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【MLBロックアウト】コミッショナーの会見で、シーズンの予定通りの開幕とNL DHの導入、FAのドラフト補償廃止が述べられる

30分の記者会見

 現地2022年2月10日(木)の朝、MLBのロブ・マンフレッド・コミッショナーは、フロリダで行われていた四半期ごとに行われるオーナー会議が終了した後に記者会見に臨みました。予定通りの会見です。

 当初の見立てではこの記者会見では、スプリング・トレーニングの遅延を正式に認める発言をするのではないか?と見られていましたが、その点については明言せず、3月31日の開幕に向けてこれから加速させていくとの見解を披露しました。

12日(土)の団体交渉が重要な日に

 同コミッショナーは、3月31日に予定通りにレギュラーシーズンが開幕できるよう、両陣営が合意に達すると信じていると述べ、合意未達によりレギュラーシーズンの試合数が減ってしまうことはワーストシナリオであるという認識を持ち、「(もしそうなれば)野球界にとって悲惨な結果だ」とも述べました。さらに、「MLBはその最悪の結果を避けるべく合意に達することを約束する」と付け加えています。そして12日(土)にオーナー側から選手会側に新たな提案を行うと述べました。

流れ:土曜日に進展、微調整も含め2月中の解除見込みか?

 会見で同コミッショナーはスプリングトレーニングの延期については、「今のところ変更はない 」と答えたものの、すでにワークアウトを始めるタイミングに突入済み。ただ、遅延の可能性についてはほんのりと言及しています。それがコロナ・パンデミックによって短縮された2020年シーズン前の3週間の準備期間についてのコメントでした。

 マンフレッド氏は、2020年のサマー・キャンプの期間について「3週間では不十分であった」とし、それは「怪我のデータが物語っている」と述べました。その上で「我々は28日間にしたい。4週間は理にかなっていると思う」とも述べました。ということは念頭には2月26日からスタートするスプリングトレーニングのゲームにはなんとか間に合わせたいという現実的なラインが見えているように思います。よって、流れとしては、2月26日までになんとかロックアウトが解除できれば?というスケジュール感かと思います。

 なお、ロックアウトがない通常のシーズンであれば、ピッチャー&キャチャー・レポートは2月頭には出ており、ワークアウトは2月半ばから始まります。よって準備期間は2月のワークアウトの2週間と3月のゲームの4週間を含めると、計6週間を要します。

DHとQOのドラフト補償廃止は合意の方向へ

 土曜日の団体交渉を前に、今回の記者会見で同コミッショナーは以下の点で合意していくと述べました。

  • NL ユニバーサルDHの導入
  • FAで出て行かれたクラブにドラフトピックを補償する権利の廃止

 なお、これはトレード・ルーモアさんも書いているようにまだ正式合意ではありません。会議の前に方向性を述べただけです。正式合意となるのは土曜日の後かと思います。

ユニバーサルDHの導入

 ユニバーサルDHについては、利害と関係のない1ファンの筆者などは投手の打撃が見たい派なので、ナ・リーグには残してもらいたいと願っていたのですが、2022年からスタートということになりそうです。この点に関しては下記の記事を参照いただければと思います。

導入のポイントは、

  • 打撃、走塁による投手の怪我を回避できる
  • 打つのはほんの一握りで、投手の打撃は壊滅的
  • 何より、ベテランヒッターの雇用が生じる
  • 【筆者見解】ゲーム序盤のチャンスに代打を送ることができない(2021年のNLCSでもそういうシーンがありました)
  • 【筆者見解】2021年のERAトップ6は全てDH無しのナ・リーグの投手であった

 など、これは選手会側も同意の方向でした。雇用の点をつかれてはNL DH反対派としても沈黙せざるを得ないです。ベテランには長くプレーしてもらいたいですから。マディソン・バンガーナーやザック・グレインキ、ジェイコブ・デグロムなどのセンスのいいヒッターの打撃シーンを見られる機会も作ってもらえればと思います(怪我のリスクもあるのですが)。

FAのドラフト補償を廃止する件

 これまではFAで出て行かれたクラブにドラフトピックの権利を補償していたわけですが、それを廃止する方向については、MLBPAは、フリーエージェントを失ったクラブにドラフトピックの補償を与えると、当該選手と再契約する意欲を失わせるとの見解を持っています。

 現状はFAで出て行かれて戦力の喪失を嘆くというよりは、大きなコストを削減できたという安堵感や、代わりに単価の安いプロスペクトに機会を提供しようという動きや、さらにドラフトでプロスペクトも増やせてラッキーという動きになっていたと言えるでしょう。このオフも、例えば、拒絶がわかっていて、ドラフト補償目当てであえてQOを出すという技も駆使するクラブもありました。

タンキング防止にドラフト・ロッタリー

 また、弱くなっても構わぬというタンキングの姿勢を示すのを防止するためにドラフト・ロッタリー(ドラフトくじ)を導入することにも積極的であるとも述べられました。ドラフトくじの仕組みについては導入が決まってから詳細を記述します。

MLBのクラブを買うのは良い投資か?

 記者会見ではロックアウトには直接関係のない質問で、「MLBのフランチャイズを購入することは “良い投資 “か?」という質問も。これは同コミッショナーがMLBのクラブをどう認識しているのか?という点で興味深い質問でした。

 マンフレッド氏は、「フランチャイズの購入価格、所有期間中に投入されたキャッシュ、そして売却額を見ると、歴史的にそれらの投資に対するリターンは、株式市場で得られるもの、つまり株式投資で期待されるものよりも低く、より多くのリスクがある」と述べました。

 うーん??Statistaによると、MLBフランチャイズの平均価値は過去10年間で300%以上上昇しているとあり、またBusiness Insiderによると、ゴールドマン・サックスが株式投資については、10年間の株式市場のリターンが過去140年間で平均9.2%であると判断しているそうですから、資金さえあればM&Aで安く買って、高く売り抜けるのと同じくらいいい投資とも思いますけどね。

 蛇足でした。

選手「これから毎日テーブルにつけ」

 なお、選手たちはこれから2週間、毎日交渉のテーブルについてくれと望む声もあり、本当にそのくらいのペースで重要事項を片付けて行ってもらいたいと思います。

 まずは現地2022年2月12日(土)の団体交渉の結果待ちですね。

 お読みいただき、ありがとうございました。

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