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【MLB2019】ジョン・ウェッテランドの罪は重い。しかし、1996ワールドシリーズGM3は名勝負として色あせない

ジョン・ウェッテランドが逮捕

センセーショナルな記事で申し訳ありません。元ヤンキースのクローザーで1996年ワールドシリーズMVPのジョン・ウェッテランドが14歳未満の子供への継続的な性的虐待で逮捕されました。

現地2019年1月16日の時点で、25,000ドルの保釈金を支払い、すでに釈放されております。

子供を二次被害から保護する目的で詳細は伏せられておりますが、2004年以降、当時4才だった子供に少なくとも2年間にわたり2回以上の性的虐待を行った模様です。

 Wetteland is accused of having a child perform a sex act on him, beginning in 2004 when the child was 4, and that it happened twice more during a two-year period.

ESPN

報道をすべて鵜呑みにするわけにいきませんが、これが事実ならば残念を通り越して糾弾されるべき行為です。

ウェッテランドの実績

ジョン・ウェッテランド(John Wetteland)は1966年生まれの52才。

1989年にドジャースでデビュー。ドジャースには1989年から1991年まで在籍。その後はエクスポス(1992-1994)、ヤンキース(1995−1996)、レンジャーズ(1997−2000)でプレー。

成績はMLB通算12年で、オールスター出場3度、1996年ワールドシリーズMVP、1996年セーブタイトル(43セーブ)などのアウォードを獲得。

通算303セーブ、804奪三振。

実績は実績として正当に評価しないといけません。ただ、こういうことがあるとモンスターがマウンドにいたのかというふうに見られがちです。

引退後の2009年、マリナーズのピッチング・コーチ時代に自殺未遂で搬送されたことがありました。ちょっと精神的な問題を抱えていたようです。

あの素晴らしい戦いの1996年ワールドシリーズの主役の一人だっただけに余計に残念です。

1996年ワールドシリーズGame3は本当に素晴らしい戦いでした。

1996年ワールドシリーズ Game3

ジーター、リベラが2年目のシーズン

この年のヤンキースはジーターが2年目。もうイケイケの時です。バーニー・ウィリアムズが3番に入り、セシル・フィルダーが4番。ライトにはダリル・ストロベリーがおり、キャッチャーはジョー・ジラルディ。

マリアーノ・リベラもジーター同様2年目で、セットアップとしてウェッテランドにつなぐ役割を果たしておりました。

監督はNYY1年めのジョー・トーリ

ヤンキースの監督は就任1年目のジョー・トーリ。バック・ショーウォルター監督の後を任されました。ジョー・トーリはメッツ、ブレーブス、カージナルスで監督を歴任。しかし、ワールドシリーズチャンプの実績がなく、就任当初はさんざんな評価でした。

ところが92勝70敗でア・リーグ東地区を制覇。ALCSでもオリオールズを敗りワールドシリーズへ。当然、ニューヨーク・マスコミは絶賛の手のひら返しです。

90年代最強と言われたブレーブスが相手

対戦相手はアトランタ・ブレーブス。攻撃陣にはチッパー・ジョーンズ、フレッド・マグリフ、アンドリュー・ジョーンズがおりました。

さらに、投手陣はグレッグ・マダックス、トム・グラビン、ジョン・スモルツと、歴代ベストではないかというローテーションがそろっており、史上まれに見る強さを誇っていた時代でした。

ブレーブスがGame1に勝利

ヤンキー・スタジアムで開幕したGame1ではブレーブスはジョン・スモルツが登板。ヤンキースはアンディー・ペティットが先発でしたが、3回に6点を奪われ降板。このゲームはブレーブスが12−1の大差で勝利し、Game1をものにしました。

トーリ監督「恐らく明日も勝てないでしょう」

敗戦後、監督室にあのジョージ・スタインブレナー・オーナーがやってきて、「こんなので勝てるのか?」と半ばクレーマーと化して怒鳴り込んできました。

ところがトーリ監督はオーナーに向かって、さらにネガティブなことを言いました。

「第2戦の先発はマダックスです。おそらく明日も勝てないでしょう」と。

しかしこうも言いました。

「2連敗となりますが、アトランタに移ってからが勝負です。うちに流れを呼び込んでみせます」と。

その根拠はデービッド・コーン。

先発デービッド・コーンが魂の投球

Game3の先発はデービッド・コーンとトム・グラビン。やはりブレーブス優位に見えた顔合わせでしたが、ヤンキース先発のコーンにはチームを奮い立たせる力がありました。

シリーズ前までコーンは肩を傷め、本調子ではありませんでした。

ところがコーンは監督の期待に応えるべく、5回まで無失点の投球を見せます。

ヤンキース打線は1回にバーニー・ウィリアムスのタイムリーで先制し、4回にはダリル・ストロベリーのタイムリーで2点目を上げて2−0とリード。

限界のコーンに対してトーリは

6回裏、疲れの見え始めたコーンはヒットと2つの四球で1アウト満塁のピンチを迎えます。

この時、ジョー・トーリ自らがマウンドに出向き、コーンの目をまっすぐ見つめて「行けるか?」とたずねます。

コーンから「行けます」と力強い返事を得たトーリは「コーンほどの男が行けるというのなら任せるしかない」と肚をくくり、ベンチへ。

コーンはつづくバッターをショートフライに打ち取り2アウト。あとアウト1つ。

しかしまだ満塁のピンチが続きます。つづくバッターにコーンはフルカウントまで持ち込むも痛恨の押出し四球で1点を献上。

ここで普通の監督なら怖くて交代させています。ところがトーリ監督はそれでもコーンに任せました。これがポイントでしたね。

コーンは渾身の投球でつづくバッターをキャッチャー・ファウルフライに打ち取り、最少失点の1点で切り抜け、お役御免となったのでした。

ヤンキース打線は8回にも3点を上げ、5-1とリード。

コーンの後を引き継いだマリアーノ・リベラは8回1アウトまで1失点に抑え、さらにグレアム・ロイドも好投を見せ、5−2とリードしたまま最終回のブレーブスの攻撃に。

最後はウェッテランドが9回を完璧に抑え、ヤンキースが5−2で勝利したのでした。

1981年以来のワールドシリーズ勝利

この勝利でヤンキースは1981年以来のワールドシリーズでの勝利を上げたのでした。

まさにデービッド・コーンが引き寄せ、ウェッテランドが火消しした素晴らしいゲームでした。

Game4

その後、Game4も名勝負でした。延長10回、4時間17分の激闘が行われました。

5回終了時点でブレーブスが6-0とリードしていたのをヤンキースが6回に3点、8回に3点を入れて同点に。さらに延長10回に2点を奪い、大逆転したのでした。

完全に流れを掴んだヤンキースはGame5、6にも勝利し、2連敗のあとの4連勝で、見事1978年以来のワールドシリーズチャンプに輝いたのでした。

このシリーズは本当に素晴らしかったです。

あ、私はボストンのファンですが、このシリーズは本当に素晴らしかったと思います。

お読みいただき、ありがとうございました。

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