メジャーリーガーの土壇場での底力
今季はレッドソックスが2013年以来、9度目のワールドシリーズ制覇を成し遂げて終わりました。
毎年熾烈な闘いが繰り広げられるメジャーリーグではありますが、2018年を振り返ってみると、「土壇場での力」をいろいろな局面で見せつけられたシーズンだったと思っております。
オープナーの採用
アスレチックス、レイズ
2018年、先発が足りないゆえに編み出された戦法に「オープナー」という名が付けられました。スターターではなくオープニングで使うからというのが由来です。
シーズン開幕前に資金力がなくここ数年低迷していたアスレチックスの健闘を誰が予測できたでしょうか。
また、クラブの顔であるケビン・キアマイアーがロンゴリアなどの相次ぐ主力の放出に呆れ顔をし、とても戦える状態でないと思われたレイズが首位争いを演じるなど誰が予測できたでしょうか。
両チームともに知恵を使って強豪に立ち向かった作戦がオープナーです。もっともアスレチックスにはクリス・デービスやマット・チャップマン、ブレイク・トライネンがいたり、レイズにはそのキアマイアーはじめ、C.J.クロン、サイヤング賞のブレイク・スネルなどもおり、オープナーだけが健闘の要因ではありません。
しかし、知恵を使った闘いに称賛を送りたいシーズンでありました。
ブルワーズ
ブルペンがよかったクラブとしては、ブルワーズの闘いぶりもとても印象に残っています。ドジャースとのNLCSで敗れましたが、拍手を送りたくなるチームでした。
9月後半に怒涛のごとく打ちまくったクリスチャン・イェリッチがポストシーズンでは警戒され、イェリッチ自身もその壁を崩せませんでした。若い選手ゆえに2019年以降も相当期待出来ると信じております。
大谷選手の二刀流
メジャーリーグにベーブ・ルース以来の旋風を巻き起こした大谷選手はやはり桁違いの才能の持ち主でした。メジャーリーガー相手に「いっちょ暴れてやるか」とでも言わんばかりの投打にわたる活躍はさすがとしか言いようがありません。
しかもにじみ出る人格の良さもファンを惹きつけた要素だと思っています。
アクーニャ、コペック、ビューラー
大谷選手とともに、ロナルド・アクーニャ・Jr.の活躍もすごかったです。新人ながら26HRを放ち、8月には5試合連続HRを放ちました。ブレーブスの地区優勝に大きく貢献しました。
クリス・セールとのトレードでホワイトソックスへ移籍した豪腕のマイケル・コペックがデビュー。やはりいいボールを投げていました。
大谷選手同様、トミー・ジョン手術となってしまったことは残念でした。あまり肘抜きをするようなテークバックでもないと思ったのですが、強い筋力による速い腕の振りが肘の腱に負担をかけてしまったのかなと思います。
そしてドジャースのウォーカー・ビューラーもよかったです。98、99を平気で出し、変化球もよい。ヒーロー的ないい投手が出てきました。
レッドソックス
何より、先発、ブルペン、打線、走塁、内外野の守備とすべてにおいてバランスが取れ、しかも個人の力が大いに発揮されたのがレッドソックスでした。応援しているクラブというのを差し引いてもやはりバランスがよかったです。1クラブだけ桁の違ったバランスだったように思います。
それでは個別に印象に残ったシーンを7つほどピックアップしたいと思います。
グッときたシーンTOP 7
1位 ブランドン・ウッドラフのガッツポーズ
レッドソックスとフィリーズが好きな筆者ですが、実は今季はこのシーンが一番「よっしゃ」とアツくなったシーンでした。
NLCS Game1でカーショウとの投げ合いに登板した先発投手のブランドン・ウッドラフのガッツポーズです。
ウッドラフは2回表にマニー・マチャードに先制HRを許し、0-1のビハインドに。
大事なLCSの初戦の立ち上がりの失点はシリーズの行方を左右しかねない痛い失点でしたが、直後に回ってきた打席で自らHRを放ち、同点に。
カーショウ登板のドジャースに対して怯まず、狼煙(のろし)を上げたようなHRがとても印象的でした。
やったぜ!という力強いガッツポーズが最高。
2位 イオバルディの熱投
やっぱりこれはピックせざるを得ないです。ピッチャーの投球にここまで声援を送りたくなったのは久しぶりです。アツくなりました。
マンシーにサヨナラHRを打たれた後、ベンチで全員から労われていたシーンはとてもよかったです。
3位 大谷選手のパワー
投手としてのかっこよさはもちろんのこと、驚いたのは打席でのパワー。
エンゼル・スタジアムでのHRはほとんどが左中間センター寄りの滝の前で、そのコースの飛距離もすごいのですが、このHRは本人も見上げるほど高く遠くに飛んでおりました。このパワーには驚き。
4位 ベリンジャーのバックホーム
イオバルディの熱投と同じゲーム中で起こったコーディ・ベリンジャーのバックホーム。
延長10回表、1アウトランナー3塁でヌネスが放った当たりは通常であれば犠牲フライで1点の場面。
ここで失点することはドジャースにとっては致命的な1点になるところでしたが、コーディ・ベリンジャーがここしかないというところに投げました。
スピード、コース、高さともにドンピシャ。
5位 ビューラーのタイブレーカーでの好投
ビューラーはイオバルディが投げ、ベリンジャーが延長10回にホームでアウトにしたWS Game3の先発で、そのゲームの出来も素晴らしかったです。
さらに、筆者はタイブレーカーでのピッチングの安定感に驚きました。ルーキーが負けられない闘いに完璧な投球を披露。この実績がワールドシリーズ登板にもつながったと思っております。筆者的にはこちらの登板の方がビューラーの代名詞的な登板になったと思っています。
6位 ジョシュ・ヘイダー
ヘイダーは1年を通じてすごかったとしか言いようがありません。
7位 マリナーズのボーゲルバック
案外、度肝を抜かれたのがダニエル・ボーゲルバック(Daniel Vogelbach #20)のこのホームランです。
カブスのカイル・シュワーバーを彷彿とさせる選手ですが、このHRはすごいと思いました。今季はHR4本に終わりましたが、この当たりは凄まじかった!
そのほか、ブレイク・トライネンの2シームとか、デービッド・プライスがポストシーズン未勝利の壁を乗り越えたことなどもグッときたシーンでした。
2019年に向けて
シーズン開始当初は両リーグともに強弱が二極化すると踏んでいて、ある意味面白みのないシーズンになるかもという心配な面があったのですが、上述した通り、レイズやアスレチックスが台頭し、ブルワーズも大健闘するなど面白い要素がつまったシーズンだったと思います。
年俸$1M以下の選手が活躍
ジョシュ・ヘイダー、ウォーカー・ビューラー、ロナルド・アクーニャはじめ年俸100万ドル以下の選手が大いに躍動したことで、年俸による格差はある面では解消されたシーズンでもありました。
しかし、オリオールズ、ロイヤルズ、レッズなど大いに苦しんだクラブがあったことから一概に解消できたとは思ってはおりません。
チームには打のキープレヤーと投のキープレヤーがいないと崩れてしまうとあらためて思ったシーズンでもありました。
1月に記事を書きますが、今シーズン苦しんだロイヤルズやタイガースにはいいプロスペクトが揃っていて期待出来ます!
ベテランがグランドから去っていく
そういう激しい新陳代謝によりMLBは変化し、毎年違う味を醸し出してくれます。
しかし、一方でベテラン選手がどんどんとベンチ外へ追いやられている現実が色濃くなったシーズンでもありました。ここは危惧すべき点だと思います。
投打ともに35才以上の選手に働く機会が少なくなるのは残念でなりません。
同時に選手会側も年俸を抑える策を講じてもいいのではないか?とも思っています。そうでもしないと年俸が高いからという理由でリジェクトされるのはもったいなさ過ぎる。
以上、今シーズンを振り返ってみました。
至らぬところがたくさんありましたが、今年1年、大変お世話になり、ありがとうございました。
御礼
思えば7月に新しいこのサイトに移動し、新たな出会いになった方々も大勢いらっしゃるかと思います。
まだ記事の移植はすべて終わってはいませんが、情報の根拠だけはしっかりやってきたつもりでおります。
2019年は誤字脱字防止!を掲げ、楽しいブログを記せたらなと思います。
来年もぜひお付き合いください。よろしくおねがいします。
ツイッターがまだ使いこなせておりません。
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