オーナー会議で承認されたものの・・・
現地2024年2月9日、海外での開幕に備えたドジャースのスプリング・トレーニングのピッチャー&キャッチャーのワークアウトが始まりました。グレープフルーツ、カクタス・リーグともに大半は現地2月14/15日からピッチャー&キャッチャーのワークアウトが始まり、2月19/20日にかけて全体でのワークアウトがスタートします。
そんな中、2028年からラスベガスへの移転を計画しているオークランド・アスレチックス。一旦は、現地2023年11月16日のオーナーズ・ミーティングで満場一致でラスベガスへの移転が決定したのですが、ここに来てなかなか苦戦している模様です。
2025年から2027年までのテンポラリーのホーム
順番的には前後するかもしれませんが、アスレチックスのラスベガス移転に伴い発生している緊急性の高い大きな課題は、2025年から2027年までのテンポラリー(暫定的)に使用するフランチャイズをどこにするかという問題。
アスレチックスの歴代フランチャイズ
わかりやすく書くとアスレチックスは歴代、下記のフランチャイズを使用してきました。
- フィラデルフィア(Philadelphia Athletics): 1901-54
- カンザスシティ(Kansas City Athletics): 1955-67
- オークランド(Oakland Athletics): 1968-2024
- 暫定的ホームが未定: X Athletics: 2025-27
- ラスベガス(Las Vegas Athletics): 2028-
ご覧の通り、2025年から2027年までが現時点では未定。
ロブ・マンフレッド・コミッショナーは現地2月8日に記者団からのこの点についての質問に受け、「近いうちに明確になることを期待している。今後数カ月以内に知りたい」ということと、「明らかに西部のどこかになるだろう」と述べています。
当たり前のことを堂々と述べる辺りは、まだ漠然とした情報しか入ってきていないということでしょうね。
候補
1つ候補に上がっているのは、座席数15,000のサクラメントのサッター ヘルス パーク(SUTTER HEALTH PARK)。ここはジャイアンツのトリプルAのサクラメント・リバー・キャッツ(Sacramento River Cats)の本拠地。
Time to say goodbye to Sutter Health
— Steve Klauke (@steveklauke) May 15, 2023
Park, the home of the Sacramento River Cats. Even though there have been some heartbreaking losses here over the years, like today’s game, I always enjoyed being with the people here at the ballpark and the cool night walks back to the hotel. pic.twitter.com/7hfPJHvfMn
さらに仰天案としてはジャイアンツのオラクル・パークを共有するというプランもあります。昔、日本ハムが巨人が使用していた後楽園球場をフランチャイズにしていたのを思い出しますね。
2024年7月には翌年のスケジュールが発表!
この課題のどこが緊急性が高いのかと言えば、MLBは翌年のスケジュールを7月に発表する点にあります。その時までに決めるのが理想であり、おそらくしっかりとデッドラインを守れという指示が入っていることでしょう。現時点から半年を切っています。
ラスベガス市長が疑問視
ここに来てこれが一番痛いところなのですが、ラスベガス市長のキャロリン・グッドマン(女性市長)が驚くべきことに、チームにとって最善の策はオークランドに残ることかもしれないと示唆したことにあります。
なぜ、そういうことなになったのか?
(1)候補地へのこだわり
ラスベガス市長のキャロリン・グッドマンは、現地2024年2月6日に公開されたポッドキャスト番組に出演。アスレチックスの移転計画について上記のように述べたのでした。同市長は 2011年7月からその職を務めおり、複数のプロスポーツフランチャイズの本拠地としてのラスベガス移転などを経験。いわばベテランです。
そのグッドマン市長は場所の選定プロセスに違和感を覚えたと言います。
すでに発表になっているトロピカーナホテル跡への移転計画に対し、同市長は同地域が交通渋滞の問題に悩まされていると繰り返し指摘。ゆえに他に7つの候補地を挙げて検討を依頼したと言います。ところがアスレチックス側はそれらの場所を拒否し、同ホテル跡地にこだわったと言います。これに対し、「意味がわからない」と率直に答える市長。
(2)期限未提出の計画
さらに、アスレチックスは同市にスタジアムのレンダリング図(イメージ)と移転に向けた資金計画を1月に提出することになっていましたが、その期限を過ぎてしまったのです。これが提出されないと先に進まないということになりそうです。
資金繰りの目処がどうなのか、かなり気になりますね。
オークランド市長からもオーナー批判
またラスベガスへの移転計画が精査される中、現地2024年2月8日、オークランド市長はアスレチックスのオーナーのジョン・フィッシャー氏の姿勢を疑問視するスピーチを行いました。市長のシェン・タオ氏は、同オーナーがスタジアム契約を完了するのに苦労したのはこれが初めてではないと指摘。移転計画に疑問を呈しました。
「当初彼が立てたこの計画は実行可能であるという考えがあった。そして今、実際にはその計画は実行不可能である可能性があることがわかっている。問題は、計画が実行不可能なのか、それともオーナーが実行不可能なのかということになる」と。
同市長は 「ジョン・フィッシャーにチームを売却させるか、ハワード・ターミナルかコロシアムかについて真剣に話し合うためにジョン・フィッシャーを我々のテーブルに戻すことが、全員にとって最善の道であることをMLBが理解してくれることを期待している」とも述べています。
これはラスベガスへの移転計画が難航していることを受けての発言でした。
ハワード・ターミナルというのは、かつてオークランドでの新球場の候補地に上がっていた場所で、下記のガントリー・クレーンがそばにあるおしゃれなスタジアム案のこと。
Oakland @MayorShengThao said "It is looking good" after meeting with the @Athletics about the stadium at Howard Terminal. I encourage billionaire polluters Schnitzer Steel (@SSI_Recruiting), @PMSAship & @HarborTruckers to join the effort to create a multi-use, vibrant waterfront. pic.twitter.com/GVYdQIHnOb
— Michael Colbruno ☮️ (@MikeOpera) February 9, 2023
2024年の開幕日にファンがまた逆ボイコットを計画中
2023年にラスベガスの移転計画が明るみになった際、ファンはオーナーに対して逆ボイコットを実施。逆というのは、通常、ボイコットは参加しないという意味がありますが、むしろゲームに観戦に行き、考えを主張するという意味から。
ファンの怒りはもっともで、オーナーのジョン・フィッシャーは老朽化した巨大スタジアムやチームの編成に対し十分な資金を投入せず、チームの魅力を削いだ中で「観客数が少ない」、つまり責任をファンに押し付けた形でラスベガス移転を決めたという点です。観客が少ない点をカードにしたのは、コミッショナーのマンフレッド氏でもあるのですが、2023年のわかりきった惨敗は球場からファンを遠ざけたことは間違いありません。
ただ、アスレチックスの観客動員が少ないのは前からですが、2023年はさらに拍車をかけたという状況でした。
BOGO
2024年3月28日のガーディアンズとのホーム開幕の日、ファンは今度は試合に入らずに外で集まり、アピールすることを考えているようです。この計画はアスレチックスのセールスにも影響を与え、アスレチックスは入場者を増やすためにBOGOを実施することを考えています。
BOGOとは、”buy one, get one”の略で、1つ購入すれば1つは無料でプレゼントとか、もう1つは割引価格で購入出来るとする販売方法のことです。
この場合だとチケットを1枚買えば、もれなくもう1人の入場が可というような売り方ですね。
これは割りと切羽詰まった時のやり口でもありますね。もし、取引先がこんな売り方をしていたら、即座に財務諸表に当たり、あるいは知り合いを伝って資金繰りを調査させますね。
25年から27年までのフランチャイズ決定にあたり、まずはここ数週間で資金の目処が立つのか、アスレチックスの動向に注目が集まりますね。
ちなみにですけど、もしアスレチックスが売りに出たならオークランドにいる間か、あるいはラスベガスに移転後かどちらの方が投資家にとって魅力に見える?と考えた場合、オークランドのファンには申し訳ないのですが、後者のように思います。オーナーはクラブを売却するなら、ラスベガス移転後に・・・と考えているかもしれませんね。これは筆者の妄想です!
お読みいただき、ありがとうございました。
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