QO結果判明後のルールを改めて
現地2023年12月2日、そろそろQOを提示されたFAプレーヤー結果が出そうです。以前、クオリファイング・オファーについて以下の記事でまとめさせていただきましたが、ここで改めてQO結果後の補償とペナルティーについて記載しておこうと思います。以前、QOに関しては下記の記事にまとめさせていただきました。
2022-26 CBA上のルール
こちらは前の2017-21 CBAをもとに書かせていただいた記事です。2022-26 CBAの団体協約の条項では、MLBとMLB選手会は2022年7月25日までにインターナショナル・ドラフトの実施について合意する機会があり、2022-23年オフシーズンからクオリファイング・オファーが廃止されることになっていました。しかし、両者は期限までに合意に至らず、この制度は現行のCBAが終了するまで存続することになっています。
QO受諾の場合
2024年は大谷選手を含めて7名がQOを提示されましたが、全員拒否してFAとなりました。仮に受け入れた場合は、1年契約でMLBトップ125選手の平均年俸から算出したサラリーでサインということになります。2024年の場合は$20.325M。これはルールとして複雑ではないので、補足程度にしておきます。
QO拒否された選手の元の所属先の補償
QOを提示された選手が拒否してFAとなり、他のクラブとサインした場合、例えば大谷選手はQOを拒否したので、他のクラブとサインした場合のエンゼルスの補償ということになります。元いた所属クラブにはドラフトピックの補償が与えられてます。そのカテゴリーは4つ。
(1)贅沢税(CB TAX)超過クラブ
選手を失ったクラブが贅沢税の基準額を超えた場合、補償ピックはRound 4終了後に設定されます。この場合、選手の契約額は問いません。
(贅沢税超過クラブ)
Blue Jays, Braves, Dodgers, Mets, Padres, Phillies, Rangers, Yankees
なお、Angelsは当初、このカテゴリーに入る予定でしたが、$232.9Mというテクニカルな手法を駆使し、超過は免れております。
(2)レベニュー・シェアリングを受領 & M以上の契約
選手を失ったクラブが、その収入と市場規模に基づいてレベニューシェアリングを受けている場合、元いた選手が$50M以上で契約する場合に限り、Round 1とCompetitive Balance Round Aの間に指名権が与えられる。
(3)レベニュー・シェアリングを受領 & M未満で契約
選手を失ったクラブがレベニューシェアリングを受領しており、もといた選手が新しいクラブと$50M未満で契約した場合、もといたクラブは Round2の後のCompetitive Balance Round Bでの指名権が与えられる
(レベニュー・シェアリング受領クラブ)
Athletics, Brewers, D-backs, Guardians, Mariners, Marlins, Orioles, Pirates, Rays, Reds, Rockies, Royals, Tigers, Twins
(4)それ以外のクラブ
選手を失ったクラブがレベニューシェアリングを受けておらず、前シーズンにCBTサラリーのしきい値を超えていなかった場合、そのクラブの補償指名権はCompetitive Balance Round Bの後で指名権が与えられます。
CB TAX閾値内&RS受領せず
Astros, Cardinals, Cubs, Giants, Nationals, Red Sox, White Sox, Angels
Angelsはこのカテゴリーに入ることとなりました。
補填指名権が重複した場合はドラフトと同様のルールで順位付けをします。前シーズンの順位に従います。MLBワーストの成績のクラブと5割の成績を残したクラブがともに$50M以上の契約でFA選手を失った場合、成績の悪い方のクラブが2つの指名権のうち高い順位で指名権を受け取るこことが出来ます。
QO を拒否した選手とサインしたクラブのペナルティー
QOを拒否した選手と契約したクラブは、ドラフト指名権を1つ以上失うことになります。ただし、クラブの最高順位の1巡目指名権は没収の対象外です。ここが2022-26 CBAの変更点でもあります(都合がよくなった!)。
なお、QOを拒否した選手が、翌年のMLBドラフト開始後になっても未契約の場合は、この対象ではありません(決まっていませんからね)。
QOを拒否した選手と契約した場合のペナルティとしてのドラフト指名権の没収は、サインした球団の財務状況に応じて以下の3つのカテゴリーに分けられます。
(1)贅沢税(CB TAX)超過クラブ
- ドラフト2番目と5番目に高い指名権が没収されます
- それとととに次の契約期間のインターナショナルボーナスプールから$1M分を失います。
- QOを拒否した複数のFA選手と契約した場合は、3番目と6番目の指名権も没収されます。
(2)レベニュー・シェアリング受領 クラブ
- 翌年のドラフトで3番目に高い指名権を喪失
- 2人のQO拒否FA選手と契約した場合、残り4番目に高い指名権も没収
(3)それ以外のクラブ
レベニューシェアリングを受領しておらず、かつ前シーズンに贅沢税の基準額を超えなかったクラブがQO拒否のFA選手とサインした場合、
- 翌年のドラフトで2番目に高い指名権を喪失
- 次の契約期間のインターナショナルボーナスプールから$0.5Mの枠を失う。
- 2人のFA選手とサインした場合、残り3番目に高い指名権とさらに$0.5Mを没収されます。
2023-2024 QOのケース
- 大谷翔平(エンゼルス)
- (補償)エンゼルス:それ以外=補償ピックはCompetitive Balance Round Bの後
- コディー・ベリンジャー(カブス)
- (補償)カブス:それ以外=Competitive Balance Round Bの後に指名権
- マット・チャップマン(ブルージェイズ)
- (補償)ブルージェイズ:贅沢税超過=補償ピックはRound 4終了後に指名権
- ソニー・グレイ(ツインズ)
- (補償)ツインズ:RS受領 + STLと$75M=Round 1とCompetitive Balance Round Aの間で指名権
- (ペナルティー)STL:それ以外(NO CBT over & NO RS)
- 翌年のドラフトで2番目に高い指名権を喪失
- IBP $0.5M枠を喪失
- ジョシュ・ヘイダー(パドレス)
- (補償)パドレス:贅沢税超過=Round 4終了後に指名権
- アーロン・ノラ(フィリーズ):再契約
- ブレイク・スネル(パドレス)
- (補償)パドレス:贅沢税超過=Round 4終了後に指名権
こちらは選手のディールが決まればまた更新します。
お読みいただき、ありがとうございました。
コメント