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【MLB 2022】”サイ・ヤング賞”のデービッド・プライスが2022年で引退を表明

サイ・ヤング受賞イヤーからちょうど10年!

 現地2022年9月18日、ドジャースの左腕で、レイズ在籍時の2012年にサイ・ヤング賞を受賞したデービッド・プライス(David Price)が今季をもって引退する意思を表明しました。

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 サイ・ヤング賞受賞イヤーからちょうど10年。2022年8月26日の誕生日で37才となった左腕が大きな決断をしました。

 プライスは“It’s just time, Everything on my body hurts.” 「今が(決断をする)その時であり、体がもう限界です(あちこち痛む)」と述べております。

2022年はショートイニングで登板

 体のあちこちが痛むとも言っているデービッド・プライスは、現時点で15 Day IL入りとなっています。傷めている箇所は左手首。

 2022シーズンはショート・イニングに特化し、ここまで38試合の登板は全てリリーフ。ドジャースとしてもサラリーの高さもあり、登板はしてもらいたいというのもあるでしょうが、プライスの肉体はショート・イニングがもう限界のようです。

 ここでデービッド・プライスの偉大さを振り返ってみます。

デービッド・プライスの功績

 若い頃はとにかくすごかったデービッド・プライス。MLBに入る前からその名は轟いておりました。

アマ時代から別格

 実はテネシー州の高校を出た際、デービッド・プライスはドラフト指名されておりました。2004年のドジャースの19巡目です。やはりこの段階でプロに行くよりも、高い指名順位でプロに行く方がサイニング・ボーナスが上がるため、有望な選手で上位指名されなかった選手は大学へ進学する傾向があります。

 デービッド・プライスもそうで、ドジャースの指名を断り、名門ヴァンダービルト大への進学を選択。ヴァンダービルトでの成績がまたすごくて、Junior(大学3年)時には133.1イニングを投げて11勝1敗、ERA 2.63をマーク。194人の打者から三振を奪い、大学野球の最高峰であるディック・ハウザー・トロフィーを獲得。金属バットの打線が相手ですから。

破格のコントラクト

 大学での圧倒的なキャリアを経て、2007年、全体1位でタンパベイ・デビルレイズ(現タンパベイ・レイズ)から指名を受け、プロ入り。

 今ではドラフトにスロット・バリューがついており、指名順によってサイニング・ボーナスの金額がある程度決まっております。

 たとえば2022年だと全体1位のオリオールズのスロット・バリューは $8,842,200でしたが、実際はマット・ホリデーの息子のジャクソン・ホリデーと$8,190,000でサインしました。スロット・バリュー通りの金額で契約しなくても良いのです。ちなみに全体2位のアンドリュー・ジョーンズの息子のドリュー・ジョーンズはDバックスとサイン。スロット・バリューが$8,185,100だったのに対し、$8,189,400でサインしました。全体1位と2位のサイニング・ボーナスの差は$600でした。

 デービッド・プライスですが、当時は下記のような契約でサインしました。

  • 6 年/$8.5M (2007-12)
    • $5.6M サイニング・ボーナス ( Aug. 31, 2007-12年の間、8/31日に6度の均等払い)

アウォードボーナスなどもついて6年総額で$11.25M。$5.6Mのサイニング・ボーナスは当時でMLB史上2番目の額。

2008年9月にデビュー

 ドラフト・イヤーの翌年のセプテンバー・コールアップでデービッド・プライスはメジャー・デビュー。この年は5試合、14.0イニングの登板のみに終わっています。

 2008年のレイズと言えば、岩村選手が活躍し、ワールドシリーズでフィリーズに敗れたシーズンでしたが、プライスはALDSでは登板しなかったものの、レッドソックスとのALCSで3試合、クローザーとして登板。ERAは0.00でワールドシリーズへ導きました。

 フィリーズとのワールドシリーズでは、2試合にクローザーとして登板。ERAは2.70でした。

2012年にサイ・ヤング賞を受賞

 本格稼働は2009年から。23試合、128.1イニングを投げて10勝7敗。

 2010年は32試合に先発し、208.1イニングを投げ、19勝6敗、ERA2.72でサイ・ヤング賞の投票では2位に。

 2011年は34試合、224.1イニングを投げるも、12勝13敗、ERA 3.49。

 そして2012年。31試合に先発し、211.0イニングを投げ、20勝5敗、ERA 2.56でついにサイ・ヤング賞を受賞するに至りました。この頃は本当にすごかったですね。2013年は27先発、4完投で186.2イニングを投げ、10勝8敗。

【YOUTUBE】Check out the best moments from David Price’s 2012 Cy Young Award Season

2014年にタイガースへ

 2008年から2013年まで6シーズンで4度もポストシーズン進出を果たしていたレイズでしたが、2014シーズンは7月末の時点で勝率5割を切ったことから、トレードデッドラインで動くことに。

 レイズはドリュー・スマイリー、ニック・フランクリン、ウィリー・アダムスを獲得し、オースティン・ジャクソンをシアトル・マリナーズにトレード。デービッド・プライスをデトロイト・タイガースにトレードすることを選択。大きな3チームトレードとなりました。

タイガースのサイ・ヤング・ローテーション

 タイガースは、ジャスティン・バーランダー、マックス・シャーザー、デービッド・プライスで現役サイ・ヤング賞ローテーションを完成。リック・ポーセロも後に2016年にレッドソックスでサイ・ヤング賞を獲得したので、とんでもないローテーションを完成させたのでした。しかし、タイガースは2014年はALDSでオリオールズにスイープされました。なお、このシーズンのプライスの登板イニングは248.1でキャリアハイのイニング数となっています。

 プライスは2014年シーズン終了後、タイガースと調停を避けて$19.75M(2015)で合意。当時の調停資格のサラリーとしては最高額となりました。

 2015年、タイガースは本格的にリビルドを開始。プライスはトレードデッドラインでトロントに移籍しまた。タイガースはダニエル・ノリス、マット・ボイド、ジャイロ・ラボートらを獲得。2015年のプライスは、タイガースとブルージェイズでの数字を併せて220.1 イニングを投げてERA 2.45。この数字はキャリアハイです。またこの年のサイ・ヤング投票では2位に入っております。1位はダラス・カイケルでした。

2016年からレッドソックスへ

 まだプレーオフでの活躍は少ないものの、プライスはその素晴らしいキャリアと圧倒的な成績を引っ提げて、レッドソックスと契約。7年/$217M (2016-22)という内容です。この契約が現在でも生きています。

 当時は「ポストシーズンでの勝利はすべてレッドソックスのために取っておいただけ 」と豪語しておりました。

 レッドソックスでの1年目は230イニングを投げ、35先発と、とにかくよく働き、17勝9敗をマーク。しかし、ERAは3.99とキャリア・ワーストをマーク。この頃から陰りは見えておりました。

 2017年シーズンに肘の故障に見舞われ、ILからスタート。7月下旬に復帰し、9月中旬にはリリーフとして登板。レッドソックスのプレーオフ進出は支えました。

 そして、2018年。ヘルシーな状態でスタートしたプライスは176イニング(30スタート)で16勝7敗、ERA 3.58をマーク。

 最も特筆すべき点は、ポストシーズンでは弱いというバイアスを払拭し、26イニング(5先発)でERA 3.46、23SO、12BBでレッドソックスの15シーズンぶり4度目のワールドシリーズ制覇に貢献したことでした。ALDSでは結果が出ず、苦労したのですが、ALCS以降は輝いてくれました。

 プライスは2019年シーズン、再び怪我と格闘。最初は左肘腱炎、後に左手首三角線維軟骨嚢胞で早々にシーズンエンドへ。

2019年終了後にドジャースへ

 そして、2019年シーズン終了後、ムーキー・ベッツとともにドジャースへ移籍。これはもうコスト削減目的でしたね。このトレードにより、レッドソックスはアレックス・ベルドゥーゴ、コナー・ウォン、ジーター・ダウンズを獲得しています。

2020年はオプトアウト

 プライスはコロナ・パンデミックの影響で短縮シーズンとなった2020年をオプトアウト。マイナー・リーガーへのサラリー補助が話題になりました。

2021年にリリーフとして復帰

 2021年、プライスは2008年以来初めてブルペンメインで復帰。39試合、73.2イニングを投げ、ERAは4.03。ある程度の手応えは掴んだものの、アベレージ・ベロシティーは91.9mphに低下。ずっと20台半ばをマークしていたSO%は17.8%に、BB%も8.0%で2019シーズンより1%悪化しました。

 さらに、右打者のスラッシュラインが.270/.330/.432で、OPSが.762だった一方、、左打者にも.276/.353/.419、OPS.772と打たれ、左投手の強みを活かせなくなってきました。ちなみに2018シーズンの左打者へのスラッシュラインは.210/.291/.381/.672だったのでいかに悪化してしまったかという数字に。

 2022年は上述の通りです。

レッドソックスの支払いも終わりに

 プライスと7年/$217M (2016-22)という大型契約を結んだのはもちろん、DDことデーブ・ドンブロウスキ(現フィリーズBO社長)。

 2019年、レッドソックスの贅沢税へのインパクトは$31Mでした。これはフルシーズンの額なので致し方ないところです。

 ドジャースへのトレードが決まった時点で、プライスには残り$96M(2020-2022)の残額が残っておりました。この半分の$48Mをレッドソックスが支払う契約になっており、レッドソックスは2020年から2022年まで年$16Mのインパクトが発生していましたが、この支払も今季で終了となります。

プライスは最高の投手の一人であった

 プライスは5度のオールスター、1度のサイ・ヤング賞、そして2度のサイ・ヤング賞2位の実績した投手。現時点ではドジャースのポストシーズンのロスターに入れるかどうかは未定ですが、おそらく最後まで準備はすることでしょう。どのようなアクシデントがあるかわかりませんから。そうなるともう一度、ポストシーズンのロスターに入り、リングを獲得できる可能性もあります。最後は有終の美を飾れるでしょうか?

 一つ言えるのは、14シーズンのうち少なくとも5シーズンほどは、MLBで最高の投手の一人であったと言っていいと思います。

 引退後の活躍を祈っています。

 お読みいただき、ありがとうございました。

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