レジェンドが見事なラスト登板を見せる!
現地2026年9月26日、コメリカ・パークで行われたパイレーツ@タイガース戦で、タイガースのレジェンド、ジャスティン・バーランダーが現役最後のマウンドに上がりました。
ジャスティン・バーランダーのラスト登板は現地22日に公式にアナウンスされ、この日、コメリカ・パークに集まったファンは41,377人。多くのファンが、背番号35のジャージを身に着け、レジェンド投手の最後の登板をその目に焼き付けようとしました。
『ラブ・オブ・ザ・ゲーム』と良く似ている!
ケビン・コスナー主演のMLB映画で、『ラブ・オブ・ザ・ゲーム』(”For Love of the Game”)をご存知でしょうか?

デトロイト・タイガースのエースで40歳のビリー・チャペル(ケビン・コスナー)は、色々な経緯を経てヤンキー・スタジアムにて優勝のかかったヤンキースを相手にキャリア最後のマウンドに上がります。
映画はこの1試合の登板の中で、ビリーがこれまで経験してきたプロでのキャリア、あるいはプライベートな出来事を野球でのシチュエーションに沿った形で振り返るスタイルで進んで行きます。そして名投手ビリーは気づけば、一人もランナーを出さないまま最終回のマウンドへ。果たして、ビリーのパーフェクト投球は実現するのか?そしてそれを見守るジェーンとの今後は?という内容の映画です。
筆者はだいぶ前のことですが、夜中にたまたまテレビをつけるとこの映画をやっていて、見た瞬間すぐに引き込まれ、最後まで見てしまいました。ケビン・コスナーがマウンド上でいい間合いを見せてくれます。
実はタイガース・ナインはジャスティン・バーランダーを『ラブ・オブ・ザ・ゲーム』のビリー・チャペルのように送り出そう、と冗談を言い合っていたのでした。その気持ちはよくわかりますね。
この日に賭けたバーランダー
ジャスティン・バーランダーは2026年は3月30日にDバックス戦で先発して以来、メジャーのマウンドから6ヶ月遠ざかっておりました。打者との対戦も6月にトリプルAで2試合登板したきりで、それ以来向き合っておりません。夏の間、悩まされ続けたハムストリングの怪我も完治しておらず、この日に向けた調整としては、実戦形式の練習でわずか21球を投げただけでした。満身創痍のまま最後のマウンドに向かう姿もビリー・チャペルと被るものがありました。
家族とともに
バーランダーにとってタイガースのユニフォームを着てコメリカ・パークのマウンドに立つのは、アストロズへトレードされる前の2017年8月20日のドジャース戦以来のこと(アストロズのユニフォームを着てマウンドに上がったのはそれ以降もありました)。
この日の「バーランダー・デー」は多くのファンが待ち望んたものであり、試合開始前のウォーミング・アップからバーランダーにはアツい視線が注がれました。
そして、ファースト・ピッチは7歳の娘ジュネヴィーブさんが行い、バーランダーがそれを受け止めました。
またこのジュネヴィーブさんはバーランダーが降板した6回にも、監督よりも早くマウンドに行き、父の偉業を讃え一緒に降板したのでした。また奥さんのケイト・アップトンさんも久々に見た気がします。
素晴らしい5.1 IP、6K!
試合前、かつてのバーランダーをどこまで再現できるのか、あるいはそもそも何イニングまで持つのかは本人を含め誰も予想出来ませんでした。
華やかなエンディングを迎えることは全ての人が望んでいたものの、上述の通り、ハムストリングス痛のため十分な調整が出来ず、ぶっつけ本番レベルでこの日を迎えました。上述の21球というのは実戦形式のシミュレーション・ゲームでの調整のことでしたが、最速でも92mphしか出ていなかったのです。
そんな中、バーランダーは1回表、打者3人を三者凡退に抑える上々の立ち上がり。球速は92-93mphというところでした。
2回表には先頭のオニール・クルーズからスライダーでこの日初めての三振を奪うと、つづくバッターのルーキーのコナー・グリフィンにはシングルを打たれ、この日初めてのランナーを許します。コナー・グリフィンは2006年生まれですから、バーランダーのキャリア2年目に生まれた選手ですね。
ディロン・ディングラーが援護!
バーランダーは試合後、こう語っています。
「試合前に(捕手のディングラーに)『シミュレーション登板の時、一塁に走者がいる状況を想定したんだけど、投球動作を速くできなかったんだ。だから、いつもよりホームプレートへの投球動作が少し遅くなるかもしれない』と伝えたら、彼は『心配しないで、任せてくれ』と言ってくれたんだ」と。
その場面が来ました。コナー・グリフィンはスペンサー・ホルウィッツの打席で、2塁へのスチールを敢行。これを捕手のディロン・ディングラーが見事な動作と送球で盗塁を阻止。有言実行です。確か、『ラブ・オブ・ザ・ゲーム』でも捕手に助けられるシーンがありました。
その後、四球を出すも2回表も無失点に切り抜けます。
HR2本!
3回表も三者凡退に斬って取ったバーランダー。2アウト目をヘンリー・デービスから三振を奪った4シームはついに95mphを記録。つづくライアン・オハーンも94.4mphの4シームで三振を奪っています。
3回裏に満塁のチャンスを活かせなかったタイガース。その反動が4回表のバーランダーの投球にも出てきます。
4回表、バーランダーはイニング先頭のブランドン・ラウにアウトハイへの89.7mphの4シームをRFスタンドに放り込まれ、まずは1被弾。このイニングはやや球速が落ち、コナー・グリフィンの打席で95mphを1球計測しただけでした。
さらに4回裏もチャンスを潰したタイガース打線。バーランダーを援護出来ません。
5回表、2連続三振を奪い2アウトとなった後、バーランダーはジェイコブ・ゴンザレスにカーブをRFスタンドに放り込まれ、この日2被弾目。0-2とリードを拡げられてしまいます。
この後、2連続シングルを浴び、さらにリードを拡げられそうでしたが、2本目のライアン・オハーンが放ったRF前シングルに対し、タイガースのRF、ザック・マッキンストリーが素早い送球を見せ、1塁ランナーのヘンリー・デービスを3Bでアウトにし、これまた『ラブ・オブ・ザ・ゲーム』のように味方守備が好プレーで援護したのでした。
そしていよいよ6回表。バーランダーは先頭のブランドン・ラウをキャッチャー・ファウル・フライに打ち取ったところで、A.J.ヒンチ監督が立ち上がり、降板に。上述のようにお嬢さんのジュネヴィーブさんがマウンドに駆け寄り、その後にヒンチ監督もマウンドへ。降板となりました。
ジャスティン・バーランダーの最後の登板は、5.1 IPで91球、ストライクが57、被安打5、失点2、ER 2、BB 1、SO 6、HR 2でした。きっちりゲームを作りましたね。
タイガース、サヨナラ勝ち!
バーランダー降板後、タイガースは6回裏にようやく反撃開始。ハビアー・バイエスにタイムリー・ダブルが出て1-2と追撃。
8回表にはワゲスパックがタイムリー・トリプルを打たれて、1-3とリードを拡げられるも、9回表にメイソン・モンゴメリーからチャンスを作り、内野ゴロの間に1点を返し、2-3とすると、最後はエドゥアルド・バレンシアがLFへ2ランHRを放ち、4-3でサヨナラ勝利。
バーランダーに勝ち星を付けて上げることは出来ませんでしたが、見事に白星で華を添えたのでした。

ゲーム詳細の動画です。
ジャスティン・バーランダーの偉大なる成績
最後に、ジャスティン・バーランダーの偉大ならキャリアを抜粋しておきたいと思います。
【キャリア通算】
- 2005-2026:21シーズン
- 2020/9/30にトミー・ジョン手術を実施(2021年に全休した分は引いておりません)
- 557試合(557先発)
- 266勝159敗 (勝利数は歴代37位タイ。ボブ・フェラーと同じ)
- ERA 3.33
- IP:3576.2
- SO:3560 (歴代8位)
- Oppo AV: .228
- WHIP :1.14
- GO/AO:0.70
筆者はバーランダーの独特な腕のスイングと腰の回転が大好きなのですが、デビュー・イヤーの2005年は腕が今ほど縦振りではありませんでした。この時のフォームもとても美しいです。2005年のVTRは初三振の分がMLBのアーカイブに残っているのですが、モーションの途中からなので、ちょっとわかりにくいです。下記のリンク記事内につけてある、フューチャーズ・ゲーム(2005)のVTRはがっつりと当時のフォームを映し出してくれております。

【Award・実績】
- 2006 AL ROY
- オールスター出場:10度 (2007, 2009-2013, 2018, 2019, 2022 & 2026)
- 2011 AL MVP
- サイ・ヤング賞受賞:3度(2011, 2019 & 2022)
- 2度目は36歳のシーズン、3度目は39歳のシーズンでの受賞
- 3度受賞者は、マックス・シャーザー、クレイトン・カーショウ、ペドロ・マルチネス、ジム・パーマー、トム・シーバー、サンディー・コーファックス
- 2011 AL ピッチャー・トリプル・クラウン
- Wins: 24 | SO: 250 | ERA: 2.40
- 2017 ALCS MVP
- 2022 AL カムバック・プレーヤー・オブ・ザ・イヤー
- AL ERA 1位:2度 (2011 & 2022)
- AL 最多勝:4度 (2009: 19 | 2011: 24 | 2019: 21 | 2022: 18)
- AL 最高勝率:3度(2007, 2011 & 2022)
- AL 最多投球回数(Innings Pitched):4度 (2009: 240.0 | 2011: 251.0 | 2012:238.1| 2019: 223.0)
- AL 奪三振1位:5度 (2009: 269| 2011: 250 | 2012: 239 | 2016: 254 | 2018: 290)
- AL 完投数1位: 1度(2012:6)
- AL 完封数1位:1度 (2018: 1)
- 15 勝以上のシーズン: 12度 (2006, 2007, 2009-2012, 2014, 2016-2019 & 2022)
- 20 勝以上のシーズン: 2度 (2011 & 2019)
- 200 投球回数以上のシーズン: 12度 (2007-2014 & 2016-2019)
- 200 奪三振以上のシーズン: 9度 (2009-2013 & 2016-2019)
- 300 奪三振以上のシーズン: 1度 (2019)
- ノーヒット・ノーラン:3度
- 2007/6/12 vs MIL | 2011/05/07 vs TOR | 2019/9/1: vs TOR
- ワールドシリーズ・リング:2個(2017 & 2022:アストロズ)
また大好きな投手がスパイクを脱いでしまうことになりました。
ジャスティン・バーランダーはリアルタイムで見られたレジェンドでもありました。
お読みいただき、ありがとうございました。

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