全米にその真価を見せたばかり
現地2024年6月15日、ドジャースの山本由伸投手が地元でのロイヤルズ戦で先発登板。前回登板のヤンキース戦でその実力を全米に知らしめた山本投手はその直後の登板ということで大いに期待されていましたが、山本投手は2イニングを投げ終えたところで緊急降板。怪我の度合いが心配されます。
上腕三頭筋の張り
山本投手は2イニングを投げ終えたところで、ドジャース・ベンチが何やら騒がしい動きに。まずはブルペンでマイケル・グローブがぐるぐると腕を回し、慌てて肩を作るシーンが映し出された後、ドジャース・ピッチングコーチのマーク・プライアーが駆け足でダグアウト内を駆け、デーブ・ロバーツ監督をトンネルに案内するシーンが映し出されました。マーク・プライアーと言えば、現役時代、カブスで投げていたあのマーク・プライアーですね。
この後、ロバーツ監督は山本投手の状態を把握、次の守備からマイケル・グローブに交代しました。ドジャースは後に、山本投手は上腕三頭筋の張りで退いたことを発表しました。
ヤンキース戦好投後
上述の通り、山本投手は6月7日のヤンキース戦で素晴らしい投球を披露。ファストボールは常時97-98mphをマーク。7イニングを2ヒッター、スコアレスに抑える凄まじい投球内容でした。
この日の106球の熱投の後、山本投手は右上腕三頭筋周辺の痛みと張りを訴えます。これを受けてドジャースは、山本投手の登板を当初の13日(木)のレンジャーズ戦から2日延期して15日(土)のロイヤルズ戦に変更。中5日の休息が中7日となり、これで症状を解消するプランでしたが、結果的にはうまくいきませんでした。
4試合連続100球
なお、山本投手はこのヤンキース戦を含む直近4登板はいずれも100球超えをマーク。これを中5日のペースでこなしていました。これ以外にも90球以上の登板日が5試合もありました。
Date | Rest | Opp | IP | H | R | ER | BB | SO | HR | Pit |
5/20 | 6 | ARI | 6.1 | 7 | 2 | 2 | 1 | 8 | 0 | 100 |
5/26 | 5 | @ CIN | 5.0 | 6 | 4 | 4 | 2 | 8 | 0 | 100 |
6/1 | 5 | COL | 6.0 | 7 | 1 | 1 | 1 | 7 | 0 | 101 |
6/7 | 5 | @ NYY | 7.0 | 2 | 0 | 0 | 2 | 7 | 0 | 106 |
今季、メジャー初シーズンとなっている山本投手はこのペースを開幕からほぼ継続。初年度の色んな面の気遣いなどもあり、さすがにこのペースでの投球は疲労が蓄積したものと思われます。
ウォーミングアップ時にすでに違和感
山本投手は試合後、通訳を通して「張りは2、3日前から張りは感じていて、今朝は解消された。ただ、ウォーミングアップ中に再度張りが出てきたので、コーチ等にはその旨は報告。ローテーションの一角でもあるので予定通り、土曜日は投げる自信はあることも伝えた」と述べました。
どうやら当日キャンセルは避けたかったということのようですね。ロバーツ監督も試合後、この1週間を通して山本投手の張りは把握していて、早い段階で痛みを訴えていたら、この日の登板は避けていたという趣旨を語っていました。
4シームが走らず
山本投手は見た目にはそれほどの違和感はなく、ファストボールのキレもあったように見えました。しかし、数字は正直だったと思います。4シームは1イニング目は94-95mphを計測していたものの、2イニング目には93-94mphに。また4シームの頻度は2イニング目は明らかに少なくなり、カーブとスプリッターで速く見せる工夫を実行。その変化球もこれまでよりも回転数が減少。これでよく無失点で抑えたなと思います。2イニング、21球で被安打1、スコアレス、BB 1、SO 1。
なお、試合は山本投手降板後のマイケル・グローブが2イニングを1失点と好投したものの、4番手のブレイク・トライネン、5番手のアンソニー・バンダが失点を重ね、ドジャースはロイヤルズのエース、セス・ルーゴから2点を奪うのが精一杯でした。7-2のスコアでロイヤルズが勝っています。
今後
山本投手は16日に精密検査を実施。これにより、どれくらい休むのかが明らかになると思われます。よって、その診断を待ってドジャースは山本投手をILに入れる見込みです。
損傷などしていないことを祈るばかりですが、もし休息を入れることで解消される症状なら1度のIL期間だけで済みそうです。たぶん15 Day ILに入るかと。
おそらく6月はこれでシャットダウンです。復帰時期として7月のオールスターが一つの目安ですが、その前に返ってくるのか、あるいは一層のこと完治を目標にオールスターをまたぐのか、ここは総合的に判断すると思われます。
あくまで軽症であるならというところです。
仮にドジャースが山本投手を長期間失うとなれば大変なことになりますが、それはもうその時に考えるしかありません。本当に軽症であってくれと思います。
C・カーショウ、B・ミラーもいる
なお、ドジャースはクレイトン・カーショウがオールスター後には復帰する予定。カーショウは左肩を手術していました。また、ボビー・ミラーは右肩を傷めていましたが、6月19日に復帰する見込みです。
追記:ローテーターカフでした
現地2024年6月16日、山本由伸投手が精密検査を受け、その結果、ローテーター・カフの張りであることが判明しました。ローテーター・カフは下記の通り、肩周辺の4つの筋肉の総称。筋肉とは言え、たとえば腕と肩の骨の継ぎ目にかかる部分もその範囲であり、ここには腱板があり、この腱板が摩耗してしまうと痛みを伴って厄介です。
The rotator cuff muscles in action. pic.twitter.com/QcL1C98n4Z
— ABCTUTORIAL (@abctutorial65) June 4, 2024
ローテーターカフを傷めて苦戦した投手の筆頭は最近ではやはりルイス・セベリーノになると思います。2017年に14勝6敗、2018年に19勝8敗をマークして敵なしのような先発投手でしたが、彼はこの2年の疲労が蓄積してその後は苦戦の連続です。セベリーノの怪我の詳細は明らかになっていませんが、かなり傷んでいたことは容易に想像出来ます。
山本投手の場合、MRIの結果、損傷や断裂が見当たらなかったことが判明しており、ということは腱板にひどい摩耗や損傷がなく、むしろ大きな筋肉のどこかが炎症を起こしていただけではないか?と思います。
山本投手はデビューして2ヶ月間、ローテーションを回し続け、しかも慣れないボールの要素などもあり、疲労が蓄積していたと思われます。しばらく休んで回復度合いを慎重に判断して負荷を徐々に上げていけば割と早くに戻ってくるのではないかと思っています。この張りのある箇所はむしろ山本投手が意識して使っている大きな筋肉ですので、それだけ良い動きをしているということも言えるのではないでしょうか。肘でなくて本当に良かったです。
ドジャースは治療も最先端なので大丈夫でしょう。
マイケル・グローブもIL
なお、山本投手の降板後にマウンドに上ったマイケル・グローブも15 Day ILとなりました。マイケル・グローブは右肋間筋損傷で彼の方がむしろ心配で、時間がかかるかもしれません。
お読みいただき、ありがとうございました。
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