2026 ロベルト・クレメンテ賞
現地2026年10月26日、MLBは、ニューヨーク・メッツのSS、フランシスコ・リンドーアに「ロベルト・クレメンテ賞」を授与すると発表しました。
ロベルト・クレメンテ賞は、地域社会への貢献、慈善活動、そしてフィールド内外での前向きな取り組みを通じて、野球界を代表する模範となった選手に毎年贈られるものです。賞の名前となっているロベルト・クレメンテはプエルトリコ出身でオールスターに15回選出された伝説的な選手。1972年の大晦日、ニカラグアの地震被災者へ救援物資を届けようと向かう途上、飛行機事故により落命しました。
この賞は1971年の設立当初は「コミッショナー賞」という名称でしたが、1973年にロベルト・クレメンテの偉大な心を讃え、「ロベルト・クレメンテ賞」となりました。毎年、30クラブから1名ずつノミネートされ、ファン投票および専門パネルによって受賞者が決定されます。
また、ロベルト・クレメンテに関しては、MLBでは毎年9月15日をロベルト・クレメンテ・デーとしています。4月15日のジャッキー・ロビンソン・デーでは全員が背番号42のユニフォームを着用しますが、ロベルト・クレメンテ・デーはパイレーツは偉大なOBを讃え、全員が背番号21を着用しますが、他のクラブは通常の番号というケースが多いです。21番のパッチは付けてはおります。

2025年はムーキー・ベッツ
過去8年の同賞の受賞者はご覧の通りです。2025年はムーキー・ベッツが受賞しました。
| Year | 受賞選手 | クラブ(受賞時) |
|---|---|---|
| 2018 | ヤディアー・モリーナ | カージナルス |
| 2019 | カルロス・カラスコ | インディアンス |
| 2020 | アダム・ウェインライト | カージナルス |
| 2021 | ネルソン・クルーズ | ツインズ / レイズ |
| 2022 | ジャスティン・ターナー | ドジャース |
| 2023 | アーロン・ジャッジ | ヤンキース |
| 2024 | サルバドール・ペレス | ロイヤルズ |
| 2025 | ムーキー・ベッツ | ドジャース |
| 2026 | フランシスコ・リンドーア | メッツ |
受賞したフランシスコ・リンドーアはプエルトリコ出身。同国の出身者で過去に受賞したのはエドガー・マルティネス(2004年)、カルロス・デルガド(2006年)、カルロス・ベルトラン(2013年)、ヤディアー・モリーナ(2018年)の4名。リンドーアは5人目の受賞者となります。
また、メッツの選手としては2016年のカーティス・グランダーソン以来の受賞です。
リンドーアの数々の慈善活動
フランシスコ・リンドーアが受賞するに至った主な慈善活動の詳細は以下の通りです。
教育・青少年育成への貢献
- 母校への巨額の寄付: 2020年以降、自身の母校であるフロリダ州のモントベルデ・アカデミーに$1M(約1億5000万円)以上を寄付し、最先端の科学技術ラボや運動場を備えた2階建ての中等部校舎「リンドーア・ホール(Lindor Hall)」を建設。
- 奨学金基金の設立: 経済的な理由で同校に通うのが困難な学生のために「フランシスコ・リンドーア奨学金基金」を設立し、財政支援とメンターシップを行っています。
- 「リンドーアズ・リーダーズ(Lindor’s Leaders)」プログラム: 2026年にニューバランス社と提携して立ち上げた、ニューヨーク・クイーンズ区のベイサイド高校(スポーツ医学プログラム)の生徒を対象とした1年間のリーダーシップ育成イニシアチブ。メンタルヘルス、コミュニケーション、チームワークに焦点を当て、リンドーア選手自身が直接生徒のメンターを務めています。
プエルトリコへの災害支援と地域復興
- ハリケーン被災地支援: 2017年のハリケーン「マリア」、2022年のハリケーン「フィオナ」がプエルトリコを襲った際、多額の資金を援助。
- スポーツ施設の修復とクリニック: 自身の出身地であるプエルトリコ、カグアス(Caguas)のスポーツ施設を修復し、地元の子供たちのために野球クリニックを開催。さらに、環境保全や復興のために複数の非営利団体と提携し、継続的な活動を行う。
ニューヨーク・クイーンズ区での地域奉仕
- 「リンドーア・スマイル・チューズデーズ(Lindor Smile Tuesdays)」: メッツの本拠地シティ・フィールドに地域の青少年団体を招待し、歯科健康、ウェルネス、自己肯定感の向上を目的とした教育体験やメンターシップを提供するプログラム(2026年で3シーズン目)を実施。
- 新学期バックパック配布: 自身が提携しているニューバランス社と協力し、クイーンズ区の何百人もの子供たちに毎年バックパックと必須の学用品を寄付しています。
医療支援・障がい者コミュニティへの貢献
- SEEN財団とのパートナーシップ: がんや身体的障がいを抱える子供たちとその家族を支援する「SEEN財団」と提携し、子供たちを球場に招待して特別な1日を過ごしてもらう活動を実施。
- 子ども病院への寄付: 2026年には「チルドレンズ・ミラクル・ネットワーク・ホスピタル」およびデイリークイーン(Dairy Queen)の「ミラクル・トリート・デー」と提携し、地域の小児病院のための重要な資金調達を実施。
- スペシャル・オリンピックスへの参加: スペシャル・オリンピックス・フロリダが主催する「クリニック・フォー・チャンピオンズ」に定期的に参加し、スポーツ・アクセシビリティの向上に寄与。スポーツ・アクセシビリティとは障がいの有無、年齢、身体的条件、言語などに関わらず、誰もが「する(競技する)」「観る(観戦する)」「支える(運営・情報に触れる)」といったスポーツの全領域に、同じようにアクセスし参加できる環境を整えることを言います。
2016年のリンドーア
2026年、ニューヨーク・メッツは74勝88敗でNLイースト最下位に沈みました。その成績はフランシコ・リンドーアの個人成績とも密接に連動していました。
リンドーアの成績とメッツの連動度合いは以下の点が挙げられます。
- 度重なる故障と4月の連敗
リンドーアは開幕前に有鈎骨(ゆうこうこつ:バットのグリップが当たるところ)を骨折し、その手術を受けたことで、スプリングトレーニングで十分な調整を行うことが出来ず、シーズンに突入。4月15日までのリンドーアは打率が1割台と大いに苦しみ、メッツも4月8月から21日まで12連敗を喫するなど大失速しました。
また、リンドーアは4月23日には左ふくらはぎの肉離れを発症。これが6月下旬まで長期離脱を余儀なくされました。前年までほぼ全試合に出場し、タフなところを見せていたものの、2026年は105試合の出場にとどまりました。大黒柱を欠いたメッツは打線と内野守備が完全に崩壊したと言っていいでしょう。
- 成績の大幅な低下(キャリアワースト級)
上述の通り、2026年は怪我で出鼻をくじかれたリンドーアは、故障の影響もあり、打撃・守備ともに精彩を欠きました。
打撃はシーズン通算で..225/.309/.423、OPS .733、HR 21、RBI 49、OPS .732と彼の高い基準からすると物足りない数字で終了。wRC+もメッツ移籍後ワーストに近い105。
守備面では、リンドーアは過去にゴールドグラブ賞を獲得してきた名手ですが、2026年は手首や足の怪我の影響からか、OAAが平均レベルまで低下し、試合を決定づける手痛いエラーも目立ちました。
また、リンドーアが不在だった分、相手チームのディフェンスの意識はフアン・ソトに集中。この状況でもはソトは.275/.393/.515、OPS .908、HR 27と立派な数字を上げるも、過去2年はHR 40本を超えていたので、本来の力を発揮するに至りませんでした。
せめてもう一人、核となる選手がいれば、メッツもここまで沈むことはなかったのですが、生え抜きのピート・アロンゾはFAでオリオールズに。
POBO(President of Baseball Operations)のデービッド・スターンズは、ブルワーズ時代は天才と呼ばれていましたが、今季は選手の相次ぐ怪我があったとは言え、編成もちょっと冴えがなかったです。
リンドーアは慈善活動を積極的に行っているので、応援するファンも多いです。来季の彼の活躍に期待したいですね。
お読みいただき、ありがとうございました。

コメント