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【サイン・スティーリング】2018年のレッドソックスの疑義に裁定が下る!ドラフト2巡目ピック放棄などが決定

コミッショナー・レポートが出る

 現地2020年4月22日、レッドソックスの2018年のレギュラーシーズンに関するイリーガルなサインスティーリングに裁定が下りました。

 当初はスプリングトレーニングが始まって少し経過した、2月中にレポートが出る、つまり裁定が下るとされていました。しかし、今回の新型コロナウィルスの感染拡大の余波により、スプリングトレーニングが中止に、開幕が延期となり、さらにはソーシャル・ディスタンス・プロトコルのコード遵守に基づいた今後の展開など未曾有の危機に対応することが最優先となっていたのでした。

まさかのこの時期

 よって、スプリングトレーニング中盤に出ると言われていた最終処分がさらに遅れて、2020シーズンの開催に関する最終決定が下ってからになるのではないかと予想していました。ところがまさか、この時期に出るとは思っても見なかったです。

マンフレッド・コミッショナーのレポート

 今回の処分の原文はこちらのPDFに配布されています。

• Decision and Findings of the Commissioner in the Red Sox Investigation (PDF)

 そもそもの今回のイリーガルなサインスティーリングの疑惑の詳細は下記のリンクに記載させていただいています。

 概要としては、ベンチの非常に近くにあるビデオのリプレールームをレッドソックスで相手投手の球種などを解読。それを2塁の塁上に出たランナーに伝え、それをバッターにリレーしていたというものでした。ただ、今回出たレポートの内容は少し違っておりました。

 仮にデコード(解読)出来たとして、そんな非効率なことをやって果たして伝達出来るのか?というなんとも言い難いことをやっていたという疑惑でした。

内容

 今回のレポートの内容を簡単にピックします。

  • 2018年のレギュラーシーズンでビデオ・リプレー・システム・オペレーターのJ.T.ワトキンス(J.T. Watkins)氏が試合中に何度かリプレールームを相手チームのサイン解読のために使用していた事実を確認。
  • 2018年時点ではサイン盗みに関して、あらゆる方法で行うことを禁止する明文はなかった。したがって、2塁ランナーのサイン盗みも不文律として許されていた面があった。また、試合前、あるいは試合後にビデオを使って相手チームのサインを解読して来るべきゲームに備えることも不文律として許されていた。
  • ただ、2018年3月にMLBコミッショナーオフィスとしてジョー・トーリより、全クラブに試合中はリプレー・ルームやビデオ・ルーム、電子機器をサイン解読のために使用することを禁止するという通達を出していた。
  • アストロズとの違いは、アストロズはリアルタイムで球種を教えていたのに対し、レッドソックスのJ.T.ワトキンスが絡んだケースはリアルタイムではなく、ゲーム前あるいはゲーム後に選手に伝えていたというもの。また2塁塁上にいたケースに限られ、それはリーグ全体で言っても打席数の19.7%というもの。 
  • ワトキンスは2017年の「アップルウォッチの件」にも深く関わっていた。アップルウォッチの件とは、リプレールームでサイン解読をしてアップルウォッチ装着のベンチのスタッフに伝達していたというものです。
  • 2018レギュラーシーズンONLYだった
  • ワトキンスが入手した分析はルールを破って取得(試合中にリプレールームをサインスティーリング目的で使っていたこと)したものであったことを知っていたのはごく限られたメンバーで、監督、コーチ、フロントオフィスはそのことを知らなかった

 可能な人は報告書のPDFを是非読んでいただきたいのですが、内容の主要なところをピックアップするとこのような論点です。上のリンクにも出していたようなリアルタイムでの伝達ではなかったという内容となっています。ローゼンタールさんの独占記事を否定するような内容にもなっています。

ワトキンス氏はいわゆる先乗りスコアラー的な役割 

 ワトキンスの仕事はadvance scouting staffで試合後あるいは試合前に相手チームのサインを解読することでした。これはルールに則った役割です。いわば先乗りスコアラーと同じと考えていいと思います。

 通常ならスタンドで、あるいはテレビで観戦しながらデータをとるところが、リプレールームを使ってサインスティーリングしていたことにあったのが問題というロジックです。

処分 

 今回裁定された処分は以下の通りです。

  •  J.T.ワトキンス(J.T. Watkins)は2020シーズン、2020ポストシーズンのサスペンデッド。選手でのないので出場停止ではなく、勤務停止というところになると思います。
  • 仮にワトキンス氏が戻ったとしてリプレールームの同職に就くのは2021シーズンと2021ポストシーズンまでは停止。
  • レッドソックスは2020年アマチュアドラフトの2巡目指名を放棄すること
  • アレックス・コーラ元監督はアストロズのベンチコーチ時代の処分(2020年のポストシーズンまで停止)にとどまる。今回のレッドソックスの件では処分はなし
  • レッドソックスは調査に非常に協力的であった。
  • MLBオフィスへのペナルティーはなし。

 アストロズはクラブとして以下を課せられました。

  • 2020年と2021年のドラフト1巡目と2巡目の指名権剥奪
  • MLBオフィスへの罰金500万ドル

大甘裁定という批判が多数 

 マンフレッド氏のレポートにはレッドソックスのドラフト2巡目指名の放棄の影響は甚大ということが書かれています。2020年のドラフトはラウンド5から10でストップする簡略版で行われるためです。

 レポートのロジックではかなり慎重に裁定したとは思いますが、どうも行き着くところはJ.T.ワトキンス氏のみというのがやはり多くの人の納得が行かないということなのでしょう。

 また2017年のアップルウォッチの件の翌年のことで、再犯ではないか?というきびしい意見も寄せられています。

 あとはマンフレッド氏はオーナー寄りであると言われるところも批判の要因になっていると思います。オーナーがいなければMLBのビジネスは成立しないのは確かです。そこは私も大いに共感するところです。ことにいまの新型コロナウィルスの件でもはや相当な経済的損失が予想される訳ですから。ただ、理想としてはさらに野球に愛情があるならほんとうにフェアであるのか?という視点も取り入れて欲しいとは思います。言うは易く行うは難しで、理想を貫くのは本当に大変なのですが。

メディアが暴かなければ

 メディアと言えば最近は健全なイメージがまったくないのですが、ことMLBのケン・ローゼンタールさんなどは怖いもの知らずでとても健全だと思います。飯の種の取材元に対して喧嘩をしかけているのですから、キモが座っているなと思います。この暴露がなければ今頃どうなっていたのか?という自浄作用も問われています。ずっとやってたんじゃないのか?と思うのが普通ですから。

レニキさんの「暫定」が取れる

 なお、今回の裁定でレッドソックスは暫定監督として採用していたロン・レニキーさんを正式に監督して迎えることになりました。2018年のコーラ体制の要職にありましたから、暫定ということにしていました。

やはり2019年のナッツは大正義

 サインスティーリングの件で記事を書いていて思うのは、こちらも何回も書いている記憶があるのですが、2019年のナショナルズのワールドシリーズチャンプは本当に大正義だったなと思います。サインスティーリングされているのがわかっていてそれをときには出し抜いて勝った訳ですから、すごいです。

スイングの質

 それとサインスティーリングに関しては、スイングに迷いがなさ過ぎるときはそう思います。あの選手とあの選手は間違いないです。たぶんFAになっても市場価値は上がらないのではないかと思います。

これぞ本物

 スイングの迷いのなさにおいても2019年のナッツは素晴らしい点がいくつもあり、とくにハウィー・ケンドリックがGame7の7回表にカットボーラーのウィル・ハリス(今季からチームメイトですが)から放ったライトポール直撃の逆転2ランHRのスイングは素晴らしいと思っています。同じ迷いのなさでもこちらは完全にカットボール狙いの配球読みというか、もうアウトコースに完全に的を絞っていた待ち方。これこそは野球の魅力の一つだと思います。

 お読みいただき、ありがとうございました。

コメント

  1. ootanisugoi より:

    なんにせよレッドソックスはかなり良い成績からのws制覇だったので残念です〜
    ところであの選手って●ルトゥーベと●リエル?
    結局誰から誰がどの程度盗んでたのかはこの後の成績次第ですかねー
    スプリンガーとかはどの程度なのかなあ?明らかにして欲しいですよねえ
    逆にドジャースもフルセットまで行ったんですからダルさんは十分活躍出来た可能性も大いにありましたよねー 
    やはりステロイド並のショックが個人的にはあります

    • hirotee より:

      ootanisugoi様
       アップルウォッチの時もそうでしたが、そんなことをしていたら集中できないだろうと私なんかは思います。よく高校野球の中継で、コースを知るためにキャッチャーの動きに耳を立てるように視線が捕手に動くシーンが見られますが、あれも打ちたい心理で、今回はその打ちたい心理のスケールが大きくなったようなものなのかなと思います。プロの場合、成績とお金が比例するので余計にフェアな意識でやってもらいたかったです。
       アルさんは決定ですね。私が思うアストロズのもうひとりはよく見つめる人です(笑)。もうひとりはチームも含めてちょっと言えないですね・・・。そもそも推測の域ですので。
       ダルビッシュさんは癖を掴まれていたようですね。2019のALDSでのタイラー・グラスノーと同じかなと思います。ただ、もうアストロズには疑惑があるのでカメラでサインは盗んでいたかもしれませんね。
       コメントありがとうございました!

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