元祖小兵
現地2020年4月12日、新型コロナウィルスが一向に終息の気配を見せぬ中、どうも主観的にどんよりとした雰囲気を感じる方が多いと思います。
そんな中、少しでも元気になる話題を!と思いまして、数日前から考えていた記事を投稿させていただきます。
そんな時はこの選手を思い出して、あるいは触れてみてはいかがでしょうか?大谷選手の所属するロサンゼルス・エンゼルスのOB、デービッド・エクスタイン(David Eckstein)です。
「ハツラツプレー」と言えばエクスタイン
2000年代、あるいはそれ以前からメジャーを見ている方ならおなじみのデービッド・エクスタインはとにかく「ハツラツプレー」で有名ですね。2010年代以降にMLBに親しんで来られて世代の方も一度は名前を聞いたことがあると思います。
とにかく彼がグランドにいると空気が変わる。そんなことが出来た選手がエクスタインだと筆者は思っています。
2002年エンゼルスのWS制覇に貢献
1961年創立のエンゼルスが唯一ワールドシリーズ・チャンプとなったのが2002年。ALのペナントを制したのも60年のフランチャイズ・ヒストリーの中でこの年が唯一です。計10度(2002年を含む)、ポストシーズンに進出していずれもワールドシリーズの壁に跳返されています。
その唯一のワールドシリーズ・チャンプの年に大きく貢献したのがこのデービッド・エクスタインでした。
2001年にデビュー、ROY4位
もともとデービッド・エクスタインはレッドソックスに所属。1997年、高卒の年に19巡目でレッドソックスから指名を受けサイン。フロリダ・ゲーターズことフロリダ大への進学を蹴ってレッドソックスに入りました。見出したスカウトもえらいと思います。
レッドソックスがウェーバーに
エクスタインは順調に成長し、4年後の2000年にはトリプルAに昇格するまで力をつけていたのですが、レッドソックスは彼をウェーバーにかけることに。これはちょっと残念でしたね。当時の編成の事情などもありますからこれは致し方ないです。2000年当時のルール5ドラフトの資格がちょっと出てこなかったのですが、今のルールならこのままオフまで残しておいてもルール5ドラフトに出していたでしょうね。
なおウェーバーでクレームオフしたのがアナハイム・エンゼルスでした。2000年8月16日のことです。
翌年の2001年4月3日の開幕からメジャーデビュー。この年、エクスタインは26才でのデビューだったということも特筆ですね。低い身長、重なる年齢とかなり焦ったはずです。
しかし、蓋をあければこれまでの蓄積が実を結んだかのように、この年は大活躍。153試合に出場し、打率.285、OBP .355、SLG .357、安打数166、二塁打26、三塁打2、HR4、RBI 41、盗塁29でROYの投票4位に入りました。なお、この年のア・リーグのROY1位はイチロー選手ですね。
際立つ進塁打
新人で166本もヒットを放ちながら、犠牲バントが16本、なんと言っても四球を43個も稼いだのはいいつなぎの役割を果たしたと思います。なお独特のベースにかぶさるような構えから死球も多く、この年21個でリーグ1位です。
2002年にWS制覇
そして2002年。前年に4チーム中3位だったクラブが発奮。これにはチームの主力にティム・サーモン、ギャレット・アンダーソン、トロイ・グロースなど良い打者が軒並みいたことも確かですし、投手陣もがんばりました。その中にあって、2番打者として攻撃を有機的につないだエクスタインの活躍は大きかったです。
この年のエクスタインの成績は打率.293、OBP .363、SLG .388、安打数178、二塁打22、三塁打6、HR8、RBI 63、盗塁21、四球45、死球27、犠牲バント14。2年連続で死球はリーグ1位となりましたが、やはりしつこい攻撃はチームの攻撃を有機的に結びつけたと思います。
エンゼルスには2004シーズンまでいました。
2006年カージナルスでWS制覇、WS MVPに
2004年オフにFAとなったエクスタインはカージナルスとサイン。この年すでに30才。小さい選手にとってはここから厳しくなる頃です。実際、カージナルス1年は158試合に出場するも、この年は123試合にとどまりました。
しかしエクスタインはここでさらに進化。うまさに磨きがかかりました。
レギュラーシーズンの出場試合数は落ちたものの、ワールドシリーズでは要所で活躍。22打数8安打、二塁打3本、RBI 4、打率.364、OBP .391、SLG .500でシリーズMVPを獲得しました。
2000年から続くメジャーの小兵の元祖
「現在のメジャーリーグの小兵」と言えば、言わずもがな、アストロズのホセ・アルトゥーベですね。「小兵」とは背が小さいけれども、ゲームに莫大なインパクトを残した選手という意味で使わせていただきます。ありふれた言葉ですが、「小さな巨人」ですね。ハイキュー!みたいですが。
アルトゥーベの身長5フィート6インチ、168 cmです。単位換算を正確に行うと167.64 cm。
今の小兵と言えばアルトゥーベ
ホセ・アルトゥーベは今オフ明らかとなったイリーガルなサイン・スティーリングで名誉を汚した感がありますが、2014年から2017年まで4年連続で右打者で200安打を達成したのは揺るぎない事実。ただ、この中に問題の2017年が入っていたのはやはり残念ではあります。ファンとしても冷静にきちんと評価すべき年は評価して見たいとは思っています。
ペドロイアもすごかった
そして遡りまして、アルトゥーベの前の2006年から出始めた代表的な小兵はレッドソックスのダスティン・ペドロイアですね。彼の身長は5フィート9インチで175.26 cm。ペドロイアこそヘッズアップ・プレーをたくさん見せてくれた選手です。彼より小さい選手はまだいますが、やはりメジャーで175cmというのは小さい部類ですね。
元祖小兵のエクスタイン
そしてペドロイアからさらに遡って2000年代に入って驚かせたのはやはり、デービッド・エクスタインですね。彼の身長はアルトゥーベと同じ5フィート6インチで、168cm。
より専門化し、パワーとスピードが求められる時代に170cm以下で戦ったエクスタインは身長というバイアスを取り除いてスタッツをしっかり見るということを意識づけたという点で偉大な仕事を成し遂げたと思っています。(そう言いながら、身長のことを取り上げた点はごめんなさい。偉大さを醸し出すにはやはり引っ張り出さなければならないファクターでした。)
所属したクラブ
エクスタインと言えば、筆者などはエンゼルスのイメージが強いのですが、むしろカージナルスでの実績の方が評価は高いかもしれません。
彼が所属したクラブです。
- エンゼルス:2001−2004
- カージナルス:2005-2007
- ブルージェイズ:2008前半
- ダイヤモンドバックス:2008後半
- パドレス:2009-2010
キャリア最後のクラブはパドレス。2009年には136試合に出場。打席数は568。エブリデー2Bとしてほぼ1年出続けました。
最後の年は2010年。35才のシーズンでも116試合、492打席を数えるほどしっかりとゲームに出続けました。
技術の塊
とにかく進塁打を打つのがうまかったエクスタインは技術の塊のような選手。彼のHRの映像はレフトへのプルヒッティングばかりですが、それは小兵ゆえにポイントを前で掴んで遠くへ飛ばしたごくケースばかり。彼の本領は右打ちにありました。
その高い技術と野球観から引退後は指導者として声がかかること多数。ナショナルズ、レッドソックスなどでヒッティング・コーチを歴任しています。珍しいところでは清宮選手が出場した2015年のU15のアメリカ代表でもコーチを務めています。
これからどこかの監督になるのではないか?そんな気がします。
お読みいただき、ありがとうございました。
コメント
エクスタイン 大好きです!
大男達に混じって奮闘する姿、本当に勇気付けられていました。自分はアリゾナ時代~しかリアルタイムで観れていませんが、球場のファンがXの字に腕を交差するポーズも印象的でした! ペドロイアは満身創痍ですが、やっぱり彼のプレーしている姿を1日でも早く、多く見たいなと切に願ってます。アルトゥーベには頑張れとしか言えないですけど、、、。
元ロイヤルズのコリンズってまだ現役なのですかね? 怪我してからは追えていないので気になります…。
Arinさん、
こんにちは。ピッチャーのティム・コリンズですね。サウスポーですよね。
Arinさんに教えていただくまで私はすっかり彼のことが抜けておりました!確かに170cmの小兵でしたね!さすがです。
あらためて調べました。1月にロッキーズとマイナー契約です。
移籍まとめにも記載しておりませんでした。ごめんなさい。
今、入れました。
コメントありがとうございました!
https://www.mlb4journal.com/2020-hot-stove-and-deals-in-national-league-west/