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【MLB2021】カブスの編成トップ、セオ・エプスタインが任期を1年残し退団。その功績と後継者、次の行き先とは?

在籍9年、2016年にWS・チャンプ

 現地2020年11月17日、シカゴ・カブスから大きなニュースが発表されました。ベースボール・オペレーション社長で、いわゆる編成のトップにおり、他のクラブではGMとも呼ばれるポジションのセオ・エプスタイン氏が2020シーズンでカブスを去ることになりました。

Baseball Operation社長とGMの違い 

 ベースボール・オペレーションの社長とGMの違いは各クラブで担当の業務範囲が個別に決まっているので、一概には言えませんが、要は編成のトップのポジションのタイトルがベースボール・オペレーションの社長か、あるいはGMか、クラブによって異なっているという意味でお考えいただいていいと思います。カブス、レッドソックスなどはベースボール・オペレーション社長が編成トップですね。

 ベースボール・オペレーションの社長の方がGMより担当責任や担当業務の範囲は広いです。翌年の編成はもちろん、将来のビジョン、あるいは経営まで絡んでいます。もちろん、クラブによって違いはあります。

 よって、ベースボール・オペレーション社長のエプスタイン氏がカブスが2021年終了後にかかえている大きな課題を残して退団するとは驚きました。

後任はジェド・ホイヤー現GM

 エプスタインの退団により、カブスもGM探しとなるのか?とも思いましたが、後任は決まっていました。現GMのポジションのジェド・ホイヤー(Jed Hoyer)氏です。

(追記)契約期間が決定

 現地2020年11月23日、ジェド・ホイヤーGMの契約期間が決定。2021年から2025年までの5年間となりました。就任して早々に難しい問題に向き合います。

セオ・エプスタインは2度、呪いを解いた

 セオ・エプスタイン氏の経歴をあらためて記載したいと思います。1973年12月29日生まれの46才(現地2020年11月17日時点)。

 カブスに所属する前はレッドソックスでGM。では、要職に就く前はどこでキャリアを磨いていたかというとパドレスでした。

GM以前:パドレス

 フロントオフィスのスタートをパドレスで切ったしたエプスタインは、Communication、つまりPRの部署に所属してはいたものの、仕事はクラブのスカウティング・ダイレクターとセイバーメトリクスのアナリストとしての双方に従事。

 これが相当煙たがられていました。

 勘、主観、経験 vs セイバーメトリクスの対立ですね。メジャー経験のない若造に選手を見る目はないといったところだったのでしょう。もちろん、エプスタインも彼らを嫌っていたことは言うまでもありません。

勘と経験 vs セイバーメトリクス

 1998年のドラフト。今でこそBaseball Reference

やBaseball Americaなどアマチュア選手のスタッツ収集に事欠かない素晴らしいメディアがありますが、当時は打率さえ特定できない有様だったようです。それをクラブ側から整備していったのがエプスタイン。ドラフトのディシジョン・メイキングに必要な資料をインターンを使って各大学に統計を取るように依頼したのでした。

 これによってパドレスが1巡目にERA 5.50、SOよりBBが多い投手を指名することは避けられました。ちなみに1998年の1巡目指名は全体9位で、ショーン・バローズ(Sean Burroughs)。バローズは右投げ左打ちの3Bで、メジャー通算7年で463 安打、通算打率.278を残したバッターでした。2004年には年間156安打、打率.298を残しました。2012年がメジャーでのファイナル・イヤーでした。

 このようにそれまでの勘と経験が重視される時代から客観的なデータを重視して選手を評価する時代へ移管させたのがセオ・エプスタインです。大きな功績ですね。当時25才。

レッドソックスでMLB史上最年少GMに(2002-2011)

 パドレスでの主要な実績を買われ、セオ・エプスタインは2002年11月にレッドソックスのGMに就任。当時28才で最年少GMでした。それが実現したのは、元上司とレッドソックスのオーナーのジョン・ヘンリーとの関係もあり、その引き上げによって実現した面もあります。そういう後ろ盾がないとレッドソックスにおいてもセイバーメトリクスを導入できなかったでしょう。

1度目:2003-2005シーズン

 レッドソックスでは計2度、GMに就任したのですが、一度目は2003シーズンから2005シーズンまでの3年間。

2004年:「バンビーノの呪い」を解き、WSチャンプへ

 1度目の期間中の2004年、レッドソックスは1918年以来のワールドシリーズ制覇を実現。これに大きく貢献したのがエプスタインでした。

 エプスタインはトレードデッドラインで当時絶大な人気を誇ったノマー・ガルシアパーラをカブスにトレード。これは大きな批判を浴びました。しかし、あくまでもロジカルに徹します。当時、優勝を諦めかけていたところをこのTDLで大胆に動き、ドジャースからデーブ・ロバーツらを獲得するなど、これが後に効きました。

 そしてレギュラーシーズンは2位でフィニッシュしたものの、ワールドシリーズ制覇。見事にバンビーノの呪いを解いたのでした。

 エプスタインは任期を終えた後、一旦は現場を離れます。

ジェド・ホイヤーもGM経験

 今回エプスタインの後任でGMとなったジェド・ホイヤーはパドレス時代からの旧知の仲。エプスタインがレッドソックスのGMを退いた後、2005年−2006年の間、ベン・シェリントンとジェド・ホイヤーがレッドソックスのGMを務めました。

2度めの就任(2006-2011)

 2006年、ポストシーズン進出を逃したレッドソックスはGMを交代。再び、セオ・エプスタインに任せることに。

 就任翌年の2007年、再びワールドシリーズ・チャンプに。その後、2008年、2009年もポストシーズンに進出。

カブスでも呪いを解く(2012-2020)

 セオ・エプスタインは2012シーズンからカブスへ。当初の契約は2012年から2016年までの5年間。

 2016年、カブスはワールドシリーズ・チャンプに。108年ぶりの出来事にすべての関係者が喜びに浸りました。「ビリー・ゴートの呪い」を解いたのもエプスタインでした。 

 その功績もあり、カブスはエプスタインと5年の契約延長で合意。2017年から2021年までの契約でした。今回の辞任は任期を1年残しての決断に。

退団の理由

セオ・エプスタインの退団の理由は以下のコメントに込められているようです。

“The organization faces a number of decisions this winter that carry long-term consequences; those types of decisions are best made by someone who will be here for a long period rather than just one more year.

 「たった1年しかいない人間がこれから抱えるカブスの大きい課題にディシジョンを下す訳にはいかない。」

 要約するとこのような悩みがあったことが伺えます。

カブスの2021年オフ問題(2022FA問題)

 カブスは今後、2021シーズンが終了後、ハビアー・バイエス、クリス・ブライアント、カイル・シュワーバーがFA(2022年FA)。アンソニー・リッゾも今オフに2回目のクラブオプションを行使。2021年終了後にFAとなります(2022年FA)。

 もうこれは何年も前から懸念されてきた問題でした。オーナーのトム・リケッツもどのような判断を下すのか。

10年のスパンで見るエプスタイン

 エプスタインは10年先まで見据えて戦略を練りたいと考えるタイプ。近視眼的なつぎはぎでは対応したくないようです。よって、上記の2022年FAの問題も残り任期1年しかない状況ではしっかりと戦略を練られないと考えたのかもしれないですね。

エプスタインの今後

 エプスタインは2021年はGMのポジションは受けない考えのようです。ゆっくり考えたいのかもしれません。

 しかし、長期にわたってワールドシリーズ・チャンプから遠ざかっていた2つのクラブを就任早々にチャンプに押し上げた手腕を放っておくクラブはないでしょう。

 今のところ、噂ではこのような名前が上がっています。

  1. フィリーズ or メッツのGM
  2. 拡大の見込みのある新クラブのGM
  3. コミッショナー・オフィス

 頑なに2021シーズンの就任を断るのかどうか、ここは見ものですね。

 2020シーズン、カブスは 34勝26敗でNL中地区を制覇。しかし、ポストシーズンではワイルドカードシリーズでマーリンズにあっさりと敗れ、早期に敗退。

 新体制のもと、カブスがどのような補強を見せるのか、注目ですね。

 お読みいただき、ありがとうございました。

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