なかなかよいトレード
現地2020年7月16日、ロイヤルズとパドレス間で3人が動くトレードが成立。6月26日のトレード解禁となって以来、もっともそれらしい動きとなりました。
トレード概要
今回動く選手は以下の3名。戦力の均衡という点から見ると、なかなか良いトレードだと思いました。ただ、今のところはパドレスにお得感ありです。ロイヤルズにお得感が出てくるのは、計り知れないポテンシャルを持った左打者の覚醒が必要。
ロイヤルズGet
- フランチー・コルデロ(Franchy Cordero/25才):OF/右投げ左打ち
- ロナルド・ボラニヨス(Ronald Bolanos /23才):RHP/ 右投げ右打ち
パドレスGet
- ティム・ヒル(Tim Hill /30才):LHP /左投げ右打ち
背景
このトレードは、まずパドレスの外野手が余り気味だったという背景があります。そして決して外野に不足があるわけではないものの、高いポテンシャルの右打者を獲得したいロイヤルズとの思惑の一致。さらに先発候補の欲しいロイヤルズと、いい左打者を多く抱える西地区で、左キラーが欲しかったパドレスとの思惑がうまくマッチしたトレードだと思います。
ただ、上述した通り、今のところティム・ヒルを獲得したパドレスにお得感があります。ロイヤルズがこのトレードを成功と見るにはまず、フランチー・コルデロの覚醒が必要。
選手紹介
【KCR】フランチー・コルデロ
まず、ロイヤルズが獲得したフランチー・コルデロですが、一言で言えば「未完の大器」。
ドミニカ共和国出身で190cmの恵まれた体格と強烈な長打力が魅力。
パドレス史上最長HRを放ったコルデロ
もともと2011年にアマチュアFAでパドレスと契約したコルデロですが、2017年のデビュー前、パドレス傘下3A、チワワズで好成績を残し、5月27日にメジャーにコール・アップ。7月22日まで在籍。30試合で92打数21安打、打率.228、HR 3。その後は再びトリプルAチワワズで過ごし、トリプルAでは年間17HRを記録。
2018年は開幕ロスター入り。メジャーファンの記憶にも残っている489フィート(149m)のHRを放ったのはこの年でした(2018年4月20日)。
これはスタッドキャストで計測し始めてからという前提ですが、パドレス史上最長HR記録です。
バッド・ナイトメアの記憶
2017年にデビューしたということはもうそれなりの実績を積んでいるのかと思いたいところですが、コルデロはメジャー3年で79試合しか出場できておりません。
2017年は30試合、2018年は40試合、2019年は9試合。3年通算で246打数59安打、HR 10、RBI 29、打率.240、OBP .306、SLG .431。
いかんせんこの人が持て余している理由の一つは悪夢。
実はコルデロは最長HRを放った2018年4月20日、同時に悪夢も見たのでした。
チェイス・フィールドで行われたこの日のパドレス@Dバックス戦。パドレスは4回表に放たれたフランチー・コルデロの上記の特大HRで1-0とリード。
スコアはこのまま7回裏まで継続。パドレス先発のタイソン・ロスは7回終了時点でBB 2のみで、ノーヒッターを継続していました。
そして8回裏にその悪夢は起こりました。タイソン・ロスが先頭のニック・アーメッドに四球を許し、この日3つめのBB。しかし、つづくアレックス・アビーラは空振り三振に仕留め1アウト。
つづくバッターはデベン・モレーロ。1塁ランナーのアーメッドはアビーラの打席でワイルドピッチで2塁に進塁済み。そしてこのモレーロのときに3塁への盗塁を決め、1アウトランナー3塁という状況。モレーロが2Bゴロを放ち、この当たりでニック・アーメッドを本塁突入を試みるも、アウト。パドレスはギリギリのプレーでタイソン・ロスのノーヒッター継続をアシスト。この間、非常に盛り上がったところでした。ただ、1塁にはデベン・モレーロが残っていました。
8回2アウトまでノーヒッターを継続していたタイソン・ロスでしたが、つづく投手の打席で代打に入ったクリスチャン・ウォーカーにCFにライン・ドライブの当たりを打たれます。そのCFに入っていたのがフランチー・コルデロ。
プロのCFならこれは捕っておきたいハーフライナーではありましたが、コルデロは打球判断を誤り、頭の上を越されるという事態に。前に出てしまったんですね。これが命取りとなり、1−1のタイとなり、同時にタイソン・ロスのノーヒッターも消えてしまうという、なんともトラウマになりそうな事態を経験していたのでした。
結局、このゲームは9回表にパドレスが勝ち越しに成功。4−1で勝利したのですが、コルデロにとっては苦いゲームとなったのでした。
怪我にも見舞われたコルデロ
そしてコルデロの飛躍を阻害していた他の要因は怪我。とにかく怪我が多く、ここまで力を発揮できずにいました。2018年4月は6HRを放ったものの、その後は前腕部痛に見舞われ、右肘を手術。シーズン・エンディングとなりました。
2019年にはリハビリとともに、パドレスの豊富な外野陣という状況で出場機会が9試合に。
ご覧のような素質の持て余しぶりを発揮していたのでした。よって、クラブが変わり、ロイヤルズで飛躍することを願うばかりです。
【KCR】ロナルド・ボラニヨス
ロイヤルズが獲得したもうひとりは、ロナルド・ボラニョス。キューバ出身のスターター右腕です。2019年パドレスでデビュー。5試合、3スタート、19.2イニングで0勝2敗、ERA 5.95 。
ファストボール、スライダー、カーブ、チェンジアップを投げ、ファストボールが90マイル後半に達し、コントロールも悪くありません。スライダー、カーブもよく、ひょっとしたら化ける素材。
スターターではありますが、ロイヤルズではボールが強い分、ハートに問題なければリリーバーとして起用される可能性も。
【SDP】ティム・ヒル
30才の左腕は見ての通り、左打者キラー。3バッターミニマムがなくなりましたが、ゲーム後半に使いたい投手ではあります。
2018年、28才でデビュー。同年、70試合に登板。2019年は46試合。2019年のERAは3.63。
ナ・リーグあるいはア・リーグ西地区に多い左打者。特にドジャースは右打者のベッツを獲得したとは言え、コディー・ベリンジャー、マックス・マンシー、シーガーがおります。エンゼルスには大谷選手、レンジャーズにはジョーイ・ギャロ。
もっとも彼を獲得したのは明らかにドジャース対策とも言えなくもないですね。
以上です。
お読みいただき、ありがとうございました。
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