パドレス、新体制に
現地2026年8月17日、メジャーリーグ機構(MLB)はサンディエゴ・パドレスの経営権移譲がリーグおよびクラブ・オーナーによって満場一致で承認されたと発表しました。
新しいオーナーはチェルシーFCのオーナーの一人であるホセ・E・フェリシアーノ(José E. Feliciano)氏とその妻クワンザ・ジョーンズ(Kwanza Jones)氏が率いる新オーナーグループです。
こちらの記事の通りに承認されております。

今回のオーナー陣による満場一致の承認は「(今後数週間以内に予定されている)パドレスの現オーナーと新オーナーとの間の支配権(経営権)の譲渡取引完了を条件とする」となっており、また、ホセ・E・フェリシアーノ(José E. Feliciano)氏とその妻クワンザ・ジョーンズ(Kwanza Jones)氏は8月24日にペトコ・パークで記者会見を行い、そこで正式に紹介されることから、数日以内に移譲がコンプリートする見込みです。
上記のリンクの通り、サイドラー家は2026年5月にクラブの経営権移譲に合意しておりました。
組織:プレラーはそのまま
MLBのクラブはほとんどが投資ファンドなどのグループ単位で所有されていて、複数の人物が関わるケースが多いのですが、MLBの規定では、リーグ運営上の手続きを行うために、各フランチャイズにつき1名の「コントロール・パーソン “control person” 」を置くことが義務付けられています。
新体制ではホセ・E・フェリシアーノ(José E. Feliciano)氏がパドレスのコントロール・パーソンとなります。
また、変わったのはオーナーだけで、組織としては引き続き、エリック・グループナー(Erik Greupner)氏がCEO(最高経営責任者)を、A.J.プレラー(A.J. Preller)氏がPOBO(President of Baseball Operations)を務めることになっております。

常勝に押し上げたピーター・サイドラー
パドレスの前オーナーで、すでに2023年11月に亡くなったピーター・サイドラー(Peter Seidler)氏は、伝説的なドジャースのオーナーであるウォルター・オマリー氏の孫。そんな野球に情熱のあるサイドラー氏は2012年に投資グループの一員としてパドレスを買収。
ただ、2013年以降のNLウエストはドジャース時代が支配する時代に。
ドジャースは2013年から2025年までの14シーズンでNLウエストを制覇すること13度。唯一、2021年だけはサンフランシスコ・ジャイアンツに首位の座を明け渡し、2位に甘んじましたが、ジャイアンツが107勝を上げたこのシーズンでさえ、ドジャースは106勝をマーク!もはや2位に甘んじたとは言えない強さを発揮していたのでした。

2012年の買収当初はロン・ファウラー氏がパドレスの主導権を握っていました(=コントロール・パーソン)。 そんなドジャースの天下に対して、「これではいかん!」と立ち上がり、本気でドジャースの牙城を崩しにかかったのが、ピーター・サイドラー氏でした。サイドラー氏は2020年にパドレスのコントロール・パーソンに就任すると、同氏はオーナーシップをはるかに超える積極的な投資を実施。
パドレスの選手年俸総額はリーグ下位グループに位置から2021年には9位、2022年には5位、そして2023年には3位へと順位を上げました。これにより、パドレスは2021年から2023年までは贅沢税の基準値を超過し、3年連続でタックス・ペイヤーとなりました。
そして2020年にパドレスはポストシーズンに進出。NLDSでドジャースに0勝3敗で敗れたものの、死闘を演じました。2021年からはドジャースとパドレスは春からポストシーズンのような戦いを展開。凄まじいライバル心が激突し合いました。

パドレスは2022年にNLDSでドジャースに勝利。しかし、NLCSでは1勝4敗でフィリーズに敗退し、ワールドシリーズ進出を逃しました。

ピーター・サイドラー氏が亡くなった後
そしてサイドラー氏の努力が成果を見せ始めた2023年11月にピーター・サイドラー氏が死去。
ピーター・サイドラー氏が亡くなった後、同氏のビジネスパートナーであるエリック・クツェンダ氏が暫定的な「コントロール・パーソン」に指名されました。
ピーター氏が亡くなってから、パドレスはサラリー総額を課題とみなし、これまでの大幅な支出が後退し、リーグの中位あるいは上位3分の1の境界線あたりまで戻りました。
こうした状況は、ロスターの動きにも如実に表れ、2024年シーズン開幕前にはフアン・ソトをヤンキースにトレード。その見返りとして、より若くサラリーの安いプロスペクトたちが入ってきました。その後もFA選手との契約を続けてはいるものの、その多くは工夫を凝らした契約や、契約期間の後半に年俸が高くなる「バックロード型」の契約となっています。
マイケル・キングやニック・ピベッタとの契約に見られるように、サラリーの配分に偏りを持たせたり、選手側にプレーヤー・オプションを付与したりすることで、短期的な支出を抑えつつ、多額の支払いを将来に先送りしようとする意図。


その一方で、サイドラー家内部では、誰が今後の運営を主導するかを巡って対立が生じ、ピーターの妻であるシール・サイドラーはピーターの弟で、シール本人の義理の弟でもあるボブ・サイドラーとマット・サイドラーを相手に2025年1月に故人の意思に対し、忠誠義務違反や不正行為を行ったとして提訴しました。具体的には信託財産の承継者としての受託者義務違反と詐欺行為での訴えです。
そのごたごたの中、MLBは2025年2月、ピーター氏の兄弟の一人であるジョン・サイドラー氏をコントロール・パーソンとして承認しました。
また、2025年11月には、サイドラー家が球団の売却を検討していると報じられました。家族間の法的な争いは、なんとか和解できていたようです。
そしてオフシーズンの間、様々なグループが買収候補として取り沙汰され、2026年4月、フェリシアーノ氏とジョーンズ氏が$39Bでの売却額に合意し、クラブを引き継ぐことになりました。その金額は、スティーブ・コーエンが2020年にメッツを買収した際の$24Bを大きく上回ります。
また、ピーター氏のグループが2012年に買収した時の額が$8B。今回は$39Bですから、5倍近く跳ね上がっているということに!
CBA更新前に承認
2026シーズンが終了すると、現行のCBAは12月1日に失効します。
今回のCBAの更新はサラリー・キャップ制の導入、高校生のドラフト指名をストップするなど非常にヘビーな議題が目白押しでもはやロックアウトは必至。
新オーナーは微妙なタイミングでの権限委譲となりましたが、現行のCBA失効までにすばやく動くのかどうか?などこれからピーター氏のように投資していくのかどうかのスタンスはまだわかりません。
ただ、商売人ですから$39Bよりもより高く!というのは根底にあるでしょうから、資金を注ぎ込む方向ではないか?などとも予想していますが、とは言え、新CBAの動向も知っているでしょうから、サラリー総額は抑えられるというふうに踏んでいるかもしれませんね。
果たして、どうなのでしょうか??
お読みいただき、ありがとうございました。

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