スポンサーリンク

【MLB契約】クリス・ブライアントがルーキー時にMLS操作され、FAが1年遅れた経緯

KBは選手会を通じて訴えてはいたが

 現地2020年1月29日のニュースでこんなお話が流れておりました。”Sources: Kris Bryant loses grievance against Cubs, won’t be free agent until after 2021 season.

和訳すると「クリス・ブライアントがカブスに対する苦情に敗れる。2021年終了までFAになれず」と、こんなところですが、もう少し実態に即して訳せば、「クリス・ブライアントが出していたカブスへの申立に結論。敗れる。2021年までFAになれず」と言ったところでしょうか。

 では2015シーズンのクリス・ブライアントのデビュー時に何があったか、記しておきたいと思います。

カブスがクリス・ブライアントのMLSを操作

 さきに結論を書いておきたいと思いますが、こういうことがあり、クリス・ブライアントは苦情を申し立てていました。

MLSとは

 MLSとはメジャーリーグ・サービス・タイムのことで、カレンダーの1年と言えど、野球選手は実質レギュラーシーズンが半年しかありませんから、半年の期間を1年として計算するのがMLSです。

172日=1サービス・タイム・イヤー

 MLSは172日間で1年と計算します。よって、もし172日未満なら1年を満たしたとは言えません。何に対して172日がカウントされるのかというと、細かいルールはあるものの、アクティブ・ロスター25人枠(2020シーズンから26人枠)に入っていた日数です。

 問題は資格です。FA資格はMLSで6年を満たしていないといけません。調停は3年。

カブスは171日で調整

 カブスがクリス・ブライアントに対して何をしたかというと、ルーキー・イヤーに171日になるようにマイナーに落としてFA資格を1年ずらしたのでした。それに対してクリス・ブライアントは苦情を申し立てていて、選手会もブライアントを支援すべく調停委員会にかけていたのですが、4年が経過した今、その結論が出てブライアントの苦情が退けられる形となり、カブスの目論見通りにFAが1年ずれたというニュースです。

2015スプリングトレーニングで大爆発

 2015年にデビューしたクリス・ブライアントは、2013年アマチュアドラフト全体2位でカブスに入団。2013年秋に行われたAFL(アリゾナ・フォール・リーグ)でいきなりMVPを獲るなど、早くから注目されていたプロスペクトでした。 

 2015年にようやくデビューの機会を得て、スプリングトレーニングでは14試合で打率.425、9 HRを放ち、実績では開幕デビュー間違いなしというのを自らの力で勝ちとったのでした。9HRは1位でした。

 ところがカブスは上記の通り、クリス・ブライアントに1年でも長くいてもらいたいということから、サービスタイムをうまく利用して172日にならないように、わざと開幕からトリプルAに置いてサービスタイムを調整。1年目は最高で171日になるようにセットしたのでした。

 これには当時かなりの批判がありました。下手をすると調子を崩し、プロとしてのキャリアがおかしくなってしまうと冷や冷やしたのですが、ブライアントは2015年4月15日のパドレス戦でめでたくデビュー。

デビューして即活躍

 以降、1年めは151試合で打率.275、OBP .369、SLG .488、HR 26、RBI 99、SB 13を上げる好成績。ルーキー・オブ・ザ・イヤー、オールスター、MVP投票11位を獲得するに至ったのでした。

 2年目の2016年には39HR、102RBI、打率.292などでMVPを獲得。カブスだけでなくMLBの顔と言っても良い選手になったのでした。

調整されなければ2020終了後にFA

 もしもカブスが調整をしなければ、ブライアントは2020年終了後にFAとなっていたのに、調整されたためFAは2021年終了後になったのでした。

 1992年1月4日生まれのクリス・ブライアントは現時点で28才になったばかり。ブライアントとしては2020年終了後の29才でFA資格を得たかったのに、調整のおかげで30才でFAを迎えることになった訳です。

 昨今のFA事情を考慮するとなんとか20代で市場に出たかったというのがクリブ・ブライアント側の本音。市場の厳しさを考慮しての不平で、カブスが調整したからだという苦情ですね。

調停委員会はカブス側に有利に

 今回の結論が出たのは調停委員会によるものですが、やはりカブス有利に進んだことは間違いありません。

ブライアントもFA前によいサラリー

 調停委員会は何もカブスと結託してわけではなく、待遇という点で言えばクリス・ブライアントもかなりの恩恵は受けていました。カブスはその穴埋めを十分いに果たしてもいたという見識も伺えます。

 調停資格も3年を前に2年で資格を得るスーパー2が適用になったこともあり、クリス・ブライアントのサラリーはご覧の通り。

  • 2016: $652K (調停前)
  • 2017: $1.05 M (調停前)
  • 2018: $10.85 M (1度目の調停)
  • 2019: $12.9M (2度目の調停)
  • 2020: $18.6M (3度目の調停)
  • 2021:  (4度目の調停)

 FA前でも$1M に達しない選手が多い中、カブスも十分に報いているでしょう?という裁定でもありました。もっとも活躍の度合いが違うのですが。

 これが2015年から引きずっていた経緯でした。

カブス、ブライアントをトレードのカードに

 2021年までクリス・ブライアントを管理下に置いたカブスはあと2年を使ってクリス・ブライアントをカードにそれに見合ったプロスペクトを狙うというのが現時点でのカブスのスタンスのようです。

 果たしてこのオフにもブロックバスタートレードが成立するでしょうか?みものですね。

 お読みいただき、ありがとうございました。

 

コメント

スポンサーリンク

NEW

【MLB2025】絶好調のPCA!2試合連続HRを含むRBI 7、盗塁2でドジャース戦の連勝に貢献
【MLB2025】エンゼルスがイアン・アンダーソンをDFAに
【MLB2025】UCLを傷めていたトリストン・マッケンジーが手術回避の結果、DFAに
【MLB2025】エンゼルス、3点ビハインドの9回裏に大逆転!ジョー・アデルがサヨナラ安打を放つ
【MLB2025】ギャレット・クロシェ、ERAが1.13に!BOSはカサスのサヨナラ安打でCWSに勝利
【MLB2025】パヘスがまたもHRを強奪!佐々木は6回を投げきるも、最後に笑ったのはレンジャーズ!
【MLB2025】山本、デグロムとの投手戦を制す!またもエドマンが殊勲の一打
【MLB2025】大谷がパタニティー・リストで欠場へ!E・ロザリオがロスター入り(朗報あり!)
【MLB2025】レンジャーズのクマール・ロッカーがメジャー初勝利をマーク!
【MLB2025】スペンサー・ストライダーが復帰!最速で通算500奪三振を記録
【MLB2025】ホームラン単独トップ(8号)のA’sのタイラー・ソーダーストロムとは?
【MLB Injury 2025】クリス・ブライアントがILへ。復活の道は遠し。ロッキーズの経営にも大きく影響
【MLB2025】パドレス、3試合連続でロッキーズをシャットアウト!圧巻の成績で高品質ゲームを連発中
【MLB2025】ミゲル・ロハス、ドジャース投手陣のモノマネで球場を沸かせる
【MLB2025】アンディー・パヘスがGSを強奪!佐々木は最長5回を投げきるも、ドジャースは大敗!
【MLB2025】試合を決めたのはまたしてもトミー・エドマン!ドジャースは山本も輝き、ホーム10連勝を達成
【MLB2025】 コナー・ウォンの小指骨折を受け、レッドソックスがヤスマニ・グランダールを獲得!
【MLB2025】ドジャース、連敗を3でストップ。ロード・トリップは2勝4敗で2シリーズ連続で落とす
【MLB2025】HOU、CWSなどで活躍したリリーバーのオクタビオ・ドーテルが不慮の事故で亡くなる
【MLB2025】レッズ、ハンター・グリーンが圧巻の投球!好調ジャイアンツを完全に支配!
【MLB2025】ブルージェイズ、ブラディミール・ゲレロ・Jr.と14年/500Mドルで延長へ!
【MLB2025】ドジャース、連敗せず!佐々木朗希がゲームメイク!A・ノラは好投が報われず!
【MLB2025】ドジャースが初黒星!フィリーズはJ・ルザルドとリアルミュートが躍動!大谷の盗塁連続成功は38でストップ
【MLB2025】レッドソックスがフェンウェイ・オープナーで勝利!ビューラーが移籍後初勝利
【MLB2025】ドジャース、大谷の今季3号サヨナラHRで開幕8連勝!ATLは7連敗
【MLB2025】今季メジャー初完封はレンジャーズのネイサン・イオバルディ!99球で達成!
【MLB2025】レッドソックス、ギャレット・クロシェと6年の延長契約で合意へ
【MLB2025】開幕3戦で15本塁打! NYYが巻き起こした新バット「トルピード “Torpedo”」の大波紋
【MLB2025】ドジャースがタイガースを力でねじ伏せてスウィープ!佐々木はホーム・デビューで苦戦
【MLB2025開幕Gm2】ナイス・ゲーム!粘るタイガースにトミー・エドマンとムーキー・ベッツが立ちふさがる!
タイトルとURLをコピーしました