スポンサーリンク

【NEW CBA】MLBが提案した新サービスタイム(調停/FA)の考えとは?

NEW CBA 2021年12月1日施行に向け

 現地2021年9月1日の情報です。月末月初で仕事が忙しく更新できていなかったので、ここで改めて記載しておきたいと思います。MLBとMLBPAが新しいCBA締結に向けて8月に会合を持ちました。

 協議内容は公開されているものではなく、MLBメディアの記者の方々の情報取得によるリークです。よって詳細が不明な点もあります。

 現行のCBA (COLLECTIVE BARGAINING AGREEMENT=労使協定)が2021年11月30日で有効期限が切れることから、12月1日施行の新しいCBA締結に向けて、MLBとMLBPA(MLB Players Association: MLB選手会)の協議が始まっています。

New CBAが決まらない限り、動きはストップ

 なお、この新しいCBAが正式に施行されない限り、以降の動きが止まってしまいますので、なんとしてでも12月1日に施行となるよう、双方ともに動いています。

1度目は贅沢税基準額を180Mドル、ミニマムで100Mドル

 現地2021年8月に行われた1度目のFace to Faceの会合では、贅沢税の基準額を$180Mとし、各クラブともサラリー総額をミニマムで$100Mとする。そして$180Mを超過した分を、$100Mになるよう分配する原資とするという提案をMLBがMLBPAに投げたという内容でした。詳細は下記の記事に記載しています。

新サービスタイムの提案(調停/FA)

 今回明るみになったMLBからの提案は、贅沢税の基準額$180M、最低$100Mを制度化するという提案の一貫。

 MLBが提案していたのは、MLBの選手に関する制度の中で根幹となるもので、調停とFAに関するもの。

  • 【調停】Arbitration(年俸調停)に代わるものとして、すべての調停の有資格プレーヤーに10億ドルの金額をプール。それにフォーミュラを適用して、10億ドルの中から配分する。
    • なお、プールする10億ドルは将来の収益に紐づくとしており、金額が変わる可能性を示唆しています。
    • ちなみに今シーズンの調停対象のプレーヤーが受け取った額というのが約6億5000万ドルだったそうです。
  • 【FA】29.5才でフリーエージェントを取得することを許可。
    • 29.5才というのは7月1日を前後に半年。
    • 【要確認】こちら、7月1日と半年というフレーズで各メディアは謳っています。意味としては、7月1日に29.5才に到達しているかどうか?だと思うのですが、バッファ期間の半年の意味が、やや曖昧です。7月1日より前の3ヶ月+7月1日より後の3ヶ月の計6ヶ月という意味なのか?それとも7月1日を基準に、+ーで半間のバッファを取るのか?ちょっと確認の時間をください。

 なお、MLS(Major League Service Time)の計算方法は、今回は議論に上がっていないようですから、あくまで現状をベースにというところかと思います。だいぶ前に書いた記事ですが、ご参考までに下記のリンクを。

現状はFA6年/調停3年

 では現状はどなのか?というと、これはもうMLBファンの方は周知の事実ですが、おさらいの意味で。

 現在、通年のサービスは1年を172日と計算され、6年のサービスタイムに到達したすべてのプレーヤーはフリーエージェント(FA)になることができ、3年に到達したすべてのプレーヤーは調停資格となります。また、MLSが2年以上3年未満の選手の上位22%がスーパー2(Super Twos)の対象として調停の権利が与えられます。

提案の背景は、MLS操作を防ぐ

 今回、MLBが年齢に基づいてFAの資格を得るという提案をした背景には、MLS操作によるFA遅延の改善をプレーヤーから訴えられていたというのがあります。

 現状のシステムでは、プレーヤーはシーズンの終わりに最初にFAの資格を得て、6年間を経てFAになります。6年のMLSはフルに満たさなければなりません。

 フルに満たすには、6年間、172日はアクティブロスターに入る必要があります。つまり、ルーキーシーズンの4月下旬に最初にMLBに昇格したプレーヤーは、そのベンチマークをわずかに下回ります。 たくさんのトッププロスペクトがこれにより、1年目が172日を満たさず、クラブは実質的に7年目まで彼らを支配下に置いているという現状があります。

 カブスがクリス・ブライアントにしたのはそういうことです。後に、クリス・ブライアントは調停委員会に訴えましたね。 

 そのMLS操作に対しての対処案を出してきたというのが今回のFA面での提案。

問題点

調停は実質サラリーキャップ?

 今回の提案の問題点を挙げるなら、調停資格の選手に対して10億ドルの金額枠を定めるのは、サラリーキャップ制度とほぼ同じであるとも言えます。その点で、選手会は反発しそうです。

早期デビューのスターは6年以上??

 29.5才でのFA取得に関しては、2018年に19才でデビューしたフアン・ソトや、2019年に20才でデビューしたヴラディーミル・ゲレロ・Jr.のように、早くデビューしたスター選手は、長期間縛られることに。ソトに至っては10シーズンプレーする必要が出てきます。

 ちなみに、2012年に19才でデビューしたブライス・ハーパーは、2018年10月にFAを取得。MLS6年を満たすために、ナショナルズで7シーズンプレーしました。2018シーズンは25才のシーズン。FAでフィリーズとサインしましたが、2021年は28才のシーズン。誕生日が10月16日のハーパーが29.5才を満たすシーズンは、2023年です。

29.5才が先に来るプレーヤーは?  

 もし、これが有効となると、今オフにFAとなる選手は今の制度が適用になるでしょう。CBA改定前の10月がFAになるでしょうから。

 問題は2022年以降にFAとなる選手。たとえば、現制度でMLS6年が2023年になる予定のアーロン・ジャッジなどは29.5才の方が先に来てしまいます。現時点で29才のアーロン・ジャッジは4月26日が誕生日なので、2021年10月26日で29.5才に。半年のバッファをどこに定めるのか(ここは上記の通り、確認中です)で、2022年終了でFAとなるのか、2023年でFAになるのかの分かれ目が出てきます。

 細かいところですが、結構インパクトのあるプレーヤーが対象になりますので、ここは議論が必至です。

MLBPAは?

 贅沢税の件とともに、このMLSの件に関し、MLBPAがどう反応したかは明らかにはなっていません。MLS操作への対処という点では、好印象かと思いますが、上記の懸念点があります。

 FAに関しては29.5才か、MLS6年のどちらか早い方という回答もあり得ますが、そうなるとクレームをつけるクラブも出てくるでしょう。また、10億(もしくはシーズンの収益に紐づく金額設定)の調停用の金額プールもどう対処するのか?注目ですね。

 まずは制度的な大枠の現状の問題点の解決から着手。その後に、フィールド上の運営ルール改定へと進むと思われます。

 ちなみに、毎回、ぎりぎりまで回答が出ません。

 お読みいただき、ありがとうございました。

コメント

スポンサーリンク

NEW

【MLB移籍2024】レッドソックス、カブスで出場機会に恵まれなかったギャレット・クーパーを金銭トレードで獲得!
【MLB2024】プレーヤーズ・ウィークエンドが復活!人気企画も前回とは違う装い
【MLB2024】ピート・クロウ=アームストロング(カブス/NLROY候補)がメジャー初HRを放つ!
【MLB2024】A’sが投手力でヤンキースをねじ伏せる!JP・シアーズ、メイソン・ミラーがシャットアウト・リレー
【MLB2024】大谷選手が日本人メジャー歴代最多HRを達成
【MLB2024】シーズン最初の5先発でERA 0.66! カッター・クロフォード(BOS)がクレメンスに並ぶ!
【MLB2024】カブス・今永投手はついに初自責点を記録するも、またもQスタート達成で3勝目
【MLB2024】レンジャーズ、ジャック・ライターがついにメジャー・デビュー!しかし、翌日にAAAへ
【MLB2024】タナー・ハウクがシャットアウト勝利!試合時間はたったの1時間49 分!
【MLB2024】ムーキー・ベッツが5-5! 過去のキャリアハイの打率.346、安打数 214を超えるシーズンになるか!
【MLB2024】マイケル・ローレンツェンのレンジャーズ・デビューはスコアレス投球!
【MLB2024】カブスの鈴木誠也選手が10 Day ILへ(右腹斜筋)
【MLB2024】カブス・今永投手が2勝目!ERA は未だ0.00 !鈴木誠也選手が勝ち越し援護弾!
【MLB2024】アスレチックス、投手陣が改善!P・ブラックバーンは19.1 IPスコアレス、メイソン・ミラーは104mphを記録
【MLB2024】ホワイトソックスは試練が続く!3Bのヨアン・モンカダが少なくとも3ヶ月の離脱へ(右内転筋)
【MLB2024】レッドソックスのトレバー・ストーリーが左肩手術で今季終了!ニック・ピベッタも肘痛を発症
【MLB2024】レッドソックス、セダン・ラファエラと8年/50Mドルで延長契約
【MLB2024】日食(Solar eclipse)
【MLB2024】スティーブン・ストラスバーグの引退が正式に決まる!
【MLB2024】UCL損傷の投手が続出!シェーン・ビーバー、スペンサー・ストライダー、エウリー・ペレス、J・ロアイシガら(追記あり2)
【MLB2024】山本由伸投手、2度の満塁のピンチを乗り越え、メジャー初勝利!5.0 IP、8 K!
【MLB2024】カブス、ドジャースに打ち勝つ!鈴木選手は3 RBI、大谷選手は今季2号
【MLB2024】「出ました!」大谷選手、爆音とともに今季第1号HR!
【MLB2024】「お待たせ!」と言わんばかりにブライス・ハーパーがグランドスラムを含む3HR
【MLB2024】早くもノーヒット・ノーランが成立!アストロズのロネル・ブランコがキャリア8戦目の先発で偉業を達成
【MLB2024】パイレーツがルーキー・ジャレッド・ジョーンズの好投もあり開幕4連勝
【MLB2024】山本由伸投手がホーム・デビュー!途中からの降雨にもかかわらずスコアレス投球で好投
【MLB2024】ブレーブスが連勝スタート!フィリーズは先発のノラがラフ・スタートで大敗
【MLB開幕2024】”球際に強すぎ”!ブルワーズのジャクソン・チューリオがデビュー戦で輝く
【MLB2024開幕】レッドソックス、タイラー・オニールの5シーズン連続開幕HRなどで勝利
タイトルとURLをコピーしました