クオリファイング・オファーとは? 2018年のリストで考えてみる(追記あり)

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クオリファイング・オファーとは?

クオリファイング・オファーの返信の期限が現地2018年11月12日の17時に迫ってきました。日本時間で13日の朝6時が期限です。同日はROY(ルーキー・オブ・ザ・イヤー)の発表があり、大谷選手が獲得するか注目が集まりますが、こちらは現地時間で18時ですから、日本時間で13日の朝7時ということで、朝のニュースはこれで埋め尽くされると思います。

2018年にクオリファイング・オファーを受けた選手

さて、今季のクオリファイング・オファーを受けた選手ですが、以下の7名です。現地2018年11月12日、結果が出ましたので追記しておきます。

【2018 クオリファイング・オファー】

  • Astros – LHP ダラス・カイケル(Dallas Keuchel)→拒否
  • D-backs – LHP パトリック・コービン( Patrick Corbin)→拒否
  • D-backs – OF A.J.ポロック( A.J. Pollock)→拒否
  • Dodgers – C ヤズマニ・グランダール(Yasmani Grandal)→拒否
  • Dodgers – LHP Ryu →ACCEPT
  • Nationals – OF ブライス・ハーパー( Bryce Harper)→拒否
  • Red Sox – RHP クレイグ・キンブレル(Craig Kimbrel)→拒否

ドジャースのRyu以外は拒否しました。よって6名はFA市場に飛び出すということになりました。

そもそもクオリファイング・オファー(QO)とは?

簡単に書かせていただくと、元いたクラブ側がフリーエージェント(FA)の権利を取得した選手に対してワールドシリーズ終了から5日間、優先的に条件を提示できることを言います。期間は1年契約、提示額は年度ごとに決まる規定額です。選手はその返事を提示期間終了から10日以内に行うことになっており、2018年は11月2日に締め切られた提示期間に対してその返事が11月12日。

これまでは2012-16 Collective Bargaining Agreement(コレクティブ・バーゲイニング・アグリーメント)に沿って行われ、現在は2017-21 Collective Bargaining Agreementに沿って施行されます。コレクティブ・バーゲイニング・アグリーメントとは労使協定のことです。

QO(旧CBAの)が出来る前の補償

この制度は本当にわかりにくい制度なのですが、「FAと補償」の観点から見るとわかりやすいです。

FAで出た選手の穴埋めにドラフトの指名権を付与するという図式はQOがスタートした2012年を境とした前後で変わっていないのですが、補償(穴埋め)の仕方が変わりました。

QOが出来る前

QOが出来る前、FA選手にはタイプAとタイプBというElias Sports Bureauがつけるランクによって穴埋めのレベルが分けられておりました。FA選手を獲得した側はドラフト1巡目の本来の自軍の順番を喪失側のクラブに譲渡して1巡目の指名がなくなるので、1巡目と2巡目の間にCOMP A(コンプ A)というのが設けられ、そこで指名することができます。補償です。例えば、2011年のNYYの1巡目指名はCOMP Aで獲得した選手です(全体51番めのDante Bichette-まだメジャーデビューなし)。そして2巡目の後に指名できるのがCOMP B(コンプ B)でした。

2011年のドラフト順↓

QOが出来てから

QOが出来て、A・Bのランク分けがなくなりました。それに代わって、QOを受けた選手を獲得したクラブは1巡目の指名権を元いたクラブ側に譲渡するので、その穴埋めにCOMP BALANCE ROUNDで補われました。この時は2012-16の旧CBA(Collective Bargaining Agreement)に沿っております。

過去のQOの受諾

過去、QOは2015年に3名、2016年に2名しか受諾していなかったので、QOによるドラフトの影響はここまではそれほど大きなものではなかったです。

QOの諸要件(新要件) 

ここからは2017-2021年のCBAに沿った2018年現在のQOのお話です。

【QOとなる対象選手】

  • 過去にQOの提示なし(=1度オファーを受けたら、2度めのQOはない)
  • シーズン全期間を通して所属球団にいること。(移籍してきた人は対象外)

【クラブ側の選択権】

  • 対象選手にQOを提示するかどうかはクラブ側に選択権がある

【金額】

  • 金額は規定額で、MLBトップ125選手の平均年俸の金額。2018年は$1,790万ドル。

2018の結果は補償と合わせて追記させていただきます。

以下も追記です 2018年11月13日

【補償 QOを断られた側】

  • QOを断られたクラブがレベニュー・シェアリングを受領するクラブであるケースで、
    • その出ていったFA選手が新しい球団と5,000万ドルより上の金額で契約した場合

→断られたクラブは1巡目とCOMP Balance Round Aの間で指名をすることが出来る。

  • その出ていったFA選手が5,000万ドル以下の金額で契約した場合

→断られたクラブ側は2巡目の後に回ってくるCOMP Balace Round Bで指名することが許される。

(解説)

ますますわかりにくくなりましたね😅

まずレベニュー・シェアリングとはすべてのチームが収益を一定の割合で納め、均等に分配している制度のことです。地域差などによって納付する金額が決まっています。

儲けの多いチームは受領した金額よりも納付した金額の方が多くなり、儲けの少ないチームは納付した金額以上に受領した金額が多くなる、そうすることで儲けの少ないチームにも資金が回り、いい選手を獲得してもらって戦力の均衡を図ろうという制度のことです。

A’s, Braves, Brewers, D-backs, Indians, Mariners, Marlins, Orioles, Padres, Pirates, Rays, Reds, Rockies, Royals, Tigers、Twinsの16チームが「レベニュー・シェアリングを受領するクラブ」で、納付額よりも受領額の方が多くなるクラブ。半分以上ですね。

  • QOを断られたクラブがレベニュー・シェアリングを受領するクラブでなく、さらに「贅沢税のThresholds(基準、しきい値)を超えていない場合

→COM Balance Roud Bの後に新人選手を指名出来る。

(解説)

Angels, Astros, Blue Jays, Cardinals, Cubs, Dodgers, Giants, Mets, Phillies, Rangers, White Sox and Yankeesがこの対象クラブとなる。NYYも入っているんですね。

  • QOを断られたクラブが贅沢税のThresholds(基準、しきい値)を超えている場合

→新しいクラブ側は4巡目指名が終わってからのCOMP ROUNDで指名することが許される。

(解説)

2018年の対象クラブはNationalsとRed Sox

小まとめ

まとめると、断られた側が指名できる権利

* 原則: Compensation after Competitive  Round B (in pick 75-80 range)
* 例外 1: Team paid luxury tax = Compensation after fourth round (mid-100s)
* 例外 2: レベニュー・シェアリングを受領 且つ free agent signed for more than $50 million = Compensation after the first round

【補償 QOを断った選手を獲得した側】

今まではQOを断られた側のクラブに獲得側の1巡目の指名権を譲渡するという制度だったのですが、新しい規定では違います。

何が違うかというと、獲得したクラブの財政状況に基づいて3段階の制度が用意されていることです。

  1. 前年に贅沢税を超えているクラブは2巡目と5巡目の指名を失う。同時に海外選手と契約できる金額の外枠としてのインターナショナル・ボーナス・プールの100万ドルの枠を失う。もしそのクラブが複数のQO拒否選手と契約を結んだ場合、3巡目と5巡目の指名も失う。
  2. 獲得した側のクラブがレベニュー・シェアリングを受け取っていた場合、3巡目の指名権を失う。そのクラブが複数のQO拒否選手と契約を結んだ場合は、4巡目の指名権も失う。
  3. 前年に贅沢税を超えておらず、且つレベニュー・シェアリングも受け取っていないクラブがQO拒否選手を獲得した場合、2巡目の指名権を失う。同時にインターナショナル・ボーナス・プールの50万ドル枠分も喪失する。もしそのクラブが複数のQO拒否選手と契約した場合、3巡目のピックとさらに追加でインターナショナル・ボーナス・プールの50万ドル分の枠を失う。

2019年ドラフトの順位が出たらここにつけたいと思います。それが出るとさらにわかりやすいです。

現状でわかっていること

Astros — LHP Dallas Keuchel: Pick after Competitive Balance Round B

D-backs — LHP Patrick Corbin and OF A.J. Pollock:
A) If either player signs for at least $50 million: Pick between 1st round and Competitive Balance Round A
B) If either player signs for less than $50 million: Pick after Competitive Balance Round B

Dodgers — C Yasmani Grandal and LHP Hyun-Jin Ryu: Pick after Competitive Balance Round B
Ryu was the only player to accept the qualifying offer, so he’ll stick with Los Angeles on a one-year deal.

Nationals — OF Bryce Harper: Pick after Round 4

Red Sox — RHP Craig Kimbrel: Pick after Round 4

https://www.mlb.com/news/draft-picks-for-2018-19-qualifying-offers/c-300535882

まとめ

まあ、QO拒否選手を獲得したクラブは今までと違って、1巡目も指名できる!!ということですね。これが今までと違うところです。

確かに10巡目くらいの間で指名できないことは後々のスターの輩出に影響が出るとは思います。1巡目だからスターになる補償などなく、マイク・ピアッツァなどは62巡目というケースもあるのですから、それより前の2巡目とか3巡目などで指名できないケースは将来的に穴があくように影響が出てくるでしょう。

でも、とりあえずは1巡目で指名できるような選手はなんとしてでも取りたいという、これはひょっとして帝国あたりのオーナーの意向なのか??が反映してそうな制度だと思います。

そもそものQOのメリット(クラブ、選手双方)

では、なんでこんな制度があるのかというと、MLBのQOの制度設計はNFL、NBAから遅れて出来たもので、実態としてまだ機能しきれていない大きな要素があります。ただ、NBAもNFLも機能しているケースが多くて、MLBももう少し制度設計を考慮すればクラブ、選手双方にとってもっと救いになる制度になる可能性は十分に秘めていると思います。

クラブ側

制度的には、QOオファーのクラブ側にはFA選手を優先的に引き止める交渉(実際は提示のみですが)ができるということでこれは本来なら大きなメリットであるはずなんです。

選手側

また、オファーされる選手側には、昨年のムスターカスのようにQOを拒否してFA市場に打って出たはいいものの、結局はQOの半分くらいの金額で元いたロイヤルズに買い取ってもらったというケースもあることから、単年契約となっても十分に高い年俸を確実にもらえるということでこれがあるに越したことはないと思います。あくまで制度的に。

制度設計の見直しも必要では

QOによってクラブ、選手双方を救済しなくても何か別の策があってもいいとは思いますが、他競技でそれなりの効果を発揮しているQOをとりあえずは整理するとして、

  • もっとQOが喜ばれる選手を対象とする(選手側にメリットあり)。今のようにハーパー・クラスを対象としても拒絶するのは目に見えている。
  • 1年の提示額をもっと下げる(クラブ側にメリット)今ならハーパー・クラスから見れば安すぎて拒否されることは明白ではあるのですが、700万ドルくらいでガッツポーズするような選手を対象にするようになれば双方ともにもっとメリットが出ると思うんですけどね。

などを整理する必要があると思います。ということはまずは資格選手をもっとその名の通りクオリファイ(適合)させることを考えた方がよいと思います。

長くなって申し訳ありません。いつもの記事の4倍ほどの量になってしまいました。

ここまでお読みいただいた方、ありがとうございました。

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