レッドソックス、漫画のような展開で勝利
現地2026年8月6日のフェンウェイ・パークで行われたホワイトソックス戦のシリーズ・ファイナルは凄まじいゲームとなりました。ボックス・スコアはこんな感じ。
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | R | H | E | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
![]() | 0 | 0 | 4 | 1 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 1 | 1 | 0 | 11 | 13 | 1 |
![]() | 0 | 0 | 2 | 3 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 2 | 1 | 1 | 1 | 12 | 16 | 2 |
「信じられない」という一言では語り尽くせないほどの執念。
まさに「レジリエンス」。粘り強い戦いで8連勝を飾りました。スコア12-11の激闘に決着をつけたのは延長13回、1アウトからケイレブ・ダービンが放ったセンター前へのタイムリーでした。この一打で、二塁走者(タイブレークのゴーストランナー)のニック・ソガードがヘッドスライディングでホームに生還し、歓喜の輪が広がる劇的な勝利となりました。
4時間23分に及ぶマラソンゲームでした。
ルイス・カスティーヨの移籍後初登板
このゲームの両クラブの先発はホワイトソックスがルイス・カスティーヨ、レッドソックスがレンジャー・スアレス。
ルイス・カスティーヨは今トレード・デッドラインでセランソニー・ドミンゲスとのトレードでマリナーズから移籍。今季は今ひとつの出来ですが、環境も変わることで復調するのはよくあること。

この日も立ち上がりは非常に良かったです。ファストボールに遅れる打者が続出。そしてシンカーですね。マダックスが投じるような左打者へのバックドアの軌道が素晴らしかったです。吉田選手もそれで三振を奪われました。
先制したのはホワイトソックスで2回表に四球のブレイデン・モンゴメリー(元BOSのプロスペクト)を1塁に置いて、チェイス・マイドロス(元BOS)が2ランHRを放って2点を先制。ギャレット・クロシェのトレードで移籍した2人が活躍して先制しました。その後もコルソン・モンゴメリーのタイムリーが出てホワイトソックスが3回表に4得点。試合を優位に進めます。
5回追いついたレッドソックス
(1)2イニングをかけて5点をもぎ取り、同点に
レンジャー・スアレスがピリッとしない中、4点を先制されたレッドソックスは3回裏に四球をきっかけにコナー・ウォンがLFへ2ランHRを放ち、追い上げ開始。
レッドソックスはレンジャー・スアレスを3回で諦め、4回表はザック・ワイザートを投入。しかし、サム・アントナッチにタイムリー・ダブルを打たれて1失点。2-5とリードを拡げられてしまいます。
ところが直後の4回裏、1アウトからケイレブ・ダービンと吉田選手の連打でチャンスを作ったレッドソックスはアンドリュー・モナスレリオとアンソニー・シーグラーの2本のタイムリー・ダブルで3得点。2イニングをかけて5-5の同点に追いつきます。
(2)9回裏2アウトでW・アブレイユが同点タイムリー
5回表、マウンドに上がったジャスティン・スレイトゥンがやってしまいます。代わりなばに2連続シングルでピンチを迎えたスレイトゥンは2アウトまで奪うも、2アウト1、3塁でブレイデン・モンゴメリーが放ったピッチャー前のゴロを1塁へ悪送球。これで1塁ランナーまでも生還して、5-7と2点の勝ち越しを許します。
追いついたところをミスで離されるという嫌なパターンの展開です。
吉田がタイムリー・ダブル(6回裏)
6回表はタイソン・ゲレーロが三者凡退に抑えてリズムを作ると、6回裏、レッドソックスはジョーダン・ヒックス(元BOS)からケイレブ・ダービンが2塁打を放つと、吉田選手がグリーン・モンスター直撃の2塁打を放ち、1点を返します。スコアは6-7。この後はワイルドピッチもあったのですが、1点止まり。
ジョーイ・バートが死球で離脱へ(7回表)
7回表、レッドソックスはデッドラインで獲得したエリック・ミラーを投入。スコアレスで抑えたのですが、2アウト後に打席を迎えたジョーイ・バートに死球。
ジョーイ・バートは今デッドラインでホワイトソックスがブレーブスから獲得した捕手。試合後、ジョーイ・バートは左手第5中手骨骨折(小指から手首にかけての骨の骨折)が判明。ILとなりました。レッドソックスもナショナルズから獲得したカーティス・ミードが死球を受けて1日で離脱となり、トレード効果を消されてしまいましたが、ホワイトソックスに同じ事態を引き起こしてしまい、これは気の毒なことになりました。
レッドソックスは7回、8回裏は攻めきれず。9回表はジョバンニ・モランが無失点投球。
ゲームは7-6でホワイトソックスが1点をリードして9回裏へ。ホワイトソックスのマウンドは5番手のワスカー・ブラゾバン。レッドソックスは先頭のコナー・ウォンがLFへ2塁打を放ってチャンスメイク。ここで代走にイーライ・ホワイトが起用されます。
そしてつづくニック・ソガードが2026年の象徴の送りバントを敢行。確実にランナーを3塁へ。このチャンスにセダン・ラファエラを迎えますが、ここは三振で2アウト。いよいよ追い込まれたレッドソックス。バッターはウィリャー・アブレイユ。アブレイユは2-2後の低めのシンカーをうまくCFへ弾き返し、これでイーライ・ホワイトが生還してレッドソックスは土壇場で7-7の同点に追いつきます。
(3)10回裏、2点差を追いつく!
10回表、レッドソックスはクローザーのアロルディス・チャップマンを投入。先頭打者から1アウトを奪ったチャップマンでしたが、つづくマイドロスに2ストライクと追い込みながら、6球目のスプリットがベルト付近に行ったのをマイドロスに左中間スタンドに放り込まれるホームランを打たれます。ゴーストランナーがいたので2点の勝ち越しを許します。これは痛恨の1球となりました。ただし、チャップマンはこの後、打者2人を抑えて2時災害を防ぎます。
10回裏、ホワイトソックスのマウンドはトレバー・リチャーズ。レッドソックスは1アウトから吉田選手が歩いてゴーストランナーと併せて1、2塁のチャンス。吉田選手はここで交代。ジャーマイ・ジョーンズが同点のランナーとして代走に。
この後、レッドソックスはアンドリュー・マナステリオが2塁打を放ち、ゴーストランナーのウィリャー・アブレイユが生還して8-9の1点差に。そしてジャレン・デュランが申告敬遠で歩いき、1アウト満塁となり、アンソニー・シーグラーがCFへ犠牲フライを放ってジャーマイ・ジョーンズが生還。ついに9-9に。延長での2点差を追いつきました。ただ、この後は攻めきれずにサヨナラとはならず。
(4)11回裏、またも同点に
11回表、レッドソックスはギャレット・ウォットロックがワイルドピッチでゴースト・ランナーを3塁に進めさせた後、コルソン・モンゴメリーに犠牲フライを打たれて1点の勝ち越しを許し、9-10に。
11回裏、レッドソックスはノーアウト1、3塁でウィリャー・アブレイユがCFへ犠牲フライを放ち、ゴーストランナーのニック・ソガードが生還して10-10の同点に。ただ、この後、1アウト満塁のチャンスを攻めきれず。
(5)12回裏、J・ロジャースの犠牲フライでまたも同点
12回表、レッドソックスは9番手のブライアン・ベイヨーが登板。最後の投手です。そのベイヨーがそのベイヨーは1アウト1、3塁からサム・アントナッチに勝ち越しタイムリーを打たれてスコアは10-11。この後、1アウト1、2塁でマイドロスにもLFへのシングルを許すも、これをLFのジャレン・デュランがホームへのストライク送球を披露してアウトに。これは大きなプレーでした。この後、2アウト満塁とされますが、ベイヨーは凌ぎました。
12回裏、レッドソックスは荒れていたクリス・マーフィーからワイルドピッチで3塁へ進塁すると、ジェイク・ロジャースがCFへ大きな犠牲フライを放ってまたも同点に。スコアは11-11。
延長13回裏、ドロドロのダービンがCFへサヨナラ安打
延長13回表、レッドソックスはブライアン・ベイヨーが三者凡退に抑える好投を見せ、これでサヨナラのお膳立てが出来ました。
13回裏、エリック・フェディーから1アウト1、2塁としてバッターはケイレブ・ダービン。もうこの試合、守備にスライディングに何度もヘッドファーストを繰り返したダービンのユニフォームはもうドロドロ。試合の中での誠実さの象徴です。
そのダービンがCFへ弾きかえてゲーム・エンド。レッドソックスが12-11のスコアで5度も蘇った上、サヨナラ勝利をもぎ取ったのでした。この日こそ、負けゲームの典型というミスもでましたが、これを跳ね返したレッドソックス。負けたくないという執念のゲームでした。のちに2026年のMLB全体のベスト・ゲームの一つに数えられるほどの見どころ満載のゲームでした。

9シリーズ連続で勝ち越し
これでレッドソックスはドジャース、ホワイトソックスと2シリーズ連続のスウィープ達成となり、7月3日以降で26勝3敗、6月25日以降では31勝5敗に。シーズン中の29試合という期間で26勝3敗以上の成績を残したのは、過去70年間でわずか4チーム目であり、2017年に22連勝を達成したインディアンス以来の快挙です。
また、レッドソックスにとって、今シーズン3度目のサヨナラ勝ちに。前回は6月28日、ヤンキースとの4連戦をスウィープで締めくくった試合でした。
レッドソックスはこれで9シリーズ連続の勝ち越しを達成しました。これは1912年に記録した球団史上最長の11シリーズ連続勝ち越し以来の記録となります。
ベスト・エフォートがわかる
配球ミス、失投など野球をやる上での守備上のヒューマン・エラーは必ず起こり、攻撃においても「ここで1本」が出ない場面はいくらでもあり、たとえ大谷選手であってもチャンスで打てる確率は100%ではないわけです。
しかし、今のレッドソックスはたとえ、投手が失点しても全員ですぐに取り返しに行き、それが出来るという信念がチーム全体に浸透しています。今、恐ろしいほどの結果が出ているのは選手たちが集中して、結果はどうあれ、ベストエフォートを行っているため。野手も投手もミスの後のリカバリーの姿勢が素晴らしいのです。
あとはコーラ時代との大きな違いは打撃陣が湿った状態から復活したというのが一番大きいのですが、そうなった戦略上の重要なポイントはバントと走塁の重視。これで打者の負担がどれだけ軽くなっているかはスイングの質に顕れています。それに投手は先に先発陣が結果を出し、チャップマンにつなぐまでのリリーバーの質が問題でしたが、それも向上しました。リリーバーの質の向上は打撃陣に要因があると思っており、やるせない失投や余計な四球による失点も、二次災害さえ防げば打撃陣がなんとかしてくれるという信頼があることが大きいように思います。
お読みいただき、ありがとうございました。



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