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【MLB2023】エンゼルス・オーナー、売却はせず

むしろ売って欲しかった

 現地2023年1月23日、MLB業界に驚きと衝撃をもって迎えられたのがロサンゼルス・エンゼルスのオーナー、アルテ・モレノ氏によるクラブ売却をキャンセルしたというニュースでした。

 アルテ・モレノ氏は、「やり残したこと」があるゆえ、クラブを売却しないことを決定したという声明を発表。

 そもそも売却話が出てきたのは、シーズンも終盤に差し掛かろうかという現地2022年8月23日のこと。エンゼルスの規模から行けば、2-3年のスパンで動くのか?と思いましたが、2022年シーズン終了後には「2023年の開幕までに譲渡を完了させたい」という意向まで出していたのです。それこそ、すぐにでも手放したいという境地からのこの心変わり。これは全くもって業界に衝撃を与えたのでした。

 アルテ・モレノ氏が財を作ったプロセス、彼の業績の功罪については下記のリンク記事にまとめておりますので、是非お読みください。

 なんとしても売ってもらいたかったですね。

土壇場で心残り

 下記はそのモレノ氏の声明が載ったツイート。

 As discussions advanced and began to crystallize, we realized our hearts remain with the Angels, and we are not ready to part ways with the fans, players, and our employees.

「議論が進み、結晶化し始めた時、我々は我々の心がエンゼルスとともにあるということに気づきました。そして我々はファン、選手、そして従業員と道を別つ準備ができていません。」

 モレノ氏はガラチオト・スポーツ・パートナーズ(Galatioto Sports Partners)をフィナンシャル・アドバイザーに起用し、具体的且つ早急に事を進めていたのは事実。

 ただ、売却が現実味を帯びるに従い心が揺れ始め、土壇場になって取り止めにしたようです。

 モレノ氏の考えをよく知る関係者の話では、プロセスが進み、売却の可能性が現実味を帯びるにつれ、20年間キープしてきたフランチャイズを手放すことに難色を見せ始めたということです。

 なお、希望額に達しなかったがゆえの反転か?と言えば、そうではないようです。揺れる想い・・・というところでしょうか。

 情緒的な決断・・・だったのでしょう。

売却候補だった2名

 モレノ氏がウォルト・ディズニー・カンパニーからエンゼルスを買収したのは2003年のこと。これはエンゼルスが1961年のクラブ創設以来、初めてワールドシリーズ・チャンプとなった2002シーズンの翌年のこと。買収額は$183.57M。

 モレノ氏はその後数年に渡ってクラブの価値が急騰するのを目の当たりにしていました。フォーブスによると、2022年3月のエンゼルスの価値は、$2.2B。この時点でほぼ12倍。売却の可能性は$2.5Bまで行くと予測されていました。

 そんな中、売却先の候補に上がっていたのが、NBAゴールデンステート・ウォリアーズのオーナーのジョー・ラコブ(レイコブかもしれません。スペルはJoe Lacob)、ロサンゼルス・タイムズのオーナーであるパトリック・スンシオン(Patrick Soon-Shiong )の両氏。中国系という噂が上がっていたのがパトリック・スンシオン氏のことですね。ちなみに生まれは南アフリカ。外科医でバイオテクノロジー分野で成功。

コミッショナーは歓迎

 MLBのコミッショナーであるロブ・マンフレッド氏はエンゼルスがモレノ・ファミリーに戻ったことを歓迎しています。これは立場的にそういうしかありません。

 サンディエゴで開催されたMLBのウィンターミーティングで、マンフレッド氏は、「データルームに複数の関係者がいる」、つまり関心のある買い手がクラブの財務を詳しく見ていたことを明かし、「クラブは、オープニングデー前に売却を解決したい」と付け加え、売却のプロセスが進んでいることを匂わせました。それ以降、買い手候補はスタジアムの見学も行うようになったとも述べています。つまり、売却はより加速したということです。

また売却話は持ち上がるはず

 モレノ氏は76才。果たしていつまでエンゼルスを維持するのか?と言えば、そんなに長くはないはずという見方も。子供が3人いるようですが、モレノ氏の後を継ぐのかどうかは定かではありません。もし、この継承がうまく行けば長期もあり得るとは思いますが、モレノ氏の代で終わる可能性も。

 そうするとまた売却話は出てきそうです。

 なお、1966年にオープンしたエンゼル・スタジアムは、メジャーで4番目に古い球場であり、大規模な改修が必要な状態。モレノ氏は、球場とその周辺の土地を購入するためにアナハイム市と2度交渉したが、最近では前アナハイム市長に対するFBIの調査が原因で破談になったことがあります。

 急ぎの売却にはこの捜査も絡んでいたのか?という憶測もありましたが、その線はすぐに消えました。

 エンゼル・スタジアムは、主要な高速道路やテーマパークに近く、立地から生まれる収益の可能性は非常に大きいため、オーナー候補にとっては魅力的な場所だと考えられています。さらに、2012年シーズンから発効となったフォックスとの20年/$3Bの放映権も。

 これらの要素は売却候補から見れば大きな魅力です。再びその方向で進む案件に思えて仕方がありません。お金の匂いがしそうですから。

モレノ氏の業績

 なお、モレノ氏はアメリカ・メジャー・スポーツ初のヒスパニック系オーナー。就任後に球場のビールの値段を下げてすぐにファンから信頼を得ることに成功。また、ウラジミール・ゲレロやバートロ・コロンら有名選手と契約し、マイク・ソーシア監督のもと、2004年から2009年までの6年間に5度の地区優勝を達成・・・までは良かったのです。

 マイク・トラウトと大谷選手という超越的な才能を獲得したものの、ブルペンを始めシーズンを乗り切るために必要な編成に投資していないというのがフィールドレベルでの批判点。

 また、スカウティングや選手育成、分析的業務への投資にも消極的で贅沢税の基準額を超えないことを最優先にしているという点がバックオフィスの運営の批判点。

 さらに、近年はモレノ体制のエンゼルスの評判がよくありません。

 マイナーリーグ選手への処遇やインターナショナルFAにおけるボーナスの不払い、そして最大の汚点は、2019年のタイラー・スキャッグスの薬物過剰摂取による死をめぐるもので、長年クラブ広報部に所属していたエリック・ケイが22年の実刑判決を受けたのです。この訴訟は、現在も係争中。さらに、ここ数年賑わせている強粘着物質もエンゼルスの用具担当が関わった事実もあります。

 果たしてクラブのカルチャー面も怪しまれる中、現オーナーでこれらの問題が解決できるのか?見ものです。

 お読みいただき、ありがとうございました。

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