驚きのディール
現地2025年12月19日、レイズとオリオールズ間でトレードが成立。なんとレイズはエース級の右腕、シェーン・バズ(Shane Baz)をトレードに出しました!
これはさすがに驚かされました。しかも地区ライバルに。詳細を見てみます。
トレード概要
このトレードで動くの計5名+ドラフトピック権。
オリオールズGet
- シェーン・バズ(Shane Baz/27)RHP
レイズGet
- スレイター・デ・ブラン(Slater de Brun/19)INF | B/T: L/L
- ケイデン・ボディン(Caden Bodine/22) C | B/T: Both/R
- マイケル・フォレット(Michael Forret/ 22) RHP
- オースティン・オーバーン(Austin Overn/23) OF | B/T: L/R
- Competitive Balance Round A ドラフト・ピック権
シェーン・バズ1人に対して計4人+ドラフト・ピック権です。またレイズはプロスペクトをかき集めましたね。
B・ハイドのレイズフロント入り
レイズとオリオールズ、この2つのクラブをつなぐ人物はブランドン・ハイド。2025年5月までオリオールズの監督だった人物です。そのブランドン・ハイドが今オフ、レイズのBO(Baseball Operations)のシニア・アドバイザーに就任。当然、上から下まで力が及びます。
そのブランドン・ハイドが目にかけたプロスペクト達がこぞってレイズに移籍というふうにも見えるトレードではあります。とは言え、レイズはエース級のシェーン・バズを出してまで完結させるディールか?とも思います。
スーパー2だったシェーン・バズ
シェーン・バズは2025年を終えてMLSが3.158で今オフは調停のステータス。ただ、彼の場合、スーパー2適用選手で、3年未満でありながら、2025年は調停ステータスと同じになり、サラリーもメジャー最低年俸ではなく、1年/$1.45M (2025)をゲットしていました。
いくら資金力の乏しいレイズとは言え、まだまだコントロール下における金額だったと思うのですが、この決断の意図は?
オリオールズからの強い要望
このトレードはオリオールズ側から見るのが正解かもしれません。
今オフ、オリオールズはグレイソン・ロドリゲスをエンゼルスにトレード。大事にしてきた若手ローテーション投手を放出してでもHRバッターのテイラー・ウォードを獲得するに至りました。右打者に強いバッターがいなかったオリオールズにとってはまずはそれが大きな課題だったがゆえの決断でもあります。
その後、オリオールズはメッツからFAとなったピート・アロンゾを獲得。もはや右打者はどれだけ強いんだ!という状況にもなった訳ですが、左はガナー・ヘンダーソン、コルトン・カウザー、ジャクソン・ホリデーらがおりますから、スイッチヒッターのアドレー・ラッチマンを加えるとかなりバランスの良い打線になりました。
右打者の話はこれくらいにして、要はオリオールズはグレイソン・ロドリゲスの抜けた穴をシェーン・バズの獲得によって埋めたという形になりました。
グレイソン・ロドリゲスは怪我のため、18ヶ月近くMLBで投げていないのでその穴というのも大げさな話かもしれませんが、ヘルシーならグレイソン・ロドリゲスはかなり勝てる投手でもあります。
シェーン・バズも結構、故障の多い投手でもありますが、二人とも近い将来、チームの柱となるほどの期待できる点では一致しております。先にグレイソン・ロドリゲスの方が実績を上げましたが、シェーン・バズは2025年に素晴らしい活躍を見せました。
シェーン・バズとは?
あのトレードの一員
プロスペクト時代、東京五輪のUS代表としても投げたシェーン・バズは、もともとは2017年のパイレーツの1巡目指名。
レイズに移籍したのは、MLB史上最も残念なトレードの1つとして語り継がれているトレードの一員に入ったため。
そのトレードは2018年のトレード・デッドラインでのディールで、当時、コンテンダーでももなかったパイレーツがレイズからクリス・アーチャーを獲得。ところが、この後クリス・アーチャーは胸郭出口症候群で苦しみ、思うような活躍が出来ませんでした。そのパイレーツが差し出したのがタイラー・グラスノー、オースティン・メドウズそしてシェーン・バズ。シェーン・バズに至ってはPTBNL(後日指名)の選手として後から加わったもの。もはや皆活躍している選手ばかりです(オースティン・メドウズは今はメジャーにおらず、弟のパーカー・メドウズがタイガースで活躍しています)。シェーン・バズはこのトレードに入っていたのです!
2022年にTJ手術
レイズに移籍後、2021年の東京五輪の年にメジャー・デビュー。この年は3試合のみの登板。期待された2022年でしたが、シェーン・バズはシーズン前に肘の内視鏡手術を受けデビューしたのは夏。復帰後、27,0イニングを投げたものの、その後、前腕部の捻挫で再びIL入り。結果、同年9月にトミー・ジョン手術を受けることになりました。
バスは2023年シーズン全試合と2024年シーズン前半を欠場。2024年は7月から復帰。14試合、79.1イニングで4勝3敗、ERA 3.06。
2025年は輝いた
2025年、シェーン・バズはレイズのローテーションとしてほぼ皆勤と言っていい31試合に先発し、自己最多の166.1イニングを投げ、10勝12敗、ERA 4.87をマーク。
怪我の多かったバズがフルシーズン投げきれたことがそもそもレイズにとって財産でした。SIERA(3.95)、FIP(4.37)、SOレートは24.8%、BBレートは9%、GBレートは平均以上の46.7%。
被弾が多かった2025
ただ、ERA 4.87とあるようにバズには課題が残りました。1年を通じて被本塁打が26本もあったのです。HRレートは3.7%でMLB平均の3.1%を超えました。26被弾のうち、右打者に打たれたのは19本とかなり多かったのです。
ただ、これはレイズは2025年はタンパのスタインブレナー・フィールド(ヤンキースのA)で「ホーム」ゲームを行ったことも要因かと思われます。レイズはホームのトロピカーナ・フィールドはハリケーン・ミルトンによって甚大な被害を受け、間借りせざるを得ませんでした。
スタインブレナー・フィールドは、スタットキャストのパーク・ファクターズではMLBで右打者にとって2番目にホームランに恵まれた球場でもあります。
バズは2025年、4シームがMAXで97mphを記録。さらに彼独自のナックルカーブも威力を発揮しました。強いボールと独特な変化球で良い投球を見せました。
オリオールズのローテーション
オリオールズは現時点で、トレバー・ロジャース、カイル・ブラディッシュ、ディーン・クレマーそしてシェーン・バズとかなり強いローテーションを構築。ここにまだタイラー・ウェルズ、ケイド・ポヴィッチ、ブランドン・ヤング、チェイス・マクダーモットらもローテーションの座を狙っているという非常にいい状況となっています。
オリオールズはまだフランバー・バルデス、レンジャー・スアレス、今井達也投手らを狙っているとの噂もあります。注目ですね。すでにピート・アロンソ、シェーン・バズ、テイラー・ウォード、ライアン・ヘルズリーを獲得しているオリオールズ。まだせめるようです。
レイズの4名
2026年のドラフトも含めれば計5名がレイズに動くことになりますが、まずは明らかになっている4名をご紹介します。
スレイター・デ・ブランは2025年ドラフトのオリオールズ1巡目(全体37位:COMP BALANCE A)で指名されたOF(左投げ・左打ち)。5-10(178cm)とメジャーのOFとしては小柄ですが、コービン・キャロルよりは高いかもしれません。打撃ではコンタクト力、選球眼に優れ、守備ではスピードに自信あり。左打席ですし、スティーブン・クワンのようなタイプと言っていいかもしれません。レイズのプロスペクト・ランクで早速8位にランクイン。
ケイデン・ボディンは捕手のプロスペクト。デ・ブランと同じく2025年の1巡目(全体30位:COMP BALANCE A)で指名されてプロ入り。大学時代は打撃のコンタクト力がかなり評価され、左右の打席で鋭い打球を放っており、守ってはフレーミングに定評のある捕手。スピードはないものの、レイズの正捕手候補として期待されます。レイズのプロスペクト・ランクで13位に入りました。
マイケル・フォレットはこのトレード唯一の投手。2023年の14巡目指名でプロ入り。プロデビュー後に速度が上がり、2024年はクラスA+で60.0イニングで75奪三振を記録。2025年は腰痛に悩まされながらも、クラスA+とダブルAでERA 1.58、91奪三振を記録してブレイク。この人のデビューがもっとも早くなりそうです。レイズのプロスペクト・ランクで7位に入っています。
オースティン・オーバーンは2024年の3巡目指名の右投げ左打ちのOF。USCでは1年時にアメフトのワイドレシーバーでもありましたが、野球に専念。プロ入り後はクラスA+で21試合に出場し、OPS.865、16盗塁を記録。2025年はクラスA+とダブルAで114試合に出場し、打率.249、出塁率.355、長打率.399、13本塁打、64盗塁を記録。スピードがあります。レイズ・ランクでは22位です。
このようにレイズはオリオールズからなかなかおもしろい面々を獲得。これをブランドン・ハイドが俯瞰して成長を見守るということになります。
お読みいただき、ありがとうございました。







コメント