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【MLB移籍2018−19】菊池雄星投手のMLB移籍プロセス(ポスティング)

日本時間2018年12月3日、西武ライオンズがNPBにポスティングの申請を出し、いよいよメジャーとの交渉が始まる菊池雄星投手。

現地でも大谷選手の高校の先輩というだけでなく、「ハードスロー」なレフティーとして非常に注目されております。もちろん、大谷選手と同じハイスクールとも伝えられております。

現地時間2018年12月4日からいよいよ30球団との交渉が始まります。

ポスティング制度(2018)

今回、菊池投手がMLBへ移籍するために必要な手続きとしてやはりポスティングが必要です。ポスティング不要となるには、NPBに9年の在籍が必要です。

ポスティングの規定

Players from Japan’s top league — Nippon Professional Baseball (NPB) — who do not have the ※requisite nine years of professional experience to gain international free agency can request to be “posted” for Major League clubs.

「NPB 9年でインターナショナル・フリーエージェンシーとなる。それまではポスティングですよ」 ※requisite:必要な

(参考)

international amateur free agent

菊池投手の場合は(NPB在籍6年)2020年までインターナショナル・フリーエージェンシーの資格がないため、MLBへ移籍するにはやはり西武の承認が必要なポスティングを経る必要があります。

ポスティング制度自体は新制度が適用されます。大谷選手の時は旧制度でした。特に違うところは後述します。

話し合いスタート

代理人はスコット・ボラス氏です。松坂投手と同じです。

  • 現地2018年12月4日から30日間、本人と代理人が同席して各クラブと交渉

これから上記の期間で各クラブは菊池投手相手にプレゼンをするような形になります。おそらく全クラブに合うと思いますが、物理的な時間の関係である程度絞るかもしれません。大谷選手も昨年、いろいろと回っておりました。

ポスティングと聞けば、どうしても最も高い入札額を入れたクラブのみが交渉出来るというふうに思いがちですが、それはいわゆる「旧制度」です。旧制度ではNPB側に支払うお金のことを「入札額」と呼んでおりました。

やはり選手にとって最も大きな利益は、1クラブだけでなく、各クラブを回って全体の中から自分に最適なクラブを選べるというところではないかと思います。

リリース・フィー

MLBがNPBの球団に払う金額のことを「リリース・フィー」と呼ぶことになっております。

菊池投手がいずれかのクラブと合意して契約を結んだ場合、西武ライオンズには以下の金額が譲渡されます。

  1. 2,500万ドルで合意した場合→西武に20%
  2. 5,000万ドルまで→西武に1 + 次の2,500万ドルの17.5%
  3. 5,000万ドル超→西武に1+2+その次の2,500万ドルの15%
  4. 契約にSupplemental Fee(余剰の料金)がある場合、サイニング・ボーナス(契約金)あるいは、Vesting Option(〜を達成すれば$〜)がある場合、それぞれ15%が西武に。

一応、移動にかこつけて喫茶店にてメモ書きしたのをつけておきます。美しくないものですが、よければご参照まで。

上部の白いのは電話番号をここに書いてしまった名残です。すみません。

(定義)

Japanese Posting System

大谷選手の時との最大の違い

MLB側がインターナショナル・ボーナス・プールを考慮しなくていいかどうか。

  • 菊池投手:27才、NPB 8シーズン
  • 大谷選手:22才、NPB 5シーズン(2017年12月当時)

菊池投手の場合は考慮不要です。

インターナショナル・ボーナス・プールとは

インターナショナル・ボーナス・プールとはインターナショナル・アマチュア・フリーエージェンシーに該当する選手を獲得する際に、MLBのクラブ側に設けられた金額の枠。契約金額そのものではないが、契約金額が上がればその枠も狭まる制度。

お金にモノを言わせて特に中米のよい選手を根こそぎゲットしたりしないように、公平性を保つために設けられている制度。

インターナショナル・アマチュア・フリーエージェンシーに該当する場合は、インターナショナル・ボーナス・プールをセットで考える必要があります。

NPBの選手の場合

NPB出身の場合は在籍9年を経ると、アマチュア・フリーエージェンシーとなり、獲得クラブはやはりこの金額枠を考慮しないといけません。

9年未満の選手の場合は?

では9年未満なら、インターナショナル・アマチュア・フリーエージェンシーでないから、その金額枠は関係ないよね?と思われるかもしれません。

しかし、NPB出身の場合は、上の方に書かせていただいた通り、在籍9年未満の選手はまずポスティングという手続きが必要であると、これはNPB・MLB双方で合意しております。だからまずはポスティングを経ないといけません。

もう一つフィルターがあって、それが下記の規定です。

NPBの9年未満の選手の金額枠の扱い

  • 年齢は25才以上
  • 外国のリーグで少なくとも6シーズン経過
  • その2つの点に該当する選手を獲得する場合、獲得クラブ側はインターナショナル・ボーナス・プールが免除される。(該当しない場合は、その枠を考慮する必要がある。)

菊池投手は考慮不要

よって、今回の菊池投手の場合は上の2要件に該当するので、インターナショナル・フリーエージェンシーでないと同時に、クラブ側はインターナショナル・ボーナス・プールという金額の枠を考慮する必要がないということになります。

大谷選手は考慮必要だった

一方、大谷選手の時は、上の2要件に当てはまらなかったために、インターナショナル・フリーエージェンシ−ではなかったけれど、金額枠を考慮する必要があった、そういうことになります。

(参考)

international amateur free agent

Foreign professionals — defined as players who are at least 25 years of age and have played as a professional in a foreign league recognized by Major League Baseball for a minimum of six seasons — maintain exemption from the international bonus pool.

金額枠のあるなしの影響

大谷選手の場合は、金額枠を考慮する必要があったために、契約金額を上げたくて上げられないクラブが出てきて、全30クラブ対象とはならなかった。

ところが菊池投手の場合はこれを考慮する必要がないので、全クラブが対象となる。ここが一番違うと思います。

よって、菊池投手は選び放題(とは言いすぎですかね)。よって、リッチなクラブも獲得に意欲を見せています。

関心を寄せているクラブ

ご覧の通り、ヤンキース、ジャイアンツ、レッドソックス、ドジャース、フィリーズ、ブルワーズ、レンジャーズなどがスカウトを送っておりました。

特にヤンキースのオーナー、ハル・スタインブレーナーさんは、早々にスカウトが送ってきたVTRをチェックして、強い関心を寄せております。

上のリポーターのツイートに名前が上がっておりませんが、パドレス、マリナーズは日本ゆかりのクラブなので当然有力とも見られております。

よく見る菊池選手が着ているジャージ

よく見るこのジャージ。

MLBのサイトでもよく見かけ、菊池投手と言えば西武のジャージよりもむしろこのジャージの写真ばかり見ますが、これはオーストラリアリーグの「メルボルン・エース」のジャージ。

菊池投手が2011年にこのリーグに参加していた時の写真です。

公式サイトでの菊池投手の紹介

MLB公式サイトでは、MLBの2018年のLHPのAvg ベロシティーが 91.4 mphの中、菊池投手はAvgで92-94 mphを投げ、Maxで96-98 mphになんどもヒットしている。変化球でいいのはスライダーであるというような情報も上がっておりました。

おそらく、今MLBのチームはリビルド(再建)しているところが多いので、流動的ではありますが、レフティーのローテを欲しがっているクラブは多数あると思うので、いい交渉が出来るのではないかと思っています。

まとめ

  • NPB9年在籍でポスティングなし。それ以下はポスティング。
  • リリース・フィーは$25Mの区切りで率が違う。サラリーが上がる規定があればそこからも15%、NPBの球団に渡る。
  • インターナショナル・アマチュアFAとインターナショナル・ボーナスPは普通はセット
  • NPB在籍9年未満の場合は、インターナショナル・ボーナスPが免除される要件がある。
  • それがあると対象チームが広がる。

以上です。

お読みいただき、ありがとうございました。

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