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【MLB2024】「気になってしまう男」エンゼルスのジョー・アデル、ただいまHR10本!(現地5月27日時点)

ジョー・アデル、結果を出している最中

 現地2024年5月27日、エンゼルスはこの日は試合なし。

 注目したいのは、何かと話題のジョー・アデル(Jo Adell)についてです。大谷選手がいなくなり、けが人が相変わらず多発しているエンゼルスはジョー・アデルがゲームに出るようになっています。そのアデルは、現地2024年5月27日時点でHR 10。エンゼルスの打撃面に貢献している選手となっています。HR10はALでは15位タイにランクされる数字で、アドレー・ラッチマン(BAL)やマイク・トラウト(LAA)と同じ本数(トラウトは故障で欠場していますが)。

 まだセンセーショナルな活躍ではありませんが、ジョー・アデルに変化が出始めているようです。

いかにすごいプロスペクトだったか!

 ここからジョー・アデルがなぜ気になってしまうかの理由について触れてみたいと思います。気になっていない人も多いとは思いますが、私個人はやはり気になってしまいます。どうしてそうなってしまうかといえば、そもそもは強烈なトップ・プロスペクトであったこと。そしてデビュー後の期待の裏切り。さらにまだポテンシャルが計り知れないほど大きいところがあるからだと思っています。

 ジョー・アデルが2017年のアマチュアドラフトで、エンゼルスから1巡目指名(全体10位)の高順位で指名されてプロ入りしたのはご承知の通りです。

怪物だった高校時代

 ジョー・アデルのアマチュア時代ですが、これがすごかったのです。彼はケンタッキー州ルイビル(Louisville, KY)の出身で、地元のバラード高校に進学。卒業後はルイビル大学(University of Louisville)への進学が約束されていました。ところが、2017年のドラフトで全体10位の高順位で指名されたことでそのプランを変更。$4.3Mの契約金でエンゼルスとサインしました。

 高校卒の選手で全体10位はいかに将来が期待されていたかを物語る1つの指標になりますが、ジョー・アデルの高校時代はまさに怪物クラス。彼は卓越したオールラウンド・アスリートで、野手と投手の二刀流で活躍。メジャーの選手の高校時代はだいたい強打で投手もやっていますが、アデルも例に漏れずといったところです。

 打者としては高校3年時に全米ベストのAVG.562、25 HRをマーク。ケンタッキー州の高校年間MVPに選ばれました。この打撃成績ならプロスカウトも当然注目します。

プロ入り後は打者を選択

 上述の成績もあり、プロ入り後のアデルは打者に専念。ドラフト・イヤーの2017年にはルーキー・リーグで49試合に出場し、.325/.376/.532、二塁打11、三塁打 8、HR 5をマーク。プロとしてかなり順調なスタート切りました。

順調なマイナー時代

 2018年にはクラスAのバーリントン・ビーズで開幕を迎え、25試合で打率.326をマーク。開幕して2ヶ月足らずでクラスA+のインランド・エンパイア66ersへのスピード昇格を果たしました。さらに同年は2018年 フューチャーズ・ゲームに出場。当時、USA-Worldの図式で開催されていたプロスペクト達のオールスターにアメリカ代表で選出。リードオフとしてCFで先発出場を果たし、しかも交代前提のオールスターでフル出場。4打数1安打でUSAの勝利に貢献しました。

MLB Gameday: World Futures 6, U.S. Futures 10 Final Score (07/15/2018)
Follow MLB results with FREE box scores, pitch-by-pitch strikezone inf...

 フューチャーズ・ゲーム後の7月末にはAAに昇格。2018年はは3つのレベルをあわせて、.290/.355/.543、ダブル 32、HR 20、RBI 77、RUN 83をマーク。

 これにより、プロスペクトに注目しているMLBパイプラインではPre-2019のプロスペクト・ランクでアデルを14位にランク。エンゼルス傘下のプロスペクトでは1位でした。ちなみにアデルのプロスペクトとしての評価で最も高かったのはPre-2019で、Baseball Prospectusに至っては2位にランクするほど。

 大注目の2019年でしたが、スプリング・トレーニングで故障しました。ハムストリングス痛に加え、足首の捻挫で3月9日の時点で離脱。復帰には2ヶ月ほどを要しました。回復後はクラスA+からリハビリをスタートし、AAに再昇格。AAでは43試合で.308、HR 8をマーク。そして同年にはAAAへの昇格を果たし、AVG .265をマークし、結果を残しました。なお、アデルは2019年のフューチャーズ・ゲームにも出場。

 同年秋のAFLにも参加。2019年のAFLフォールスターズゲームにも選出されました。

プレミア12のUSA代表でHR

 さらにアデルは2019年シーズン後にWBSCプレミア12のUSA代表にも選出。33打数で.394/.429/.667、HR 3、RBI 5と大活躍し、もうこの時点ではMLBファンの間では有名な存在となりました。そしてこのプレミア12に出場していたのが鈴木誠也選手であり、A’sのブレント・ルッカーでもあります。今のMLBの中心選手ですね。この年はまさにトップレベルのタレントとの対戦経験を多く積んだシーズンでもあり、ますます未来に期待の膨らむシーズンとなりました。

Pre-2020に6位

 そしてMLBパイプラインのPre-2020のプロスペクトランキングでアデルは6位にランクされ、エンゼルスのプロスペクトとしてはマイク・トラウト以来の高順位となりました。

デビュー後、あれ??

 大きな期待を背負ったジョー・アデルがデビューしたのは2020年。アデルにとってこの年のデビューが正解だったかどうか。この年はコロナ・パンデミックがあり、レギュラーシーズンの開幕は7月終わり。約2ヶ月のシーズン期間となりました。調整に失敗する選手が続出する中、アデルは8月4日にデビュー。

 マリナーズ戦でRFとして先発出場。4-1で初ヒットも記録しました。初ヒットはしかも初打席でジャスティン・ダンからのシングルでした。

おかしい!?

 ただ、ファンも「ん?」となったのは同年8月9日のレンジャーズ戦。RFを守っていたジョー・アデルはニック・ソラックが放った打球を伸ばしたグラブからフェンス越えHRにしてしまいます。特に難しい当たりでもないのにHRアシストをしてしまった様に、ファンはざわつきました(下記の記事にそのシーンの動画があります)。

 この年はHRも放ったものの、38試合に出場してAVG.161、HR 3、RBI 7と、全体的には厳しいデビュー・イヤーとなったのでした。

 その後もアデルは、2021年の大半をマイナーで過ごし、メジャーでは35試合の出場のみでAVG .246、HR 4。2022年は88試合の出場で、AVG .224、HR 8と厳しいシーズンを過ごし、アウトの凡退の仕方や走塁、守備に渡って疑問符がつくプレーも目立ち、やがて「未完の大器」や、「競技を間違えた」などと呼ばれるようになりました。

 2023年はメジャーでは17試合の出場にとどまり、AVG .207、HR 3。もう「アデルだからこんなもん」という評価が蔓延するようになりました。

(YOUTUBE)Jo Adell’s 514-foot homer | 2023 Minor League Highlights

2024年

 2024年、正直に言ってもうジョー・アデルに期待する人はほぼいなくなったと言っても過言ではありません。エキサイティングなトップ・プロスペクトだった時代は遠い過去のことのように思われた開幕でした。

大谷選手を慕う

 しかし、彼はまだ25歳。メジャーでは20代半ばでのブレークは当たり前です。何より、彼はエンゼルス時代に大谷選手を慕い、また大谷選手からも大事にされた存在。

 上述の通り、今季、エンゼルスはその大谷選手が抜け、大幅に戦力ダウン。頼りのマイク・トラウトも怪我で離脱。また、アンソニー・レンドンはやはり怪我でIL入りとなり、かなり厳しい状態。

 そんな中、起用されたジョー・アデルは、好スタートを切りました。現地4月27日時点ではAVG .333をマーク。筆者はこの時点でアデルの記事を書こうかと思いましたが、少し様子見することに決めました。一時的なものである可能性があったからです。

 その後、アデルの打率は下がりはじめ、5月26日時点では、.221/.285/.485。やはり落ちてしまいました。しかし、この時点でHRは10。これはキャリアハイです。まだまだ確実性が乏しいアデルですが、今季は結果として過去最高の数字を残しつつあります。

 アデルはこれから大きく変貌する可能性もあり、やはり気になってしまいます。

アデルのおかげで新人の見方が変わる

 アデルに対し、ファンも期待を寄せすぎていた面もあったかもしれません。

 なぜなら、ブライス・ハーパーやマイク・トラウトなどトップ・プロスペクトなら当たり前に成功する事例も見てきたから。当然のように活躍するであろうと思われたアデルが苦戦してくれたおかげと言ったら、本人には失礼ですが、メジャーで打つことがいかに難しいのかをファンにも示してくれたようにも思います。

 あのボビー・ウィットも、フリオ・ロドリゲスもデビュー時はスライダーに大苦戦。まるで打てませんでした。アデルが苦戦したおかげで彼らのデビュー時の打撃を少し距離を持って観ることが出来ました。打てない時点でだめなのではなく、少し経験を積む時間が必要という視点です。「目安としてざっと50 PA」前後は観る方も我慢と言ったところでしょうか。

 VTRではかなり遠いボールでも振っていた彼ら。いざ、打席に立つと消えるとか、ストライクに見えるとか、それくらいの錯覚を起こすボールなんだと思います。打席に立つと全然違いますからね。

 ジョー・アデル、今季はどこまで成績を伸ばすことが出来るでしょうか?興味深いところです。

 お読みいただき、ありがとうございました。

コメント

  1. ようのすけ より:

    今回も素晴らしい記事をありがとうございます。
    毎度楽しみに読んでいます。
    おもしろい!

    • hirotee より:

      ようのすけ様
      お世話にになります。こんな嬉しいコメントを送っていただき、本当にありがとうございました。
      とても励みになります。また、よければご覧になってください。
      今後ともよろしくお願いいたします。

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