【MLB2020】ジャイアンツ、カブスで”神童”と呼ばれたスコット・ハリスを新GMに採用

良いなと思ったらシェアお願いします

SFG、オールドスクール体勢脱却へ

 こんばんは。本日はフロント・オフィスのニュースです。今後のFA市場の行方やジャイアンツの編成を予想する上でもインパクトの出てくる情報なので記しておきたいと思います。

 現地2019年11月10日、サンフランシスコ・ジャイアンツはカブスでアシスタントGMを務めていたスコット・ハリス氏を引き抜き。新GMとして採用しました。

ザイディ&ハリス&新監督体制

 ジャイアンツは2018年11月にドジャースからファーハン・ザイディ氏(Farhan Zaidi)をヘッドハント(関連記事)。以降はザイディ氏がジャイアンツのベースボール・オペレーション部門のヘッドを務め(正確にはPresident, Baseball Operations)、アシスタントGMのジェレミー・シェリー(Jeremy Shelley)とともにGM業務を担っておりました。

 今回、スコット・ハリス氏を引き抜いたことで、ザイディ氏がより高度なディシジョン・メイキングも担当しつつ、スコット・ハリス氏とで新しいシステムを構築したと言えそうです。そして新監督の採用によって、ジャイアンツはオールドスクール体勢を完全に脱却。定量化がさらに進んだ組織体制に進化していきそうです。

若く才能あふれる32才の新GM

 スコット・ハリス氏はとにかく評判のよかったアシスタントGMでした。カブスと言えばエプスタイン氏が有名ですが、彼はベースボール・オペレーションの社長。GMにはジェド・ホイヤー氏がおりました。

左はGMのジェド・ホイヤー。右の赤のポロシャツを着たのがスコット・ハリス

【2019年のカブスの組織体制】

  • President, Baseball Operations – セオ・エプスタイン
  • Executive Vice President, GM – ジェド・ホイヤー
  • Assistant GM – ランディー・ブッシュ
  • Assistant GM- スコット・ハリス
  • Director, Pro Scouting and Baseball Operations – ジェフ・グリーンバーグ
  • Director, Major League Travel – ヴィジェイ・テッチャンダニ(Vijay Tekchandani)

 二人いるアシスタントGMの一人がスコット・ハリス氏でしたが、エプスタイン社長からの信任も厚く、まさに右腕として活躍していました。

もともとカリフォルニア出身

 スコット・ハリス氏は33才。もともとカリフォルニア・ネイティブで2009年、23才の時にUCLAで経済学の学士を取得。その後ノースウェスタン大学・ケロッグ・スクール・オブ・マネジメント(Northwester’s Kellogg School of Management で MBA ( Master of Business Administration: 経営学修士 ) を取得。その傍ら、インターンとしてナショナルズとレッズで働きベースボール業界に入りました。

コミッショナー・オフィスへ

 2010年10月(24才)からはフルタイムのリーグのコーディネーターとしてコミッショナー・オフィスに2年間勤務。

カブスへ

 そのハリス氏がカブスに入ったのは2012年11月。カブスでは当初、ダイレクター・オブ・ベースボールオペレーションのポジションとして入社。アシスタントGMの一つ下です。この時なんとまだ26才。

カブス内で”神童”

 その幼い顔つきとそれに似合わぬ働きぶりからカブス周辺では「神童」と呼ばれていたそうです。同僚の話ではスマホの連絡リストにはお母さんの電話を”Mommy”と登録していたというエピソードも。でも仕事は抜群に出来たということですね。

ダイレクターを5年→アシスタントGMへ

 上記のポジションは2017年12月まで5年間勤務。この間、2016年にカブスがワールドシリーズ・チャンプになりましたが、この時の彼の働きぶりはカブスのフロントオフィスに多大なインパクトを残したと言われています。

 その後、2018年1月からアシスタントGMに就任。選手の獲得、契約の交渉、選手の評価などを任されていました。そして2年足らずでジャイアンツからGMのオファーを得たという超天才しか歩めないルートでキャリアを築いてきたのでした。

 選手としての経験はないけれども、定量的な手腕でベースボールの中身を変えて行くタイプのフロントですね。今のMLBのGMはほぼそうではあります。

ジャイアンツ10代目GM

 スコット・ハリスはジャイアンツの10代目GMとなります。

  1. チャールズ・フィーニー(Charles “Chub” Feeney):1947-69
  2. ホーラス・ストーンハム(Horace Stoneham):1970-75
  3. スペック・リチャードマン(Spec Richardson):1976-80
  4. トム・ヘラー(Tom Haller):1981-85
  5. アル・ローゼン(Al Rosen):1985-92
  6. ボブ・クイン(Bob Quinn):1993-96
  7. ブライアン・サビーン(Brian Sabean):1996-2014
  8. ボビー・エバンス(Bobby Evans):2015-2018
  9. ファーハン・ザイディ(兼任): 2019
  10. スコット・ハリス: 2020-

2019年のジャイアンツ

 2019シーズンのジャイアンツは絶望的な状況からスタートしたものの、これはひょっとしてポストシーズンを狙えるのか!?という真夏の大快進撃がありました。

【ジャイアンツ2019月別勝敗】

  • 3月:1勝3敗
  • 4月:11勝15敗
  • 5月:10勝16敗
  • 6月:14勝13敗
  • 7月:19勝6敗
  • 8月:11勝16敗
  • 9月:11勝16敗

 ところが、その後はトレードデッドラインではリビルドの方に舵を切り、ご覧のように8月、9月は低迷。結局77勝85敗で借金ありの3位というポジションで終了。2017年が最下位(63-98)、2018年が4位(73-89)で終わっていたのでまだましではありましたが、ちょうど組織内を再構築しているという状況でもありました。

 この模様からジャイアンツの内部は「ニュースクールVSオールドスクール」あるいは「アナリティカルVSスカウト」の対立構造をよく揶揄されており、実際そのとおりだとも思いました。

 今回、ハリス氏を起用したことで、完全にニュースクールでアナリティカルな方に生まれ変わろうとしていることが見てとれると思います。

ザイディ社長の2019

 ザイディが獲得した主な選手は以下の4名。ハーパー獲得に参戦はしたものの、資金のやりくりに苦労し、ブルージェイズと1 年$5.8Mで再契約していたケビン・ピラーを獲得するのが精一杯という状況でもありました。

  • マイク・ヤストレムスキー(Mike Yastrzemski) 3月にBALから獲得
  • アレックス・ディッカーソン(Alex Dickerson)6月にSDPから獲得
  • ケビン・ピラー(Kevin Pillar)4月にTORから獲得
  • ドノバン・ソラーノ( Donovan Solano)LADからFA→1月に獲得。

 しかし、ピラーもヤストレムスキーも当たりましたね。

2年後には浮上も

 ジャイアンツはプロスペクトがいいです。

 22才の捕手ジョーイ・バート(Joey Bart)はPre2019のMLB.com内のプロスペクトランキングでは22位。キューバ出身で20才になったばかりの右投げ右打ちのCF、エリオット・ラモス (Heliot Ramos)は2017年のジャイアンツ1巡目指名で、MLB.comのPre2019のランクでは92位。また、ドミニカ共和国出身で18才になったばかりのSSマルコ・ルシアーノ(Marco Luciano)。2019年1巡目指名で右投げ左打ちのハンター・ビショップ( Hunter Bishop)。

 2年後には彼らが戦力として浮上する場合もあり得ますし、あるいはトレードのカードとして使うようなケースも出てくるかもしれません。いずれにせよ、かなり有利になりそうですね。

 スコット・ハリス新GMは早速、現地2019年11月11日(月)から始まり、14日(木)まで開催される年次のGMミーティング参加が待っています。また監督探しもありますしね。忙しいです。

 お読みいただき、ありがとうございました。