なかなかの大型トレード
現地2025年11月18日、エンゼルスとオリオールズとの間でトレードが成立。大谷選手の中継でもお馴染みだったOFのテイラー・ウォード(Taylor Ward)がオリオールズに移籍することとなりました。そしてエンゼルスが獲得したのがなんと右腕のグレイソン・ロドリゲス(Grayson Rodriguez)です。オリオールズはまた思い切りましたね。
エンゼルスは2026年からカート・スズキが新監督として指揮を執ります。新しい体制をバックアップすべく大型トレードを実施しました。
トレード概要
すでに上述しているのですが、一応わかりやすく書いておきます。
オリオールズ
- テイラー・ウォード(Taylor Ward/32※)OF: B/T: R/R
※現時点では31歳ですが、12月に誕生日を迎えるため、2026シーズンの年齢にしています。
エンゼルス
- グレイソン・ロドリゲス(Grayson Rodriguez/26)RHP
背景
LAAは全面的な弱点を持つも、まずはディフェンス
2025年、ALでチーム打率で最下位だったのはエンゼルスで.225。また、チームERAが最下位だったのもエンゼルスで4.89でした。また、スターター、リリーバーのERAがともに最下位だったのもエンゼルスで、スターターのERAは4.91、リリーバーのERAは4.86。
そして得点は673でAL12位と辛うじて最下位は免れたものの、失点は777を記録し、これはもうもちろんALでワースト。
つまり、エンゼルスは打てない上に、ザルのように失点していたというのが数字にも表れております。
新監督のカート・スズキ氏はキャッチャー出身ですから、まず着手したいと思ったのはディフェンスでしょう。中でも投手。そのためには打線の中で機能していたテイラー・ウォードを出してもここはローテーションでしっかり回ってくれる投手を入れておきたいと思ったのは人情でしょう。グレイソン・ロドリゲスは怪我が多いのですが、そこは後述します。
BALはOFのオフェンスが不安定
一方、オリオールズはチーム打率が.235でALで11位。ガナー・ヘンダーソンが辛うじて.274/ .349/.438、OPS .787をマークするも、他は.240以下が続く打線でした。HRもガナー・ヘンダーソンがトップで17本。
そしてOFのオフェンスがとりわけ弱かったのです。特にLFは打率.225(AL11位)、CFは打率.201(AL14位)。RFは夏までラモン・ロレアーノが好調だったので.265(AL3位)と良いポジションにいますが、そのラモン・ロレアーノはトレード・デッドラインでパドレスに移籍しましたから、もはやRFも課題に。
G・ロドリゲスはカードになっていた
ゆえにオリオールズは打てるOFを欲していて、 そのためにはクラブ内でトップ・プロスペクトであったグレイソン・ロドリゲスをカードにすることを予め示唆していた状態。今回、グレイソン・ロドリゲスがテイラー・ウォードに化けたというような形となりました。
2025年、テイラー・ウォードは36HR!
テイラー・ウォードに関してはもうご承知の通り、長打力のあるいいバッターですよね。
2025年はキャリアハイとなるHR 36を記録。打率は.228に落ち込んだものの、SLGはキャリアハイとなる.475に上昇。しかもRBIは103!これもキャリアハイです。RUNも86を数えました。
テイラー・ウォードは2015年にエンゼルスからドラフト1巡目指名(全体26位)を受け、マイナーリでは圧倒。2018年にはトリプルAに昇格し、同シーズン終了後にメジャーデビュー。
しかし、その後はメジャーの投手に苦戦し、ようやくレギュラーに定着したのは2022年で135試合に出場してHR 23を記録。初のフルシーズンで.281/.360/.473をマークしました。
そして大谷選手とともにエンゼルスの打撃陣として大いに機能したのはご承知の通りです。大谷選手のエンゼルスでのファイナル・イヤーは怪我で97試合の出場に留まりましたが、大谷選手がドジャースへ移籍後はエンゼルス打線の中核となっていました。
2026年は調停のファイナル・イヤー。オリオールズでFA前の大事な1年を過ごすことになります。
怪我の多いグレイソン・ロドリゲスが機能するか?
グレイソン・ロドリゲスは2018年のオリオールズの1巡目(全体11位)指名。プロ入り後はマイナーで急速に頭角を現し、圧倒的な奪三振数を上げてトップ・プロスペクトに。Pre-2022のトップ・プロスペクト・ランクでは6位に入り、オリオールズ内ではアドレー・ラッチマンに次ぐ順位に。
2023年にデビューにデビューしたものの、最初の10試合の先発ではERA 7.35。一度マイナーに落ちましたが、オールスター明けに復帰して以降は猛烈な勢いで品質を上げ、13試合の先発でERA 2.58を記録。シーズン当初の問題となっていた制球力を改善し、1イニングあたりほぼ1つの奪三振を記録。この年、オリオールズはALDSでレンジャーズにスウィープされましたが、レギュラーシーズン最後の3ヶ月から見てオリオールズの未来のエースが誕生したと誰もが思ったのでした。
2024年シーズン、グレイソン・ロドリゲスはSO%を26.5%まで押し上げ、BB%も7.3%まで下げ、20試合の先発登板で13勝を挙げ、ERA 3.86をマーク。しかし、8月に肩の故障でシーズンエンドとなり、2025年は全休。
果たして、グレイソン・ロドリゲスは2026年に復活するか、これがもうカート・スズキ体制のエンゼルスの肝になるくらいの大きなファクターです。ややギャンブル感は否めませんが、ヘルシーなら戦力になるのは間違いないです。
グレイソン・ロドリゲスはMLSが2.129(2026年1月時点はそうなります)で、2029年までコントロール下にあります。
BALのOF
テイラー・ウォードは捕手としてキャリアをスタート。その後、3Bを守ったりしましたが、2022年からはOFです。2023年からはLFのみが中心。オリオールズではコルトン・カウザー、タイラー・オニール、レオディ・タベラス、ディラン・ビーバーズ、ヘストン・キャースタッドとの競合ですが、オフェンス力ではテイラー・ウォードがLFを守ることになりそうです。
LAAのOF
エンゼルスはウォードの移籍により、力を発揮したジョー・アデル、べてランのホルヘ・ソレアーに加えてあと1枠が必要。マイク・トラウトはDHです。ブライス・テオドシオ、マシュー・ルーゴらはチャンスです。
BALのSP
グレイソン・ロドリゲスの抜けたオリオールズのスターターはトレバー・ロジャースとカイル・ブラディッシュ、ディーン・クレマーが軸。タイラー・ウェルズは、UCL手術から2025シーズン終盤に復帰NO.4が見込まれますが足らないのも事実。このオフはスターターを獲得に走ると思われます。
お読みいただき、ありがとうございました。



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