ATL-HOU-TEXでチャンピオン・リング
まだまだ大谷選手のメガ・ディールの余波でざわざわしているMLBですが、現地2023年12月10日、なかなか興味深いディールが成立しました。2021年から3年連続でワールドシリーズのチャンピオン・リングを手にした左腕のウィル・スミス(Will Smith)がロイヤルズとサインです!
契約内容
ウィル・スミスとロイヤルズの契約はご覧の通り。
- 1年/$5M (2024)
- パフォーマンス・ボーナスで+$1M
契約にはオプションなどはないっていない模様です。
35才のシーズンは古巣へ
1989年7月10日生まれのウィル・スミスは2024年の開幕時点では34才。シーズン途中の誕生日で35才になります。
そのウィル・スミスはもともとは2008年のアマチュア・ドラフトでエンゼルスから7巡目指名を受けてプロ入り。その2年後、エンゼルスが内野手のアルバート・カラスポをロイヤルズから獲得したトレードでロイヤルズに移籍。ウィル・スミスは2012年にロイヤルズでMLBデビューを果たしました。
当時はローテーションだったウィル・スミスは22歳のルーキー・イヤーで16度登板し、89.2イニングを投げて6勝9敗、ERA 5.32をマーク。
ロイヤルズは2015年に強烈なブルペン陣を擁してワールドシリーズを制覇しましたが、この当時はまだ戦力を整えつつある時期。2012シーズンは3位に留まりました。
2013シーズンからリリーフに
翌2013シーズンにロイヤルズはウィル・スミスをリリーフとして起用。以降、ウィル・スミスはリリーフとしてMLBキャリアを築いてきた訳ですが、手始めのこのシーズンで19試合で33.1イニングを投げ、ERAは3.24。ERAは劇的に改善しました。
2014年、青木選手とのトレードでMILへ
2013年12月、ロイヤルズとブルワーズとの間でトレードが成立し、青木選手がロイヤルズに、ウィル・スミスがブルワーズへと移籍することになりました。
なお、青木選手がロイヤルズにいたのは2014年のみで、2015年はジャイアンツに移籍しています。よって、青木選手はジャイアンツがWSを制覇した2014年はロイヤルズにおり、ロイヤルズがWSを制覇した2015年はジャイアンツにいたことになります。優勝がテレコに。
ウィル・スミスのリリーバーとしての本格稼働が2014年。78試合に登板し、1勝3敗でERAは3.70。2015年はさらに輝き、同じくブルワーズで76試合に登板。ERAは2.70と大きく改善しました。しかも一番しんどいセットアップ・ロールでこの数字です。
その後、ウィル・スミスは2016年のトレード・デッドラインでジャイアンツに移籍。ブルワーズが捕手のアンドリュー・スーザックらを獲得したトレードです。この頃、ウィル・スミスはその動向に大きな注目が集まっていました。
2017年にトミー・ジョン手術
しかし、2017年のスプリング・トレーニングで左肘の靭帯損傷が判明。3月にトミー・ジョン手術を実施。この年は全休となりました。2018年、ウィル・スミスは術後約1年2ヶ月の5月2日にMLBにカムバック。驚異的な回復が話題となりました。損傷度が浅かったからだと思われます。2018年は54試合に登板し、53.0 IPで2勝3敗、ERA 2.55、14セーブという素晴らしい成績を残し、シーズン終盤にはクローザーを任されました。
続く2019年はキャリア最高のシーズンとなり、63試合に登板して34セーブ、6勝0敗、ERA 2.76をマーク。65.1 イニングで96奪三振で、SO9は13.2!
キャリア初のオールスターにも出場しました。
シーズン終了後はFAとなり、2019年11月にアトランタ・ブレーブスと3年/$40Mでサインしました。
ウィル・スミス対決
2020年、コロナ・パンデミックで調子を崩したウィル・スミスはERA 4.50と前年に比べて苦戦するも、ポストシーズンのロスターに名を連ねました。ドジャースとのNLCSでは同姓同名のウィル・スミス対決が話題となりました。なお、このリリーバーのウィル・スミスのフルネームはWilliam Michael Smith。ドジャースの捕手のウィル・スミスのフルネームは、 William Dills Smithです。
【2021】ブレーブスでWS制覇
2021年、ブルペンのキーマンの1人となったウィル・スミスは、71試合に登板。このうち60試合を締める活躍で37セーブをマーク。ERAは3.44でSO9は11.5。ポストシーズンではタイラー・マツェックがかなり目立ちましたが、ウィル・スミスはNLDSからWSまで計11試合に登板し、11.0 IPでERA0.00、被安打がたったの5、失点0 、BB 3と完璧なクロージングを見せ続けました。
そしてまずはチャンピオン1つ目をゲットです。
【2022】アストロズでWS制覇
2022年はブレーブスでの契約上のファイナル・イヤーでしたが、前半でERA 4.38と苦戦したウィル・スミスはトレード・デッドラインでアストロズに移籍することになります。ブレーブスはジェイク・オドリッジを獲得。
アストロズではERA 3.27と落ち着いたものの、前半の成績が悪かったため、シーズン成績は65試合、59.0 IPで0勝3敗、5セーブ、ERA 3.97。SO9も9.9と落ちました。アストロズはこの年、WSを制覇しましたが、ブルペン陣が非常に良かったため、ポストシーズンでの登板はありませんでした。しかし、メジャー・ロスターであり、WSロスターにも入ったことで2個めのリングをもらっております。
【2023】レンジャーズでWS制覇
調子を落としたウィル・スミスはレンジャーズとのディールが成立し、サインするも1年/$1.5M(2024)とかなりサラリーを抑えられました。しかもディール成立は3月に入ってからでしたので、かなり市場からも優先度を下げられた状態に。この年からレンジャーズはブルース・ボーチーが監督に。ウィル・スミスにとって、ジャイアンツ時代の恩師でもあります。
レギュラー・シーズンでは60試合に登板し、ブルペンを支えたものの、ERA 4.40とリードを吹き飛ばすケースもままあり、なかなか思うようには行きませんでした。
ポストシーズンでも登板機会は少なく、ALDSでは1試合、ALCSでは2試合、WSでは2試合の登板。ERAはALDSでは0.00だったものの、ALCSでは10.8、WSでは13.5と本来の力を発揮出来ませんでした。レンジャーズのWS制覇により、ウィル・スミスには3個目のリング、しかも3年連続がもたらされました。
WSで3年連続チャンピオンは同一クラブでなら、1998-2000のヤンキース、1972-1974のアスレチックスなどが記録しましたが、3年連続で違うクラブでの3連覇は今のところ、ウィル・スミス一人です。
ロイヤルズに移り、WS4連覇はどうなるでしょうか??ちょっと厳しいかもしれませんが、まずは本来の調子を取り戻して欲しいところです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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