サイ・ヤング賞候補同士の投げ合い
現地2026年8月27日、ドジャース@ブレーブスのシリーズ・ファイナルはサイ・ヤング賞候補同士の投げ合いの投げ合いとなりました。ドジャースが山本由伸投手、ブレーブスがクリス・セールです。
そう言えば、クリス・セールは前回登板もジェイコブ・ミズロウスキーとのマッチアップとなり、2試合連続でサイ・ヤング賞候補との投げ合いとなりました。

クリス・セールが神がかったような投球
この日は山本由伸投手の投球も素晴らしかったのですが、クリス・セールの快投を採り上げられずにはいられません。
クリス・セールのキャリア概要
今季で37歳のシーズンを迎えるクリス・セールのキャリアのピークは間違いなく2012年から2018年のホワイトソックス、レッドソックスに在籍していた23歳から29歳までの期間。この7シーズンで99勝59敗、ERA 2.91、SO 1,678をマーク。
- 2012 (White Sox): 17–8, 3.05 ERA, 192.0 IP, 192 SO, All-Star
- 2013 (White Sox): 11–14, 2.64 ERA, 214.1 IP, 226 SO, All-Star
- 2014 (White Sox): 12–4, 2.17 ERA, 174.0 IP, 208 SO, All-Star
- 2015 (White Sox): 13–11, 3.41 ERA, 208.2 IP, 274 SO (AL leader), All-Star
- 2016 (White Sox): 17–10, 3.34 ERA, 226.2 IP, 233 SO, All-Star
- 2017 (Red Sox): 17–8, 2.90 ERA, 214.1 IP, 308 SO (AL leader), All-Star
- 2018 (Red Sox): 12–4, 2.11 ERA, 158.0 IP, 237 SO, All-Star, World Series
2019年は故障の前触れのシーズンとなり、2020年にトミー・ジョン手術を行いました。31歳のシーズンです。

2021年に復帰したものの、それ以降は故障がちで2021年から2023年の3シーズンは計31試合、151.0 IPにとどまり、11勝7敗、ERA 3.93。ERAはまずまずだったものの、とにかく登板機会を削らざるを得ませんでした。


トレードが結果的に大成功
2023年12月にはブレーブスにトレード。 クリス・セールはレッドソックスと5年/$145M (2020-24) + 2025 $20M クラブオプションで延長契約していて、これには一部繰り延べ払いが入っていて、しかもサイ・ヤング賞受賞でアウォード・ボーナスも加算され、中身が非常に複雑なので、詳細は割愛させていただきますが、2024年は$27.5Mだったところをレッドソックスが約$17Mを負担。

ブレーブスはトレード・アサインメント・ボーナスの$1Mと残り$10Mほどの支払いでかなり負担は軽減されたものの、果たしてこのトレードはブレーブスにとってどこまで効果的か?懐疑的な見方が多かったです。つまり、クリス・セールがこのまま低調なまま終わるという前提です。
トレード・イヤーにサイ・ヤング賞
ところが、クリス・セールはトレード初年度の2024年に勝利数、三振数、ERAの投手トリプル・クラウンでサイ・ヤング賞を受賞!フェニックスのように復活したのでした。これにはレッドソックスの方が頭を抱える結果となりましたが、トミー・ジョン手術も行い、3年の間にフィジカル面も良くなる時期でもあったのでしょう。何より、選手は環境が変わることで激変することがあり、このケースはその典型にもなりました。


長くなりましたが、言いたいことは、20代後半に大きなピークを迎え、それが過ぎて相当苦戦したことでこのままキャリアが終わりそうになったところを35歳のシーズンで若い頃に獲得したかったサイ・ヤング賞を受賞したのです。
2025年は故障も出て、125.2 IPにとどまりましたが、それでも登板した試合では結果を出し、ERAは2.58。故障さえなければ・・・というシーズンでした。
2026年はまたもサイ・ヤング賞候補に
そして2026年は品質そのままで、大きな故障のないまま快投を続けており、このゲーム前までの成績は23試合で135.0 IPで12勝9敗、ERA 2.20、SO 166をマークしておりました。
凄かったポイント(1):シャットアウト勝利
この日のクリス・セールの投球の最大の賛辞はやはり、コンプリート・ゲーム・シャットアウト(完封)ですね。
ドジャース打線を散発の被安打5に抑え込み、今季最多タイとなる11奪三振を記録。クリス・セールの完封は2019年6月5日のレッドソックス時代にロイヤルズを相手に達成して以来。
37歳150日という年齢での10K以上&無四球&完封は1900年以降、この年齢以上の投手で史上6人目の記録。直近ではランディ・ジョンソンが2004年(40歳)に1度、2001年(37歳)には2度達成しています。
凄かったポイント(2):2018年以来の100mph
筆者はこちらが神がかっていたと思うのですが、セールは今でもギアを上げると4シームやシンカーは97-98mphを計測しますが、そうでない時は93-95mphのレンジで、大きなスライダー、チェンジアップとのMIXで勝負しています。
この日、セール自身も「最高の打者」と認める大谷選手との対戦で100mphを記録。3回表のこの日2回目の対戦で、4球目の4シームが100.1mphを記録し、大谷選手はこれをファウルに。この打席は三振に仕留めました。
クリス・セールが100mph以上のボールを投げたのは、キャリア通算でもこれで15回目。前回はなんと彼のピーク時の2018年7月6日に計測。この日に、ピーク時と同じベロシティーを出したというのがいかにも神がかっているではないですか!
クリス・セールは腕が下がっていますので、100mph以上の投球はなかなか見られません。これはマックス・シャーザーもそうで、ピーク時であってもなかなか100mphは出ませんでした。その代わり、クリス・セールもシャーザーも画面から伝わってくるえげつなく伸びてくる強いボールを数え切れないほど投げてきておりますね。
あと、5回表の大谷選手の第3打席でも99.6mphを記録しております。中継では四捨五入されますので、100mphと表示されました。
凄かったポイント(3):109球に98.6mph
また、セールはこの日で24試合目の先発登板でしたが、このうち23試合を3失点以下に抑え、直近21試合ではERA 1.83を記録。
この日投じた投球は11三振を奪いながらもわずか109球。しかも最後の109球目でさえ98.6mphを記録しました。
クリス・セールの息子さんが話題ですね。9回のマウンドに行くことの難しさをこの年齢でも知っているようで、9回のマウンドに向かうお父さんに「信じられない」といういいリアクションを見せてくれています。
モチベーション
この日のクリス・セールのシャットアウト勝利の裏には2つのモチベーションがあったようです。
1つは家族ぐるみの友人であるアシュリー・フォスさんが42歳で亡くなったことに心を動かされていたこと。彼女の父親は、過去20年以上にわたり、このブレーブスの投手の財務管理を担当してきたようです。クリス・セールは試合後、「彼女は熱狂的なブレーブスファンでした。彼女はすべての試合を観戦していました。今夜は、何か別の力が私を支えてくれているような気がして、マウンドに立っているのが不思議な気分でした。間違いなく、そこにいたのは彼女だったのです」と答えています。
2つ目はリリーフの事情。この日、ブレーブスのリリーフ陣で連投している投手が重なり、起用できる投手がわずか3人しかおらず、クローザーのライゼル・イグレシアスでさえ、ハイレバレッジな場面でしか出せないという状況だったのも、最後まで一人で!というモチベーションにつながったという背景があったようです。
ブレーブス、隅1で勝利
この日、結果的に決勝点となったのは、山本由伸投手が投じた第1球。89.2mphのスプリッターをこの日、リードオフに入ったドレイク・ボールドウィンがRFスタンドに放ち、このソロHRが決勝点となりました。
1-0スコアのゲームが捕手によるリードオフHRで決まったのは史上初のことです。
山本も好投
山本由伸投手が失点したのは、このドレイク・ボールドウィンのリードオフHRによる1点のみ。
6,1 IPで被安打4、失点1、ER 1、BB 1、SO 8、HR 1と、この日も見事な投球でしたが、キャリアを通じて初回のERAが4.14と一番痛いところが勝敗の分かれ目となってしまいました。

ブレーブスがスウィープ
ブレーブスはこの3日間は信じられないほどの快進撃の勝利が続きました。いずれも1点差での勝利。で、NLのポストシーズンで地区優勝で勝率2位以内の争いをしているドジャースとのゲーム差を1.0に縮めております。
地区優勝で勝率2位まではNLDSからの参戦となります。
ドジャースにとっては厳しい3連戦となりましたが、試合自体は非常に面白いゲームが続きましたね。
お読みいただき、ありがとうございました。
