カブス、クローザーを獲得!
現地2025年1月26日、そもそもは今FA注目の3Bであるアレックス・ブレグマンの去就が大きな引き金にもなっているのですが、そこにクローザーを必要とするカブスが絡み、アストロズとの受給が一致。トレードが成立しました。
シカゴ・カブスはアストロズの元クローザー、ライアン・プレスリーをトレードで獲得することに。こちらはフィジカルチェックを経てオフィシャルとなる見込みです。
アストロズはこれで贅沢税のペイロールが大きく空き、ここ数日、再契約に動いていると言われているアレックス・ブレグマンとのディールが注目されます。
トレード概要
今回のトレードで動くのは2人。
カブスGet
- ライアン・プレスリー(Ryan Pressly/35)RHP
- $5.5MM (プレスリーの14M のサラリーの一部)
- トレード・アサインメント(税額の差額分)
10-5 ルール
10 and 5 rights もしくは 10 and 5 rule。メジャーリーグで10年間プレーし、過去5年連続で同じチームに在籍した選手には、10-5の権利が与えられ、選手は提案されたトレードに対して拒否権を行使できる
ライアン・プレスリーはMLSが11.039。しかも2018年から7シーズン連続でアストロズに所属。ゆえにこの10-5ルールの有資格者で行使できる権利があったのですが、これを撤回して今回のトレードに合意しています。
トレード・アサインメント(税額差額分)
またライアン・プレスリーは上記のノートレード条項を撤回する代わりに、シカゴのあるイリノイ州へ移ることへの追加の税負担をカバーする名目でトレード・アサインメント・ボーナスも取得します。金額は不明です。
詳細は避けますが、テキサス州は個人所得税を課さない7つの州の1つであり、かつ法人所得税も課しません。これは産業振興のため。ただし、州税や連邦税などの各種税金はもちろん賦課されます。ただ、イリノイ州などに比べて遥かに税金が安いのです。カリフォルニア州などはかなり高いと言われていますね。
やや疑問なのですが、その差額分の受取も課税価格に算入されないの?とは思います。ただ、そこはアストロズに負担してもらっても大丈夫な条項があるのかもしれませんね。詳細はわかりません。
ライアン・プレスリーの契約
ライアン・プレスリーの契約ですが、2022年4月に以下の内容で延長しておりました。
- 2 年/$30M (2023-24) + 2025 オプション
- 2023-24: $14M/年
- 2025 $14M ミューチュアル・オプション
このミューチュアル・オプションはべスティング・オプションと同じで、2024年に50試合に登板、もしくは2023年と2024年を併せて110試合に登板すれば2025年の権利確定だったのですが、ライアン・プレスリーは2024年に59試合、2023年に65試合に登板(2年で計124試合)していたので、この閾値をクリアー。今オフ、2025年の$14Mを更新していました。
アストロズGet
- フアン・ベイヨー(Juan Bello/21) RHP
- 表記はスペイン語読みを使っています。年齢は4月の誕生日で21歳に
タッカーを出して、ブレグマンを獲得に動く?
今オフ、両クラブはすでに大きなトレードを実施済み。
アストロズはカイル・タッカーを出して、カブスからアイザック・パレデスを獲得しているのです。そのほかにもヘイデン・ウェズネスキー、プロスペクトのキャム・スミスもおりました。キャム・スミスはMLBパイプラインの2025年の59位ですね。
カイル・タッカーもプレスリーと同様、2025年も支配下に置かれ、調停ファイナル・イヤーのサラリーは$16.5M(カブスと調停を避けて契約)。
ということはアストロズはすでに、タッカーの$16.5Mとプレスリーの$14Mを併せた$30.5Mを浮かせた訳です。
その一部を使い、DバックスからFAのクリスチャン・ウォーカーと3年/$60M (2025-27)でサイン。AAVは$20Mです。
贅沢税
アストロズは2024年の贅沢税上のペイロールは$264Mに到達。閾値は$237Mでしたから超過となっていました。
2025年の閾値は$241Mで、クラブ・フロントはどうしても2年連続超過は避けたいのです。
現時点ではクリスチャン・ウォーカーの分を入れておおよそ$236M。ただ、もう超過は待ったなしの状況でここで戦力キープなら肚を括るしかない状況。
超過を避けるために金のガチョウのような存在のカイル・タッカーを出したのに、アレックス・ブレグマンとの再契約で超過ですか?というのがこの状況。フロントの筋が揺れているように見えるのは確かです。こういうことが起こるのは選手側から何らか圧があったと見ていいのではと思います。選手は勝ちたいですから、タッカーを出した以上ブレグマンをという声が上がっているのではないかと思います。
プレスリーのポジション
ライアン・プレスリーは2022年のポストシーズンでは10試合11イニングに登板してERAが0.00。失点は自責点のつかない1点をフィリーズとのワールドシリーズで記録したのみ。本当に圧倒的でした。
しかし、アストロズは2024シーズンにジョシュ・ヘイダーを獲得。ライアン・プレスリーはもともとはセット・アップロールでしたが、ヘイダーの加入で再度セットアップ・ロールに。正直、これはあまりにも勿体ない感じがしました。
カブスは若いポーター・ホッジがクローザー候補でしたから、ベテランのクローザーが入り、ホッジをセットアップに持っていければより後ろは安定します。その意味で受給はマッチしたというところです。
プレスリーはルール5出身
ライアン・プレスリーのキャリアですが、もともとは2007年のアマチュア・ドラフトでレッドソックスの11巡目指名でプロ入り。
しかし、レッドソックスではダブルAが最高で2012年12月のルール5ドラフトでツインズから指名を受け、ツインズに移籍。
メジャー・デビューはそのツインズでの2013年。以来一貫してリリーフでの登板。ツインズでは6シーズンで281試合に登板し、ERAは3.75。
2018年7月末でツインズは負け越していたため、トレード・デッドラインでは売りに回り、そこでライアン・プレスリーをアストロズに放出。ツインズはアストロズから2人のプロスペクトを獲得。
アストロズに加入したプレスリーは2024年まで計7シーズン在籍。342試合で333.0イニングを投げてERA 2.81、SO% は30.9%、BB%は 6.16%をマーク。MLBで屈指のリリーバーとなったのでした。 上述のようにポストシーズンでも大活躍。ポストシーズンでは計45.1イニングを投げてERA 2.78。アストロズに大きく貢献したのでした。プレスリーは独特の大きなカーブのスピンレートがリーグトップ。とにかくスピンの効いたボールを投げます。
HOUのブルペン
さて、プレスリーのいなくなったアストロズですが、ブライアン・アブレイユ、テイラー・スコット、ケイレブ・オルト、ブライアン・キングがジョシュ・ヘイダーの前に投げることになりますが、プレスリー的なセットアップ・ロールとしてはブライアン・アブレイユになるでしょうか。
(HOU)フアン・ベイヨー
アストロズが獲得したフアン・ベイヨーは4月に21歳になる右腕。2022年のインターナショナルFA期間にカブスとサイン。
2024年はカブスのクラスAで登板し先発として22試合、89.2イニングを投げてERA 3.21、SO%は25.1%、BB%は7.7%。 四球は多いものの、ファストボールはかなり威力があるという評です。
そう言えば、2025年のアストロズの本拠地の名前はDAIKIN Parkでしたね!
暑いテキサスでエアコンは大活躍です。
お読みいただき、ありがとうございました。
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