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【MLBトレード2024】レッドソックスがクリス・セールをブレーブスにトレード!ボーン・グリッソムを獲得へ

2018 WSヒーローがブレーブスへ

 現地2023年12月30日、新CBO(Chief Baseball Operation)のクレイグ・ブレスローが大胆に動きましたね!2018年のWS制覇の時のヒーロー、クリス・セールをブレーブスにトレード。こちらは現時点では合意ですが、まもなくオフィシャルになる見込みです。

 2016年12月にホワイトソックスとのブロックバスター・トレードで、レッドソックスに移籍したクリス・セールはフェンウェイでの最初の2シーズン(2017-18)で見事なピッチングを披露。ALサイ・ヤング賞投票で2度トップ4に入り、2018年にはワールドシリーズ制覇に大きな役割を果たしました。以降、波乱に満ちたボストンでのキャリアに終止符を打つことになりました。なお、クリス・セールとの交換要員でホワイトソックスに移籍したのはヨアン・モンカダとマイケル・コペックです。

トレード概要

 その驚きのトレードはこちら。年齢は2024年の開幕時の満年齢です。

ブレーブスGet

  • クリス・セール(Chris Sale/35)LHP/SP
  • $17M キャッシュ

レッドソックスGet

  • ボーン・グリッソム(Vaughn Grissom/23) 2B or SS/右投げ右打ち

 人が動くのは1:1なのですが、レッドソックスはクリス・セールの2024年のサラリー$27.5Mのうち、$17Mをつけてブレーブスにトレード。

 ではブレーブスはいつまでクリス・セールをコントロール下に置けるか(あるいは大枚をはたく必要があるのか)?ということも含めてここでクリス・セールの契約について触れておきたいと思います。

クリス・セールの契約

 クリス・セールはデーブ・ドンブロウスキがCBOを務めていた時期の2019年3月23日に現行の契約に延長。内容は以下です。

 以下は長々とフルスペックで書いたので結論から行くと、ブレーブスの2024年の支払いは実質的に$0.5 Mのみ(+$1Mのトレード・ボーナスは払いはあると思う)

 なぜか?クリス・セールは毎年$10Mの繰り延べ払いがあるからです。それは後日、ブレーブスが支払うことになったとして今季のキャッシュは$0.5Mのみ。ただ、AAVは契約総額で行くので$25.6Mが贅沢税上のサラリーとして計上される見込みです。これはちょっと痛いかもしれません(もし計算が違ったらごめんなさい)。

 なお、2024年にクリス・セールが大活躍すれば2025年に$20Mのオプションも行使せざるを得ないべスティングが設定されていますが、その可能性はないとは言えませんが、そこそこ活躍したとしてもそこまでたどり着けるかどうか。以下、参考程度に見てください。

(クリス・セールの延長契約 / 2019年3月26日 by CBO D.D.)

  • 5 年/$145M (2020-24) + 2025 オプション
    • $30M x 3(2020-2022)、$27.5M x 2 (2023-2024)
    • 2025 : $20M クラブオプション
    • このうち2020-2024まで毎年$10Mずつ計$50Mは繰り延べ払い
      • 2035-2039に支払い
      • 繰り延べ払い分を現在価値に換算した後のAAVは $25.6M
      • もし、クラブが2025年の$20Mのクラブオプションを行使した場合もこのうちの$5Mは繰り延べ払いで、受け取りは2040年6月30日
    • 2025年のオプション保証条件:2024年にサイ・ヤング賞投票で10位以内に入り、なおかつ2024年シーズン終了時にILに入っていないこと
    • (参考)2021-24年のサラリーは、前シーズンにサイ・ヤング投票での順位に応じてMAX $2Mまで増額:受賞で$2M、2位または3位で$1.5M、4位または5位で$1M、6-10位で$0.5M。→実現せず
    • 2023-24年のサイ・ヤング投票に基づく2025年オプション増額:2023年または2024年の受賞で$2.5M、2位または3位で$1.5M、4位または5位で$1M、6-10位で$0.5M増額可
    • アウォード・ボーナス:
      • サイ・ヤング賞またはMVPに各$0.1M(どちらかの投票で2位なら$0.75M、3位なら$0.5M)。WS MVPで$0.1M。ASG、LCSのMVPで$0.05M。
    • 2022年シーズン終了後にオプトアウトあり→行使せず
    • トレード_ボーナス:トレードで$1M(移籍先が支払う)
    • ノートレード・プロテクション:
      • 2020年と2021年に3クラブとのトレードをブロック。
      • 2021年シーズン前半にMLB在籍10年に達した時点ですべてのトレードをブロックすることができる(=フル・ノートレード条項)。

 今回のトレード、あるいはブレーブスにこれから関連することに関しては太字にしています。

 クリス・ セールはフル・ノートレード条項を持っていましたが、今回のトレードでそれを放棄しました。

 なお、この延長契約はクリス・セールの度重なる怪我でほぼ機能せず。本人もフラストレーションが溜まったでしょう。それは後述。

背景

 レッドソックスは2023年は2Bが固定せず、バットも弱かったというのがその背景にありました。加えて96 RBIのジャスティン・ターナーが抜けた影響もあります。エンマニュエル・バルデス、パブロ・レイエスとそれなりの選手もおり、しかもニック・ヨーク、マーセロ・マイヤーらのトップ・プロスペクトもいる中、未知数ゆえに補強に踏み切ったかと。

 一方のブレーブスは、マックス・フリード、スペンサー・ストライダー、チャーリー・モートンに次ぐローテーションのNO.4-5を補強したいという背景があったと思います。

 2023年、クリス・セールの4シームの平均ベロシティーは93.9mphで、2022年の94.9mphには及ばないものの(2022年は怪我で登板数が少ない)、キャリア平均をわずかに上回っており、これがまだ十分な余力を残していることを示していることから獲得に至ったかと思われます。

 もし、ディラン・シーズ、シェーン・ビーバーを獲得するなら、プロスペクトの放出+今後のサラリーアップも視野に入れる必要もあることから、かなりお得な獲得とも言えるでしょう。

ここ数年のクリス・セール

こちらはWS制覇を成し遂げた翌年の2019年以降のクリス・セールの主な成績です。 

YearAgeWLERAGSIPBB9SO9
2019306114.4025147.12.313.3
2020
202132513.16942.22.511.0
202233013.1825.21.67.9
202334654.3020102.22.511.0

 クリス・セールは2020年3月にトミー・ジョン手術を実施。年齢的にも思い切った決断でした。これまでの疲労の蓄積が原因かと思われます。

 トミー・ジョンから復帰後は、良い傾向も見せることはあっても、かつての大エースの姿にはなかなか近づけませんでした。

 2022年には苦労して這い上がってきたものの、復帰戦でカムバッカーが小指を直接し、骨折。

 うまく行かない状況にトリプルAの施設を破壊したり、あるいは自転車に乗ろうとして失敗し、さらなる怪我を負ったりと絵に書いたような災難がふりかかりました。

 2023年も良い傾向を見せつつも、左肩炎症で離脱。

 8月11日に復帰後は、9先発で43.2 IPで1勝3敗、ERA 3.92。レッドソックスの6シーズンで46勝30敗、ERA 3.27。この数字のほとんどは2017年と2018年の成績です。

 なお、ピークはホワイトソックス時代の2012年からレッドソックスでの2018年の7シーズンになります。

YearAgeClubWLERAGSIPHR9BB9SO9ASGCYMVP
201223CHW1783.0529192.00.92.49.06
201324CHW11143.0730214.11.01.99.55
201425CHW1242.1726174.00.72.010.83
201526CHW13113.4131208.21.01.811.8419
201627CHW17103.3432226.21.11.89.3516
201728BOS1782.9032214.11.01.812.929
201829BOS1242.1127158.00.61.913.5422

【BOS】ボーン・グリッソムとは

 レッドソックスが獲得するボーン・グリッソムは、2001年1月5日生まれの23才(2024年開幕時)。2019年のブレーブスの11巡目指名。デビューは2022年で41試合に出場。156-41で、.291/.353/.440、HR 5、RBI 18をマーク。

 2023年は23試合の出場で、75-21、.280/.313/.347、HR 0、RBI 9。レッドソックスでは上述のように2Bでの起用となります。打率と出塁率の高さがに期待が持てます。

 ブレーブスでは3Bにオースティン・ライリー、2Bにオジー・アルビーズがいて、ダンスビー・スワンソンが抜けたSSを埋めることを期待されていましたが、元ブルワーズのSSのオーランド・アルシアにポジションを奪われた形となりました。OFでの起用も考えられましたが、ブレーブスは今オフにジャレッド・ケルニックをトレードで獲得したこともあり、ロナルド・アクーニャJr.、マイケル・ハリス2世がいる中、OFでの起用も難しくなりました。DHは捕手の2人のどちらかを起用することもあり、良い素材ながら出場機会が見えない状況だったこともレッドソックスと受給が一致することに。

 2018年に良い思いをさせてくれたクリス・セールにはありがとうを伝えるとともに、優勝を狙えるクラブでもう一花咲かせてもらいたい次第です。

 お読みいただき、ありがとうございました。 

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