編成と現場のトップの体制を2030年まで維持
現地2026年9月22日、ボストン・レッドソックスは、7月からの巻き返しとポストシーズン進出を果たしたことを受け、当面の間、編成トップと現場の指導体制を継続することになりました。
BO(Baseball Operations)のトップであるCBO(Chief Baseball Officer)のクレイグ・ブレスローとの契約における2029年、2030年のクラブ・オプションを行使したと発表。
また、暫定監督というポジションであったチャド・トレイシーについては「暫定」の肩書きを外し、2027年から2029年シーズンをカバーする3年契約を締結しました。
クレイグ・ブレスローの契約
クレイグ・ブレスローは現地2023年10月25日にレッドソックスの新CBOとして就任。

契約内容は以下の通りでした。
- 5年 (2024-28) + 2029, 2030 クラブオプション
今回更新されたのは、2029年と2030年のクラブオプションの部分。早くもこの時期に2030年までの延長を決定したのでした。
チャド・トレーシーの契約
そして「暫定」監督であったチャド・トレーシーが新たに契約した内容は以下の通り。
- 3 years (2027-29) + 2030 クラブオプション
チャド・トレーシーはタイトルから「暫定」が外れ、現地2026年9月22日から正式に監督に就任したことになります。
そして新たに上記の内容でサイン。2029年まで3年は維持され、2030年はクラブオプションです。
レッドソックスのCEOのサム・ケネディは、プレスリリースで声明を発表し、その中で「ここ数ヶ月で成し遂げたことは歴史的な快挙と言えます。このビジネスにおいて結果は極めて重要ですが、判断力、人間性、そして他者の能力を最大限に引き出す力も同様に重要です。クレイグとチャドはそのすべてを証明しており、チームを前進させるリーダーとして我々の信頼を勝ち得ています」と述べております。
78試合で46敗からプレーオフ進出を決めたのは史上初ですからね。

ブレスローの仕事
クレイグ・ブレスローはカブスでアシスタントGM、ピッチング担当などをしておりましたが、レッドソックスから引き抜かれる形でCBOに就任。それが上述の2023年10月25日。
ブレスローはイェール大学出身で選手時代は上原投手とともにレッドソックスの2013年のワールドシリーズ制覇をリリーフで経験したこともあります。
2026年の戦いぶりが目覚ましかったため、オーナー陣は前倒しでオプションを行使し、7年間チームを率いる機会を与えることになりました。
デバースをジャイアンツへ
現在46歳のブレスローは、チームの核となる部分に着手。その最たるものがラファエル・デバースのジャイアンツへのトレードです。
直近、ナ・リーグ中地区で仕事をしていたクレイグ・ブレスローは、やはり中地区の選手を獲得する傾向があった中、デバースのトレードには驚かされました。
デバースを出して獲得したのはジョーダン・ヒックス、カイル・ハリソン、OFのプロスペクトのジェームズ・ティブス3世、マイナー右腕のホセ・ベイヨー。
- ジョーダン・ヒックス(Jordan Hicks/28) RHP
- →2026年2月1日、ホワイトソックスへトレード
- カイル・ハリソン(Kyle Harrison/23) LHP
- →2025年終了後、ケイレブ・ダービンとのトレードでブルワーズへ
- ジェームズ・ティブス3世 (James Tibbs III/22) RF | B/T: L/L
- →2025年7月のトレード・デッドラインでダスティン・メイとのトレードでLADへ
しかし、ヒックス、ハリソン、ティブスの3名はいずれもトレード・デッドライン、2025年終了後のディールで出され、デバースを出して得た対価はマイナー右腕のホセ・ベイヨーだけに。むしろ、デバースのサラリーを削減するのが目的だったような形となりました。結構、割り切る人のようなので、最終的には方向転換してそうなったということかもしれません。
2026シーズン序盤、なかなか調子の上がらなかったケイレブ・ダービンに対し、カイル・ハリソンはブルワーズのローテーションの軸として大化けし、ブレスローは失敗したと思いました。ただ、ダービンはメモリアル・デーの週末以降、BA. 294、OBP .378、SLG.453、そして15連勝の際は大いに活躍しました。
ただ、ファンからすれば、そもそもアレックス・ブレグマンを獲得していなければ、ラファエル・デバースを失うことはなかったと思われ、結果的に2人とも失う羽目に。これは事実として良くなかった例です。

コーラを解任
レッドソックスは2026年シーズン、スタートに躓き、4月25日時点で10勝17敗となり、アレックス・コーラ監督を解任しました。後任として、それまで傘下の3Aチーム(ウースター)を率いていたチャド・トレイシーを暫定監督に据えたのですが、そのコーラ解任を提案したのもブレスローと言われています。

これには反発した選手も多く、交代後もレッドソックスは5月と6月の大部分を停滞した状態で過ごし、勝率5割を11ゲームも下回る苦境にありました。
ところが、夏近くになり、ようやく冷えた打線が機能し始め、7月には15連勝を達成し、そのポテンシャルを爆発させました。これもブレスローは失敗から反転、良い結果に結びつけたのでした。
クリス・セールをトレード
なお、デバースのディールの前にブレスローの痛いディールがあります。それがクリス・セールのトレードです。ブレスローは故障がちになったエースのクリス・セールを2023年12月30日にブレーブスへ放出し、かつてのトップ・プロスペクトであったボーン・グリッソムを獲得。
しかし、クリス・セールは移籍直後の2024シーズンにブレーブスのエースとして復活し、サイ・ヤング賞を受賞。そして2026年も2度目のサイ・ヤング賞候補として名前が上がっているほど活躍。ボーン・グリッソムはレッドソックスで何らインパクトを残せず、現在はエンゼルスに在籍。
また、2025年4月にブルワーズへ放出したクイーン・プリースターは、2026年はTOC(胸郭出口症候群)でシーズンを棒に振りましたが、2025年はブルワーズで大ブレイクし、ブルワーズのポストシーズン進出(およびレギュラーシーズン最高勝率の達成)に重要な役割を果たしました。
結構、出した選手が大活躍していたのが、ブレスローのディールだったのです。
成功例
成功と考えて良いディールも複数あり、ウィルソン・コントレラスは今季、キャリアハイで予想以上にHRを量産。ソニー・グレイのディールも大成功。ALのサイ・ヤング賞候補です。レンジャー・スアレス獲得も成功ですね。
また、マイナー契約したタイソン・ゲレーロは大化けし、ウェーバーで獲得して一旦はリリースしたものの、再契約したミッキー・ギャスパーはさらに大化けしたのでした。ヨハン・オビエドも怪我から復帰すれば大いに期待出来ます。そしてアドレー・ラッチマンですね。まだ打撃はかつの輝きを放っていませんが、徐々に復調。何より投手陣を上手にリードしている姿は素晴らしいです。
カーティス・ミードは移籍後すぐに死球を受けてまだ稼働できていないですが、復帰すれば面白い存在かもしれません。コナリー・アーリーを出した価値があったのかはそれからですね。
ぜいたく税のラインを突破している中、オーナーから予算の制約を受けていると思いますが、よく回しているとは思います。
チャド・トレーシーの業績
コーラ解任後、2ヶ月は辛抱が続いたファンとチャド・トレーシー。コーラ解任は失敗・・・というふうになりそうでした。
走塁とバント
しかし、チャド・トレーシーはゲーム内で選手を激しく動かします。ウィルソン・コントレラスは盗塁はしませんが、彼もベースランニング自体は非常に良いものがあり、全体としてアスリート力が高い選手が多いと判断したチャド・トレーシーはゲームでさかんに選手を走らせるようにしました。

また、バントを多用するのもチャド・トレーシーの采配の特徴。かなりスモール・ベースボールをしてきます。
夏になり冷え込んだバットが温まってきたタイミングと新しく活性化した野球がミックスして、レッドソックスは7月に21勝4敗という好成績を収め、続く8月も17勝12敗と勝ち越しに成功。9月に入ってからは9勝9敗とやや疲れ気味ではありますが、チャド・トレイシーは監督就任以来、74勝55敗という好成績をマーク。
これはエースのギャレット・クロシェを欠いた状態での成績です。クロシェはコーラ監督が解任された4月25日以来、IL入りしていました。
また、大砲として期待されたOFのローマン・アンソニーも故障で離脱した期間が長く、8月30日に復帰したばかり。ヘルニアで離脱していたトレバー・ストーリーも15連勝中はおりませんでした。
投打に柱を欠いても現在の成績を残したチャド・トレーシーは、予想を上回る結果を出し続けていると言っていいでしょう。
編成トップを安定させる
なお、レッドソックスはクレイグ・ブレスローが就任する前に、CBOを短期で解任するケースが繰り返され、新しい成り手を探すには障害になりそうな状況が続いておりました。
クレイグ・ブレスローも早期解任があり得そうな状況でしたが、今回のオプションの前倒し更新でなんとか落ち着きそうです。セオ・エプスタインがうまく動いてくれているのでしょうかね?ブレスローは気にいらないディールも多いですが、とにかくCBOとしては落ち着いて仕事をしてもらいたいとは思います。
長期で契約したとしても、何かあったら、解任されるのが編成トップの宿命ではありますが、頑張ってもらいたいところです。
お読みいただき、ありがとうございました。

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