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【MLB2022】「珍しい!」ブレーブスとロイヤルズがドラフトピック権を含むトレードを成立させる

3人のプロスペクト&NO.35 ドラフトピック権

 現地2022年7月11日のことですが、ちょっと珍しいことが起きました。 

 アトランタ・ブレーブスとカンザスシティ・ロイヤルズの間でトレードが成立。ロイヤルズがブレーブスから3人のプロスペクトを獲得。ここまでは割と普通ですが、違うのはブレーブスが受け取った対価で、なんと来るオールスター・ウィークに開催される2022年ドラフトでロイヤルズがピックするはずであったNO.35のピック権を獲得したというトレードです。

 結果、3:1のプロスペクト同士のトレードではありますが、その1人がこれからプロに入ろうかというプロスペクトという点がなかなか興味深いですね。

トレード概要

 実際に選手が動きますので、それをまとめてみます。

ロイヤルズGet

  • ドリュー・ウォーターズ(Drew Waters/23才)OF/右投げ両打ち
  • アンドリュー・ホフマン(Andrew Hoffmann/22) RHP/SP
  • CJ・アレクサンダー(CJ Alexander/25)3B, 1B or LF/右投げ左打ち

ブレーブスGet

  • Competitive Balance ピック (全体順位35位)

コンペティティブ・バランス・ピックとは?

 通称コンプ・バランスは、収益が最も低い10のクラブと、最も市場の小さい10のクラブに与えられている指名権のこと。収益と市場の両方の基準に該当するクラブもあるため、毎年20クラブ未満となります(毎年少しずつ変わっています)。ドラフトは戦力均衡が目的であることを考えるとこの制度がある意味もなんとなくわかってくると思います。

 ラウンドAとラウンドBに別れ、ラウンドAは1巡目と2巡目の間、ラウンドBは2巡目と3巡目の間に設置されています。

例えば、2021年ドラフト

 例えば2021年のドラフト・ピックの順の記事をご参照ください。RoundAには6クラブ、ラウンドBには8クラブの指名権がありました。

コンプ・バランス・ピックはトレード可能!

 他のドラフト指名と異なり、コンペティティブ・バランスでのピックはトレードが可能です。ただし、コンプ・バランスに設定されたクラブのみがトレードでき、トレードは1回までとなります。今回のケースはロイヤルズがそれに該当。ブレーブスにトレードしたということです。

 コンペティティブ・バランス・ピックの根拠はCBA(Collective Bargaining Agreement:労使協定のこと)に記載されています。このオフにロックアウトが発生した要因でもありましたね。2012-16 で導入され、2017-21でアップデートされました。

2022年ドラフト

 今季のドラフト・オーダーはまた記事にします。

 2022年のコンペティティブ・バランス・ピックは以下のように設定されています。

ラウンドA(1巡目の後)

  1. (全体33位) オリオールズ
  2. (全体34位)Dバックス
  3. (全体35位)ロイヤルズ→ブレーブス
  4. パイレーツ
  5. ガーディアンズ
  6. ロッキーズ
  7. パドレス

 1巡目で30ピックが行われ、1巡目の直後にコンペンセーション・ピックが2つ行われます。コンペンセーション・ピックはFAで出て行かれたクラブの戦力補強を支援するもの。今季はトレバー・ストーリーのロッキーズと、ニック・カステヤーノスのレッズがそうです。これでNO.32。ロイヤルズの順位は35番目でした。それをブレーブスがGetしたということです。

 ちなみにブレーブスの1巡目の順位は20番目でした。

ラウンドB(2巡目の後)

  1. マーリンズ
  2. ツインズ
  3. アスレチックス
  4. レイズ
  5. タイガース
  6. ブルワーズ
  7. レッズ
  8. マリナーズ

ランジェリアス、パーチェイらオルソン獲得で手薄に

 ブレーブスがこのトレードに踏み切った理由の1つが、マット・オルソン獲得のトレードでかなりのトップ・プロスペクトを流出し、プロスペクトがやや手薄になってきた点があります。

 上記リンクにもありますが、ご覧の選手がアスレチックスへ行きました。

  1. ライアン・キュージック(Ryan Cusick/22)RHP: 2021年ドラフトのATL1巡目
  2. ジョーイ・エステス(Joey Estes/20) RHP: 2019ドラフトの16巡目
  3. シェイ・ランジェリアス(Shea Langeliers /24) C&LF/ RR: 2019ドラフトの1巡目
  4. クリスチャン・パーチェイ(Cristian Pache/23) CF/RR: B.AmericaのPre-2021では7位にランク 
    • 読みは、パチェ、パシェなどゆらぎがありますが、Baseball ReferenceではPronunciationを \PAH-chay\ と記載しているので、それに倣いました。

 ブレーブスは今季、マイケル・ハリス2世がセンセーショナルな活躍を見せています。プロスペクトが育っている印象が強いのですが、ハリスの世代のいいプロスペクトを喪失してしまった面もありました。ドラフトでのピックになるので、その次の世代を確保しようというところでもあります。

 また、ブレーブスは上述の通り、1巡目が20位。その次の指名はどれくらい後かというと、2巡目の57位まで待たなかったのです。それも今回のトレードに踏み切った要因の1つです。

ロイヤルズが獲得したプロスペクト達

 そこまでプロスペクトが欲しいのに今回、どうして3人も出した!というツッコミもあるかと思いますが、そこは成長が苦戦していたというのが正直なところでしょう。クラブが変わることで芽が出ることもあります。

ドリュー・ウォーターズ

 まずドリュー・ウォーターズですが、こちらは2017年の2巡目指名の選手。MLBパイプラインの2021年のトップ・プロスペクト100では35位にランクインされていた選手。しかし、2022年はランク外。

 しかし、ちょっと伸び悩んでおります。2019年は良かったのです。AAとAAAの2つのレベルを併せて、134試合で163安打をマーク。打率は.309。

 このままMLBデビューしそうだったのですが、2020年のコロナ・パンデミックでマイナーリーグがキャンセルとなったのが響きました。

 2021年はトリプルAで打率が.240。もともとHRが飛び抜けて多い選手ではないので、長距離でこの打率はちょっと厳しいかと。

 2022年も苦戦中。トリプルAでは打率が.246。ブレーブスのレベルの高さを考えると、やはりインパクトに欠けてしまいます。新天地でチャンスを。

アンドリュー・ホフマン

 アンドリュー・ホフマンは先発右腕で、22才。2021年ドラフトの12巡目指名。2022年はハイAに所属。80イニングでSO9は10.1。現時点で7勝2敗、ERA2.36。このまま伸びてくれればと思う投手です。

CJ・アレクサンダー

 CJ・アレクサンダーは1996年7月17日が誕生日で、26才になる内野手。右投げ左打ち。2018年ドラフトの20巡目指名の選手。2022年はダブルAの所属。打率.258、OBP .294、SLG .465、HR15。もともと打率はひくく、守備の人。ただし、2021年から長打力がついてきました。SLGもいい数字です。

 ロイヤルズでチャンスをつかめるか?というところです。

ロイヤルズのトレードの噂

 すでに噂になっているのがロイヤルズのOFの2人。アンドリュー・ベニンテンディとマイケル・A・ハリスの2人。ロイヤルズはこのトレード・デッドラインでは「売り」に入ることが明白。この二人、あるいはどちらかを出す可能性が非常に高いです。そうなると、ドリュー・ウォーターズもCJ・アレクサンダーもチャンスがあります。

 ここ2年ほど、噂が上がり続けているウィット・メリフィールドも出ることになるかもしれません。

 いずれにせよ、今回のロイヤルズのプロスペクト3名獲得は、若い戦力を積極的に起用しようという意図も感じられますね。

 お読みいただき、ありがとうございました。

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