クリストファー・サンチェスは2度目の延長契約
現地2026年3月22日、フィラデルフィア・フィリーズが大きな決断をいたしました。
2025年のNLサイ・ヤング賞投票で2位に入り、近い将来のサイ・ヤング賞候補とも言われているクリストファー・サンチェス(Cristopher Sánchez)と契約延長を行ったと発表しました。
これはクラブの長期的な編成の観点からも大きく、フィリーズが5年以上先もコンテンダーとしての地位の礎を築いたという見方をしていいでしょう。つまり「投」の面で将来の中心投手を据えたということでもあります。
今回の契約内容
今回の延長契約の内容はご覧の通り。
- 6年/$107M (2027-32)+ 2033 クラブオプション
- 2027:$6M | 2028:$9M | 2029 :$15M | 2030:$16M | 2031:$30M | 2032:$30M
- 2033: $44.5M クラブオプション ($1M バイアウト)
- その他、総額$13Mのパフォーマンス・ボーナス
実は今回の契約延長は非常に特殊。
まず、クリストファー・サンチェスの契約延長はすでに1年半前の2024年6月に行われており、それからほとんど間を空けていないという点で特殊です。
さらにこの若さで2度目の延長という点でも特殊です。この点は後述します。
まず、2024年6月の延長内容を見てみましょう。
2024年6月の延長内容
2024年シーズンの真ん中で締結された前回の延長内容はご覧の内容でした。
- 4年/$22.5M (2025-28) + 2029, 2030 クラブオプション
- サイニング・ボーナス: $2M
- 2025$1.5M | 2026 :$3M | 2027:$6M | 2028:$9M
- 2029:$14M クラブオプション ($1M バイアウト)
- 2030:$15M クラブオプション ($1M バイアウト)
- その他、2029-30のベース・サラリーは2028、2029年のサイ・ヤング賞投票の結果で増額(詳細は省略)
- オールスター選出で$0.05Mのボーナス
前契約をどう更新したか?
前の契約をどう更新したのか?はご覧の通りです。
| シーズン | Age | 旧延長契約 (2024/6) | 新延長契約 (2026/3) |
|---|---|---|---|
| 2025 | 28 | $1.5M | – |
| 2026 | 29 | $3M | – |
| 2027 | 30 | $6M | $6M |
| 2028 | 31 | $9M | $9M |
| 2029 | 32 | $14M クラブOpt ($1M バイアウト) | $15M |
| 2030 | 33 | $15M クラブOpt ($1M バイアウト) | $16M |
| 2031 | 34 | – | $30M |
| 2032 | 35 | – | $30M |
| 2033 | 36 | – | $44.5M クラブOpt ($1M バイアウト) |
新たな契約は前契約の2029年、2030年のクラブオプションを確定的なものとし(実際、2029/2030ともバイアウト込の金額設定にした)、さらに2031年から2032年を高額サラリーで保証。そして2033年をさらなる高額サラリーでクラブオプションにしている点にあります。フィリーズとしてはクリストファー・サンチェスを2032年まで管理下に置いたということ。
とは言え、2026年から2028年までは前の延長内容を継承しており、クリストファー・サンチェスの2026年のサラリーはたった$3Mです。
すぐに更新したという珍しさ
キャリアで複数回延長契約を結ぶことはたまにあります。2026年1月にガーディアンズがホセ・ラミレスと更新した例がそれです。
ホセ・ラミレスの場合はMLBで10年以上のキャリアを持ち、既に契約延長期間の大部分を消化。さらに、クラブ側としても以前の契約を見直して繰延払い条項を盛り込むことでキャシュフローをよくしようという動機も働いていたとも言えるでしょう。
今回のクリストファー・サンチェスの場合は投球内容が良すぎて見直しが入ったという点が特殊です。このようなケースはほとんど見られず、通常ならクラブ側がメリットを享受しつくすまで据え置くというになっていたでしょう。フィリーズは良心的とも言えます。
実際、フィリーズも年齢要素と長年の疲れで怪我のリスクを負っている面もあります。直近2年はかなり安いとは言え、誠意を見せた更新と言っていいでしょう。
クリストファー・サンチェスとは
実はクリストファー・サンチェスは年齢は結構行っており、誕生日は1996年12月12日生まれで、2026年は29歳。今回の契約内容は2032年、クリストファー・サンチェスが35歳までのシーズンまで保証するもの。おそらく2033年(36歳)の$44.5Mのクラブオプションはかなり確率で拒否することになる・・・可能性が高いようなそんな内容でもあります。
クリストファー・サンチェスは2013年7月にアマチュアFAとしてレイズとサイン。この時は誕生日が来ていなかったので16歳でした。2014年に17歳でプロデビューし、そこからマイナーで過ごすこと5年、2019年に22歳でレイズのトリプルAまで昇格しました。
2019年11月に3Bのカーティス・ミード(Curtis Mead)とのトレードでフィリーズへ移籍。カーティス・ミードはその後、2025年のトレード・デッドラインでレイズからホワイトソックスへ移籍。現時点でもホワイトソックスのメジャー・ロスターで、今はまだ25歳。
クリストファー・サンチェスは2020年におそらくメジャー・デビューしていたでしょうが、この年はコロナ・パンデミックでマイナーがキャンセルとなり、マイナーでの調整も出来なかったので、この年のデビューはキャンセルとなりました。彼もコロナ禍でキャリアを翻弄された一人です。
2021年に24歳でフィリーズでデビューし、2022年まではリリーフでの登板が中心でこの2年はまだ左腕リリーバーの一人という位置づけでした。
2023年に19試合中、18試合に先発し、99.1 IPに達したクリストファー・サンチェスは3勝5敗で、ERA 3.44をマーク。この年は投球内容が非常に良く、BBレートがたったの4%(MLB平均が8.4%)で、SOレートが24.2%(MLB平均が22.6%)をマーク。一躍注目されることに。
そして2024年に31先発で181.2 IPでERA 3.32、11勝9敗をマーク。この年の前半の破竹の勢いもあり、前回の延長契約を勝ち取ったのでした。
さらに2025年は32先発で202.0 IPでERA 2.50、13勝5敗をマーク。上述のようにサイ・ヤング賞投票で2位に入ったのでした。
フィリーズは長期契約が多い
フィリーズのPOBOのデイブ・ドンブロウスキーは、「(前の延長契約の)4年目と5年目については、当然契約延長するつもりであり、延長しないという選択肢は考えられませんでした。ところが、それ以降の契約についても話し始めたんです。クリストファーのような選手であれば、今のうちに契約を済ませておきたいと考えました。」と語っています。
フィリーズは、クリストファー・サンチェスが他のエリート投手たちと同様に年齢を重ねても活躍し続けると確信しているということですね。契約後半の高単価がそれを表しています。
フィリーズはこれまでも全盛期を過ぎた選手との契約を躊躇してこなかった実績があり、ザック・ウィーラーとアーロン・ノラは37歳まで契約を結んでいます。また、まだ若いヘスス・ルザルドの新たな契約延長には、34歳シーズンのクラブ・オプションが含まれています。
- ザック・ウィーラー:3年/$126M (2025-27)
- アーロン・ノラ:7年/$172M (2024-30)
- ヘスス・ルザルド:
- 1年/$11M (2026)
- 5年/$135M (2027-31) + 2032 $32.5M クラブOpt
また野手ではブライス・ハーパーがで2031年まで、カイル・シュワーバーが2030年、トレイ・ターナーは2033年まで有効でやはり全盛期を見越しての契約が多いです。
- ブライス・ハーパー:13年/$330M (2019-31)
- トレイ・ターナー:11年/$300M (2023-33)
- カイル・シュワーバー:5 年/$150M (2026-30)
今から5年から7年後、フィリーズがどうなっているのか、楽しみでもあります。デーブ・ドンブロウスキーを含めたクラブの眼力が正しいというふうになれば良いですね。
お読みいただき、ありがとうございました。





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