ナスティー・ネイト!が復活
まだまだ僅差ではあるものの、ア・リーグ西地区の首位を走っているレンジャーズ。もともと打撃は非常に破壊力のあるクラブで、投手陣のテコ入れが必要ということで、このオフにはジェイコブ・デグロム、マーティン・ペレス(QO受諾)、アンドリュー・ヒーニーそしてネイサン・イオバルディとかなり強力なローテーションを構築しました。
デグロムが故障がち
ただ、そのジェイコブ・デグロムはいかんせん故障がちで、フル稼働には至っておりません。もっとも、デグロムの場合はそれを承知で獲得する覚悟が必要だったわけですが。
デグロムは2023年4月17日のロイヤルズ戦で右手首を傷めてゲーム途中で離脱。その後は23日のアスレチックス戦に登板して勝ち投手となったものの、28日のヤンキース戦でまたしてもゲーム途中で降板。翌4月29日にはスローイング・アームの前腕部を傷めたということで、肘の炎症ということで15 day IL に入りました。
デグロムは今週(5月8日から始まる週)遅くにはキャッチボールを再開する見込みにはなっています。
ナスティー・ネイトが見参
そんなレンジャーズの先発ローテーションの中で、デグロムの不調に代わって素晴らしい投球を見せているのがネイサン・イオバルディです。
【前回】NYYをシャットアウト!
開幕5戦目から変化の兆し
ネイサン・イオバルディは 開幕当初は2022シーズンにレッドソックスで見せていたような、今一つピリッとしない投球が続きます。ある程度イニングは投げてはくれるのですが、いかんせん3失点は覚悟という投球です。
開幕2戦目の4月1日のフィリーズ戦では、今季初勝利を上げたものの、5.0イニングで被安打6、失点3、BB2、SO 6。
つづく、4月7日のカブス戦では、5.2イニングを投げて、被安打5、失点2、BB1、SO6。この投球は良かったと思います。
3戦目となった4月12日のロイヤルズ戦では、5.0イニングで、被安打10、失点6、BB0、SO7、HR1。せっかくチューンナップしてきたのにまた元に戻ったかという投球内容でした。
ネイト(ネイサン・イオバルディのこと)は今季もピリッとせずか・・・ということで昨年と同じネイトのままかと思っていました。ところが、現地4月18日のロイヤルズ戦では、6イニングを投げて、被安打7を許しながらも失点2、BB1、SO5と好投。
5度目となった4月24日のレッズ戦では、やや戻って6イニングで被安打6、失点4、自責点3、BB1、SO7の投球ながら、後半の3イニングはスコアレスで何か手応えを掴んだ感のあった投球となりました。
ヤンキース戦でナスティー・ネイトが復活!
そして迎えた4月29日のヤンキース戦。ネイサン・イオバルディは素晴らしい投球を披露しました。
3イニングまではアイザイア・カイナー=ファレファのシングルヒット1本のみ。中盤の4回から6回の間も散発の2安打のみ。
イオバルディはさらに後半3イニングにエンジンがかかって締めにかかり、結局、7回から9回までをパーフェクトに抑える投球内容。
9回、113球を投げ、被安打3、スコアレス、BB 0、SO 8でシャットアウト勝利を上げてしまいます。
ネイサン・イオバルディは2022年10月4日に1度シャットアウトを達成していますが、このときは天候不良でMLBでは珍しい5回コールド・ゲームとなったため、9イニングを投げてのシャットアウト勝利は実質このときが初めてとなります。ヤンキースはけが人だらけでかなり状態が悪かったというのもありますが、シャットアウトとなるのはやはりネイトのピッチングが良かったからに他なりません。
重量打線のLAAに対しても8回スコアレス投球
そして現地2023年5月6日のエンゼルス戦は、前回のヤンキース戦と違い、現時点での打線の迫力は格段に違います。大谷選手、マイク・トラウト、アンソニー・レンドンの3人が揃った上に、ブランドン・ドゥルーリーが好調。厄介な打線です。
ネイサン・イオバルディは、初回にマイク・トラウトにシングルを許すも、大谷選手をLFフライに抑えます。テイラー・ウォードにもシングルを浴びて、2アウト1、3塁とされましたが、ブランドン・ドゥルーリーを95.5mph の4シームでCFライナーに仕留めて、無失点。
2回にもランナーを背負うも、エンゼルスのまず攻めで三振ゲッツーで無失点。また4回から6回もランナーを背負う投球となりましたが、厳しいコースを攻めて無失点に抑えています。イオバルディが三者凡退に打ち取ったのは、3回裏、7回裏、そして8回裏。終盤にかけてさらに良くなるというのがここ3試合の登板の特徴でもあります。
結果、イオバルディは大谷選手にもヒットを許さず、8回、107球で被安打5、スコアレス、BB2、SO5と素晴らしい投球を見せました。
イオバルディはゲームの流れから言っても、2試合連続でシャットアウト勝利も可能だったと思いますが、前回登板に続き、100球超えとなったこと、また、9回表のレンジャーズの攻撃が7点を奪い、時間がかかったこともあり、次戦にも備えるということで8回で降板しました。
ゲームは、4回表にレンジャーズが3本のタイムリー・シングルでエンゼルスのリード・デトマーズを攻略。さらに9回表に登板したタッカー・デービッドソンに2アウトまで奪われながらも、相手の自滅にも助けられて7得点。
9回裏は、2番手のバッバ・トンプソンがブランドン・ドゥルーリーにCFへソロHRを浴びて1失点を献上するも、レンジャーズが10-1のスコアで逃げ切りました。
ネイトは20イニングスコアレスへ!
2戦連続のシャットアウトまで目前に迫ったネイトでしたが、上述の通り8回を投げきって降板。今回の投球で、スコアレス・イニングを計20イニングに伸ばしました。
このスコアレスは、前回登板のヤンキース戦だけでなく、その前のレッズ戦の後半3イニングも含まれております。
【イオバルティーのスコアレス・ログ】
ご覧のような形で20イニングとなっています。
- 4/24 @ CIN 戦:4-6イニング (3.0 IP)
- 4/29 vs NYY戦: 1-9イニング (9.0 IP)
- 5/6 @ LAA戦:1-8イニング (8.0 IP)
今季は調子が良さそう
地元テキサスのクラブに入ったネイトですが、里帰りの要素もあるかもしれませんが、今季はボールの質も良く、やはり調子が良さそうです。
4シームのアベレージ・ベロシティーは95.7mph で2022シーズンと同じですが、スピンレートが2128rphから2198rpmへ改善。空振り率が16.3% から26.4%に跳ね上がっています。
ネイトはスプリット投手でもありますが、ベロシティーは0.9mphほど上がり、スピン量も増えています。スプリット系はベロシティーもスピン量も下がるほど良いので、逆の傾向ではあるので、スプリットはやや落ちかと思います。
カット・ボールはベロシティーが90.6mphから91.2mphへ若干アップ。ただし、変化量は前年の方が垂直方向においても、水平方向においても多かったです。
よって、球質がとりわけ良くなった訳ではないのですが、1つ言えるのはベロシティーが前年より上がったこと、さらにフォームもやや変えていますので、コマンドが良くなり、失投がグンと落ちました。
被HR率が劇的に下がる
また、ネイトと言えば一発屋というくらいHR率が高い傾向がありました。これはバーランダーもそうですが、スピンのきれいな投手はその傾向が強いです。
2022年はとりわけその傾向が強く、シーズントータルで21HRを打たれ、特に4月と5月の2ヶ月だけで計16本を計上。これは異常値ではありました。ハンター・グリーンか、ネイトかというくらいこの二人は突出してしまいました。ネイトの場合、昨年は特にコマンドが悪く、失投につぐ失投でど真ん中に吸い寄せられることが多かったです。
ナスティー・ネイトがこのまま継続してくれれば良いなと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
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