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【MLB2024】ウェーバーにかけられたJ.D.デービス、サラリーの大半を失う可能性あり!(追記あり)

SFGのマット・チャップマン獲得余波

 現地2024年3月9日、サンフランシスコ・ジャイアンツは2023年に3Bを守ったJ.D.デービス(J.D. Davis/30)をウェーバーにかけたことが明らかになりました。

 これは現地2024年3月1日にジャイアンツがマット・チャップマンと3年契約で合意したことによる余波。そのマット・チャップマンを獲得した際の記事には以下のように書かせていただきました。

 「すでにホルヘ・ソレアーを獲得したジャイアンツは彼をDHで起用することは明白。DHが埋まったジャイアンツは、2023年にAVG .284、HR 23をマークしたウィルマー・フローレスをどこで使うかにより、J.D.デービスの守備位置に影響を与えそうです。ウィルマー・フローレスの現時点での出場予定ポジションは1B。ラモンテ・ウェイド・Jr.と争うことになりそうですが、マット・チャップマン、J.D.デービス、ラモンテ・ウェイド・J.rと誰が出てもおかしくない状況ではあります。」

 つまり3Bで重複していたのがJ.D.デービスで、ジャイアンツが下した決断は、J.D.デービスを実質的に放出するということでした。それが9日のウェーバー公示です。

 なお、ウェーバー公示の前にジャイアンツはトレードの可能性を他クラブに打診したようですが、ディールはまとまらなかったようです。

寝耳に水だったJ.D.デービス

 実際、ジャイアンツは、マット・チャップマンと契約するまでは、2024年もJ.D.デービスを3Bとして起用することに満足している様子でした。ゆえに今回のマット・チャップマンのディールに関し、J.D.デービスはジャイアンツから一言も相談がなかったことに不満を募らせています。

 ただ、ジャイアンツにとってはこれは言葉は悪いですが、「前科あり」の対応でもあります。現地2022年12月13日、ツインズがからFAとなっていたカルロス・コレアと13年/$350M (2023-35)で合意。このとき、ジャイアンツはブランドン・クロフォードと2年/$32M (2022-23)の契約の真っ最中でありながら、ブランドン・クロフォードには一言も連絡がなかったと言います。結果的にこのディールはジャイアンツがメディカルな理由をつけて破断となり、コレアはメッツとの契約。しかし、メッツでも破断となり、二転した後にツインズと契約するに至りました。

2023年の打撃成績はJ.D.デービスに軍配

 J.D.デービスは2023年は144試合に出場し、546 PA、480 ABで119 hitsを記録。248/.325/.413、HR 18、RBI 69、Run 61、二塁打23。守備もかなりの好評価でした。

 一方のマット・チャップマンの2023年の成績は140試合に出場し、打率.240、OBP .330、SLG .424、HR 17、RBI 54。打撃成績ではJ.D.デービスに軍配が上がっていたのです。

ウェーバーの結果次第でサラリーに大きな影響

 上記の通り、J.D.デービスは現地2024年3月10日時点でウェーバー公示中です。

 これでもしJ.D.デービスが欲しいと手を挙げるクラブがあった場合、そのクラブが2024年の$6.9Mを支払うことになります。このサラリーですから、3Bでよほど切羽詰まったクラブでないと手が上がらないと思われます。

ウェーバーをクリアーした場合

 そしてどこも手が上がらなかった場合、ウェーバーをクリアーしたということになり、通常ならマイナーへアウトライトかリリースということになりますが、J.D.デービスの場合はそのままリリースになると思われます。

リリースとなれば、J.D.デービスは多額のサラリーを失う

 問題は、リリースとなった場合、J.D.デービスは2024年のサラリーの大半を失ってしまうこと。J.D.デービスの2024年のサラリーは$6.9M。これは、$6.9Mを希望したJ.D.デービスに対し、ジャイアンツは$6.55Mを主張。両者の主張は調停に持ち込まれ、現地2024年2月8日にJ.D.デービスが勝ちました。

調停を経たサラリー

 MLBのサラリーのほとんどは全額が保証されていますが、調停手続きを経て解雇となった場合、解雇手当の日割り部分のみを受け取るのみになってしまうのです。

 これはCBAに書かれていて、

ARTICLE IX—Termination Pay

(中略)

B.  Spring Training 

A Player whose Contract is terminated by a Club under paragraph 7(b)(2) of the Uniform Player’s Contract for failure to exhibit sufficient skill or competitive ability shall be entitled to receive termination pay from the Club in an amount equal to thirty (30) days’ payment at the rate stipulated in paragraph 2 of his Contract, 

 if the termination occurs during Spring Training but on or before the 16th day prior to the start of the championship season. 

 If the termination occurs during Spring Training, but subsequent to the 16th day prior to the start of the championship season, the Player’s termination pay shall be in an amount equal to forty-five (45)s’ payment at the rate stipulated in paragraph 2 of his Contract.

第 9 条 – 解雇手当

B. スプリングトレーニング

 統一選手契約第7項(b)(2)に基づき、十分な技術または競技能力を示さなかったことを理由にクラブから契約を解除された選手は、

 契約解除がスプリングトレーニング中で、レギュラー・シーズン開始16日前までに行われた場合、契約第2項に規定された率で30日分の解雇予告手当をクラブから受け取る権利を有する。 

 スプリング・トレーニング期間中であっても、レギュラー・シーズン開始前16日目以降に解雇された場合、選手の解雇予告手当は、契約第2項に規定された率で45日分支払われるものとする。

 今季の開幕は3月28日です。16日前は3月12日で、それより前の日付でリリースされた場合は30日分の日割り、3月12日より後の日付でリリースされた場合は45日分の日割りということです。

 どちらにせよ、$6.9Mの30日分か、45日分かという金額しか支払われないことになります。しかもこれはサラリーではなく、解雇手当。

(追記)リリースへ

 現地2024年3月11日、J.D.デービスはウェーバーをクリアー。声がかかることなくウェーバーを終了し、ジャイアンツはリリースへ。J.D.デービスには解雇手当が支払われます。そしてフリーエージェントとして契約先を探すことに。下記の通り、需要はあります。サラリーは$6.9Mのような金額にはならないと思われますが、次のチャンスを探すということになりました。

需要はある

 上記のウェーバークリアー→リリースという最悪のシナリオとなった場合はFAとして再度契約する運びに。これがあるので、おそらくウェーバーでは手が上がらないだろうと思われます。

 ただ、古巣メッツはブレット・ベイティーをメイン3Bにつけると思われますが、まだまだ安定しているとは言い難く、現状ではジョーイ・ウェンドルがバックアップ。そのウェンドルがポジションを奪うかもしれません。

 またヤンキースは、キケ・ヘルナンデス、アーメッド・ロザリオとのディールに失敗したとも言われており、内野が欲しいことは事実。D.J.ルメイヒューが3Bを守りそうですが、ベテランゆえに怪我が多く、ルメイヒューは状況によっては2B、1Bもあり得ます。また、オズワルド・ペラザが肩の負傷を負い、ILでシーズンをスタートすることが決定。ゆえに緊急度が高いのはヤンキースです。

 ジャスティン・ターナーと契約したブルージェイズですが、さすがにDHでの起用が多めになると思われます。キャバン・バン・ビジオ、サンティアゴ・エスピナル、アイザイア・カイナー=ファレファ、デービス・シュナイダーらに決め手がないなら、J.D.デービスの3Bもあり得ます。

 その他、マリナーズも3Bの需要がありますが、ここはサラリーを削りたいので、挙手するかどうか疑問です。

 お読みいただき、ありがとうございました。

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