【用語集】ノンテンダー(ノンテンダーFA)
現地2018年11月30日(金)はMLBではノンテンダー・デッドラインの日です。
そしてその期日(デッドライン)を前にブルワーズは27才のジョナサン・スコープをノンテンダーにすることを明らかにしました。オリオールズとブルワーズで活躍したバリバリの内野手、WBCのオランダ代表としても活躍したSSです。
では、ノンテンダーとはどういうことなのか見て見たいと思います。
ノンテンダー(ノンテンダーFAとは?)
2018年は11月30日が期限となっているのですが、毎年12月初旬に開かれるウィンター・ミーティングの1週間ほど前を目安にこの期限が決められております。
何の期限か?
調停前や調停資格期間中の選手に対して来季の契約を申し出るか(tender)どうかを決めなければいけない期限。これが今回のノンテンダー・デッドラン(期限)です。
TENDERとは?
言葉の意味から入って行きますと、non-tenderのtender(テンダー)は、動詞で「〜を申し出る、提出する」。それにNONがついて否定しているので、平たく言うと、(契約の)オファーをしないという意味になります。
来季は契約のオファーをしませんのでご連絡しますというのがノンテンダー・デッドラインです。
調停とどう絡む?
「調停前や調停資格期間中の選手」が対象の選手なのですが、そもそも「調停(Arbitration)」とは、年俸に不服がある場合は仲裁裁判にかけられる権利。
MLS3年で取得でできます。そしてFA資格の6年になるまでに3回の権利が与えられる。なお通常3年で付与される調停の資格が特別に2年で認められる「スーパー2」という条項もあります。(後日「調停」は記事に書きます)
どうしてノンテンダーにするのか?
ノンテンダー(来季オファーしない)というのは、調停が年俸高騰の要因でもあるので、その抑制で契約しないという意味合いもあります。よって、これにより戦力に値しないということでテンダーしないということではありません。
DFAとの違い
ちなみに、「契約しないのならクビということか。ならDFAとどこが違うの?」と思われるかもしれません。
DFAはDesignated for Assignmentの略なのはかなりの方がご存じの状況ではあります。このDFAはその実態を把握するために、あえて直訳にした方が本来のニュアンスが理解しやすいです。
つまり、「割当のための指定」です。
どういうことかと言うと、DFAはある選手をただ単に40人枠(メジャー枠)から外すことだけを意味しています。
そもそもテンダーされないことによりFAとなることとDFAで40人枠から外れることは概念が違います。
なおDFAは決して「戦力外通告」という意味ではありません。ややこしいのは、実質その意図でDFAにするケースもあるからなのですが、要はNPBとは「クビ」の概念がまったく違うと考えた方がいいと思います。
選手には3回分のマイナーオプションというのが与えられていて、それによってマイナーに落ちてもマイナーに落ちてはいないということになったりと、これ以上はここでは避けておきますが、すごく乱暴なまとめ方をすると、
「あなた、宙ぶらりんという立場だからね」
と、そのような割り当てられた立場を指定されている、それがDFA。(絶対に後日記事にします)
DFAはトレードなどで新たに選手が入ってきた時に、40人枠をキープするために、それまで枠内にいたある選手をとにかく外す。 だから、外れたから即クビという訳ではないということをここでは記しておきたいと思います。
ノンテンダーとなった場合
選手が所属クラブからノンテンダーとなった場合、どうなるかというと、上述したように一時的にフリーエージェント(FA)となり、30球団と交渉できます。これを通常MLS(メジャーリーグサービスタイム)6年で取得できるフリーエージェント(FA)と区別するために、ノンテンダーFAと呼ぶことになっています。
ジョナサン・スコープの場合
ジョナサン・スコープ (MLS=5.027) – 年俸$10.1MM
調停の権利を有しております。確かに年俸も高い。今回スコープはブルワーズからノンテンダーとなった訳ですが、今どういう状態かというと、ローゼンタールさんはこうも書いております。
Keep in mind: Teams talking to Brewers about trading for Schoop know they soon might be in position to sign him as a free agent without giving up anything in return. The downside: They would face competition on open market.
(超意訳)
言っておきますね。今、複数のチームがスコープについてブルワーズに打診している。まもなく次のクラブが決まるでしょう。
よって、スコープはノンテンダーFAとしてすでにしっかりと次のクラブから引き合いが来ているということで、ブルワーズが2019年のプランの金銭的な事情でオファーしなかったというのがわかると思います。
すぐにリストが出ることなのですが、ノンテンダーFAになるのではないか?という選手のリストを上げておきたいと思います。省略版です。
2018年11月半ば時点のノンテンダーFA(予想)
かっこ内は、所属クラブ、MLS、2018年の年俸です。どの選手もMLSが3.0(=3年)以上になっているのがおわかりになると思います。調停の権利を有しているということですね。チーム事情などでテンダーされないであろうと見られている選手達です。あくまで予想です。
※打ち消し戦はテンダーされて再契約した選手です。
アーロン・アルテール (PHI, 3.028, $1.6MM)
ティム・ベッカム (BAL, 4.134, $4.3MM)
ジャスティン・ボーア(PHI, 4.064, $5.2MM)トラビス・ダーノー(NYM, 5.044, $3.7MM)デリーノ・デシールズ Jr. (TEX, 3.116, $1.9MM)アダム・デュバル (ATL, 3.096, $3.1MM)エリック・クラッツ(MIL, 4.156, $1.7MM)アディソン・ラッセル (CHC,3.167, $4.3MM) ←DV要因か。
【投手】
マット・アンドリース (ARI, 3.071, $1.1MM)チャド・ベティス (COL,4.096, $3.2M)
シェルビー・ミラー(ARI,5.166,$4.9MM)
タナー・ロアーク (WSH, 5.055 , $9.8MM)←あくまで予想です。ジョニー・ベンターズ(ATL,5.159$1.5M)←2018カムバック賞
正式なリストが出ればリライトします。
2018年の調停資格選手の一覧です。テンダーされる人も含まれたリストです。
2018年のノンテンダーFA↓
2017年WM前のnon-tender deadline
有名どころではマイク・ファイヤーズが入っておりました。真上から投げ下ろす右腕です。たまに右バッターの顔面に抜けてしまう危険臭が漂う投げ方をする投手です。ちなみに2017年のHBPの数(デッドボール)は13!。それはいいとして、ファイヤーズは2017年が1度目の調停の年でした。
2017年晩秋、所属していたアストロズからノンテンダーとなり、12月1日にFAに。その後、タイガースからオファーが来て、12月8日にFAとして契約し、タイガース入り。
なお、ファイヤーズは8月6日、先発に窮していたアスレチックスからオファーを受け、トレードでアスレチックス入り。苦しいローテーション事情を救う活躍を見せました。
お読みいただき、ありがとうございました。
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