改革に動いたエンゼルスは果たして・・・
2014年のALDSでの敗退を最後にプレーオフに進出していないロサンゼルス・エンゼルスは今季もその夢が絶たれるのは決定的で、これで2015年から12年連続でプレーオフ進出を逃すことになりそうです。これはMLBでワーストの記録。そんなエンゼルスが現地2026年6月26日に驚きの発表を行いました。
BO(Baseball Operation)のトップであるGMのペリー・ミネイジアン(Perry Minasian)を解雇したと発表。
そして空いたGMのポジションには長年カージナルスのPOBO(President of Baseball Operations)を務めてきたジョン・モゼリアック(John Mozeliak)をインテリムGM(暫定GM)として招聘したということです。
なお、モゼリアックはGMへの本格的な就任は検討しておらず、現時点では新しいGMが決まるまでの間、本当に暫定的で年内いっぱいまで全うして終わりそうです。
モゼリアックは”Baseball Operations consultant”
暫定GMに起用された元カージナルスのPOBOのジョン・モゼリアックの正式なタイトルは”Baseball Operations consultant”(BOのコンサルタント)。当面はロスターの日常的なメンテナンスを引き継ぎ、並行して「BO(Baseball Operations)の精査」および「新GM選定に向けた組織の支援」にあたるとのことです。
オーナーのアルテ・モレノとしてはこのままモゼリアックにBOを任せたいという思いはあったようですが、どうもモゼリアックはそこまで深入りしたくなかった模様。
特に「BO(Baseball Operations)の精査」はぜひともやってもらいたいところです。
2021年にGMに就いたミネイジアン
さて、ペリー・ミネイジアンはビリー・エプラー(Billy Eppler)元GMが2020年9月28日に解雇されてから約1か月半後の現地2020年11月12日に新GMとして正式に採用されました。

ペリー・ミネイジアンはブレーブスのアシスタントGMを務め、とにかく野球が好きということで、かなり歓迎されたGMではありました。
そんなペリー・ミネイジアンの就任1年目の2021年は大谷選手が二刀流として大ブレークした年でもありました。2020年からエンゼルスの監督に就任していたジョー・マッドンが大谷選手のメジャーでの二刀流の可能性を具現化させました。ちなみに、ジョー・マッドンを監督に招聘したのはビリー・エプラーの手腕です。
大谷選手が注目され、ビジネス的にも大成功を収めたエンゼルスですが、この年は77勝85敗でALウエスト4位。
ジョー・マッドンの解任
2022年、エンゼルスは大谷選手がチームを引っ張るも、トラウト、レンドンが不調で、その圧倒的な戦力をごくわずかしか発揮出来ず、5月終わりから6月初めにかけて12連敗を記録。
時を同じくして、ナ・リーグ東地区ではフィリーズが2022年5月後半に4勝12敗を記録し、大苦戦。そんなフィリーズは監督のジョー・ジラルディを2022年6月3日に解任。ロブ・トムソンを暫定監督に起用。これが大当たりで監督交代後のフィリーズは息を吹き返して連勝街道へ。

そしてエンゼルスはこの12連敗の終盤にちょうどインターリーグでフィリーズと対戦し、息を吹き替えしたフィリーズを目の当たりにしていたのです(スウィープされました)。

それに感化されたのか、エンゼルスはあろうことか、ジョー・マッドンを解任。フィル・ネヴィンを暫定監督に起用したのでした。今、西武ライオンズにいるタイラー・ネヴィンのお父さんですね。
しかし、結果は73勝89敗でALウエスト3位で前年と変わらず、借金ありでフィニッシュです。
オーナーの現場介入
この決断が悪手だったのは誰が見ても明らかで、監督の采配がボトルネックだったフィリーズは監督交代により本来の力を取り戻したという状況だったのに対し、エンゼルスは監督が代わってもトラウト、レンドンの稼働が約束されたわけではなく、潜在した戦力が最大化されることはないのはわかっていたのです。
もっともこのマッドン解任は中間色であるGM一人の決断によるものではなく、おそらくは権力を持つオーナーのアルテ・モレノの意向。
このオーナーの現場介入は度々エンゼルスに災いをもたらしています。
ミネイジアンはセイバーに頼り過ぎ
とは言え、マッドン解任の際にミネイジアンの問題も漏れ聞こえてきました。
彼は当初、野球に詳しい、あるいは野球が好きということでしたが、実は蓋を空けてみると単なるセイバーオタクだったことも判明。
マッドンが現場で苦しんでいる時に、投手の回転数など手段であるセイバーの数字をよくすることに歓喜し、野球全体を俯瞰して見ることがなく、ますますマッドンは追い詰められて行ったのでした。
モゼリアックに期待したいのは果たしてミネイジアンがBOを俯瞰的に見ていたかどうか?という点。おそらくNOであったでしょう。
大谷、トラウトでプレーオフ進出無し
そして2023年、大きな転機が訪れます。
大谷選手がFA前のファイナル・イヤーでもあったこの年、エンゼルスは大谷選手を引き止めるためにプレーオフ進出を目指すようにロスターを整えました。これもオーナーの意向でもあったでしょう。
シーズン前にはクローザーにカルロス・エステベスを獲得し、先発ではタイラー・アンダーソンを獲得し、野手ではジオ・ウルシェラ、ハンター・レンフローなども獲得。

そしてトレード・デッドラインではわずかに可能性のポストシーズン進出にかけるようにCJ・クロン、ルーカス・ジオリト、レイナルド・ロペスなどを獲得。攻勢に出ました。

しかし、勝負の8月に8勝19敗と大惨敗。月末にはルーカス・ジオリト、レイナルド・ロペスらをウェーバーにかけ、贅沢税の基準値を超えないように調整するのが精一杯でした。
ミネイジアンの仕事としては、この時の月末の数日でよくサラリー調整をやってのけたなとは思います。逆に言うとミネイジアンのGMの仕事として目立ったのはこの時の処理能力くらいしか筆者は知りません。

そして大谷、トラウトの揃っている時代に1度もポストシーズンに進出出来なかったというのが、GMの仕事としては痛いところとなってしまいました。
そして2023年終了後、大谷選手はドジャースに移籍。この時、まだ大谷選手はエンゼルスに対し、オープンであったとも言われていますが、もはや手放す選択しか考えていなかった模様です。
育成も今ひとつ
なかなか思い切ったリビルドも取れなかったエンゼルスはドラフトで有望な若手を獲得することで未来へのアプローチを取ろうとしましたが、これも結果は今ひとつ。
もっとも良い成果を上げたのは1Bのノーラン・シャニュアル、SSのザック・ネトーの台頭かと。ネトーは2022年、シャニュアルは2023年のドラフトです。エプラー時代の2020年ドラフトで獲得したリード・デトマーズも台頭したうちの1人です。
2024年全体8位のクリスチャン・ムーアは2025年にデビューしましたが、打率が1割台と低迷。豪速球のベン・ジョイスは案の定、怪我で離脱中です。
そして伸びそうなプロスペクトは戦力補強のトレードで出してしまっていますから、優勝していないのにファームシステムも枯渇しています。
オールド・スクール投入でも変わらず
あまりにも野球が粗いエンゼルスは2024年にオールド・スクールのロン・ワシントンを監督に招き、野球をよくしようと試みましたが、これも機能せず。ロン・ワシントンは健康上の理由で離脱する有様でした。ベンチではレイ・モンゴメリーが暫定監督として半シーズン指揮を執りました。ここでミネイジアンがどこまで現場をサポートしたか、これもモゼリアックによって明かしてもらいたいところです。
オーナー交代の時期では?
エンゼルスのこの苦戦の元凶はオーナーにあるのではないでしょうか?とにかく、事情をどこまで知ってか知らずか、現場介入してこれが尽く的を外していて、しかも致命的なものが多いのです。

そもそもはピークを完全に過ぎたアルバート・プホルズをFAで長期でサインしたのもモレノの意向であることは間違いなく、見誤りの最たるものは、アンソニー・レンドンです。レンドンはもはや稼働していないのも同然でした。レンドンで記憶に残っているのは野手がマウンドに上がったときに左打席でHRを放ったことくらいでしょうか。レンドンもモレノの意向が入っていたことは間違いないです。
そしてマイク・トラウトとの期間の長さはどうだったか?当然、この一大決済はオーナーの意向が反映されていると見て間違いないところです。トラウトもこの大型契約のせいで移籍のチャンスが摘まれています。

野球の質を変えないことには上位はない
エンゼルスの問題は守備があまりにも酷いことなどフィールド上の問題は多数。そしてファームシステムが枯渇している点、さらに直近ではリード・デトマーズなど、他クラブに行けばサイ・ヤング賞上位に食い込めそうな逸材がFAを迎える直前にある点などが挙げられます。
次のGMが果たしてこの難問をクリアーできるのか?
もはやクラブ売却しかないように思います。ただし、それで問題が解決するわけではありません。売却して現場にとって良心的な姿勢を持つ大資本家がオーナーになり、尚且つ編成に天才を充てたとしても、しぼんでいるケースもあります・・・メッツのように。チームのカルチャーが変われば良いですね。
お読みいただき、ありがとうございました。

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