JV、43歳のシーズンが最後に
現地2026年7月8日、デトロイト・タイガースのレジェンド、ジャスティン・バーランダー(Justin Verlander)が今季限りで引退することを表明しました。
ジャスティン・バーランダーは今季が43歳のシーズン。2005年に22歳でデビューして2026年まで、途中2021年はトミー・ジョン手術のため投げることが出来ませんでしたが、通算21年でキャリアに幕を下ろすことになりました。アメリカの場合、引退する時は「スパイクを脱ぐ」と言いますが、ついにその時が来たということになりました。
タイガースでキャリアを終えることに感謝
ジャスティン・バーランダーはXで声明を出しております。
その声明の中で「ここ数ヶ月の間、その時が来たのだと実感してきました。今シーズンの残りをチームのために全力を尽くすつもりですが、今シーズンが私の最後のシーズンになることを決めました。すべてが始まった場所、つまり私をドラフトで指名し、最初のチャンスを与えてくれたデトロイト・タイガースでキャリアを締めくくるのは、まさにふさわしいことです」と述べています。また、家族、ファン、チームメイト、コーチ、選手、クラブハウスのスタッフなどへの感謝の意が綴られております。
2004年ドラフトの全体2位
ジャスティン・バーランダーは1983年2月20日、バージニア州マナキン・サボットで生まれ、高校、大学とバージニア州で過ごしました。大学はオールド・ドミニオン大学(ODU)で、現地では”the Monarchs (モナークス)”として知られています。
バーランダーはそのモナークスで 2002年から2004年まで3年間活躍。19勝11敗、ERA 2.54、 327奪三振を記録。
2004年のドラフトでは全体1位指名のパドレスがマット・ブッシュを獲得。タイガースは全体2位でジャスティン・バーランダーを指名。
2005年、バーランダーはハイAとダブルAで118.2イニングでERA1.29、奪三振139と圧倒的な活躍を見せ、同年7月4日にメジャー・デビュー。この年はお試しで2試合のみの先発登板で、11.1 IPでERA 7.15。
下記の埋め込みは2005年7月4日のデビュー戦でのキャリア初奪三振のシーン。
2006年にROYを受賞
2006年には開幕ロースター入りを決め、いきなり30試合に先発登板して186.0イニングを投げ、17勝9敗で、ERA 3.63を記録。当然ながらAL ROYを受賞し、さらにサイ・ヤング賞投票で7位、MLB投票で15位に入るほど活躍しました。
この年、タイガースは95勝67敗をマークし、1987年以来のプレーオフ進出を果たしました、バーランダーが大きく貢献したのは言うまでもありません。ポストシーズンではALDSでヤンキースを、ALCSではアスレチックスを破り、ワールドシリーズまで進出しましたが、カージナルスに1勝4敗で敗れました。
2007年も好調で、バーランダーは32試合に先発し、18勝6敗、ERA 3.66をマーク。この年、バーランダーは6月12日のブルワーズ戦でノーヒッターを達成。夏にはオールスターに初選出され、その後の数年間、彼はタイガースの先発ローテーションを引っ張る立場になりました。しかし、タイガースは2007年から2010年にかけてプレーオフ進出を果たせず。この期間、バーランダーは2009年に19勝、2010年に18勝をマーク。2009年には269奪三振をマーク!
最初の大型契約は5年/80Mドル (2010-14)
2010年シーズンを前に、バーランダーとタイガースは5年/$80M (2010-14)の大型の契約延長に合意。2014年(31歳)までのデトロイト在籍が確定しました。
2011年に脅威の24勝5敗、ERA 2.40
そして延長契約2年目の2011年、ジャスティン・バーランダーはMLBの投手としてのその地位を圧倒的なものにしました。この年、JVは34試合に先発登板し、251.0イニングを投げ、24勝5敗、ERA 2.40、250奪三振をマーク。投手の「トリプル・クラウン」に輝きました。ちなみに、同年はNLでドジャースのクレイトン・カーショウもトリプルクラウンを達成。この年は1924年以来初めて1シーズンに2人のトリプルクラウン達成者が生まれたシーズンとなりました。バーランダーはALサイ・ヤング賞を満場一致で受賞。さらに、投手としては稀な AL MVPも受賞しました。
同年、タイガースはプレーオフに復帰したものの、ALCSでレンジャーズに敗退。
2012年も33試合に先発登板し、17勝8敗、ERA 2.64を記録し、2年連続で素晴らしいシーズンを過ごしました。同年、タイガースはALセントラルを制し、ワールドシリーズにも進出したものの、バスター・ポージーのジャイアンツにスイープされ、またも敗退。
2度目の大型契約 7年/180Mドル (2013-19)
先の延長契約に先が見えてきた2013年シーズンを前にタイガースはバーランダーとの新たな延長契約にサイン。7年/$180M (2013-19) + 2020 $22M ベスティング・オプションというさらなる大型契約を結びます。これはベスティング・オプションが更新された場合の2020シーズンはバーランダーが37歳となるシーズン。筆者はこの段階でもうバーランダーはタイガースONLYでキャリアを締めくくるもののと思っておりました。これは当時としては投手史上最大級の契約でした。
2014年はサイ・ヤング賞ローテ
バーランダーはこの後もコンスタントに好成績を収め続け、タイガースは2013年と2014年にもプレーオフに進出。しかし、いずれもワールドシリーズ進出を前に敗退となりました。
ちなみに2013年のローテーションはバーランダー、シャーザー、リック・ポーセロ、アニバル・サンチェス、ダグ・フィスターというメンツ。
2014年に至っては、バーランダー、シャーザー、リック・ポーセロ、アニバル・サンチェス、ドリュー・スマイリー、そしてデービッド・プライスを擁し、シャーザーは2013年にALサイ・ヤング賞に、デービッド・プライスは2012年にALサイ・ヤング賞に輝いていたので、タイガースのローテーションは「サイ・ヤング賞ローテーション」と呼ばれておりました。それでも勝てなかったのはクローザーの問題がありました。勿体なかったですね。ちなみに2002年から2015年までのタイガースのGMはDDことデーブ・ドンブロウスキー(現フィリーズPOBO)です。
初めてのDL
2015年、ジャスティン・バーランダーは初めてDL入りします(今のILのこと)。上腕二頭筋と右前腕部を傷め、20試合、133.1イニングにとどまりました。故障したシーズンでしたが、それでも勝てなかったERA 3.38をマーク。
2016年は復活。16勝を上げ、ERAも3.04と高品質の数字をマーク。サイ・ヤング賞投票で2位に入る活躍でした。
タイガースを離れる
2017年にアストロズへ
2017年、バーランダーはタイガースで28試合に先発登板して10勝をマークし、ERAも3.82を記録し、好成績を残しましたが、この年、タイガースは64勝98敗と大敗。このシーズンを機に、リビルドに乗り出すこととなり、同年8月下旬のウェーバー期限日にタイガースはジャスティン・バーランダーをアストロズへ、ジャスティン・アップトンをエンゼルスへトレード。バーランダーとのトレードで、タイガースはプロスペクトのフランクリン・ペレス、ダズ・キャメロン、ジェイク・ロジャースを獲得しています。

同年、バーランダーはアストロズで5試合に先発登板し、アストロズでのERAは1.06を記録。その後、ポストシーズンでは6試合に登板してERA 2.21を記録し、ワールドシリーズ・チャンプに輝いています。
バーランダーはALCSのMVPに選出され、初のWSリングを手に入れましたが、これが後にサイン・スティーリングの大スキャンダルに発展しました(バーランダーとは関係ありません)。
2018年と2019年、バーランダーはそれぞれERA 2.52、2.58を記録。2019年はまたも21勝という驚異的な勝利数をマークし、ERAは2.58。2度目のサイ・ヤング賞に輝きました。アストロズは2018年はALCSではレッドソックスに敗退、2019年はワールドシリーズまで進出するも、ナショナルズに敗れました。
契約更新 2 年/66Mドル (2020-21)
2019年にタイガース時代の延長契約の期限が来たことでアストロズは、ベスティング・オプションを使わずに、新たに2年/$66M (2020-21)で延長契約にサイン。

トミー・ジョン手術へ(2020年9月)
ただ、結果的にこの2年契約は、ほぼ機能しませんでした。2020年は新型コロナウイルスのパンデミックにより、シーズン開幕は7月まで遅れ、バーランダーは1試合に先発登板しただけで、故障を発症。同年9月にトミー・ジョン手術を受けることになり、2021年シーズンも棒に振ることになりました。
バーランダーがTJ手術を行ったの2020年は37歳のシーズン。果たして復帰できるのだろうかという懸念もあり、さらに上述の2年契約の間はほぼ登板がなかったですから、このままキャリアの終焉も噂されるほど、非常に危ない時期を過ごしていたのも事実です。
FAでアストロズとサイン: 1 year/25M(2022)
しかし、FAとなったバーランダーとサインしたのもアストロズでした。アストロズとすれば、失った2年分を取り戻そうという発想もあったかもしれません。今度の契約は1年/$25M (2022) + 2023 $25Mコンディショナル・プレーヤー・オプションというもの。2022年に130.0 IP超えで2023年の契約更新というもので、それに加えてプレーヤー・オプションでしたので、実質、オプトアウトありのようなものでした。
2022年に3度目のサイ・ヤング賞
TJ手術から復帰したバーランダーは2022年に28試合に先発登板し、18勝4敗、ERA 1.75、185奪三振を記録。39歳のシーズンでキャリア屈指の成績を残し、オフには3度目のサイ・ヤング賞を受賞。これには敬意しかありません。その年、アストロズは106勝を挙げ、ワールドシリーズを制覇し、バーランダーは2個目のリングを手に入れました。
FAでメッツへ
2022年を終えてバーランダーは契約をオプトアウト。FAとなりました。そして2年/$86,666M (2023-24) + 2025 $35Mコンディショナル・プレーヤー・オプションでサイン。オーナーが代わり、メッツは次々に大型投資を実施しました。マックス・シャーザーはその前年の2022年にメッツ入り。
バーランダーの契約は当時のAAVとしては、マックス・シャーザーとほぼ同じの大型短期契約でした。

バーランダーは2023年、16先発で6勝、ERA 3.15をマークしましたが、メッツの成績が振るわず、同年のトレードデッドラインで再びアストロズへ。アストロズでは再び好投しましたが、ポストシーズンではALCSでレンジャーズに敗れました。

2024年、バーランダーは調子を落とし、複数回IL入りし、17試合の先発登板でERA 5.48。同年オフに再びFAとなり、今度はジャイアンツと1年/$15M (2025)でサイン。

同年は29試合に先発し、4勝11敗ながらERA 3.85を記録。ただ、奪三振率は20.7%とかなり落ちました。
2026年、タイガースへ
2026年シーズンを前に再びFAとなったバーランダーは、1年/$13M (2026)でタイガースとサイン。古巣に復帰しました。
しかし、今季は3月30日のDバックス戦に先発登板をこなしのみ。左股関節の炎症によりIL入りとなっています。6月に復帰しようとしていた矢先、今度はハムストリングの捻挫を発症。この相次ぐ怪我が引退を決意する一因にもなったようです。
オールスターのレジェンド枠
バーランダーが引退を決意してすぐにMLBはバーランダーをレジェンド枠でオールスターに推薦することを決めました。
今季は果たしてオールスターも含めてあとどれくらい投げることが出来るかわかりませんが、あの独特な腕使いのフォームを見てみたいものです。
バーランダーの輝く功績
現地2026年7月9日時点のジャスティン・バーランダーの輝かしい功績です。
- 2006 AL ROYを受賞
- オールスター出場:10度(AL All-Star:2007, 2009-2013, 2018, 2019, 2022 & 2026)
- 2011 AL MVP
- AL サイ・ヤング賞受賞:3度 (2011, 2019 & 2022)
- 2011 AL 投手トリプルクラウンの達成
- 2017 ALCS MVP
- 2022 AL Comeback Player of the Year
- AL ERA 1位:2度 (2011 & 2022)
- AL 最多勝:4度 (2009, 2011, 2019 & 2022)
- AL 最高勝率:3度 (2007, 2011 & 2022)
- AL 投球回数1位:4度(2009, 2011, 2012 & 2019)
- AL 奪三振NO.1:5度 (2009, 2011, 2012, 2016 & 2018)
- AL 完投数1位 (2012)
- AL 完封数1位 (2018)
- 15 勝以上のシーズン: 12度 (2006, 2007, 2009-2012, 2014, 2016-2019 & 2022)
- 20 勝以上のシーズン: 2度 (2011 & 2019)
- 200 イニング以上のシーズン: 12度 (2007-2014 & 2016-2019)
- 200 奪三振以上のシーズン: 9度 (2009-2013 & 2016-2019)
- 300 奪三振以上のシーズン 1度 (2019)
- ノーヒット・ノーラン:3度(2007/6/12 vs MIL | 2011/05/17 vs TOR | 2019/09/01 vs TOR)
- ワールドシリーズ・リング:2個(アストロズ:2017/2022)
下記の埋め込みは3度のノーヒット・ノーランのシーン。
(1)2007/6/12 vs MIL
(2)2011/05/17 vs TOR
(3)2019/09/01 vs TOR
お気に入りの投手がいなくなるのは寂しいですね。
お読みいただき、ありがとうございました。
