今更ながらの延長戦のオートマティック・ランナーの扱い
現地2026年8月21日、エンゼルス@レンジャーズの試合がグローブ・ライフ・フィールドで行われ、試合は延長10回裏にレンジャーズがサヨナラ勝利を収めたのですが、負け投手となったベン・ジョイスに自責点がついていなかったので、もう現行のCBAは今季までですが、改めて、オートマティック・ランナーがついた時の自責点の取り扱いについて書いておこうと思いました。
オートマティック・ランナーとは
MLBが延長戦でノーアウト・ランナー2塁のオートマティック・ランナーがつき始めたのは2020シーズンから。このランナーの名称は、「ゴースト・ランナー」とも言いますが、一旦はオートマティック・ランナーに統一しておきます。
この2020シーズンは特殊でコロナ・パンデミックで60試合しか実施されませんでしたし、とにかくあらゆる感染のリスクを軽減する流れの中で採用されました。
恒久化されたのは2023年から
オートマティック・ランナーは2021シーズン、2022シーズンも継続。2022年の場合は暫定的に継続という形を取り、それ以降はやらないこということになっていました。
ところが、2023シーズンを前に継続が決定。これは時短の流れもあるでしょう。継続というようより、”Permanet”とありますから、恒久化したということで、これがデフォルトの設定になりました。

オートマチック・ランナーの得点=ERではない
オートマティック・ランナーが生還した場合、投手のER(自責点)はつきません(非自責点として記録される)。RUNのみが記録されます。また2塁ランナーについた選手のOBP(出塁率)ももちろんつきません。
打者がこの走者を還した時のみRBIがつきます。
その後の走者
実際に打席に立って、安打、四球、失策によって出塁した選手が生還した時の得点は自責点(ER)としてカウントされ、防御率(ERA)に影響を与えます。つまり、オートマティック・ランナー以外のランナーが得点した時は通常通りです。
勝敗判定
非自責点のオートマティック・ランナーが得点し、それが決勝点となった場合でも、投手は敗戦投手となります。
ポストシーズンでは適用されず
なお、延長戦のオートマティック・ランナーはポストシーズンでは適用されません。現地2025年10月27日のワールドシリーズGm3は延長18回で突入しましたが、このときももちろんついておりません。ついていればもっと早く決着がついていたでしょうね。

現地2026年8月21日のLAA@TEX戦
勝率5割近辺ですが、ALウエストの首位争いをアストロズと行っているレンジャーズは、アスレチックスとの最下位争いを演じているエンゼルスを相手に星は落としたくない状況。
このゲームは0-0のスコアレスのまま延長戦に突入。
延長10回表、エンゼルスはこの回からマウンドに上がったタイラー・アレキサンダーから、デンザー・グズマン(Denzer Guzman)が左中間にラインドライブの快心の当たりを放って、オートマティック・ランナーのホセ・シリを還して待望の先制点を上げ、1-0とリードします。
ベン・ジョイスが打たれる!
1点を奪ったエンゼルスは8月5日に復帰したベン・ジョイスを10回裏のマウンドに投入。彼の豪速球で逃げ切りを図りました。レンジャーズはエバン・カーターがオートマティック・ランナーで2塁につきます。
レンジャーズは先頭のジャスティン・フォスキューがRFフライに倒れて1アウト。さすがベン・ジョイスです。押し切りました。
つづく頼みのコーリー・シーガーも100.8 mphの4シームで押し切られて空振り三振で2アウト。追い込んだベン・ジョイスはつづくワイアット・ラングフォードも2球で追い込み、ゲームセットまであとストライク1球。 ところが、3球目の102.4 mphの自慢の4シームをラングフォードにRFにうまく弾き返され、これが2塁打となり、オートマティック・ランナーのエバン・カーターが生還して、レンジャーズは1-1の同点に追いつきます。
ここまでオートマティック・ランナーの生還ですので、ベン・ジョイスに自責点はつきません。
2アウト2塁でブランドン・ニモを迎えたエンゼルス・ベンチはここで申告敬遠を選択。2アウト1、2塁でエジキエル・デュランが打席に。
そのデュランは初球の95.8 mphの4シームを捉えます。これが3Bのデンザー・グズマンの右を襲いましたが、グズマンがこれをうまく処理。近いところへの送球で1塁ランナーのニモを刺すように2塁へ送球するも、これが悪送球となり、2塁ランナーのワイアット・ラングフォードがホームへ生還し、これでレンジャーズが2-1のスコアでサヨナラ勝利を収めました。

打者の記録も絡んで微妙な判断
このケースは記録上は3Bへの打球を放ったエジキエル・デュランにシングル・ヒットがつきました。
これは微妙ですが、記録員の判断になります。シングルヒットがつくケースは、「たとえ一塁へ送球していたとしても、打者走者の足が勝っていて、一塁も絶対にアウトにできなかった(内野安打だった)」と判断される場合です。
VTRを見る限り、もしも1塁なら・・・アウトだったように思います。ただ、このケースは野手が2塁経送球するのは致し方ないと思われ、記録員のシングルヒットの判定もわかるのはわかります。
ただ、筆者はこれはフィルダース・チョイス+エラーがついてもおかしくないなとは思います。
ちなみに、「フィルダースチョイス(野手選択・野選)」とは、守備側の野手がフェアゴロを捕球した際、一塁で打者走者をアウトにする代わりに、先行走者をアウトにしようと他の塁へ送球する行為、およびその結果打者が出塁する記録のことです。守備側が選んだ結果なので、安打(ヒット)にも失策(エラー)にも記録されません。打者には打数がつき、内野ゴロと同じ扱いになります。
また、結果的にベン・ジョイスには失点2はついたものの、ER は0。
これは1点目はオートマティック・ランナーの得点ゆえに0ですが、2点目もERがつかなかった解釈はデュランはシングル・ヒットゆえ、ラングフォードの3塁までの進塁はこれで記録されるも、ホームへの生還はその後のグズマンの送球エラーがあったがゆえということのようです。記録的にはシングル・ヒット+エラーですね。実際、BOX SCOREにもグズマンのエラーがついております。
また、ベン・ジョイスは敗戦投手にはなっています。
好調のベン・ジョイス
ドラフト時に剛腕で話題となったベン・ジョイスは2022年にエンゼルスが3巡目で指名。

ベン・ジョイスは2023年5月29日にメジャー・デビューを果たします。

2023年の4シームのアベレージは12試合、10イニングで100.9mphを計測。しかし、約1ヶ月後には肘に故障を発症し、復帰したのは9月を過ぎてから。

2024年には右肩の炎症を患い、これが約2年間断続的に発症し、2024年は31試合、341イニングのみ。それでもベロシティーはアベレージで102.1mphを計測。
下記の埋め込みは2024年9月3日に記録した105.5mphのシーンです。
2025年は5試合、4.1イニングのみの登板でした。4シーム、全35球のアベレージは101.1mph。
2026年も右肩の炎症に悩まされ、復帰したのは8月5日から。このゲーム前までは5試合に登板し、6,0 IPでERA 0.00。
結局、この試合もERはつかなかったので0.00のままです。このトレード・デッドライン後に颯爽と登場したベン・ジョイスは隠し玉的な存在感を放っていますが、さすがに登場が遅れましたね。
また、エンゼルスは彼をデッドラインで出さなかったというこれまた見事な選択をしたわけです。
リード・デトマーズも好投
なお、この試合、エンゼルスはやはりトレードデッドラインでエンゼルスが守ったリード・デトマーズが先発。6イニングを被安打6、スコアレス、BB 1、SO 5に抑え、良い投球を見せました。
ちなみにエンゼルスはトレードデッドラインで解体を選択してから、割と調子がよく、このゲーム前までは8勝8敗の勝率5割でした。
お読みいただき、ありがとうございました。

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