンコックのトレードオファーも喜んで検討する姿勢を見せています。
もしもマリナーズがこのトレード・デッドラインをコンテンダーとして動くのなら、やはりツインズのように現時点で勝率5割をホバリングしておきたかったところです。ただ、もしそうなら、それが今のア・リーグ西地区で首位争いということになるのですが・・・。
トレード概要
このトレードの概要です。1:3となりました。
ホワイトソックスGet
- ルイス・カスティーヨ(Luis Castillo/33)RHP
マリナーズGet
- セランソニー・ドミンゲス(Seranthony Domínguez/31)RHP
- ノーラン・ジョーンズ(Nolan Jones/28)OF | B/T: L/R
- ボストン・スミス(Boston Smith/ 23) C | B/T: L/R
ともにサラリーを引き継ぐ
ルイス・カスティーヨの現在の契約は5年/$108M (2023-27) +2028 $25M ベスティング・オプション。2026年のサラリーは:$22.75Mでこの単価が2027年も続きます。2028年は2027年に180イニングを投げ、かつ翌シーズン開幕時に健康な状態であれば発動するものです。バイアウトはなし。

それでこのトレードでホワイトソックスはルイス・カスティーヨの残債を全て引き受けることとなり、トレードでの通常の契約の引き継ぎとなりました。2026年は残り2ヶ月で約$7.4Mが残っており、2027年分も含めると合計$30M超え。
セランソニー・ドミンゲスの現在の契約は2年/$20M (2026-27) + 2028 $12M ミューチュアル・オプション ($2M バイアウト)。マリナーズもセランソニー・ドミンゲスの残債を全て引き受けることとなっており、2026年の残りは約$3,2M、2027年は$10M、そして2028年はバイアウト分の$2Mは払うことになるので、計$15,2Mほど。

背景
ホワイトソックスはローテーションを補強
ベテラン先発投手の補強を模索していたホワイトソックスにとって、これは大きな動きと言えます。依然としてア・リーグ中地区で僅差の首位を維持いるホワイトソックスのローテーションを牽引しているのは、ブレイクしたデービス・マーティンとショーン・バーク、そして横浜からFAで加入したアンソニー・ケイの3人が中心。残り枠は、オープナーの後を継ぐエリック・フェディー、苦戦しているルーキーのノア・シュルツら。
ここにベテラン右腕で2025年のマリナーズの躍進に大きく貢献したルイス・カスティーヨが加わるのは心強いところです。
マリナーズのローテは飽和状態
また、マリナーズは現時点でローテーションが飽和状態にありました。
ルイス・カスティーヨは今季、オープナー後のリリーフ登板も3度ありましたが(先発以外の登板はキャリア初)、それはブライス・ミラーらけが人が復帰するまでのこと。
ブライス・ミラーも戻ってきたマリナーズはルイス・カスティーヨを除いても、ローガン・ギルバート、ブライアン・ウー、ジョージ・カービーとしっかりした柱が4人もおります。
マリナーズはさらにエマーソン・ハンコックのトレード受け入れ可の状態です。ここはハンコックをカードにディポトは来年も見据えていいディールを待っているということでしょう。
ゲーム終盤
またセランソニー・ドミンゲスは四球と被本塁打率の高さにより、クローザー・ロールを降りました。マリナーズとしてはアンドレ・ムニョスまでのセットアップとして彼を使う価値は十分にあります。それにT-mobileパークはピッチャーズ・パークですので、ドミンゲスの被本塁打率の多さも解消できるのではないか?の目論見も。
ルーク・レイリーの怪我
また、マリナーズはOF/1Bのルーク・レイリーが左前腕の捻挫で離脱(彼は右投げ左打ち)。OFの補強としてロッキーズにもいたノーラン・ジョーンズを獲得したというところでしょう。
(CWS)ルイス・カスティーヨ
ルイス・カスティーヨは33歳のベテラン右腕。レッズでMLBのキャリアをスタートさせ、先発投手としての地位を確立。
2017年のデビューから2021年まで、123試合に先発し、ERA3.72という投球成績を残しています。
グレート・アメリカン・ボール・パークはヒッター・フレンドリーの球場と言われており、StatcastとESPNはクアーズ・フィールドに次いでヒッター・フレンドリー・パークとして2位にランクしています。その中での成績です!
2022年のトレードデッドラインでマリナーズへ移籍。

マリナーズ移籍後は2023年から2025年まで3年連続で二桁勝利をマーク。2023年は197.0 IPで14勝9敗、ERA 3.34をマークし、サイ・ヤング賞投票で5位に入る活躍を見せました。
2024年は175.1 IPでERA 3.64、2025年は180.2 IPでERA 3.54。
2025年からやや翳り
そんなルイス・カスティーヨですが、2025シーズンから投球内容(球威や質)には陰りが見え始めています。4シームのアベレージ・ベロシティーはキャリア最低の95.0mphに低下。2026年は4シームのそれが95.3mphとわずかに持ち直したものの、SOレート19.4%、Whiff レート10.9%はキャリアワーストの記録です。
2026年は99.2 IPでERA 5.06と悪化しているのは気になります。
(SEA)セランソニー・ドミンゲス
31歳のセランソニー・ドミンゲスは2018年にフィリーズでデビューし、オリオールズ、ブルージェイズでMLB計7シーズンを過ごし、今季からホワイトソックスに加入。当初はクローザーとしての役割が期待されました。
2025年までは322試合、306.0 IでERAは3.50。HRレートは2.7%、SOレートは27.9%、BBレートは 10.5%を記録。
2026年は27.1 IPでERA 4.10。HRレートは3.7%、 SOレートは27.8%、BBレートは14.2%。
SOレートはこれまでのキャリアと変わりはありませんが、HRレート、とりわけBBレートが悪化しています。これが投手有利のシアトルに行くことでHRの懸念が解消されてBBレートも改善されれば良いですね。
(SEA)ノーラン・ジョーンズ
ノーラン・ジョーンズは28歳の右投げ左打ちのOF。もともとは2016年のインディアンスの2巡目指名でしたが、2022年11月15日、ロッキーズとガーディアンズ間でトレードが成立し、マイナーリーガーのフアン・ブリトとのトレードでコロラド・ロッキーズに移籍。2023年5月26日にメジャー・デビューし、最初の18試合で .339/.397/ .613、HR 4,RBI 12、4盗塁をマーク。そしてシーズンを通じては20HRを放ちました。

現地2025年3月22日にはタイラー・フリーマンとのトレードでガーディアンズに移籍。136試合に出場するも、.211/ .296/.304、OPS .600、HR 5と低迷。
2026年はトリプルAで過ごしていて、6月に金銭トレードでホワイトソックスに移籍しました。
彼が自慢の長打力を発揮するか、注目したいところです。いい響きの名前ですね。
(SEA)ボストン・スミス
23歳のボストン・スミスは2025年のナショナルズの6巡目指名でプロ入り。
ドラフトから半年後の2026年3月28日にカーティス・ミードがナショナルズに移籍したトレードでホワイトソックスへ移籍。その後、ミードはブレイクを果たし、コナリー・アーリーとのトレードでレッドソックスへ移籍。

スミスがプロデビューを果たしたのは2026年に入ってから。すでに3つの異なるレベル(A、ハイA、ダブルA)でプレーし、合計346打席で.291/.448/.589、HR 22の好成績を収めています。
ただ、96三振を喫してはいますが、高いBBレートと驚異的なパワーの数字を考慮すれば、ある程度の空振りは許容範囲と言えるでしょう。
スミスの能力として特筆すべきは捕手としての資質ですが、MLBパイプライン(マリナーズのファーム組織内14位)は、捕手としてはまだ発展途上にあると評価。2026年はLFでの出場機会も多いため、もしメジャーに昇格した場合は、専業の捕手というよりは、複数のポジションをこなせるハイブリッド型の控え選手になる可能性があります。
マリナーズではカル・ロリーが捕手として確固たるも地位を確立している上、ルーク・スティーブンソンという有望な捕手候補も控えているため、この点も彼が捕手以外で上がってくる可能性を物語る状況です。
マリナーズの勝ち
ディール全体を考えると、マリナーズのジェリー・ディポートがやりやがったなというディールに思えます。ルイス・カスティーヨの支払いが2027年も含めて$30M超えだったのを、セランソニー・ドミンゲスの$15Mを受け入れたとしても半分に減額。しかもリリーフを強化した上で余っていた先発を整理できたのですから。
逆にホワイトソックスはルイス・カスティーヨが機能するかちょっと心配でもあります。
お読みいただき、ありがとうございました。

コメント