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【MLB2025】2年前はNPBを模索!A’sのブレント・ルッカーが5年の延長契約を勝ち取るまで

A’sとブレント・ルッカーの延長契約について

 現地2025年1月9日のこととなりますが、アスレチックス(2025年から3年間は、都市名がつかずに表記は”Athletcs”のみ)がチームの主力であるブレント・ルッカー(Brent Rooker)と延長契約にサインしました。

 こちらはすでにファイナライズされており、同日に暫定フランチャイズのサクラメントのキンプトン・ソーヤー・ホテル内でデービッド・フォーストGM、マーク・カートセイ監督とともに契約延長を記者会見を行っています。

契約内容

 延長契約内容を見ておきますと、ご覧の通りです。

  • 5 years/$60M (2025-29)+2030 べスティング・オプション
    • サイニング・ボーナス:$10M
    • 2025: $2M| 2026: $6M |2027: $12M |2028: $13M |2029:$17M
    • 2030: $22M べスティング・オプション
      • 2030年のオプションは下記のどちらか達成で行使が保証される
        • (1)2029年の500PAを含む2028-29年で合計900PA
        • (2)2027-29年のMVP投票でトップ10入りを2回
      • 2030年のオプションは以下の項目の達成でベースサラリーが増える
        • 2025-2029の間のMVP投票で1-5位で$2M+
        • 2025-2029の間のMVP投票で6-10位で $1M+

 ブレント・ルッカーの2024年のサラリーは$0.75Mでしたので2025年は$2Mと控えめですが、2年目から大きく上昇する設定です。サイニング・ボーナスの$10Mの受取時期は不明でした。

 6年目はべスティング・オプションで直前までに怪我をしないでくださいねという設定となっています。

A’s史上3番目の高額契約 

 この5年/$60Mという額はアスレチックス史上3番めの高額契約となります。

 アスレチックスは今オフにルイス・セベリーノと3年/$67M (2025-27)でサイン。これがフランチャイズ史上の最高額となります。その次が2004年にエリック・チャベスと結んだ6年/総額$66M。その次がこのルッカーの契約です。

ラスベガスに向けて 

 アスレチックスのホーム移転は2028年。2025年から2027年までの3シーズンはサター・ヘルス・パーク(Sutter Health Park)をフランチャイズとして使用。

 サター・ヘルス・パークはカリフォルニア州サクラメントにあるジャイアンツの3A、サクラメント・リバー・キャッツの本拠地でもあります。このマイナーのチームとの併用です。

 ブレント・ルッカーの契約はその暫定球場の使用期間を超えていますので、ラスベガスの中心打者としてやってくれと頼まれているような内容となっています。

 2028年のブレント・ルッカーは33歳で開幕を迎えますので、経験値も含めて良い時期になりそうです。

これまでのブレント・ルッカー

 2023年と2024シーズンを併せて274安打、69HR、RBI 181をマークしたブレント・ルッカー。とりわけ2024年の成績はすごくて、打率.293、OBP .365、SLG .562、OPS .927、安打数 160、HR 39、 RBI 112という強烈な数字を残しました。

 ただ、そんなブレント・ルッカーも2022年を終えた段階ではMLBキャリアは風前の灯火のような状態だったのです。

2022年はHR 0 

2016年にツインズから38巡目で指名を受けたブレント・ルッカーはそのままミシシッピ州立大に残り、翌シーズンにNCAA SEC(Southeastern Conference)史上2人目となる三冠王を獲得した後、2017年のドラフトで再びツインズから1巡目(全体35位)指名を受けてプロ入りました。エリートとしての入団です。

 ドラフト・イヤーはルーキー・レベルとクラスA+でまずまずの成績を残しました。2018年はダブルAで1年間過ごし、打率.255、OBP .333、SLG .465、HR 22とこちらもまずまずの成績。2019年はトリプルAまで昇格し、67試合で打率 .282、HR 14をマーク。

 そして短縮シーズンとなった2020年にツインズでついにメジャー・デビュー。7試合ながら、19-6で打率.316、HR 1、二塁打 2本をマーク。翌年に大いに期待されました。

 ところが2021年は58試合で打率.201と急落。HRは9と試合数の割にそれなりの数字を残したものの、確実性の乏しい打撃に。

 2022年4月、開幕後にパドレスとツインズでブロックバスター・トレードが成立。ツインズがクリス・パダックとエミリオ・パガンを獲得したトレードでブレント・ルッカーはテイラー・ロジャースとともにパドレスに移籍しました。

 ところがパドレスでは2試合に出場したのみで無安打のまま。8月2日のトレードデッドラインでロイヤルズに移籍。ロイヤルズでも14試合に出場したのみで25-4、打率.160でフィニッシュ。2022年は全く数字が上がらないシーズンとなったのです。

NPBでの機会を探る

 2022シーズン終了後、ほぼロスターから外れることがわかっていたブレント・ルッカーはNPBでプレーする機会を探るべくエージェントにコンタクトを取りました。実際、NPBの球団からも強い関心を引き、のちにマイナーでアスレチックスから得られるであろうサラリーをはるかに上回るオファーを提示されました。

 そして、2022年11月17日にロイヤルズはブレント・ルッカーをDFAとし、ウェーバーにかけたところ、同日にアスレチックスがクレームオフし、首がつながったのです。タイミング次第ではNPBでのディールが成立していたかもしれません。

 サラリーは安くともアスレチックスに入ったことで最終的に今回の$60Mものマルチイヤー・ディールを勝ち取ったのですから、わからないものですね。

本気のスプリング・トレーニング(2023)

 2023年、28歳となるシーズンにブレント・ルッカーはキャリアを賭けて猛然とアピール。スプリング・トレーニングではHRこそ出なかったものの、打率.308、OBP .471、SLG .436をマーク。見事に開幕ロスターを勝ち取ります。

 ただ、2023年のエンゼルスとの開幕戦は3戦で無安打。ちょっとやばい雰囲気が出ていたのですが、4戦目のレイズ戦から調子を取り戻し、2023年は終わってみれば打率.246、OBP .329、SLG .488、HR 30、RBI 69をマーク。夏にはオールスターに出場。見事にスター街道に乗ったのでした。

2024年はSS賞!

 2024シーズンは上述の通り、打率.293、OPS.927、HR 39、RBI 112でさらに進化。オフにはMVP投票で10位に入り、大谷選手がいなくなったALDHにおいてシルバースラッガー賞を受賞するに至ったのでした。

MLB屈指の長距離打者へ

 アスレチックスの選手でSS賞を受賞したのは2002年のエリック・チャベス以来。打率.290以上、HR 30以上、RBI 112 以上を記録したのはアスレチックスの選手としては初のことです。

 打席当たりの得点創出を指数化したwRC+でブレント・ルッカーは164をマーク。これはアーロン・ジャッジの218、大谷選手の181、フアン・ソトの180、ヨルダン・アルバレスの168、ボビー・ウィット・ジュニアの168、ヴラディミール・ゲレーロ・Jr.の165に次いでMLB全打者中7位の成績です。

見えないメリット

 もはやMLBの中軸打者の一人として注目されるブレント・ルッカーですが、アスレチックスにとって、もっと価値のあるものをもたらしているようです。それが彼のクラブハウスでの存在感。

 在籍2年間でフィールドの内外でリーダーシップを発揮していると言います。ルッカーはエリートとして入ったものの、あわやキャリア終了まで経験したことで、その経験知や知恵を若いチームメイトのために惜しみなくシェアしているのだそうです。

 本人も「自分の経験を若い選手たちに注ぎ込み、可能な限り良いチームを作り上げることが、誇りなんだ」と答えているほど、こういったことが好きなようですね。また自然にそれが出来ているのでしょうね。距離感もうまそうです。未来のA’sの監督候補がここにおりますね。

 お読みいただき、ありがとうございあmした。

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