スーパーCFがついにメジャー・デビュー
現地2023年9月11日、カブス@ロッキーズ戦で、カブスのトップ・プロスペクトであるピート・クロウ=アームストロング(Pete Crow-Armstrong)がメジャー・デビューを果たしました!
Congratulations!
この選手はかなり面白い素材の選手。左投げ左打ちのOF。守備、攻撃ともにスピードとパワーを兼ね備えた選手で、2024年のNL ROYの有力候補と言っていいでしょう。
今季大活躍のDバックスのコービン・キャロルとタイプが似ており、今のところ打撃でのコンタクトや、インパクト時のパワーはコービン・キャロルには及びませんが、守備での評価は非常に高く、スーパーCFになりそうな選手です。アームの威力だけでなく、センスが抜群。将来のゴールド・グラブ賞候補でもります。
詳しく見て行きます。
ピート・クロウ=アームストロングとは
カブスのリビルドから始まった!
ピート・クロウ=アームストロングを語る上で必要なのが、2016年にワールドシリーズ・チャンプとなった後のカブスの編成上の解体です。
カブスはWSチャンプ時の中心選手が2021年終了後にFAとなる問題を抱えていました(カブスの2021年問題)。ハビアー・バイエス、クリス・ブライアント、カイル・シュワーバー、アンソニー・リッゾなどがそうでした。彼らは時期を違えてそれぞれ他クラブに移籍することになったのですが、それに拍車をかけたのが2020年のコロナ・パンデミックでした。ゲート収入が途絶えたクラブは完全に解体の方向に向い、彼らは誰一人いなくなりました。
実はメッツの1巡目指名
ピート・クロウ=アームストロングがプロに入ったのは2020年のアマチュア・ドラフト。彼は高校卒でメッツから1巡目指名を受けてプロ入りしたのでした。全体順位は19位です。
カリフォルニア州の高校で、すでにスピードプラスアルファのエリート級OFとみなされていたピート・クロウ=アームストロングは当時は攻撃力に疑問を持つ人もいました。後述しますが、それは全くの杞憂でメッツは彼を獲得できたのは幸運でもありました。
バイエスのトレードでカブスへ
しかし、メッツは痛恨のミスを犯してしまいます。
2021年、メッツはジェイコブ・デグロムの驚異的な投球もあり、前半戦を終えて48勝40敗でNLイーストの首位を快走。この勢いは8月中旬まで継続。優位な立場にあったメッツはさらなる戦力強化としてトレードデッドラインで、カブスからハビアー・バイエスを獲得することに。ちょうど、フランシスコ・リンドーアが腹斜筋を傷めたところでした。
この時に差し出したのが、ピート・クロウ=アームストロングです。
これはカブスが交渉上手だったとも言えますが、バイエスが欲しいならトップ・プロスペクトだということで、ピート・クロウ=アームストロングの獲得に成功。ちょうど解体を進めていたので、3年後を見据えてのトップ・プロスペクトの補強でした。
ドラフト・イヤーはコロナ・パンデミックでマイナーの試合ががキャンセルとなったこともあり、プロでのデビューは2021年に持ち越しとなりました。
2021年、クラスAでスタートしたピート・クロウ=アームストロングは、打率.417をマークしていたのですが、わずか6試合のみの出場にとどまります。ゲーム中の怪我で右肩の関節唇を傷めてしまったのです。この怪我でシーズン・エンディングとなってしまいました。
メッツがトレードに出したのはそういう背景もあったのでした。
カブスで打撃力アップ!
ピート・クロウ=アームストロングの打撃は高校時代はコンタクト重視のアプローチをとり、スプレーヒットを量産し、長打は少なめでした。
怪我も癒えた後、カブスに移ってからですが、スイングの変更に着手。腕を高く上げてからレベル面を長く保てる軌道のスイングに変えることで長打が出るようになりました。
2022年はクラスAとクラスA+に所属し、両レベルを併せて101試合に出場。打率.312、OBP .376、SLG .520をマーク。132安打を放ち、HR 16、二塁打 20、三塁打 10、RBI 61、BB 36、SB 32。
2023年はダブルAで開幕を迎え、73試合に出場。打率.289、OBP .371、SLG .527をマーク。86安打を放ち、HR 14、二塁打 19、三塁打 5、RBI 60、BB 31、SB 27。
トリプルAでは34試合で、打率.271、OBP .350、SLG .479をマーク。38安打で、HR 6、二塁打 7、三塁打 2、RBI 22、BB 15、SB 10。
今季、マイナーでは三振は増えていますが、プロの変化球にしっかりと向き合ってきた形跡もあります。
もはや守備のみの選手ではないことが証明されてのメジャーへのコール・アップでした。
ちなみに守備のどういうところがいいかと言うと、正確で最短ルートで着地点に到達する点が非常に評価が高いです。また身体能力が高いこともお墨付きで、ジャンプ力そしてアーム(肩)の良さも抜群です。
2024 ROY有力候補
カブスが上げてきたのは145試合目。今季の残りは15試合。ルーキー・ステータスは打者はAB (At Bat : 打数)が130以内ですから、仮に残り15試合に4打席ずつ経験してもPAで60ですから、ABは四球も入り、より少なくなるのでルーキー・ステータスをもったまま2024年に資格持ち越しということになります。
カブスはPSの起爆剤に起用か
メジャー・デビューを果たしてピート・クロウ=アームストロングですが、メジャーのフィールドを初めて踏んだのは7回表のピンチ・ランナーから。
なお、1塁ベース上でスマイルを送ったのはカブスOBのクリス・ブライアントです。
通常は守備から打撃へ、あるいは打撃からスタートとなる野手のデビュー戦ですが、ゲーム終盤にピンチランナーでデビューというのは珍しいです。
内野ゴロで二塁へ進塁したピートは早速、三盗を試みるもここはアウトとなりました。
そして初打席は9回表。8回を終えて3-4でロッキーズがリードしている状況だったのですが、カブスはヤン・ゴームズのタイムリーなどで2点を奪い5-4と逆転。
1アウト、ランナー1塁でピート・クロウ=アームストロングに打席が回ってきます。ピート・クロウ=アームストロングは2球目のスライダーを送りバント。ランナーをスコアリング・ポジションに送り、追加点を狙いに行きます。
結果的に後続が倒れて追加点はならずでしたが、このバントはサインなのか、アイデアなのかちょっとわかりませんでした。点差が拮抗していただけにもう1点というこでサインだった可能性もありますが、初打席でバントというのもなかなかないことです。
デビューで気持ちよく打たせなかったカブスですが、これは残り試合、そしてポストシーズンで、守備、あるいは走塁で相当頑張ってもらうよというベンチの意思のようにも思えました。
彼が本領を発揮するのは2024シーズンからでしょうね。
この9月の出場は来年に活きてくることでしょう。
追記:早速スーパー・プレー
現地2023年9月12日、デビュー2戦目となったPCA(ピート・クロウ=アームストロング)は、打撃では内野ゴロで記念すべき1RBIを記録したものの、この日も初ヒットは出ず。
しかし、守備では早速、有能ぶりを発揮しました。ちょっと並みのルーキーではありません。カブスは彼が守るだけでポストシーズンの大きな武器になることは間違いありません。コールアップの狙い通りですね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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