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【MLB2025】開幕3戦で15本塁打! NYYが巻き起こした新バット「トルピード “Torpedo”」の大波紋

2025年の新ワード「トルピード(Torpedo)」

 メジャー・リーグの2025年の新ワードがいきなり出てきました。それが「トルピード(Torpedo)」。

 現地2025年3月27日から始まったMLBのレギュラー・シーズンですが、ヤンキースは地元ヤンキー・スタジアムでブルワーズを迎えての3試合を戦いました。

 ゲリット・コールのトミー・ジョン手術など主力投手陣の相次ぐ怪我でシーズンの下馬評がまるで高くなかったヤンキースですが、この開幕3連戦は業界を大いにざわつかせました。

開幕3連戦の記録

 まず、ヤンキースが開幕3連戦で巻き起こしたことと言えばHRパレードなのですが、そのHRリストはこちら。3試合で計15本。

#GmInningHitterRunPitcher
11Bot 1オースティン・ウェルズソロF・ペラルタ
21Bot 2アンソニー・ボルピーソロF・ペラルタ
32Bot 1P・ゴールドシュミットソロN・コルテス
42Bot 1コディー・ベリンジャーソロN・コルテス
52Bot 1アーロン・ジャッジソロN・コルテス
62Bot 1オースティン・ウェルズソロN・コルテス
72Bot 2アンソニー・ボルピー3 RunsN・コルテス
82Bot 3アーロン・ジャッジGS (4 Runs)C・トーマス
92Bot 3ジャズ・チザム・Jr.ソロC・トーマス
102Bot 4アーロン・ジャッジ2 RunsC・トーマス
112Bot 7オズワルド・ペラーザ2 RunsC・パトリック
123Bot 1アーロン・ジャッジ2 RunsA・シバーリ
133Bot 2ベン・ライスソロA・シバーリ
143Bot 3ジャズ・チザム・Jr.2 RunsA・シバーリ
153Bot 7ジャズ・チザム・Jr.3 RunsJ・パヤンプス

 Gm2に至っては1回裏の攻撃開始直後に3球で3者連続HRを放つなど計9HRを放ち、1試合のHR数のフランチャイズ・レコードを更新。

 また、Gm2とGm3の2試合で計13本塁打というのもフランチャイズ・レコード。サラ・ラングさんによると、上には上がいて、かつてレッズが1999年9月4日、5日の2試合で14本塁打というとんでもない記録を残しております。

 さらにアーロン・ジャッジのGm2での3HRゲームはキャリア3度目。

 それにしてもGm2は元同僚のネスター・コルテスをここまでやるか!というくらいに粉砕しました。ネスター・コルテスは立ち直れるのか心配です。そしてご覧のスコアでした。

  • Gm1: MIL 2 @ 4 NYY
  • Gm2: MIL 9 @ 20 NYY
  • Gm3: MIL 3 @ 12 NYY

トルピード・バットで9HR!

 とくにGm2は衝撃的過ぎましたので、「なんだこれは?」というところから話題になったのが、トルピード・バットです。

 ヤンキースの分析部門がアンソニー・ボルピーの打撃を調査したところ、 彼はバットのバレル部分ではなくバットのラベルにボールを当てることが多いことが判明(後述)。

 バレル部分というのはいわゆるバットの芯と考えればいいと思います。通常、ラベルは芯よりも下についていることが多いです。つまりボルピーはより手に近いところにボールを当てていたということ。右投手の2シームなどにも対応するでしょうからね。

 これに対処するため、つ可能性の高い部分の木材を増やし、先端のトップを細くしたのがこのトルピード・バット。3連戦でこのバットを使っていたのはアンソニー・ボルピー、ジャズ・チザム・Jr.、コディ・ベリンジャー、ポール・ゴールドシュミット、オースティン・ウェルズら。彼らは昨シーズン中あるいはスプリング・トレーニングからこのバットを使っています。

 15HRのうち、少なくとも9HRがこのトルピード・バットということになります。

 アーロン・ジャッジはチャンドラー・ブランドで大谷選手も使っています。そしてこれは伝統的な形のバットです。

 このトルピード・バットはルイビル・スラッガー社の製品。

トルピード・バットは何が違うのか? 

そもそものバットの形状

 下記の画像は転載させてもらったのですが、バットの部位の名称。

 ご覧のようにラベルはかなり下の方に刻印されております。

 野球バットのバレルは、ボールを打つために特別に設計されたバットの最も厚い部分です。ハンドルとバットのエンドキャップ(先端)の間に位置します。バレルの中にはスウィート・スポットと呼ばれる部分があり、ここはボールとの接触に最適な領域で、打者が感じる振動を最小限に抑え、パワーを最大化させます。バレルのサイズ、素材、構造は、スイングスピードやボールへのエネルギー伝達など、バットの性能に大きく影響します。

 上記の写真も含めてこれがこれが伝統的なバットの形状です。

トルピード(Torpedo)の特徴

 このバットは、打者が最もボールに接触しやすい「スイートスポット」付近に、より多くの木材と質量を集中させるユニークなバレル形状を特徴としている。この設計は、ミスを減らし、バレルに入ったボールの数を増やし、打撃効率を高めることを目的としています。

 要は先が細く、真ん中が太い感じの形状。

開発と合法性

 トーピード・バットは、ヤンキースの分析チームと協力していたMITの物理学者アーロン・リーンハートの意見を取り入れて設計されました。アーロン・リーンハートは物理学の世界からベースボールの世界に飛び込み、さらにこの冬、マーリンズのフィールド・コーディネーターに採用されています。

 MLBは、このバットが規則3.02を含む公式規則に準拠していることを確認しています。

 ルール3.02は「バットの直径は2.61インチ、長さは42インチを超えてはならない」とバットの寸法と素材に関して定められている条文です。これに合致していて問題はないと。

 よく飛ぶので、ほぼ金属バットのような違法スレスレのものではないか?と疑いたくなるところですが、もちろん、木の製品ゆえに圧縮技術も使っていますが、形状とバランスがこのトルピードバットの特徴です。

 MLBは30日に、このバットがメジャーリーグの規則やバット・サプライヤーの規定に違反していないことを確認したと発表しております。

バレルの配置

 従来のバットに比べ、バレルをバッターの手の近くに配置。

 これに対して伝統的なバットはバレル全体の円周が一定。

重量配分

 バットの先端からスイートスポットまで木材を再分配し、インパクトエリアをより密に、より効果的にしています。

 伝統的なバットは重量配分は一般的に均一で、スイートスポットの最適化にそれほど重点を置いていない。

カスタマイズ

 各バットは、個々の選手のスイング軌道や好みに合わせて調整され、打撃の可能性を最大限に引き出すよう設計されます。

トルピード(Torpedo)の由来

 トルピード ”Torpedo”の言葉の意味は「魚雷」です。その形状が魚雷に似ているからということと、魚雷のように打球を発射したいという意味も込めて、この名前がつけられたようです。

大きな話題

 ともあれ、この「トルピード 」の話題はリーグを駆け巡っており、レイズのジュニオール・カミネロも、日曜日の代打の打席でこのバットを使っております(結果は内野安打)。また、オリオールズの何人かの選手も、このバットを使用済みとのこと。

 ボルピーは「塁に出るたびに、みんなそれについて聞いてくる」と苦笑い。

 打たれたネスター・コルテスは「去年も何人かやっていたのは知っている。私には関係ないと思う。その背後にある科学技術はわかる。僕には関係ないと思う」と答えております。

おそらく中距離打者はこれを使うケースが増える

 形状、バランスがこのトルピード・バットの特徴ということで、阪急の福本さんのことを思い出しました。

 福本さんは1Kgもある重たくて太いバットを使い、その重みを利用してヒットを量産。当時は上から叩くというのが打撃の主流でしたから、福本さんも重みを利用して上から出すということを意識して独特の形状のバットに至ったようです。福本さんのバットの場合、グリップも太くして、しかもそれを短く持つことでバットの操作性を上げる工夫を施しておりました(野球博物館リンク)。

 何が言いたいかというと、トルピード・バットはヘッドを軽くして安打を量産したい人向けのバットではないか?と筆者は思うのです。福本さんのバットのヘッドを細くしたような形状です。もしそうであれば、これから中距離打者の使用は増えるように思います。

 また、ヘッドが細くて軽いのが合わない打者も多いと思います。

 ヘッドの重みを使ってボールを飛ばすタイプの選手はそうだろうと。

 例えばトップに入る前からヘッドの力を存分に活かそうとするカイル・シュワーバーなどは従来どおりのバットを使い続けるのではないないか?と想像します。アーロン・ジャッジなどはトルピードを使う発想すらないそうです。

MILの投手陣も悪かった

 確かに強烈な3戦ではありましたが、ブルワーズの投手陣があまりにも甘いボールを多投していた部分もあり、少なくとも4月1日のDバックス戦でコービン・バーンズを相手にボルピーらがどういう打撃を見るまではなんとも言えません。なお、Gm2はザック・ギャレン、Gm3はメリル・ケリーです。

 本来ならこの日はラファエル・デバースの超のつくくらいのスロー・スタートの分析記事を書きたかったのですが、NYYの打撃は本物か??というライバルを探る意識が出てきて、それを色々と調べるうちに「まあ、こんなところか!?」とわかったつもりになったので出してみました。

 まだ様子見ではありますが、球界全体が一挙にトルピードへ・・・ということにはならないだろうと調べるうちに思った次第です。信じるかどうかは・・・・。ただ、どの選手も一度は試すでしょうね。サラリーが上がる要素に関してはどの選手も貪欲ですから。

 お読みいただき、ありがとうございました。

 

 

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