12連敗
現地2022年6月7日、ロサンゼルス・エンゼルスはジョー・マッドン監督を解雇することを決定しました。
エンゼルスは現地2022年6月6日のレッドソックスとの4ゲームシリーズの初戦を1-0のシャットアウトで落とし、12連敗となっていました。
全揃いで力を発揮させたが・・・
現地2022年6月6日のエンゼルスは26打数の間、ヒットが出なかったマイク・トラウトにようやく1安打が出たものの、レッドソックス先発のマイケル・ワカに抑えられ0-1で敗戦。
現在、アンソニー・レンドンが手首を傷め、ILリストに入っているところです。
2021年のエンゼルスはトラウトとレンドンを怪我で欠き、大谷選手と打線ではジャレッド・ウォルシュしか機能せず、大谷選手が獅子奮迅の活躍を見せていたのはご承知の通りです。非常に厳しいシーズンでした。
しかし、今季はトラウトとレンドンが復帰。待望の全揃いの状況となり、4月は14勝8敗の好成績を残し、順位では4月半ばから5月の半ばまで首位を走りました。
大谷、トラウト、レンドンの強烈な3本柱だけでなく、テイラー・ウォードも覚醒。さらにジャレッド・ウォルシュは相変わらずいい仕事をしてくれ、ブランドン・マーシュも好機で活躍。また、SSにアンドリュー・ベラスケスがいることで投手陣も安心してゴロを打たすことが出来、そのベラスケスも好機で安打を放つなど、一時はまさに善循環を展開しました。
不安のブルペンもカバー
打線の機能により、不安だったブルペンもなんとかクローザーのライセル・イグレシアスにつなげることが出来るようになり、いい形が目立ちました。
しかし、5月16日以降、6月6日まで19試合で12連敗を含む3勝16敗。最大で10あった貯金も消費し、現時点では27勝29敗で借金2。
打線が機能しなくなったことにより、ブルペンの不安が途端に露呈し、ひいては先発にも影響という状況になってしまいました。
気になる大谷への影響は?
マッドン監督の解雇により、気になるのは大谷選手の起用方法。
もしも大谷選手の2Wayでの起用により、選手間に不満があったとしたら、起用法は変わると思いますが、そうではありません。
また、投手兼DHが試合に影響を与えているかと言えば、こちらもそうではないと思います。
よって、監督が代わったとしても、少なくとも今季は今のスタイルを継続することになると思われます。投打にわたり、キーマンですから。
休息日は設けるかも
ただし、ゲームに出たい大谷選手に新監督はストップをかけるかもしれません。マッドン監督はむしろ、疲れていても信念を通せという感じで起用していました。しかし、チームがこうなり、マッドンがいわば責任を背負わされてこの処分になったことから、大谷選手に疲れが見えれば、登板日は投手専任とか、登板翌日は休ませるなど、頑なに貫いていた二刀流は場合によっては崩れるかもしれません。
それが出来るのは監督が代わったからということになるからです。それもパフォーマンスを冷静に見るならということではあります。
後任には3Bコーチ
そして、気になる監督のポジションには3Bコーチのフィル・ネビン(Phil Nevin)が就くことになりました。暫定の監督です。
フィル・ネヴィンとは?
フィル・ネヴィンとはMLBファンからすれば、「あの!」というかもしれません。
フィル・ネヴィンは現在51才。現役時代は1995年から2006年までプレー。アストロズでデビューし、パドレスでの活躍が目立った選手で、右投げ右打ちの3B、1Bでした。
通算安打は1,131安打、HRは208、打率.270、OBP .343、SLG .472、OPS .814。オールスター出場は1回です。2012年に殿堂入りの資格を得たものの、得票はありませんでした。
引退後
引退後は、2009年に独立リーグのオレンジカウンティ・フライヤーズ(今はもうない)を指揮した後、デトロイト・タイガース傘下へ移籍。2010年にタイガースのダブルAのエリー・シーウルブズ、2011年から2013年までトリプルAのトレド・マッド・ヘンズの監督を経験。
2014年からはDバックスのトリプルA、リノ・エーセスの監督として指揮をふるいました。2016年シーズン終了後、Dバックスの監督候補の一人となったものの、トーリー・ロブーロに決定。
その直後、2017年にサンフランシスコ・ジャイアンツの3Bベースコーチを引き受けたものの、シーズン終了後に解任されました。
2018年、ニューヨーク・ヤンキースの3Bコーチに就任し、2021年シーズン終了まで在籍。
2022年、ロサンゼルス・エンゼルスの3Bコーチに就任。
なお、息子のタイラー・ネヴィン(現オリオールズ)は2021年にメジャー・デビュー。AFLでHRをたくさん打ち、筆者も期待していた選手。もう一人の息子のカイルはベイラー大学でプレー。
フィリーズのケースとは違う
エンゼルスが監督交替で流れがどうなるのか?は微妙だと思います。
フィリーズの場合は、起用する選手が違うだろ?ということで、ジョー・ジラルディは、状況の中でクラブの力を最大化出来ていなかったのが問題でした。フィリーズは若い力も積極的に使うことで良いサイクルになりつつあります。重しが取れたという状態。
エンゼルスの場合、とにかく主力が機能しないことにはどうにもならない状況かと筆者は思います。また、まずもってブルペンには課題があるのですから、アーロン・ループ、ライセル・イグレシアスにつなぐ投手の整備も必要です。ライアン・テペラは良くなってきました。アーチー・ブラッドリーの調子が戻れば良いのですが、そうでない場合、テペラ、ループ、イグレシアス以外の投手が厳しい状況です。
GMも含めてどう対処していくか、見ものです。
追記1:監督の解雇当日に白星ならず→13連敗に
ジョー・マッドン監督の解雇が決まったのは現地2022年6月7日の朝のこと。
この日も当然、ゲームが予定されていて、レッドソックスとのGame2がナイト・ゲームで組まれていました。
トラウトが先制HR
さすがにエンゼルスの選手たちも目の色を変えて試合に臨み、レッドソックス先発のギャレット・ウィットロックに立ち向かいました。
先制点はエンゼルス。1回裏、まずは大谷選手が二塁打で出塁。そして、つづくマイク・トラウトがCFオーバーの2ランHRを放ち、エンゼルスが2-0とリードします。
ところが2回表、エンゼルス先発のホセ・スアレスがストーリーの2塁打などでノーアウト満塁のピンチを迎え、ここを堪えきれませんでした。ホセ・スアレスは3人連続で得点を許し、2-3と逆転されてしまいます。
その直後の2回裏、エンゼルスは下位打線で1点を上げ、3-3のタイスコアに持ち込みました。
また3回裏にはトラウトとスタッシの2本の二塁打で4−3と勝ち越しに成功。
トラウトが途中交替
3回裏の第2打席で二塁打を放ったマイク・トラウト。1打席目のHRに続く2打席連続の長打です。ところが、トラウトはベース・ランニングの際、左鼠径部を傷めてしまい、ゲームから引っ込んでしまいました。せっかく復調の狼煙を上げる2連続長打だったのに、惜しいですね。
エンゼルスは5回裏にジョー・アデルのタイムリー2塁打でもう1点を追加。5-3と2点差をつけて後半に突入しました。
6回表、オリバー・オルテガがマウンドに上がったものの、ボビー・ダルベックのラッキーなRF前シングルで1点を失い、4-5に。さらに7回表にはランナー2、3塁の場面でトレバー・ストーリーが打席に。ストーリーはゴロによるピッチャー返しの打球を放ちましたが、これをライアン・テペラが弾いてしまい、この隙にホームからデバースが返り、5−5のタイスコアにされてしまいました。
そしてゲームは延長にまでもつれ、延長10回表、レッドソックスはオートマチック・ランナーを活かし、バスケスがタイムリーを放ち、6-5と勝ち越しに成功。
裏の攻撃で粘りを期待されたエンゼルスでしたが、結局、マット・ストラムに抑えられ、ゲームセット。監督交替が決まった日に白星を上げることができませんでした。
- BOX SCORE(Game2)
エンゼルスはこれで13連敗。
お読みいただき、ありがとうございました。
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