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【MLB2025】ドジャースにファーハン・ザイディが復帰。大谷も信頼を寄せるオーナーの特別顧問に。

ベースボール・オペレーションの外でオーナーを補佐

 現地2025年2月10日、ドジャースのフロント・オフィスにおなじみの顔が戻ってくることになりました。

 2015年から2018年までアンドリュー・フリードマン球団社長の下、ゼネラルマネージャー(GM)を務めたファーハン・ザイディ(Farhan Zaidi)がspecial advisor(特別顧問)としてフロント・オフィスに帰ってきます。

ドジャースのフロント・オフィス

 ここでドジャースのフロント・オフィスを記しておきます。ご覧のような面々となっています。

エグゼクティブ・オフィサー(執行役員)

 現地2025年2月10日時点。

 ドジャースのオーナー・グループはグッゲンハイム(Guggenheim)という投資グループで、2012年3月に球団を買収。様々な活動をしている同グループですが、ドジャースの買収に当たってはグッゲンハイム・ベースボール・マネジメントという組織を作り、それが今でもクラブを経営をしています。

 エグゼクティブ・オフィサー達はクラブの経営そのものを担っている人達です。タイトル(役職)は英語のままの方がよりわかりやすいので、あえて和訳せずにそのまま記載します。

  • Owner & Chairman: マーク・ウォルター(Mark Walter)
  • President & CEO: スタン・キャステン(Stan Kasten)
  • President, Baseball Operations: アンドリュー・フリードマン(Andrew Friedman)
  • Executive Vice President & Chief Operating Officer: ボブ・ウォルフ(Bob Wolfe)
  • Executive Vice President & Chief Marketing Officer: ロン・ローゼン(Lon Rosen)
  • Executive Vice President, Planning & Development: ジャネット・マリー・スミス(Janet Marie Smith)

 ここで大谷選手の契約を思い出してもらいたいのですが、実は大谷選手の契約にはオプトアウトが入っているのです。そのトリガー(発動)はなにかというと、マーク・ウォルター、アンドリュー・フリードマン退任で

 詳しくは下記の記事を見て欲しいのですが、要は彼ら二人がいなくなればドジャースを出ていくというくらい大谷選手は2人に絶大なる信頼を持っているということ。

エグゼクティブ・オフィス

 上記のエグゼクティブ・オフィサー達をビジネス面から支援するというような役割がこのポジション。

  • Executive Assistant to President/CEO & EVP/COO:シェリル・ランピー(Cheryl Rampy)
  • Administrative Assistant, Executive Offices: レベッカ・ポポカ(Rebeca Popoca)

Baseball Operations(編成)

 そしていかに素晴らしいフィールドにするか?というのがこのベースボール・オペレーションズ。

 GMには元レイズの投手、ブランドン・ゴームズがおり、元プレーヤーということもあり、フィールドの需要や動きに常にピントを合わせることが出来る人員です。

 昨今はこの元プレーヤーが編成の中心に座ることが多くなく、ブランドン・ゴームズはその成功の典型例。他にレンジャーズのクリス・ヤング、今オフからジャイアンツのPOBO(President of Baseball Operations)になったバスター・ポージー、レッドソックスのCBO(Chief Baseball Operations)のクレイグ・ブレスロー、さらにマリナーズのジェリー・ディポートもそうですね。

  • Executive Vice President & General Managerブランドン・ゴームズ(Brandon Gomes)
  • Senior Vice President, Baseball Operations: ジョシュ・バーンズ(Josh Byrnes)
  • Vice President & Assistant General Manager:  ジェフリー・キングストン(Jeffrey Kingston)
  • Vice President & Assistant General Manager: アレックス・スレイター(Alex Slater)
  • Vice President, Assistant General Manager & Baseball Legal Counsel: デーモン・ジョーンズ(Damon Jones)
  • Vice President, Baseball Operations: ビリー・ガスパリーノ(Billy Gasparino)

 この下にもスカウティングや国際スカウト、施設から選手開発(育成)まで様々な役職があり、BO(Baseball Operation)全体でざっと60以上のポジションがあり、上記はアシスタントGMまで記しました。

 その他、大きなカテゴリーとしては人事、金融・会計部門、IT、法務、マーケティング、渉外活動など一般企業の体制も当然整っております。野球独特のスプリング・トレーニングの施設なども一部門として記載されていることから、一般企業で言えばさながら地方支店というところかと。

編成の序列

 ドジャースの編成の序列は、

  • アンドリュー・フリードマン(POBO)
    • ブランドン・ゴームズ(GM)
      • アシスタントGM3名

 という関係になっており、アンドリュー・フリードマンがトップです。

ザイディの経歴

 ファーハン・ザイディは2014年11月6日にアンドリュー・フリードマンの新体制となったドジャースの編成でGMロールに就任。前のGMはネッド・コレッティでした。

 ザイディはパキスタンの血を引く家族のもと、カナダに生まれましたが、4歳でフィリピンに移住し、毎年夏にカナダに戻るような生活をしていました。フィリピンでも野球を愛し、ヤンキースの1B、ドン・マッティングリーが好きだったようです。マサチューセッツ工科大学で経済学の学位を取得し、カリフォルニア大学バークレー校で博士号を取得。

 経営コンサルタントとしてキャリアをスタートさせた後、スポーティング・ニュースに雇われ、同社のファンタジースポーツ部門である「スモールワールド・メディア」の事業開発アソシエイトを務めることに。2005年にオークランド・アスレチックスに入り、有名なビリー・ビーンGMの下、選手の統計的評価の分野に携わりました。セイバーのスタッフの一人だったということですね。アシスタントGMをへてBO(Baseball Operations)のダイレクター(部長)にまで昇進。

現ATLのアンソポロスもLAD

 上述のように2015シーズンからドジャースに在籍し、クラブ運営と選手獲得に専念。フリードマンはビジネス志向の大きな問題の一部を担当。またザイディと同日に採用された元パドレスGMのジョシュ・バーンズはフリードマンのシニア・アシスタントとしてアマチュア・スカウトと選手育成を担当しました。

 1年後の2016年、ザイディと同じカナダ国籍のアレックス・アンソポロスがドジャースに加入。アンソポロスは2014年から2015年までGMとしてブルージェイズに在籍。2015年の地区優勝に貢献した実績がありました。ドジャースには2017年まで2年間在籍しましたが、ブレーブスに引き抜かれ、2018年からはブレーブスの編成トップとなっています。

 ザイディがドジャースに在籍した2015年から2018年までの4年間、ドジャースはポストシーズンを逃すことなく、2017年と2018年にはワールドシリーズにまで進出。しかし、いずれも敗退し、1988年以来のチャンプにはなれず。それは後に2020年まで持ち越されます。華々しい在任期間だったと言えるでしょう。

ライバル、SFGへ

 2018年11月6日、ザイディはドジャースのライバルであるジャイアンツに雇われ、引退したばかりのブライアン・セビアンの後任として新たなPOBOに就任。組織戦略全般を担当し、ロスター調整など日々の運営を担当するGMをを早急に採用する予定でしたが、本人がそれも行うことに。

 2019年シーズン終了後、POBOに専念するため、32歳のスコット・ハリスをチームのGMに採用。この体制で2021年には球団記録となる107勝をマークするなどの成功を収めますが、2021年はポストシーズンであっけなく敗退。

コレアに関する武勇伝

 翌2022年オフにはエピソードというか、インパクトの大きさの点で武勇伝にもなってしまった出来事が発生。ジャイアンツは市場でトップ評価であったSSのカルロス・コレアと13年/$350Mのメガディールで合意。これを大々的に宣伝する予定でいましたが、その数日後にほぼ形式化していたフィジカルチェックでカルロス・コレアの足首に懸念事項が発覚。これにより、契約はペンディングに。

 そして、コレアとの契約を調整していた最中に、メッツもコレア獲得争いに参加。まだサインしていませんでしたからね。コレアに少し短めで少し低額の条件をを提示しました。

 これには多くの人が驚かされました。コレアも生まれたばかりの赤ちゃんにメッツのベビー服を着せるなどメッツ入りを希望していましたが、結果的にメッツでも破綻。最終的にツインズとのショート・ターム・ディールとなりました。

 前代未聞の二転三転のディールにザイディは説明を求められることになりましたが、特に裏工作などはなかったと説明しました。

 その後のジャイアンツでのザイディは、アーロン・ジャッジ、大谷選手などスーパースター選手の争奪戦に何度も敗退。

 プラチナグラブを2度も受賞しているマット・チャップマンとの延長契約にもOBのバスター・ポージーが乗り出すなど存在意義を疑われ、2024シーズン途中に解任となりました。

今回の役割

 ザイディを呼び戻したドジャースは新しい役職で、球団オーナー兼会長のマーク・ウォルターの他のスポーツ関連の仕事を補佐することになります。

 ザイディはロサンゼルスで、プロ女子ホッケーリーグのロサンゼルス・スパークスのオーナーでもあり、その他の野球以外のスポーツの関連では、ドジャースの共同オーナーであるトッド・ボーリーが2022年にプレミアリーグのチェルシーを買収した際に、オーナーのマーク・ウォルターもその一員であったことから、この分野でもオーナーをサポートすることになりそうです。

 グッゲンハイムは手広いですからね。

 案外、ドジャース・ファンはザイディがベースボール・オペレーションズに携わらないことに安堵している??かどうかはわかりません。

 ザイディはハード・ネゴシエーションより、データ分析の方が得意そうですから、その才能はオーナーとしては色々なスポーツ分野で活用したいでしょうね。ひょっとしたらザイディはブランドン・ゴームズに何かあった場合はまたGMにと思っているかどうかは定かではありません。これは憶測です。

 お読みいただき、ありがとうございました。

 

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