ブルワーズ、クラブ創設58年目の悲願達成!
現地2026年10月28日、トロピカーナ・フィールドで行われたワールドシリーズGm5は、ジェイコブ・ミズロウスキーとドリュー・ラスムッセンという両クラブのエース同士が先発。
レイズはもう後がありませんし、ブルワーズもここでもたついてしまっては勝利の女神が逃げてしまう(1982年の悲劇のリピート)ということで、何が何でもこの日に決めると臨んだ、まさに決戦でした。
ただ、やはり余裕があったのはブルワーズで、前夜(Gm4)に逆転サヨナラ負け(延長12回)を喫してスウィープを逃したものの、焦りの色は一切ありませんでした。ブルワーズは自らの野球を貫き、ついにクラブの歴史に黄金の1ページを刻み込みんだのでした。
| Club | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| MIL | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 2 | 0 | 0 | 0 | 4 | 8 | 2 |
| TB | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 4 | 0 |

剛腕ミズロウスキー、レイズ打線をねじ伏せる
マウンドに上がったジェイコブ・ミズロウスキーは豪速球こそ最大の武器と言わんばかりに100mphを連発。序盤の球種はほとんどが4シームでした。
彼の速球の秘密はそのエクステンションにあると言われますが、初回は着地点が柔らかかったらしく、グランド整備のスタップが出て、マウンドの地面を固める作業が必要になりました。修正後に本塁の斜め前から映したフォームの映像はこれほどまでに低いところから腕が出るのか?と驚くぐらい、球持ちが良いことがわかる映像でした。しかもこの日は特別に低めに集中していて、それでも100mphを常時表示。これは打席に立つと地面を這うように見える速球だと思いました。
そしてこの日はミズロウスキーには珍しく、最初の2イニングに三振は無し。これは彼のキャリアで初だったようです。
初安打は1回裏にジュニオール・カミネロにCF前シングルを打たれていましたが、3回まではフライアウトが多く、ショートスイングで対応してきていたレイズもやはり球速に圧されて打球を叩きつけることが出来ませんでした。
唯一のピンチは4回裏。1アウトからリアム・ヒックスに投げたカーブが彼のつま先にヒットし、出塁を許します。ジョニー・デルーカから三振を奪い、2アウトとしましたが、つづくチャンドラー・シンプソンにはRF前にうまく弾き返され、しかも進塁を警戒したRFのサル・フレリックがファンブルした隙にチャンドラー・シンプソンに2塁を陥れられ、2アウト2、3塁のピンチを迎えます。
しかし、ミズロウスキーはベン・ウィリアムソンを3Bゴロに仕留めてこのピンチを脱出します。3Bのデービッド・ハミルトンの送球が逸れて危なかったですが、ダグアウトに帰った後、ハミルトンは1Bのジェイク・バウアーズに「ありがとう」とお礼を言っていたのもブルワーズならではのチームワークが垣間見られました。
ミズ、痙攣で降板
レイズを圧倒し続けたジェイコブ・ミズロウスキーは5回裏も三者凡退に抑えます。そして6回裏、1アウトからジュニオール・カミネロを深めのRFフライに打ち取って2アウトとした後、リアム・ヒックスの打席で初球のカット・ボールをファウルにされたところでトラブルが発生。右ふくらはぎの痙攣でマウンドを降りることとなりました。
ミズロウスキーは、5.2 イニングで86球を投げ、被安打2、スコアレス、BB 1、HBP 1、SO 2と強烈なレイズ打線を完全に封じました。
また、ミズロウスキーの好投をバックもよく支え、1Bのジェイク・バウアーズは長打コースの強烈なゴロをダイビングで阻止するなど、堅い守備もゲームの支配力を高めた一因となりました。
クーパー・プラートが先制タイムリー
レイズのエース、ドリュー・ラスムッセンは1回表にジャクソン・チューリオから三振を奪うなど、三者凡退の素晴らしい立ち上がりを見せます。
しかし、どこからでもチャンスを作るブルワーズは2回表に先制点を上げます。1アウトから5番のブライス・トゥランがSSのテイラー・ウォールズの右を抜く108.4mphの打球速度のライナーを放つと、打球は左中間に転がり、トゥランは2塁へ到達。つづくサル・フレリックは死球で出塁し、1アウト1、2塁で打席はクーパー・プラート。
クーパー・プラットは初球の真ん中低めのカットボールを叩き、打球は2Bのベン・ウィリアムソンの伸ばしたグラブのわずか上を越える安打となり、2塁からトゥランが生還。ブルワーズが先制点を上げます(MIL 1,TB 0)。
プラートはこの後、1・2塁間で挟まれ、3塁に到達したサル・フレリックの本塁へ進塁する促す形となりましたが、さすがのレイズもランダウンプレーがうまく、ここはプラートが挟殺となり、1点止まり。
ブルワーズ、またも下位打線が機能
レイズのマウンドは5回表からケビン・ケリーに。ドリュー・ラスムッセンは4回を投げきり、2ヒッター、失点1、ER1、BB 0、SO4でした。
クーパー・プラートが6打席連続安打のルーキー・レコード
5回表、今シリーズのトレンドでもある「ブルワーズの強力な下位打線」がまたしても機能します。
サル・フレリックが倒れて1アウトとなった後、打席は先制タイムリーのクーパー・プラート。プラートは切れ味の鋭いケビン・ケリーの4シームさえ、LFにラインドラインブで弾き返し、これで6打席連続安打。これはワールドシリーズのルーキーの連続安打記録を更新するものとなりました。
この後はギャレット・ミッチェルもシングルで続いて1アウト1、3塁とすると、大いに機能している9番のデービッド・ハミルトンがRFへきれいなタイムリーを放ち、2点目をゲット(MIL 2,TB 0)。この後、ジャクソン・チューリオにも回りましたが、1点止まり。
ウィリアム・コントレラスがタイムリー・ダブル
ブルワーズは6回表にも追加点。レイズのマウンドは3番手のギャレット・クレビンジャー。ブルワーズは先頭のクリスチャン・イェリッチが死球で出塁。つづくウィリアム・コントレラスがあわやHRかという大きな当たりをLFに弾き返し、これが2ベースとなって、イェリッチが生還して追加点(MIL 3,TB 0)。リード拡げます。
さらに、ブライス・トゥランのLF前シングルでコントレラスが3塁に進塁。この後、レイズは4番手にタイラー・ウェルズが登板し、さらなる追加点を阻止しにくるのですが、ブライス・トゥランの2塁への盗塁で1アウト2,3塁とし、打席はクーパー・プラート。乗りに乗っているプラートをウェルズはRFファウル・フライに仕留めますが、この打球にウィリアム・コントレラスが猛然とタッチアップ。タイミングはアウトでしたが、送球が逸れてセーフに。ブルワーズが4点目をあげます。
コントレラスの頭脳
レイズも機動力で反撃を試みますが、ここで立ちはだかったのが捕手のウィリアム・コントレラスの「強肩と頭脳」。このシリーズでウィリアム・コントレラスはレイズの代名詞である盗塁を次々と阻止。9回の試みで4回も阻止。さらに、ABSチャレンジでも13回中10回成功(成功率77%)という驚異的な選球眼も披露。さらに、ミズロウスキーらブルワーズ投手陣を巧みにリードし、異次元のインサイドワークを披露。レイズの反撃の芽を完全に摘み取りました。
トレバー・メギルが締める
前日の12回の延長戦で、アーロン・アシュビーに2イニングを任せたブルワーズはこの日はトレバー・メギルで締める予定でした。
ジェイコブ・ミズロウスキーが緊急降板した後は左腕のジョジョ・ロメロが6回2アウトから7回1アウトまで登板(0.2 IP)。3番手にはアブナー・ウリーべが上がり、7回裏の残り2アウトをしっかりと抑えました。8回もウリーべに任せるのかと思われましたが、パット・マーフィー監督は8回裏からトレーバー・メギルを投入。
ジャクソン・チューリオの好守備もあり、メギルは8回裏を三者凡退に。迎えた9回裏、メギルは1アウトからリアム・ヒックスも1塁ゴロに抑えたはずでしたが、打球がベースにヒットし、大きく反射する間にヒックスは2塁へ到達。メギルにとってはアンラッキーな2ベースとなりました。
この後、2アウトからチャンドラー・シンプソンが2ベースを放ち、レイズは意地の1点を上げますが、反撃もここまで。最後はリッチー・パラシオスが力のない2Bゴロを放ち、ブライス・トゥランが処理。ブルワーズが4-1のスコアで勝利し、見事にワールドシリーズ・チャンプに輝いたのでした!
MVPはウィリアム・コントレラス
シリーズMVPは.381/.435/.429、OPS .864、二塁打1、RBI 4の打撃成績とともに、ディフェンスでもチームを牽引、チームの大黒柱となったウィリアム・コントレラスが受賞しました。
悲願のWS制覇
ブルワーズは1969年にシアトル・パイロッツでクラブがスタート。1970年にミルウォーキー・ブルワーズとなりました。1970年から1993年まではALイーストに所属し、この間、1981年、1982年と地区連覇を達成。1982年にはワールドシリーズに進出し、カージナルスと対戦して3勝2敗としながらも、残り2戦を連敗。ワールドシリーズ・チャンプを逃しました。
1994年から1997年までの4シーズンはALセントラルに所属。NLセントラルとなったのは1998年からです。
2008年、CC・サバシアがいた頃に地区2位でプレーオフに進出。NLDSでフィリーズに敗れました。2011年、ライアン・ブラウンがいた頃にはNLセントラルを制覇し、NLCSまで進みましたが、カージナルスに敗れて敗退。
そして2018年からポストシーズン常連になります。2018年はNLCSでドジャースに敗れましたが、面白いゲームを展開。まだ投手が打席に立っていたシーズンにブランドン・ウッドラフがカーショウからHRを放ったのが印象的でした。コーリー・クネイブルもブルペンで大活躍しましたね。

その後、2024年までワイルドカードで敗れること4度(2019/2020/2023/2024)、NLDSで敗れること1度(2021)。ブルワーズに勝ったクラブがワールドシリーズに進出するというジンクスまで出ました。

2025年にようやくNLDSの壁を打ち払い、NLCSに進出。しかし、ドジャースの圧倒的な戦力の前にスウィープで敗れました。

そして2026年、クラブ創設57シーズン目にようやく悲願達成となったのでした。
ジャクソン・チューリオの凄さ
近年のブルワーズはマット・アーノルド(POBO)のもと、高度な分析と伝統的なスカウティングを巧みに融合させたフロント陣を擁し、ジョシュ・ヘイダー、コービン・バーンズ、ウィリー・アダムス、フレディー・ペラルタといった、実績ある重要な選手たちを送り出してきました。
この間、現メッツのPOBOのデービッド・スターンズの功績ももちろん大きいです。ただ、サラリー削減でスターとなったところで放出というのを繰り返したのもNLDSを破れなかった要因でもありました。

凄いのは2023年オフにコービン・バーンズが抜け、これでプレーオフ常連は終わるかと思われたのですが、ここで登場したのがジャクソン・チューリオだったのです。

彼の登場で攻撃力につながりが出来、ブルワーズはその後も躍進を続け、今日に至るというふうに筆者は見ています。チューリオなくしてはこの黄金期はなかったように思います。
ブルワーズ、本当に強かったですね。デービッド・ハミルトンもおめでとう!
これで2026シーズンも終了です。非常に面白い野球が見られたシーズンだったと思いませんか?
お読みいただき、ありがとうございました。

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