ツインズ、大健闘中
現地2026年7月30日、今季のALセントラルはシーズン前の予想ではタイガースがかなり評判が良かったです。タリク・スクーバルの調停ファイナル・イヤーという点でも注目されていましたが、戦力も整い、機は熟したと見る向きが多かったです。筆者もそのような見方をしておりました。
また、ホセ・ラミレスがいる限りはいい戦いをキープすることが出来るガーディアンズは、飛び抜けた力はないものの、盤石な投手陣で安定した戦いを披露。ALセントラルはもはやこの2強で争うのかと思われました。そして、いざシーズンが始まると、やはりガーディアンズが力を発揮して5月まではほとんど首位をキープ。
ところが、ケイオス(大混乱)をもたらしたのはホワイトソックスで、村上選手の加入効果もあり、ミゲル・バルガスなど既存戦力も力を発揮。5月半ばから台頭してきて、オールスター前には首位を奪取。
そんな中、ミネソタ・ツインズは開幕前の下馬評ではかなり評価が低く、それもその筈でローテーションの柱であるパブロ・ロペスを肘の手術で失い、オフに大きな先発の補強もなく、ジョー・ライアンくらいしか計算出来る柱がいない状況に。また、打撃ではロイス・ルイスが相変わらず怪我と戦うことが予想され、バイロン・バクストンもフルシーズンで稼働したことがないことから、今季はかなりの苦戦が予想されておりました。


ところが、そのツインズが粘り強い戦いを繰り広げ、現地2026年7月30日時点で55勝55敗で勝率5割をマーク。2位のガーディアンズとは1.0ゲーム差で、首位ホワイトソックスともたった3.0ゲーム差。さらにワイルドカード争いでは3枠目がすぐそこという状況に。
ローテーションでは元レイズのタジ・ブラッドリー・Jr,が9勝4敗、ERA 3.65、ベイリー・オバーが7勝3敗、ERA 4.45と頑張っております。
30日には漫画のような展開で勝利

そんなツインズは特に勝率5割に戻した現地2026年7月30日のロイヤルズ戦は特に素晴らしく、この日、打線はロイヤルズ先発のノア・キャメロンに8回で1ヒッターと、完璧に抑えられ、あわやノーノーの危機に瀕していました。ところが、ルーカス・エルセグに代わった9回裏、ドラマを起こします。
2アウトまで追い込まれながらも、死球をきっかけに満塁のチャンスを作り、慌てたロイヤルズは急遽、マット・ストラムにスイッチ。ここでバッターはコディー・クレメンス。一発逆転サヨナラのまさかの場面でしたが、この好機になんとクレメンスが劇的なサヨナラ・グランドスラムを放ったではないですか!ツインズはこの神がかった展開をお祭り騒ぎで祝いました。
こういう奇跡的なゲームをしたクラブは乗っていく傾向にあります。
ツインズGMのジェレミー・ゾルは現地28日にはフロントがこのトレード・デッドラインで「買い手」となる準備を進めていると語っていた言葉通り、この日、プレーオフ・プッシュが出来るリリーバーを獲得。
特に問題のあったブルペン補強に着手し、メッツから左腕のA.J. ミンターをトレードで獲得したのでした。
トレード概要
今回、成立したトレードの概要を書いておきます。
ツインズGet
- A.J.ミンター(A.J. Minter/32) LHP 2026年9月2日で33歳に
メッツGet
- ビリー・アミック(Billy Amick/23)3B, 1B| B/T: R/R
- ブルーイン・アグバヤニ(Bruin Agbayani/19)SS, 2B, 3B | B/T: L/R
このディールによりツインズは肘の手術によって今季絶望となった右腕のコール・サンズを15 Days ILから60 ILへ移し、40manロスターに空きを作りました。
また、A.J.ミンターは2025年1月にメッツと2年/$22M (2025-26)でサインしていましたが、今季のサラリー$11Mのうち、残債の$3.37Mをツインズがそのまま引き継くことに(通常のトレードでの契約の履行)。なお、ミンターは2026年はプレーヤー・オプションでしたが、それを行使してメッツに残っておりました。ミンターは今季終了後にFAとなります。
ブルペン強化は優先事項
ツインズのリリーバーのシーズンERAは4.92でMLB23位と下から数えた方が早い状況で、SO9は8.25でMLB21位。BB9は4.67でMLBワースト2。ワーストはレッズで5.11。7月に入って失点はある程度防いでいるものの、依然として奪三振が少なく、与四球は多いという傾向。
その点でA.J.ミンターはゾーンを積極的に攻める投手であり、今シーズンは23試合で23.0イニングを投げて、与四球はわずか2つ、死球は1つとまとまっています。
モデルチェンジしているミンター
今のA.J.ミンターにとってゾーンに投げ込むことは生命線でもありますから、この高品質さは今後もなんとかキープしていくことが期待されています。
かつては空振りを大量に奪える強いボールを持っていたミンターですが、2025年5月に広背筋の手術を受けてシーズンを終えて以来、その球威は完全には戻っていません。
手術からの復帰に丸1年を要しミンターは2026年シーズンの初登板は5月下旬までずれ込むこととなりました。かつて30%を超えていたミンターの2026年のSOレートは21.7%。Whiffレートは10.9%でいずれも彼の中ではキャリア最低の数字となっており、リーグ平均をわずかに下回っています。
4シームのアベレージは93mphまで低下しており、これは2025シーズンから約1mph落ちているだけでなく、キャリア初期に見せていた96〜97mphと比べると明らかな低下です(下記は2022年の一番早かった頃のミンター)。
打者は、その威力が落ちた4シームを痛打していますが、これに対しミンターは、80mph台後半のカットボールを多用する投球スタイルへとシフトし、その威力の低下した4シームをカバーする投球を披露しています。
今季のERAは2.35で、SIERAは3.38。SIERAとはSkill-Interactive Earned Run Averageの略で守備力や運の要素を排除し、三振・四球・打球の質(ゴロやフライ)を総合的に評価する防御率のこと。ERAの数字を額面通りに評価するほどでもないですが、ベロシティーが落ちている中でそのスキルでしっかりカバーしようという工夫と努力が見られる数字です。
ツインズのブルペン
今シーズンのツインズの左腕リリーフの主力となっているのはコーディ・ファンダーバークとテイラー・ロジャース。ファンダーバークのERAは3.52ですが、30.2イニングを投げてSOは20でBBも20。一方、実績のあるテイラー・ロジャースのERAは5.00をわずかに上回り、SOレートは自己最低の19%。
これまでデレク・シェルトン監督は、ブルペンの運用として左腕のコーディ・ファンダーバーク、テイラー・ロジャースそして7月中旬のトレードで獲得した右腕のトミー・ナンスの3人に加え、ルーキー右腕のアンドリュー・モリスや、5月初旬の加入以来好投を続けている右腕のヨエンドリス・ゴメスで回してきました。2025年にクローザーのヨアン・ドゥランをフィリーズにトレードして最後を任せられる右腕も必要とされていますが、今回のミンターの補強は絶対的守護神という立場ではありませんが、ゲーム終盤に大きな力を発揮することになるでしょう。
メッツは少しは負担軽減
大投資がいずれも失敗に終わっているメッツ。天才、デービッド・スターンズを起用したとしても、今季は散々でファンからもスターンズのチカラを疑う声が上がるほど。
そんなメッツのぜいたく税上のペイロールは現時点で$374M超え。今季の基準値は$244Mですから、$130Mを超過しているという状況。今回のミンターのディールでわずかながら課税価格を下げることは出来ております。
今後、フレディ・ペラルタ、クレイ・ホームズ、ブルックス・レイリー、ルイス・ロバート・Jr.といった選手たちが出発見込みですから、さらなる削減も見込まれます。
メッツが獲得したプロスペクト
ビリー・アミック
ビリー・アミックは2024年のツインズの2巡目指名の内野手で全体60位指名。名門テネシー大学の出身。2025年はルーキー・リーグからスタートしてハイAで過ごし、ハイAでは54試合で.310/.418/ .455、二塁打15をマーク。
2026年はダブルでシーズンを過ごしており、83試合で.217/.338/.482と前年より数字を落としているものの、その代わり長打力がアップ。すでに23HRを放っています。移籍後はメッツのトップ30には入っていませんが、実戦向きの選手でもあります。
ブルーイン・アグバヤニ(父は元メッツ)
ブルーイン・アグバヤニ(Bruin Agbayani)はハワイ出身の19歳のSS。
彼は1998年から2001年までメッツの所属してOF、ベニー・アグバヤニの息子です。2026年のドラフトでツインズから6巡目で指名されてプロ入り。まだマイナーでの実績は事実上皆無であり、純粋に将来性を期待して獲得された選手なのですが、肩の怪我のため5月中旬から戦列を離れています。
彼ら2人がメッツにとって宝くじになるでしょうか!?
ツインズ、メッツともに動きが気になりますね。
お読みいただき、ありがとうございました。

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