前日23時終了→13時半デーゲーム先発
現地2022年5月5日、フェンウェイ・パークではエンゼルス@レッドソックスの3ゲームシリーズの最終戦が行われ、予告先発通り、大谷選手がマウンドに上がりました。今季5度目の先発です。前回登板は4月27日のガーディアンズ戦で、その後鼠径部を傷めましたので、中7日を空けての登板となりました。
前日のナイト・ゲームはほぼ11時PMに終了(ローカル時間で7時10分PMスタートのゲームは延長までもつれ、結果、3時間42分の試合時間に)。選手たちがスタジアムを出たのは日付が変わってからになったでしょう。Game3で先発した大谷選手はこのような環境の中でのスタートでした。尋常ではないですね。
トラウト欠場
レッドソックス戦で大谷選手登板ということで、エンゼルスは盤石の布陣で臨むかと思われましたが、マイク・トラウトが欠場となりました。トラウトは怪我ではなく、休養ということで次のナショナルズ戦から出場予定。レッドソックスは当たりが出ていないキケ・ヘルナンデスを外し、フランチー・コルデロを起用しました。
エンゼルス | レッドソックス |
---|---|
1. ウォード RF 2. フレッチャー 2B 3. 大谷 DH 4. レンドン 3B 5. ウォルシュ 1B 6. スタッシ C 7. メイフィールド LF 8. マーシュ CF 9. ベラスケス SS P. 大谷 | 1. ストーリー SS 2. デバース 3B 3. ボガーツ SS 4. J.D. DH 5. ベルドゥーゴ LF 6. コルデロ RF 7. ダルベック 1B 8. JBJ CF 9. プラウェッキ C P. リッチ・ヒル |
冷静に見て、今のエンゼルスは非常に強いです。この日はトラウトが欠場しましたが、大谷→レンドン→ウォルシュが続くだけでも相当怖い打線です。トラウトがいたら、どれだけ迫力があったことか。リードオフのウォードも素晴らしい活躍を継続しており、さらにマーシュ、スタッシも得点の欲しいところで打つケースが多いです。そして、悪球打ちのフレッチャーが戻ってきました。ハイボールが通用しません。そして、守備での貢献度が打撃以上に価値をもたらしているベラスケス。言ってみれば、とても良いサイクルに入っているのが今のエンゼルス。スペックそのものを出力出来ているようないいサイクルですね。
スコア以上に緊迫した展開
すでに大きなニュースにもなっているこのゲームは大谷選手の大勝利のようなゲームで、レッドソックス目線で行けば、なんと悲惨な敗戦!というスコア。しかし、実はスコア以上に非常に緊迫した展開が続きました。
6イニングまではスコアレスが継続。エンゼルスが序盤にリードして大谷選手が5回で降板という楽な展開ではなかったのです。
リッチ・ヒル、5回1ヒッター
緊迫した展開となった理由はレッドソックス先発のリッチ・ヒルがそのエンゼルス打線を苦しめた点にあります。リッチ・ヒルは、立ち上がりの3イニングをパーフェクト。
リッチ・ヒルは5回、68球を投げて、1ヒッター、6奪三振の素晴らしい投球内容でした。
打たれた1安打は4回表に、大谷選手がCFへ放った大きなシングル。これはあと数センチでブルペンに入るHR性の当たりでもありました。シングルになったのは、前のランナーのテイラー・ウォードが落球に気づくのが遅れ、タッチアップのタイミングでスタートを切ったため。足止めを食らったわけですね。名手ジャッキーも、太陽が重なってしまいました。
デバースでギアを上げた大谷選手
現時点でのレッドソックス打線は、ラファエル・デバースとザンダー・ボガーツの2人をマークしておけばなんとかなるというのが冷静な見方です。96mph近辺のボールに普通に対応しているのはこの2人くらい。後は振り遅れ気味。
大谷投手は、立ち上がりから冷静な投球。これはスタッシのリードも良かったと思います。見応えがあったのは、ラファエル・デバースとの対戦。第1打席ではバックドア気味のアウトコースへのカーブをうまく使って三振。ただ、これは振り逃げになりました。
デバースとの2回目の対戦も、同じような攻め方となりましたが、さすがのデバースは、第2打席ではLF前にうまく弾き返し、バックドアに即座に対応。
見応えがあったのが5回裏の第3打席。2アウトながら、スコアリング・ポジションにランナーを置いてというシチュエーション。ここで大谷選手のギアが上がりました。100.3mph → 99mph → 80.6mph(カーブ) → 99.6mph(ファウル)と、100mph近辺のファストボールを連発。最後は91.9mph のスプリットが懐に決まり、見逃し三振。これは見応えがありました。
大谷選手は6イニング目も辛抱が続きます。というのも、6回表は、レッドソックスはリッチ・ヒルからタナー・ハウクへスイッチし、三者連続三振に斬って取り、流れを作りそうな投球をしたからです。
大谷選手は7回表にようやく2点の援護を受け、その裏のレッドソックスの攻撃を抑え、降板。
7回、99球を投げ、被安打6、スコアレス、奪三振11、与四球なしという素晴らしい投球を披露しました。
殊勲はレンドンが選んだ四球
ハウクが7点を奪われたのですが、上述の通り、6イニング目は三者連続三振を奪うなど、ボールも切れていました。では、なぜ7回に先取点を奪われ、8回に崩れたのか?と言えば、7回表のアンソニー・レンドンの四球にあったと見て良いように思います。
先頭の大谷選手がCFフライに倒れて1アウトとなった後、アンソニー・レンドンも簡単に追い込まれます。ただし、タイミングがあったファウルで2ストライクとなっただけ。レンドンは、ハウクの持ち球である4シーム、スライダー、スプリットといずれもいい内容のファウルで対応。いずれも捉えていたのです。2ストライク後のボール3つも、ハウクとすれば、目先を変えたコースで4シーム、スライダー、シンカーと投げ分けたのですが、レンドンはきっちり見切っての選球。
こうなるとハウクとすれば、投げるボールが無くなってしまい、むしろハウクが追い込まれた状況に。結果、9球を費やし、最後はスライダーがアウトコースにはずれて四球。
この後、ジャレッド・ウォルシュにはスライダーをうまくRFポール際に放り込まれ、2点の先制を許してしまいました。
そして8回はその影響か、コントロールに精度を欠き、4球を挟んで4連打などで3失点。
後を継いだカッター・クロフォードは、ジャレッド・ウォルシュをいいコースで詰まらせたものの、オープンスペースに打球が飛ぶという不運もあって、計5失点でゲームが決まりました。
エンゼルスが8-0のスコアで大勝。大谷選手に3勝目がついたのでした。
JBJがただ一人大谷選手に対応
打撃にはあまり期待が持てないジャッキー・ブラッドリー・Jr.ですが、どうも大谷選手に合うようで、この日は大谷選手から3打数2安打と元気の良いところを見せました。
守備のいいジャッキーがCFで太陽が目に入り、落球(これは記録はヒット)。しかし、打撃でこれだけ貢献するとは思いませんでした。
レッドソックスは6月にもエンゼルスと対戦があります。今度はエンゼルス・スタジアムでの4連戦。その時までにはチーム力が上がり、火花の散るような対戦になることを願ってやみません。
なお、大谷選手は降板後もDHとして残り、打撃では4打数2安打、1RBI。
敵目線で見ると、さらにわかるその凄み
先発投手で100mphという強いボールを投げ、代名詞となるウィニングショットを持ち、しかも四球が0というのはもはやリーグのトップクラスの投手です。また、いつスタンドに持っていかれるかもしれない長打力のあるバッター・・・・それを一人でやっているのが大谷選手で、対戦相手目線でそれを見た時にその凄さがさらにわかったようなゲームでした。
お読みいただき、ありがとうございました。
コメント