ノーヒット・ノーランなのに、達成ならず
現地2022年5月15日のレッズ@パイレーツ戦のスコアはご覧の通りの内容となりました。
Team | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
レッズ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0 |
パイレーツ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | X | 1 | 0 | 0 |
そうです、レッズ投手陣はパイレーツをノーヒットに抑えていたにも関わらず、敗れてしまったのです。1点を入れられたので、ノー・ラン(NO RUN)ではありません。
どうしてこうなった!?
どうしてこんなことが起こったのか?を見てみます。
このゲームのレッズの先発はハンター・グリーン。MLBファン待望となったデビュー戦で見事に初勝利を上げた100mphルーキーです。
実はデビュー戦の後は、本人も首をかしげるほど、被安打、被本塁打の数が多くなり、登板の度に負けを喫していたハンター・グリーン。このゲーム開始前まではチーム自体の調子の悪さもあり、5連敗。成績は1勝5敗、ERA 7.62というところまで悪化しておりました。その点に関しては後述します。
しかし、この日のハンター・グリーンはとても丁寧な投球を披露。四球を出すものの、2回裏、3回裏、5回裏、7回裏の4イニングを3人ずつで斬って取り、今までとは違う!という面を見せる素晴らしい投球内容を披露しておりました。
魔の8回裏
嘘のような出来事が起こったのは8回裏のこと。さすがに疲れが出たのか、ハンター・グリーンは先頭のジャック・スウィンスキーを1Bゴロに打ち取ったまではよかったのですが、つづくロドルフォ・カストロ、マイケル・ペレスに連続四球を与えてしまいます。
ここでレッズのデービッド・ベル監督は一息入れにマウンドに行ったのかと思ったのですが、投球数はすでに118球に達していたこともあり、交替を決断。ハンター・グリーンはノーヒット・ピッチングのまま降板したのです。
マウンドにはアート・ウォーレンが上がりました。
そのアート・ウォーレンですが、代わりばな、ベン・ギャメルになんとストレートの四球を与えてしまいます。これでパイレーツは1アウト満塁に。これがまずこの不思議なゲームの大きな要因の一つです。
アレホ・ロペス、トスを速く!!
つづくバッターはキブライアン・へイエス。レッズにとって大ピンチです。徹底してインコースを厳しく攻めていたアート・ウォーレンは4球目、95.3mphの4シームで狙い通り、キブライアン・へイエスを詰まらせ、2Bのボテボテのゴロに。
これでレッズは窮地を脱したと思われたのですが、レッズの2Bアレホ・ロペス(Alejo Lopez)が、2Bベースカバーに入ったSSのマット・レイノルズにランニング・トス。タイミングが遅れたことで、バッター・ランナーで足の速いへイエスがわずかに1Bに速く到達し、ダブルプレー成立ならず。この間に3Bランナーのロドルフォ・カストロがホームインし、パイレーツがノーヒットで決勝点を奪ったのでした。
2Bのアレホ・ロペスはファンブルでもしたのか?と思われましたが、そうではなく、とにかく大事に行ったようです。
ゲーム後、ロペスは下記のようなコメントを残しました。
“If it was slow enough, I was going to take it to the plate.Obviously, the guy on third is a good runner. But it was just right in between. It’s decisions you’ve got to make in the moment, and I had to stay back and try for the double play. Obviously, the guy hitting is also a good runner.”
「もしボールが十分に遅かったら、ホーム・プレートでアウトにしようと思った。もちろん、3塁ランナーはいいランナーだ。でも、ちょうどその中間だったんだ。その場その場で判断しなければならないことだが、私は下がってダブルプレーを狙うしかなかった。もちろん、打っている選手もいいランナーなんだけどね」
判断が難しい打球だったということです。でも、ダブルプレーのトスは速くしてほしかったですね。
その後、アート・ウォーレンはブライアン・レイノルズを打ち取り、ノーヒットのまま9回表に。
9回表、レッズはトミー・ファム、マイク・ムスターカスに回るチャンスのターンではありましたが、いずれも凡退。最後はアルバート・アルモラ・Jr.の代打で出場したTJ・フリードル(TJ Friedl)が、2Bゴロに倒れてゲームセット。
このような出来事があり、レッズはノーヒットを成し遂げたにも関わらず、0-1のスコアで敗れたのでした。
試合後、誰もハンター・グリーンに声掛けできず
降板後、ハイタッチで迎えたレッズナインでしたが、ゲーム後は気の毒過ぎて誰もハンター・グリーンに声をかけることが出来なったというレッズ・ナイン。気まずい雰囲気だったのでしょうね。
この日、ハンター・グリーンはアベレージで98.9mph、MAXで100.8mphをマーク。
デビュー戦も含めて、過去6度の登板で、11HRを浴びているハンター・グリーン。とりわけ、5月5日のブルワーズ戦では、2.2イニングで7三振を奪うも、被本塁打が5とワーストの投球となりました。
カウントを悪くして甘いところを打たれる、また打者はもうファストボールに的を絞って打席に立っており、その回転率の高いボールからもやはり打球は飛ぶということになっているようです。
その反省を踏まえてか、この日はスライダーを増やしました。4シームが51球に対して、スライダーは65球。中には4シームを投げないで、スライダーとチェンジアップだけで対応する場面も。
この日は敗れてしまいましたが、結果をだした投球だったとも言えます。
なお、決勝点のランナーはハンター・グリーンが四球でだしたランナーだったので、ハンター・グリーンが敗戦投手となっています。
ジョーイ・ボットを怪我で欠き、チーム打率が現地2022年5月15日時点で.216とMLB27位のレッズ。ERAは6.04で最下位。
そもそもファイヤー・セールを行ったフロント・オフィスの判断が招いている当然の結果でもありますが、今の厳しい時期をなんとか乗り越えてもらいたいなと思います。
なお、レッズ打線を抑えたパイレーツ先発はホセ・キンタナ。7回、3ヒッターのナイス・ピッチングでした。
過去、ノーヒット投球で敗れたケース
なお、相手をノーヒットに押さえて敗れたケースは6件あるようです。
These pitchers gave up no hits … and lost(MLB.com)
お読みいただき、ありがとうございました。
コメント