ラックス、待望のレギュラーSSが見送りに
ギャビン・ラックスが膝の怪我を負ったのは現地2023年2月27日のカクタス・リーグでの@パドレス戦でのこと。
VTRでの転倒シーンを見ると、ACL(Anterior Cruciate Ligament: 前十字靭帯)をやったのは明らかで、ベース近くで苦悶の表情を浮かべた後、カートの助けを借りて離脱するギャビン・ラックスの表情からは悔しさや絶望など実に複雑な心境が見て取れたのでした。
どうして膝をやったのかというと、打者ルーク・ウィリアムスの打球が3Bゴロとなり、ダブルプレーを狙う3Bと送球がかぶらないように避けたのです。そこで膝が抜けたような状態になってしまいました。急な方向変換はACLを傷めるケースが多いですね。
Gavin Lux's injury looks pretty bad. pic.twitter.com/0rX8Han6fG
— Chad Moriyama (@ChadMoriyama) February 27, 2023
一夜明けて現地2023年2月28日、精密検査の結果が判明。やはり右膝ACLの断裂との診断で、今季中の復帰は不可というシーズン・エンディングの怪我となったのでした。
「誰でもLADのSSには憧れる」
2016年アマチュア・ドラフトのドジャースの1巡目指名を受けてプロ入りしたギャビン・ラックスはもともとは右投げ左打ちのSSの選手。
2019年にメジャー・デビューを果たした時には、SSにはコーリー・シーガーが君臨し、そのシーガーも2021年オフにFAとなり、レンジャーズと10年/$325M (2022-31)のメガディールを決めてドジャースを去りました。
その前年の2021年のトレード・デッドラインで、ドジャースはナショナルズからマックス・シャーザーとトレイ・ターナーを獲得。
コーリー・シーガーがドジャースを出たのも、2022年はトレイ・ターナーがSSを守ることが明白だったからです。
そのトレイ・ターナーも2022シーズンを終えてFA資格を満たし、2022年12月にフィリーズと11年/$300M (2023-33)のメガディールを締結。ドジャースを去ることになりました。
ここでエブリデーSSのチャンスが回ってきたのが、ギャビン・ラックス。
怪我の後のコメントとしてラックスは、「誰でもドジャースのレギュラーSSの座は憧れる」と応えているように、ようやく手にした矢先のこの怪我だったがゆえに、余計に悔しさなどが去来していたのかもしれません。
SSは誰になる?
そこで問題になるのはそのSSの座。複数選手の名前が上がっているので見てみます。
筆頭:ミゲル・ロハス
なんと言っても筆頭はミゲル・ロハスです。2023年2月の誕生日で34才となったベテランSSは、現地2023年1月11日に、マイナー・リーガーのジェイコブ・アマヤ(Jacob Amaya)とのトレードでドジャースに移籍。
2014年にメジャー・デビューを果たした後、マイアミのSSとして活躍。特に2018年からはエブリデーSSとして出場し、2022年までの4シーズンの平均は、打率.262、OBP .314、SLG .369。HRは年間一桁というところですが、コンタクト力は高いものがあり、やはり筆頭です。
そのミゲル・ロハスも2022年は打率が.236と落ちましたが、実績から言って彼がメインSSを務めることになるのは間違いないところでしょう。
緊急時のオプションにクリス・テイラー
こういう時こそ、ユーティリティー・プレーヤーの出番で、クリス・テイラーもSSの候補として名前が上がりますが、彼の場合はやはりOFでの出場が増えることになりそう。SSを守ることはあっても、ゲーム途中でのシフトの調整という役割になりそうです。つまりは緊急時のオプション。
打撃力が課題のヨニー・ヘルナンデス
ギャビン・ラックスが離脱したゲームでSSのポジションに就いたのがヨニー・ヘルナンデス。24才のスイッチヒッターは、2022年4月にレンジャーズからDバックスにトレードで移籍。2022年はDバックスで12試合に出場したのみ。しかもSSの守備機会は2021年レンジャーズ時代の6試合のみであとは2B、3Bという状況。
打撃では2022年は打率.083と大苦戦。このスプリング・トレーニングでどれだけアピール出来るかが鍵となりそうです。
トップ・プロスペクトのミゲル・バルガス
そこで期待されるのがトッププロスペクトのミゲル・バルガス。しかし、23才のトップ・プロスペクトは出遅れています。1月の練習で右手小指にひびが入り、3月1日にようやく打撃練習を再開したばかり。
しかも、もともとは3Bを得意とする選手で、今季のドジャースはジャスティン・ターナーが抜けたこともあり、3Bにはマックス・マンシーが入る予定。
そしてギャビン・ラックスと二遊間を組むプランがあり、2Bで予定されていたという状況でした。やはり、彼の場合、SSに就かせることはかなり特殊な状況にならないと難しいかもしれません。
FAのジュリクソン・プロファーは?
FAで未契約の選手でSSを守ることが出来る選手としてジュリクソン・プロファーがおります。ただここ数年はLFでの出場ですね。
彼は未契約のままWBCに出場することが決まっていますが、果たしてドジャースが彼に食指を伸ばすか?ミゲル・ロハスがいる以上、ちょっとそれは難しいかもしれません。
FAのホセ・イグレシアス
もうひとり、SSで未契約の選手としてホセ・イグレシアスも残っております。
かつては偉大なSSの一人で、守備でお客さんを呼べるほどの腕前でしたが、ここ数年、打撃力は上がったものの、グラブさばきは著しく低下してしている点は否めません。
以上のことから、現状では外部からのFA選手の補強はちょっとないかもしれません。
トレードでIKF
もはや色々なケースで名前が出てくるようになったのが、現ヤンキースのアイザイア・カイナー=ファレファ(略してIKF)。
ひょっとしたら、トレードでアイザイア・カイナー=ファレファの獲得はあり得るかもしれません。
ヤンキースにはアンソニー・ボルピーというトップ・プロスペクトがおりますし、オズワルド・ペラザは2022年9月にコールアップされ、ポストシーズンではカイナー=ファレファを抑えて先発出場したこともありました。
ペラザとボルピーに非常が期待されている中、くすぶってしまうかもしれないカイナー=ファレファはトレードで出る可能性があります。
以上、色々な選手を見てきましたが、そもそもよくトレードで獲得していなと感心するミゲル・ロハスがどこまでやれるか?が大きな鍵で、それ次第で状況は変わってきそうです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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